上 下
110 / 283
第七章 帝国へ ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ ~

第197話 22階層への階段が・・・

しおりを挟む
21階層のジャングルの森で魔物を倒し続けたクリフ達は、草原で一度休憩する事にした。

「どうだった?森の魔物は?」

「やっぱり初めに出たホワイトモンキーが大変だったわ。すばしっこい魔物は難しいわね。他の魔物は逃げずに向かってくるから倒す事を考えて行動したら良かったから楽だったわ。」

「そうですね。私も今までは魔法をとにかく魔物に当てる事ばかり考えていましたがホワイトモンキーと戦ってからはどうやって魔物を倒すか。その為に魔法をどう使うかを考えながら行動してましたわ。」

「私はナリアやセリーヌの指示通りに必死に魔法を使ってたのでよくわかりません。」

(なるほどね。セリーヌがリーダータイプだな。指示系統はセリーヌに任せた方が良さそうだね。)

「まあまだまだ経験が足りない部分があるからその辺は徐々にわかってくると思うよ。とりあえず今後はセリーヌが指示を出して、ナリアとユーナがそれに従う形でやって見ようか。」

「それがいいわね。私は前衛だから、セリーヌとユーナの動きがわからないもの。指示してくれると助かるわ。」

「私も。セリーヌが指示してくれると助かります。」

「わかりました。うまくできるかわかりませんが頑張ってみます。」

「じゃあしばらく休憩したら森の中を探索しながら魔物を倒していこうか。下に降りる階段を探そうかと思ったけど、今日は森での魔物討伐に慣れるようにしよう。なるべくホワイトモンキーを避ける方向で探索はするつもりだけど、慣れてきたらもう一度ホワイトモンキーと戦って見ようか。」

「わかったわ。」
「「わかりました。」」

休憩を終えたクリフ達は、再び森に入って行った。森には様々な魔物がいたがセリーヌはクリフから魔物の情報を教えてもらい、的確にナリアとユーナに指示を出す。

魔物を倒せば倒す程、セリーヌの指示はより適切に、そしてより早くなっていった。

(セリーヌにまかせたのは正解だね。覚えも早いし、応用力もすごい。二度目の魔物は何も言わなくても対応できてるし、前回の反省をちゃんと生かせてる。後は数をこなせば大丈夫そうだな。)

「だいぶ連携が上手くなってきたね。今日は最後にホワイトモンキーと再戦して休む事にしようか?」

「はい。指示を出すのも慣れましたし、ホワイトモンキーの対策も考えました。大丈夫だと思います。」

「オッケー。ならホワイトモンキーがいる場所を探して見るね。」

クリフは気配察知を使ってホワイトモンキーの気配を探した。

(いた。だけど、1体じゃなくて2体いるな。どうする?対策を考えてるみたいだし2体でも大丈夫か。まあ危なかったら僕がサポートしたらいいか。)

「あっちにホワイトモンキーがいそうだ。でも1体じゃなくて2体いるみたいだ。それでも大丈夫かな?」

「2体ですか・・・はい。なんとかなると思います。」

「よしリベンジよ。セリーヌ。ユーナ頑張りましょう!」

「「はい。」」

クリフ達はホワイトモンキーのいる場所に向かった。

「いたわ。こっちにはまだ気づいてないみたいね。どうする?セリーヌ?」

「気づいていないなら丁度いいです。気づかれる前に1体倒してしまいましょう。ユーナの光魔法なら気づかれる前に倒せると思います。」

「わかりました。」

「もう一体は作戦通り私がナリアの所まで魔法で誘導します。クリフ様のようにいかないかもしれませんがナリアは準備しておいてください。」

「わかったわ。ちょっとぐらいズレても対応できるように準備しておくわね。」

ユーナがライトアローをホワイトモンキーに向かって放つ。ホワイトモンキーは魔法に気付くのが遅れ、避けることができなかった。魔法に気づいたもう一体はセリーヌ達に気づき警戒していた。

セリーヌが威力を弱めたサンドボールを複数放ちホワイトモンキーの行動を制限する。木のないところにうまく誘導し、待ち構えていたナリアが槍を一閃し、もう一体も無事に倒す事ができた。

セリーヌ達がほっとしていると・・・

『みんな。気を付けて。もう1体ホワイトモンキーがこっちに向かってるよ。』

クリフは近づいてくるホワイトモンキーの気配を捉えセリーヌ達に念話した。

セリーヌ達がせまってくるホワイトモンキーを捉えると、ナリアが先頭に立ち向かってくるホワイトモンキーに対応した。不意打ちが失敗したホワイトモンキーはナリアから距離をとる。

そうなれば、セリーヌが魔法を放ち先ほどと同じようにホワイトモンキーの行動を操っていく。だが、前回と違って移動する間にサンドアローを放ちセリーヌが直接ホワイトモンキーを倒した。

「やったわね。セリーヌ。」

「はい。うまくいきました。」

(さすがだね。一度の経験が2倍にも3倍にもなって身についてる。感覚共有の魔法の効果も大きいかな。油断しなければジャングルでも十分戦えそうだな。後はレベルをどれぐらい上げれるかと、すんなり下に降りる階段を見つける事ができるかだな。)

ホワイトモンキーを倒したので、野営できる所を探していると・・・

「クリフ様!あれって下に降りる階段じゃないですか?」

ユーナの指差す方を見てみると、下へ降りる階段があった。

「本当だ。すんなり見つかったね。じゃあ今日はこのあたりで野営しようか。30階層までは同じような感じだろうし、明日は22階層を進んでいこうか。せっかく階段を見つけたんだしね。」

(運よく階段が見つかってよかった。明日からも階段が見つかったらドンドン下に降りて行った方がよさそうだな。このフィールドは魔物の数も多いからレベルが足りないと思ったら30階層手前の29階層でレベリングしてもいいしね。)

運よく下に降りる階段を見つけたクリフ達は、コテージを出して野営の準備をするのだった。

ほっとするクリフとは逆に今日の晩の事を考えるセリーヌはドキドキしていたのだった・・・
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。