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第六章 聖国へ ~ 聖女を助けよ ~

第159話 向かうはボールド領ではなく・・・

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「どうしたのセリーヌ?そんなに慌てて・・・」
「クリフ様!これを見てください!!」

クリフの家に来たセリーヌは持っている手紙をクリフに渡した。

「手紙??」
「はい。ユーナからの手紙なんですがユーナが困ってるみたいなんです。」

クリフはセリーヌから手紙を受け取り中を呼んでみる。すると・・・

「教皇が亡くなった!?次期教皇の人がユーナの命を狙っている!?」
「はい。ユーナとは3大国交流戦の後、手紙のやり取りをしていました。昨日城に帰った後、ユーナからの手紙が届いたので呼んでみるとそれが書かれてあって・・・」

「セリーヌは聖国の教皇が亡くなったのは知ってたの?」
「いいえ。聖国から同時期にお父様宛てに手紙が来てて、それに教皇の事は書かれていたみたいです。ですので、知ったのは昨日ですわ。」

「なるほど・・・手紙を見るからに、亡くなったのは1週間前ぐらいだよね?」
「そうですね。今回は急ぎの便で届きましたから。」

(聖女の命が狙われているって事はもしかして教皇の死が自然死ではない可能性もある。そして王道テンプレなら邪神が絡んでる可能性も・・・。)

「わかったよ。すぐに向かおう。ユーナが心配だ。」
「はい。」

「でも聖国は行った事ないから馬車で1カ月程かかるよな。どうするか・・・」

クリフとセリーヌが聖国へ行く手段を話し合っていると
「クリフーー」「クリフ君!!」

タイミングよく、ジャンヌとソフィアが現れた。クリフはドアを開けてジャンヌとソフィアを迎え入れる。

「おはようクリフ・・・ってセリーヌ!?どうしたの?顔が真っ青よ。」
「ジャンヌ・・・」

クリフはジャンヌとソフィアにセリーナからの手紙の件を話した。

「なるほどね。あそこは教皇の下に聖女が居て、聖女の下に枢機卿が4人いるわ。教皇が死んだのなら、次期教皇は4人の枢機卿の中の誰かがなるでしょうね。」
「ジャンヌは聖国の事詳しいんだね。」

「もちろんよ。だってユーティリア公爵領は聖国に一番近いもの。情報ぐらい入ってくるわ。」
「ああ!?そういえばユーティリアは王国の北の端だったね。」

「ええ。だから聖国とも交流があるのよ。詳しくはわからないけど、枢機卿の中で聖女の存在が邪魔だと思ってる人物がいるって事よね?」
「そうだと思う。聖女は人気が高いから妬み。とかじゃないかな?」

「そうね。クリフの言う通りだと思うわ。こうしちゃいられないわね。クリフ!ユーティリアに転移して!!そこで馬車を用意するわ。ユーティリアからなら聖国もすぐよ。」
「!!なるほど。ユーティリアなら前にジャンヌと行った事があるから転移で行ける。さすがジャンヌ!!」

「待ってクリフ君。一旦落ち着いてよ!聖国に行って聖女様を助けるのはわかったわ。でもやみくもに近づいてもダメだと思うわ。」
「ソフィア?」

「だって聖女様は命が狙われるって思ってるんでしょ?って事は聖女様と仲の良いクリフ君だって危ないかもしれないわ。」
「いきなりクリフが聖国に行ったら、向こうに警戒されるって事よね。ソフィアの言う事ももっともね。どうしようかしら?」

「クリフ様。教皇が亡くなって1週間も経ってるのであれば、次期教皇はもう決まってるかもしれません。ここは王国の勇者として新しい教皇に挨拶に行く。という名目で聖国に行くのはどうでしょうか?それなら怪しまれずに聖国に行く事ができませんか?」
「セリーヌ!!それよ!勇者の肩書なら問題ないわ。それに教皇への弔問という名目でセリーヌや私も聖国に行くのもおかしくないと思うわ。」

「なるほど。たしかに名目はあった方が行きやすいか・・・。わかった。その方向で行こう。一度陛下に相談してから行動を開始しようか。」
「わかったわ。でも王国を代表していくなら転移で行くのはまずいわね。」
「そうだね・・・」

その後、クリフは王城に行き、サリマン王に状況を説明した。
「わかった。丁度誰かを弔問に向かわせようかと思っておった所じゃ。セリーヌが行くとして護衛にクリフ君が付いてくれるなら安心じゃ。」
「ありがとうございます陛下。」

「うむ。ついでに聖国の次期教皇に関しても調べて見てくれ。きな臭いようなら・・・勇者として、頼んだぞ。」
「はい。お任せください。」

「うむ。では王家から聖国へは手紙で弔問の旨を知らせておくようにしよう。準備が出来次第向かうのじゃな?」
「はい。」
「わかった。」

王家との話が終わったクリフはその後、ジャンヌとともにユーティリア公爵領へ転移し、ユーティリア公爵にも話をした。

「わかった。ジャンヌを代表者として弔問する事を儂からも聖国へ手紙を出しておこう。クリフ君。ジャンヌを頼んだよ。」
「はい。任せてください。」
「ありがとうございますお父様。」

クリフと王国を代表してセリーヌ、聖国と一番交流が深いユーティリア公爵家の代表としてジャンヌが聖国へ向かおう事になった。

今回ソフィアは聖国とはそれほど付き合いがないが、付き添いとして同行する。
又、グラン、スイム、クインの3人も護衛とサポートとして同行する。

「クリフ君。本当にこの7人だけで行くの?本当ならもっと護衛とか必要なんじゃないの?」
「うん。陛下にも言われたんだけど・・・正直多いと逆に守らないといけない人が増えるから邪魔なんだよね。それなら信頼できるメンバーで向かった方が安心できるかな?って。」

「クリフの言う通りね。まあクリフとグランがいれば途中で襲われても何も問題ないわ。」
「やっぱり襲われる可能性ってあるの?」

「もちろんあるわ。次の教皇がどういう人物かわからないけど、王国を敵視してるなら道中で必ず何かあると思うわ。手紙を先に送ってるから私達が行くのはわかってる事だし。」

(まあ聖国からの刺客っていうのもテンプレか・・・。ユーティリア領までは大丈夫だろうけど、聖国に入ったらその辺も気を付けないとな。)

聖国へ向かう準備ができたクリフ達は馬車を走らせ、王国の北にある聖国へと向かうのだった。
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