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第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第153話 勇者の称号とは・・・
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3大国交流戦は王国の優勝で幕を閉じた。
勇者パインが死亡して、帝国は大騒動になっているが、
個人トーナメント会場での勇者の姿を見た者や勇者の行動を見た者が多数いたので、勇者を擁護する声は少ない。
専ら今後どうするか?という点で大騒ぎになっている。
クリフ達王国メンバーは交流戦の後、帝国の学生と聖国の学生と戦い無しの交流を数日間行い、3か国は良い感じにまとまっていた。
そんな中、勇者問題が解決しないまま、クリフ達は王国へと戻っていた。
連日のイベントで疲れていたクリフは家に戻るとすぐに眠りについた。
すると・・・
「ここは・・・」
クリフは真っ白い空間にいた。
目の前には畳が敷かれており、その上にはテーブル。そしてくつろいでいる創造神と豊穣神がいた。
「創造神様。豊穣神様。」
クリフは靴を履いてなかったので、そのまま畳に上がって座る。
「今回は大変じゃったな。勇者はまあ・・・残念じゃったが仕方あるまい。」
「すいません。僕がもっと強ければ死なせずに済む方法があったかもしれなかったんですが・・・」
「いやいやクリフ君にはよくやってくれておる。なあ?」
「はい。クリフ君のおかげでユーナが助かりました。とても感謝していますよ。」
「・・・そう言って頂けると僕もホッとします。」
「うむ。パイン君にとっては残念じゃったがこれも勇者の宿命じゃ。」
「勇者の宿命・・・ですか?」
「うむ。クリフ君はどうやってこの世界に勇者が誕生しているか知っておるかのぉ?」
「鑑定の儀で勇者の称号を得るという事ぐらいしか・・・」
「鑑定の儀で勇者が現れるのはまちがいっていない。どうゆう者に勇者の称号が現れるのか?という事じゃ。」
「いえ・・・それは知りません。」
「まあこれは神達しか知らないからクリフ君が知らないのも当然なのじゃがな。勇者というのは、貴族以外で素直な心を持つ者を選んで神が称号を与えているのじゃ。」
「貴族以外!?それはどうしてですか?」
「うむ。貴族というのは生まれた時から権力を持っておる。まずは権力によって勇者が本来の役目を忘れないようにするためじゃ。」
「魔王を倒す事・・・ですか?」
「そうじゃ。貴族ならその力を悪用する可能性が高いからのぉ。」
「でもパインは・・・」
「そこは今までの歴史で善にも悪にもなるからのぉ。」
「グランから少し聞きました。」
「うむ。グランか・・・アヤツは異世界から来たんじゃったな。」
「はい。今まで出会った勇者は良い勇者もいれば悪い勇者もいた。と・・・」
「そうじゃな。素直な心を持ったものが勇者になれば周りの環境でどのようにも変わる。」
「そういうものなのでしょうか?」
「勇者とは孤独で理不尽の連続でな。自分自身の精神力、周りの環境、この二つがうまくかみ合わないとうまくいかないのじゃ。」
「・・・」
「よくわからない。という顔じゃの・・・そうじゃな。クリフ君が盗賊を倒したとしよう。その盗賊は街の小さな子供を攫ったり、討伐にきた冒険者を何人も殺したりしている悪人じゃ。クリフ君が盗賊を倒して街に報告したとして街の反応はどのようなモノかわかるか?」
「それは・・・悪行の盗賊を倒したから喜ばれるんじゃ?」
「うむ。クリフ君の意見もまちがっておらん。だが、正解は子供を攫われた親や、冒険者を殺された家族から恨まれる。じゃ。」
「!?どうしてですか?」
「人間とはな、何かを恨んだり、憎んだりしないと生きていけない種族なのじゃ。もちろんクリフ君が悪いわけではない。そういった人間はな、もっと早く倒してくれたら子供は攫われなかった。もっと早く倒してくれたら私の家族は死ななかった。と自分の幸せを壊したモノをどうにか作り出さないと生きていけないのじゃ。クリフ君もなんとなくじゃが覚えがあるじゃろ??」
「それは・・・」
「うむ。勇者とはそういった事を数多く経験する。自分は世界の為にがんばってるのに、どうして喜んでくれないんだ?と。悩む事が多くなる。周りがうまくフォローしてくれれば問題はないのじゃが、勇者というのは能力が周りよりも高い。必然的に孤独になりやすいのじゃ。」
「それじゃ、勇者が現れても意味ないじゃないですか?」
「実際の所、神の立場からすると、勇者がどうなろうと問題はないのじゃ。この世界に魔王が現れたら勇者の称号を与える。というのが神の中の決まりなのじゃ。」
「それって・・・」
「儂個人としては良い勇者に育ってくれる方が良いとは思っておるぞ。せっかく作った世界じゃ。平和なのが一番じゃしな。だが、魔族や魔王も又、神が作り出した世界の住人なのじゃ。贔屓するわけにはいかん。というのが神全体の意見じゃ。」
(たしかに神様から見たら人族、魔族、魔物や動物まで全てにおいて一緒というのは理解できる。文明が滅亡したり自然環境によって、人類が滅亡したりしながら地球も歴史を刻んできているわけだし・・・)
「じゃあこの世界はもう魔王のやりたいようになってしまう。という事ですか?」
「それなんじゃが・・・クリフ君。勇者をやってみる気はないか?」
「えっ!?」
勇者の実情を話した創造神から出た言葉はクリフに勇者にならないか?という驚きの提案だった。
勇者パインが死亡して、帝国は大騒動になっているが、
個人トーナメント会場での勇者の姿を見た者や勇者の行動を見た者が多数いたので、勇者を擁護する声は少ない。
専ら今後どうするか?という点で大騒ぎになっている。
クリフ達王国メンバーは交流戦の後、帝国の学生と聖国の学生と戦い無しの交流を数日間行い、3か国は良い感じにまとまっていた。
そんな中、勇者問題が解決しないまま、クリフ達は王国へと戻っていた。
連日のイベントで疲れていたクリフは家に戻るとすぐに眠りについた。
すると・・・
「ここは・・・」
クリフは真っ白い空間にいた。
目の前には畳が敷かれており、その上にはテーブル。そしてくつろいでいる創造神と豊穣神がいた。
「創造神様。豊穣神様。」
クリフは靴を履いてなかったので、そのまま畳に上がって座る。
「今回は大変じゃったな。勇者はまあ・・・残念じゃったが仕方あるまい。」
「すいません。僕がもっと強ければ死なせずに済む方法があったかもしれなかったんですが・・・」
「いやいやクリフ君にはよくやってくれておる。なあ?」
「はい。クリフ君のおかげでユーナが助かりました。とても感謝していますよ。」
「・・・そう言って頂けると僕もホッとします。」
「うむ。パイン君にとっては残念じゃったがこれも勇者の宿命じゃ。」
「勇者の宿命・・・ですか?」
「うむ。クリフ君はどうやってこの世界に勇者が誕生しているか知っておるかのぉ?」
「鑑定の儀で勇者の称号を得るという事ぐらいしか・・・」
「鑑定の儀で勇者が現れるのはまちがいっていない。どうゆう者に勇者の称号が現れるのか?という事じゃ。」
「いえ・・・それは知りません。」
「まあこれは神達しか知らないからクリフ君が知らないのも当然なのじゃがな。勇者というのは、貴族以外で素直な心を持つ者を選んで神が称号を与えているのじゃ。」
「貴族以外!?それはどうしてですか?」
「うむ。貴族というのは生まれた時から権力を持っておる。まずは権力によって勇者が本来の役目を忘れないようにするためじゃ。」
「魔王を倒す事・・・ですか?」
「そうじゃ。貴族ならその力を悪用する可能性が高いからのぉ。」
「でもパインは・・・」
「そこは今までの歴史で善にも悪にもなるからのぉ。」
「グランから少し聞きました。」
「うむ。グランか・・・アヤツは異世界から来たんじゃったな。」
「はい。今まで出会った勇者は良い勇者もいれば悪い勇者もいた。と・・・」
「そうじゃな。素直な心を持ったものが勇者になれば周りの環境でどのようにも変わる。」
「そういうものなのでしょうか?」
「勇者とは孤独で理不尽の連続でな。自分自身の精神力、周りの環境、この二つがうまくかみ合わないとうまくいかないのじゃ。」
「・・・」
「よくわからない。という顔じゃの・・・そうじゃな。クリフ君が盗賊を倒したとしよう。その盗賊は街の小さな子供を攫ったり、討伐にきた冒険者を何人も殺したりしている悪人じゃ。クリフ君が盗賊を倒して街に報告したとして街の反応はどのようなモノかわかるか?」
「それは・・・悪行の盗賊を倒したから喜ばれるんじゃ?」
「うむ。クリフ君の意見もまちがっておらん。だが、正解は子供を攫われた親や、冒険者を殺された家族から恨まれる。じゃ。」
「!?どうしてですか?」
「人間とはな、何かを恨んだり、憎んだりしないと生きていけない種族なのじゃ。もちろんクリフ君が悪いわけではない。そういった人間はな、もっと早く倒してくれたら子供は攫われなかった。もっと早く倒してくれたら私の家族は死ななかった。と自分の幸せを壊したモノをどうにか作り出さないと生きていけないのじゃ。クリフ君もなんとなくじゃが覚えがあるじゃろ??」
「それは・・・」
「うむ。勇者とはそういった事を数多く経験する。自分は世界の為にがんばってるのに、どうして喜んでくれないんだ?と。悩む事が多くなる。周りがうまくフォローしてくれれば問題はないのじゃが、勇者というのは能力が周りよりも高い。必然的に孤独になりやすいのじゃ。」
「それじゃ、勇者が現れても意味ないじゃないですか?」
「実際の所、神の立場からすると、勇者がどうなろうと問題はないのじゃ。この世界に魔王が現れたら勇者の称号を与える。というのが神の中の決まりなのじゃ。」
「それって・・・」
「儂個人としては良い勇者に育ってくれる方が良いとは思っておるぞ。せっかく作った世界じゃ。平和なのが一番じゃしな。だが、魔族や魔王も又、神が作り出した世界の住人なのじゃ。贔屓するわけにはいかん。というのが神全体の意見じゃ。」
(たしかに神様から見たら人族、魔族、魔物や動物まで全てにおいて一緒というのは理解できる。文明が滅亡したり自然環境によって、人類が滅亡したりしながら地球も歴史を刻んできているわけだし・・・)
「じゃあこの世界はもう魔王のやりたいようになってしまう。という事ですか?」
「それなんじゃが・・・クリフ君。勇者をやってみる気はないか?」
「えっ!?」
勇者の実情を話した創造神から出た言葉はクリフに勇者にならないか?という驚きの提案だった。
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