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第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?

第151話 悪落ち勇者と聖剣エクスカリバー

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3大国交流戦個人トーナメント決勝戦。対戦は王国のクリフと帝国のパインとなっていた。

今の各国のポイント数は以下の通りだ。
総合計:王国89ポイント、聖国77ポイント、帝国84ポイント。

勝った方が優勝となり、20ポイント、負けた方は10ポイントを得る事ができる。

つまり、クリフが勝てば王国は優勝となり、パインが勝てば帝国が優勝となる。

グランとの修行を経て、限界を更に超えたクリフはレベル800でステータスは30万を超えていた。

一方のパインは限界は超えているが、2度目の限界には達しておらずステータスは7万程だった。レベルは200程だった。

聖剣を召喚する事でパインのステータスは全てが3倍になるが、それでもクリフの方がステータスは高い。

クリフがパインを圧倒して試合は進んでいたが、パインはポケットから黒い錠剤を取り出し飲み込んだ。

すると、身体が黒くなり目が赤くなった。身体も1.5倍程に大きくなった。

「パイン・・・」
「どうだクリフ?これが俺の力だ。これが俺の力だ。」

(パインが黒い錠剤を飲んだら姿が変わった。ってかあの姿ってもう魔族と一緒だよな。どうしたら・・・)

パインの変貌にクリフを始め会場中が騒ぎ始めた。
「なんだあれは!?」
「勇者が魔族みたいになったぞ。」
「きゃー。何?あの姿!!!」
「クリフ様!?」

「うるさいな。」
パインは会場に向かって雷魔法を放った。

「ヤバい!!」
クリフはパインの攻撃を止めようと思うが会場全体に向かっていたので魔法を止める事が出来なかった。

会場にいる観客に魔法が当たる!!と思ったその時、試合会場と観客席の間に魔法障壁が張られ、魔法はそのバリアによって防がれた。

「助かった・・・でも誰が??」

「マスター!観客は我にまかせよ。それよりもヤツは危険じゃ。どうする?」
「グラン!?」

パインからの攻撃を防いだのはグランだった。

「マスターよ。ヤツはもう邪神に取り込まれておる。倒す以外に救う方法はないぞ。マスターにやれるか?」
「・・・うん。僕はみんなに頼まれてるんだ。ナリアをユーナを助けてくれ!って。だから・・・やるよ!!」

クリフの意思は強かった。ここ1週間調子を落としていたが、セリーヌ、マッシュ、聖国の生徒、帝国の生徒との交流によってクリフは気持ちを固めていた。

「うむ。ここはマスターにまかせるとしよう。ソヤツとの闘いに集中できるようにセリーヌや他の観客は我にまかせておけ。」
「ありがとうグラン。」

クリフはパインに向かい合った。
「おい。観客は関係ないだろ。何考えてるんだ?」
「俺の力を見せつけてやっただけだ。死んだってかまわないだろ?俺の手で死ねるんだ。本望だろう!!」

「お前・・・」
(姿が変わってからあきらかに性格が変わってる。悪堕ちっていうのもテンプレだけどこうも見事に体験できるとは・・・)

「マスター!気を付けろ。今のアヤツは邪神の加護の力でステータスが大幅に上がっておる。我の予想では10倍程にはなってるはずだ。」
「マジか・・・」

(10倍だって!?アイツのステータスはたしか7万ぐらいだったはず。それが10倍なら70万・・・僕の倍か。いや聖剣を装備してるから更に3倍・・・という事は210万!?・・・ヤバいだろ・・・)

クリフはグランの声を聞いて、持っているデュランダルを強く握りしめる。
「突っ立ってても俺は倒せないぞ。」

パインがクリフを挑発する。その言葉にクリフは剣を握りしめてパインに攻撃を仕掛けた。

先ほどまでは楽々とパインの背後を取れていたが、背後に移動しようとしたところをパインにはじかれた。
「何!?」

「そんなスピードで俺に勝てると思ってるのか?」
パインは持っている聖剣をクリフに向けて振りぬく。

デュランダルで防御したクリフだが、威力を殺せず吹き飛ばされた。
「クッ!!強い!!」

(グランの言う通りステータスがかなり上がってるみたいだ。どうする?このままじゃ・・・)

クリフは攻撃方法を変えた。転移してパインの後ろにまわり込み背後を切り付ける。
クリフの攻撃はパインの背中をとらえたが、パインに傷を付ける事は出来なかった。

「ははは。その程度の攻撃など効かん。さっきまでの威勢はどうした?あん?」
パインはクリフに連続で攻撃を仕掛ける。

クリフも転移を繰り返して、避けたり、防御したり、反撃したりするがパインにダメージを与える事はできない。それどころかクリフ自身に傷がどんどん増えてくる。

(クソッ!!どうしたら・・・)

(マスターよ。アヤツの持ってる聖剣を奪うのじゃ。今のヤツは邪神の加護によって魔族に近いモノになっておる。本来聖剣は魔族には扱えん。)

(グラン!?わかった!)

クリフはパインの傍に転移して、パインの持ってる聖剣を弾き飛ばした。

聖剣を落としたパインは、先ほどのように聖剣を戻さずに自身の手に新しい剣を召喚した。

召喚された剣は真っ黒な剣だった。

「ははは。剣など新たに召喚できる。残念だったな。」

(なんだあの剣は真っ黒だしなんか邪悪なオーラが剣を覆っているぞ。)

クリフはパインの持つ剣に脅威を覚えて距離を取る。そして、聖剣の傍に転移した。

(テンプレなら、悪落ち勇者、それを倒す僕!きっと聖剣を使えるはず!!)

クリフは地面に突き刺さった聖剣を引き抜く。

すると・・・

引き抜かれた聖剣は白いオーラを出してクリフを包み込む。

そして、白いオーラはクリフの中に入っていった。

(よし予想通りだ。これでまだまだ戦える!!)

クリフは聖剣エクスカリバーを握りしめたのだった。
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