上 下
189 / 193
第四章 宗教国家ローズベール

第189話 ギルドマスターからの依頼とは

しおりを挟む
「良い名前を付けたわね。」

「アタシも気に入ってるにゃ。これからパーティへの依頼は笑顔満載でお願いするにゃ。」

「僕もっす。僕は笑顔満載のスズっす。」

「とりあえず、一日で決まってほっとしてます。それでベリーさん。依頼について教えてほしいんですが。」

パーティ名を決めたカイン達は、その翌日、ギルドマスターからの依頼の内容を聞く為に朝からギルドへと来ていた。

「そうね。とりあえずカイン君達はローズベール教会についてはどこまで知ってるかしら?」

「ローズベール教会についてですか?すいません。あまり知らないです。ローズベール様を信仰として世界各地に教会を置いて普及活動をしているって事ぐらいですかね。」

「ここはその本部でね。ローズベール教会のトップは教皇で、その下に四人の枢機卿と勇者と聖女がいるの。その事は知ってた?」

(出た勇者・・・あのゲームの動き満載の勇者だよな。たしかエニクだったっけ。だけど聖女の話は初耳だな。教会に聖女っていうのはあるあるではあるけど。)

「勇者は王国で見たにゃ。」

「そういえば最近は王国でクエストをしてるって言ってたわね。」

「勇者様の事を知ってるんですか?」

「もちろんよ。何度かクエストを受けてもらったわ。冒険者ではないけど、Sランク冒険者の称号は持ってるからね。」

(勇者はSランク冒険者と同等の強さって事か・・・。女性3人連れてるハーレム野郎って事ぐらいしか覚えていないからその辺の情報はありがたいな。今後どうなるかはわからないけど、どうなるにしても、目を背けないようにしないと。)

「そうなんですね。俺達は王都アルプスで見かけただけなので、何をしてたかまではわかりません。依頼っていうのは勇者関係なんですか?」

「いえ、もう一人の聖女様よ。聖女様の事は知ってる?」

「いえ、初めて聞きました。教皇様の下に四人の枢機卿がいる事は聞いていましたが、勇者様と聖女様が同じ地位にいるのは今、聞いて知りました。」

「実はね、聖女様が今度、聖女の試練を受けるの。それの護衛をギルドが依頼されてるの。それをカイン君達にうけてもらえないかと思ってね。」

「聖女の試練ですか?でもそんな重要そうな依頼を、ここにきたばっかりの俺達に依頼していいんですか?」

「理由はいくつかあるわ。一つ目がAランク冒険者だと言う事。強さはもちろんだけど、信用がないとなかなかAランクの冒険者になれないわ。二つ目がカイン君達の事はバニーから聞いている事。カイン君の言うようにAランクと言えど、初対面で依頼を出す事はほとんどないわ。妹の言う事はまちがいがないって思ってるから、カイン君達でも大丈夫だと思ったの。そして三つ目、聖女様の年齢が15歳という事。カイン君達と同じ世代でしょ。どうせ護衛するなら同世代の方が聖女様にとってもいいと思ったのよ。厳ついおっさんに守られるより全然いいでしょ。」

「なるほど。理解しました。」

(聖女が成人する時に試練を受けるって感じかな?どこかの洞窟とか塔に行って何か取ってくる。みたいな感じか。それにしてもタイミングが絶妙だな。このタイミングでこの依頼。何かありそうな匂いがビンビンする。いやきっとなんかあるだろ。)

「試練が行われるのは丁度一週間後よ。場所はここから西に行った試練の塔よ。そこの奧にあるローズベール様の像に浄化魔法を掛ければ試練は完了よ。それで聖女として認められるのよ。今もローズベールには聖女様がいるんだけど、新しい聖女の誕生とともに現聖女は大聖女になるわ。まあ今の聖女ももうかなりの年だから、そろそろ世代交代が出来てほっとするでしょうね。試練自体は、そこまで難しくないわ。聖女様にもしもの事がないように念のための護衛だから、ほとんど危険もないわ。試練の塔には試練の魔物が出るけど、どの魔物も低レベルの魔物しかいないしね。」

(通過儀礼みたいなものか。それにしてもベリーさんは詳しいな。聖女様が成人になる時の試練だよな?聖女様ってこの世界に何人もいるのか?神の祝福が二文字の聖女って事か?浄化魔法っていうのも気になる。初めて聞く魔法だ。)

「ベリーさんは聖女の試練に詳しいんですね。そんな頻繁に行われるモノなんですか?」

「そりゃそうよ。今の聖女が聖女の試練を受ける時に護衛したのは、私とバニーとモリーだもの。」

「えっ・・・」

(いやいや今の聖女ってさっきベリーさんが言ってた、もう年だから世代交代したいって言ってた人の事だよな。という事は50歳、60歳、70歳ぐらいは言ってるだろ?なら前回の聖女の試練は35年前~55年前?いやいやこの人何歳なんだよ!!!鑑定して見てみたい所だけど、こういうのって鑑定しても見れなかったりするんがお約束だもんな。そしてその話題に触れたら、さっきみたいな冷たい目で見られるヤツだろ。ここは全力でスルーだな。知りたいけど触れたらいけないヤツだ。)

「今の聖女はもうおばあちゃんなのかにゃ?それの試練の護衛したってベリーは今なんさ・・・」

「ラック!」

カインは全力でラックの口を押えた。

「どうしたの?」

「いえ何でもありません。それで、俺達はどうしたらいいんですか?」

「そう?なら、一週間後にギルドに来てくれるかしら。当日にはなるけど、聖女様と顔を合わせてそのまま試練の護衛をしてもらうようになると思うわ。」

「わかりました。」

(ふー。間一髪間に合った。さすがラック。空気を読まない感じはいつも通りだ。さっきは空気を読めるヤツだと思ったのに油断したらコレだもんな。聖女様に関してはこの後、自分で調べた方が良さそうだな。)

こうして、カイン達はギルドマスターのベリーから聖女の試験の護衛依頼を受けたのだった。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る(旧題|剣は光より速い-社畜異世界転生)

丁鹿イノ
ファンタジー
【ファンタジア文庫にて1巻発売中!】 深夜の職場で人生を終えた青桐 恒(25)は、気づいたらファンタジーな異世界に転生していた。 前世の社畜人生のお陰で圧倒的な精神力を持ち、生後から持ち前の社畜精神で頑張りすぎて魔力と気力を異常に成長させてしまう。 そのうち元Sクラス冒険者である両親も自重しなくなり、魔術と剣術もとんでもないことに…… 異世界に転生しても働くのをやめられない! 剣と魔術が存在するファンタジーな異世界で持ち前の社畜精神で努力を積み重ね成り上がっていく、成長物語。 ■カクヨムでも連載中です■ 本作品をお読みいただき、また多く感想をいただき、誠にありがとうございます。 中々お返しできておりませんが、お寄せいただいたコメントは全て拝見し、執筆の糧にしています。 いつもありがとうございます。 ◆ 書籍化に伴いタイトルが変更となりました。 剣は光より速い - 社畜異世界転生 ~社畜は異世界でも無休で最強へ至る~ ↓ 転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る

伯爵家の三男は冒険者を目指す!

おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました! 佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。 彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった... (...伶奈、ごめん...) 異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。 初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。 誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。 1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。

おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~

暇人太一
ファンタジー
 大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。  白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。  勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。  転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。  それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。  魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。  小説家になろう様でも投稿始めました。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

どうも、賢者の後継者です~チートな魔導書×5で自由気ままな異世界生活~

ヒツキノドカ
ファンタジー
「異世界に転生してくれぇえええええええええ!」  事故で命を落としたアラサー社畜の俺は、真っ白な空間で謎の老人に土下座されていた。何でも老人は異世界の賢者で、自分の後継者になれそうな人間を死後千年も待ち続けていたらしい。  賢者の使命を代理で果たせばその後の人生は自由にしていいと言われ、人生に未練があった俺は、賢者の望み通り転生することに。  読めば賢者の力をそのまま使える魔導書を五冊もらい、俺は異世界へと降り立った。そしてすぐに気付く。この魔導書、一冊だけでも読めば人外クラスの強さを得られてしまう代物だったのだ。  賢者の友人だというもふもふフェニックスを案内役に、五冊のチート魔導書を携えて俺は異世界生活を始める。 ーーーーーー ーーー ※基本的に毎日正午ごろに一話更新の予定ですが、気まぐれで更新量が増えることがあります。その際はタイトルでお知らせします……忘れてなければ。 ※2023.9.30追記:HOTランキングに掲載されました! 読んでくださった皆様、ありがとうございます! ※2023.10.8追記:皆様のおかげでHOTランキング一位になりました! ご愛読感謝!

落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!

酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。 スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ 個人差はあるが5〜8歳で開花する。 そのスキルによって今後の人生が決まる。 しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。 世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。 カイアスもスキルは開花しなかった。 しかし、それは気付いていないだけだった。 遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!! それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

処理中です...