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第15話 領主に呼ばれるヒカル
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「よかったのヒカル。逃げたりして?」
「ああ。メイリも助けた子の名前聞いただろ?スクルド・エベレスって。エベレスって事はこの町の領主様の娘だろ?しかもここって辺境伯領の領都だからエベレスって辺境伯だろ?そんな上級貴族なんかに目を付けられてみろ?何があるかわかったもんじゃない。」
「でも悪い事した訳じゃないじゃん。助けたんだし、お礼とかで色々もらえたりするんじゃないの?」
「たしかにメイリの言うように貴族ってそういうの気にするみたいだからお礼は貰えるかもしれない。だけどそれだけで終わらないと思う。例えば専属の騎士になってくれ。とかスクルドの婿に。とか。最悪使用人として雇ってやる。みたいな話もあるかもしれない。貴族様からの依頼なら断ったら不敬罪とかもあるし面倒だよ。」
(だいたいラノベじゃ小説だから、ここからハーレムが始まったりするんだろうけど、そんな都合の良い事なんてなかなかないからな。もし辺境伯がラノベでいう悪徳貴族なら使いつぶされるのがオチだろ。)
「そっか・・・。」
(ヒカルを婿にとかありえない。さすがヒカル。私がいるから逃げてくれたんだね。そうだよそうだよ。私がいるんだから。でも・・・あのスクルドって子ドレスも綺麗だったし可愛かったな。私もドレスとか着たら可愛くなるかな・・・。)
「うん。だからいいんだ。なかなかお金は目標額まで貯まらないけど、実力は着々とついて行ってる。Dランクになればダンジョンにも行けるしな。ダンジョンに行けばお金は行けるだろ?」
「そうだね。ダンジョン楽しみだな~。」
(ふふふ。私はダンジョンも楽しみだけど、やっぱりライトと二人で冒険できるのが楽しいな。魔法学校も2人で一緒に行けたら最高だよ~。私もしっかりがんばらないと。)
その日、ヒカルとメイリーンは、スクルドを助けた時に倒したゴブリンの討伐証明を提出して、宿に帰った。時間的にはまだまだ活動できたのだが、森に行ったらスクルドと遭遇するかもしれないので、早めに冒険者活動を終えて宿で魔法の鍛錬の時間にしたのだった。
そして翌日・・・
(どうしてこうなった!?)
今、ヒカルとメイリーンの目の前には昨日助けたスクルド・エベレスと、アルムガルド王国の辺境伯であるアルベルト・エベレスがいた。
話はギルドに行った所まで遡る。いつものようにギルドに向かったヒカルとメイリーンは依頼を受ける為、いつものようにオークの討伐依頼を持って受付のミドリの元へ向かった。
「ヒカル君とメイリちゃん、領主様が呼んでるわよ?何かしたの?」
と言われたのが始まりだ。その後はもう何がなんだか、知らない間に執事服を着た人がギルドに現れてついて行くとそこには豪華な屋敷が・・・
もちろんヒカル達は貴族達が住んでいる場所へは行った事がないので、初めての場所だ。あれよあれよと屋敷の中に入っていき、気づいたら目の前には領主とスクルドがいて、ヒカルとメイリーンはその対面に座っている形になっていた。
(やべぇーやべぇー。どっちもニコニコしてるけど逆にそれがこえーよ。昨日逃げたからか?ミスったー。名前を言うんじゃなかった。今考えれば領主なんだから名前と冒険者で俺達って素性バレバレじゃん。何してんの俺?バカじゃん。)
「え~っと・・・領主様・・・俺達は、あっ私達は・・・どうして・・呼ばれたのでしょうか?」
(敬語敬語。とにかく丁寧に丁寧にだ。ここで活かすのは営業でひたすら取引先に腰を低くしてゴマすりまくって覚えたゴマすり術だ。)
「そんなに固くならなくて大丈夫だよ。まあそれも難しいか・・・。今日は娘を助けたお礼をと思ってね。」
「えっ!?」
(あれ?知ってるラノベの展開になってるぞ?やっぱりラノベ先生って未来が書かれた本なのか?そうなのか?心配して損したーって喜んでいいのか?考えろ、考えろ俺。ラノベの知識を思い出せ。そうだ。悪徳貴族はだいたい腹が出てて髪が薄いはずだ。・・・うん。白髪交じりだけど髪は薄くないし腹も出てない。なんかやり手の社長って感じのナイスミドルだ。って事は本当に単純にお礼なのか・・・)
「え~っと、助けた時にお礼は言われましたし、俺、あっ私達も偶然あの場所にいましたので、助けれたのは偶然といいますか・・・その・・・」
「ははっ。だが君たちがいなければ娘は助からなかったかもしれん。どんな理由であり、君たちが娘を助けた事実は変わらんよ。そして、私は娘を助けてくれた者達にお礼をしないほど失礼な事はないと思ってる。」
「・・・ありがとうございます。領主様からそう言って頂き、すごく光栄に思います。」
「ヒカルさん。メイリーンさん。改めて昨日は助けて頂きありがとうございます。もうダメだと思い、あきらめた所に来てくれたヒカルさんはその・・・とてもカッコよかったですわ。」
(あれ?これって俗にいうハーレムルートか???いやいや俺平民だよ?ないないないない。それは期待しすぎだろ・・・いやでも・・・そりゃ異世界行ったらハーレムをっていうのは男全員が夢見ると思うけど・・・。)
「ヒカル!!」「いたっ!!」
メイリが鼻の下を伸ばしているヒカルを見て足を踏んづけた。
(もう鼻の下なんか伸ばして。いくらお嬢様だからって私のヒカルに手を出したら許さないんだから。それにヒカルもヒカルよ。私がいるのに・・・)
「どうしたんだい?」
「いえ、なんでもありません。」
(メイリが怒ってるのはそういう事なのか?俺ってよく言う鈍感系の主人公だったのか?いや、主人公はどこかにいる勇者か。それでも、メイリってもしかして俺に気がある?いやいや待て待て。いくら前世があるからって俺ってまだ10歳じゃん。日本なら小学5年生じゃん。早い早い。マセガキかよ!!ロリコンかよ!!まあその事は後で考えるとして今はお礼の話だな。)
「なら早速、お礼の話をしようと思うんだがヒカル君は何か希望はあるかい?」
(きたーーー。どうしよ?どうしよ?)
ヒカルはエベレス辺境伯からのお礼について、どうするか悩むのだった。
「ああ。メイリも助けた子の名前聞いただろ?スクルド・エベレスって。エベレスって事はこの町の領主様の娘だろ?しかもここって辺境伯領の領都だからエベレスって辺境伯だろ?そんな上級貴族なんかに目を付けられてみろ?何があるかわかったもんじゃない。」
「でも悪い事した訳じゃないじゃん。助けたんだし、お礼とかで色々もらえたりするんじゃないの?」
「たしかにメイリの言うように貴族ってそういうの気にするみたいだからお礼は貰えるかもしれない。だけどそれだけで終わらないと思う。例えば専属の騎士になってくれ。とかスクルドの婿に。とか。最悪使用人として雇ってやる。みたいな話もあるかもしれない。貴族様からの依頼なら断ったら不敬罪とかもあるし面倒だよ。」
(だいたいラノベじゃ小説だから、ここからハーレムが始まったりするんだろうけど、そんな都合の良い事なんてなかなかないからな。もし辺境伯がラノベでいう悪徳貴族なら使いつぶされるのがオチだろ。)
「そっか・・・。」
(ヒカルを婿にとかありえない。さすがヒカル。私がいるから逃げてくれたんだね。そうだよそうだよ。私がいるんだから。でも・・・あのスクルドって子ドレスも綺麗だったし可愛かったな。私もドレスとか着たら可愛くなるかな・・・。)
「うん。だからいいんだ。なかなかお金は目標額まで貯まらないけど、実力は着々とついて行ってる。Dランクになればダンジョンにも行けるしな。ダンジョンに行けばお金は行けるだろ?」
「そうだね。ダンジョン楽しみだな~。」
(ふふふ。私はダンジョンも楽しみだけど、やっぱりライトと二人で冒険できるのが楽しいな。魔法学校も2人で一緒に行けたら最高だよ~。私もしっかりがんばらないと。)
その日、ヒカルとメイリーンは、スクルドを助けた時に倒したゴブリンの討伐証明を提出して、宿に帰った。時間的にはまだまだ活動できたのだが、森に行ったらスクルドと遭遇するかもしれないので、早めに冒険者活動を終えて宿で魔法の鍛錬の時間にしたのだった。
そして翌日・・・
(どうしてこうなった!?)
今、ヒカルとメイリーンの目の前には昨日助けたスクルド・エベレスと、アルムガルド王国の辺境伯であるアルベルト・エベレスがいた。
話はギルドに行った所まで遡る。いつものようにギルドに向かったヒカルとメイリーンは依頼を受ける為、いつものようにオークの討伐依頼を持って受付のミドリの元へ向かった。
「ヒカル君とメイリちゃん、領主様が呼んでるわよ?何かしたの?」
と言われたのが始まりだ。その後はもう何がなんだか、知らない間に執事服を着た人がギルドに現れてついて行くとそこには豪華な屋敷が・・・
もちろんヒカル達は貴族達が住んでいる場所へは行った事がないので、初めての場所だ。あれよあれよと屋敷の中に入っていき、気づいたら目の前には領主とスクルドがいて、ヒカルとメイリーンはその対面に座っている形になっていた。
(やべぇーやべぇー。どっちもニコニコしてるけど逆にそれがこえーよ。昨日逃げたからか?ミスったー。名前を言うんじゃなかった。今考えれば領主なんだから名前と冒険者で俺達って素性バレバレじゃん。何してんの俺?バカじゃん。)
「え~っと・・・領主様・・・俺達は、あっ私達は・・・どうして・・呼ばれたのでしょうか?」
(敬語敬語。とにかく丁寧に丁寧にだ。ここで活かすのは営業でひたすら取引先に腰を低くしてゴマすりまくって覚えたゴマすり術だ。)
「そんなに固くならなくて大丈夫だよ。まあそれも難しいか・・・。今日は娘を助けたお礼をと思ってね。」
「えっ!?」
(あれ?知ってるラノベの展開になってるぞ?やっぱりラノベ先生って未来が書かれた本なのか?そうなのか?心配して損したーって喜んでいいのか?考えろ、考えろ俺。ラノベの知識を思い出せ。そうだ。悪徳貴族はだいたい腹が出てて髪が薄いはずだ。・・・うん。白髪交じりだけど髪は薄くないし腹も出てない。なんかやり手の社長って感じのナイスミドルだ。って事は本当に単純にお礼なのか・・・)
「え~っと、助けた時にお礼は言われましたし、俺、あっ私達も偶然あの場所にいましたので、助けれたのは偶然といいますか・・・その・・・」
「ははっ。だが君たちがいなければ娘は助からなかったかもしれん。どんな理由であり、君たちが娘を助けた事実は変わらんよ。そして、私は娘を助けてくれた者達にお礼をしないほど失礼な事はないと思ってる。」
「・・・ありがとうございます。領主様からそう言って頂き、すごく光栄に思います。」
「ヒカルさん。メイリーンさん。改めて昨日は助けて頂きありがとうございます。もうダメだと思い、あきらめた所に来てくれたヒカルさんはその・・・とてもカッコよかったですわ。」
(あれ?これって俗にいうハーレムルートか???いやいや俺平民だよ?ないないないない。それは期待しすぎだろ・・・いやでも・・・そりゃ異世界行ったらハーレムをっていうのは男全員が夢見ると思うけど・・・。)
「ヒカル!!」「いたっ!!」
メイリが鼻の下を伸ばしているヒカルを見て足を踏んづけた。
(もう鼻の下なんか伸ばして。いくらお嬢様だからって私のヒカルに手を出したら許さないんだから。それにヒカルもヒカルよ。私がいるのに・・・)
「どうしたんだい?」
「いえ、なんでもありません。」
(メイリが怒ってるのはそういう事なのか?俺ってよく言う鈍感系の主人公だったのか?いや、主人公はどこかにいる勇者か。それでも、メイリってもしかして俺に気がある?いやいや待て待て。いくら前世があるからって俺ってまだ10歳じゃん。日本なら小学5年生じゃん。早い早い。マセガキかよ!!ロリコンかよ!!まあその事は後で考えるとして今はお礼の話だな。)
「なら早速、お礼の話をしようと思うんだがヒカル君は何か希望はあるかい?」
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