10 / 34
10.悪妻登場
しおりを挟む
「局長、俺はお昼休憩に入ります」
魔法省、フレディの局長室。
フレディの助手であるスティングが、山積みになっている資料の山へと声をかけた。
「ああ……もうそんな時間か」
資料の山から顔を出したのはもちろんフレディ。
魔法省の局長として決裁しなければならない書類もそうだが、ほとんどは研究のための資料が積み上がっている。
「そういえば、局長の作り上げた、物の色を変える魔法薬、商品化するそうですね!」
「ああ……」
嬉しそうに話すスティングにフレディは書類から目を離さずに返事をした。
「王宮の一角の庭が凄いことになってましたもんねえ。王女様も自分のためだと思う始末だし……」
苦笑いで話を続けるスティングは、鞄からゴソゴソと街で買ってきてあったサンドイッチを机に準備する。
フレディはスティングの話を聞きながら、窓下にある庭園に目を落とした。
フレディの色を変える魔法薬の実験として、色とりどりに咲くバラが無造作に咲き誇っている。
アリアが王女のメイドだった頃、彼女が懸命に世話をしていた庭だった。
「――――っ、昼?!」
アリアのことを思い浮かべた所で、フレディは約束を思い出す。
「局長、どうしたんですか?」
すでにサンドイッチを頬張っていたスティングが急に立ち上がったフレディを見やる。
「アリアが……妻が食事を届けに来るんだった」
「悪女があ?!」
急いで片付け始めたフレディに、スティングはサンドイッチを置いて残念そうに言う。
「局長ともあろう人が、あの話、マジだったんですかあ?」
「言っとくけど、アリアは噂のような悪女じゃないからな」
「うわ、悪女に骨抜きにされてるって噂、本当だったんだ……」
フレディのことを尊敬しているスティングにとって、アリアとの結婚の噂は信じ難いものだった。
「魔法のことは天才的なのに、女を見る目がないですね……」
「何だと……」
フレディがスティングに言い返そうとした所で、ドアがノックされた。
「アリアか?!」
いそいそとドアを開けに行くフレディ。
「ちょ、局長……」
噂の悪女がどんなものか見てやろう、とスティングもドアに向かった。しかし。
「フレディ様。お庭に食事をご用意してローズ王女殿下がお待ちです。どうぞいらしてください」
ドアを開けると立っていたのは、王女であるローズのメイドだった。
「俺は結婚した身です……。こういうことはお断りすると告げたはずですが……」
事前に手紙を受け取っていたフレディは、丁重にお断りをしていた。しかしこうして、メイドが突撃してきてしまい、困惑を見せる。
「もう用意は済んでおります。王女のご厚意を無下にすると……?」
貫禄のあるそのメイドは、王女が小さい頃から付き従ってきた、古株のメイドだった。
「局長……」
どうしたものかと逡巡するフレディにスティングも何も出来ず、成り行きを見守る。
「あら、王女殿下は、他人の夫を呼び出して二人きりになってどうなさるおつもりかしら?」
古株のメイドの後ろから声が響き、一瞬、何事かと三人が固まる。しかしすぐにそちらに目線をやると、燃えるような真っ赤な髪の悪役令嬢が立っていた。
「アリア?!」
悪役令嬢姿で来るとは思っていなかったので、フレディは驚いて声を出す。
「我が主に呼ばれるのは光栄なことです。あなたこそ、何の権利があって……」
横槍を入れたアリアに、メイドはムッとしてアリアを問い正す。
「あら、王女付のメイド長ともあろう方が、フレディ様がご結婚された相手をご存知無いのかしら?」
「ま、まさか……」
「はい。フレディ様の妻の、アリア・ローレンですわ」
「あの悪女のアリア・クラヴェル?!」
優雅にドレスの裾を持ち上げたアリアに、メイドはおののいた。
王女から汚名を着せられ、追放されたメイドのことなど、王女を始め、メイドさえもすっかり忘れている。ましてや髪の色が違うので、同一人物だとさえ思わない。ただ、「アリア・クラヴェルは悪女だ」という噂だけは知っていた。
「あ、あなたのような悪女なんかより、王女殿下の方が……!」
アリアの圧に押されながらも、メイドが食い下がる。
「あら、私をお選びになったのはフレディ様ですよ? ねえ、フレディ様?」
するりとフレディの横に行き、腕に絡みつくアリア。
「あ、ああ……」
呆気に取られていたフレディは空返事をする。
「局長が女に触らせた?!」
傍観していたスティングは、その光景に目を丸くする。
「そういうことですので、お引取りください。それとも、他人の夫を誘い出すような王女だと、噂が巡っても?」
「――――っ!!」
メイドに見せつけるようにフレディの腕に頬を擦付け、アリアは勝ち誇るように笑って見せた。
メイドは悔しそうに顔を歪め、拳を握ると、「失礼……しました……」と言って、踵を返した。
メイドが去るのを見届け、未だ呆然とするフレディに、アリアは妖しく笑う。
「フレディ様? おモテになるのだから、私が毎日追い払いに来ましょうか?」
「――――っ!」
ギュッと腕に絡みつくアリアに、フレディは身を固くした。
嫌ではない。嫌では無いが、悪役令嬢・アリアになった途端、「リア」の時と違いすぎて、戸惑う。
「かっけー……」
それを見ていたスティングが思わず漏らす。
「あら、フレディ様の助手のスティング様ですね?」
「え……何で名前……」
アリアに名前を呼ばれ、驚くスティングに、アリアはフレディの腕から離れ、ゆっくりと近付く。
「フレディ様のことは何でも知っているのよ?」
唇に人差し指を当て、にっこりと妖艶に微笑むアリアに、スティングはドキリとしてしまう。
男を取っ替え引っ替えな悪女と言われているが、なるほど、こんなに美人ならば可能だ、とスティングは思った。
「今後とも、夫共々よろしくお願いいたしますわ」
顔を近すぎるくらい寄せ、微笑むアリアに、スティングは顔を赤らめる。
「アリア!」
そんなアリアを腰を寄せてスティングから離すフレディ。
「あら、フレディ様。嫉妬、ですか?」
「!! いいから、来るんだ!」
フレディはアリアの腕を引っ張ると、局長室を勢いよく出て行った。
「はー、あれが、噂の局長の奥さんかあ。局長を骨抜きにさせるはずだわ……」
残されたスティングは、一人、納得しながら、食べかけのサンドイッチに再び手を伸ばしたのだった。
魔法省、フレディの局長室。
フレディの助手であるスティングが、山積みになっている資料の山へと声をかけた。
「ああ……もうそんな時間か」
資料の山から顔を出したのはもちろんフレディ。
魔法省の局長として決裁しなければならない書類もそうだが、ほとんどは研究のための資料が積み上がっている。
「そういえば、局長の作り上げた、物の色を変える魔法薬、商品化するそうですね!」
「ああ……」
嬉しそうに話すスティングにフレディは書類から目を離さずに返事をした。
「王宮の一角の庭が凄いことになってましたもんねえ。王女様も自分のためだと思う始末だし……」
苦笑いで話を続けるスティングは、鞄からゴソゴソと街で買ってきてあったサンドイッチを机に準備する。
フレディはスティングの話を聞きながら、窓下にある庭園に目を落とした。
フレディの色を変える魔法薬の実験として、色とりどりに咲くバラが無造作に咲き誇っている。
アリアが王女のメイドだった頃、彼女が懸命に世話をしていた庭だった。
「――――っ、昼?!」
アリアのことを思い浮かべた所で、フレディは約束を思い出す。
「局長、どうしたんですか?」
すでにサンドイッチを頬張っていたスティングが急に立ち上がったフレディを見やる。
「アリアが……妻が食事を届けに来るんだった」
「悪女があ?!」
急いで片付け始めたフレディに、スティングはサンドイッチを置いて残念そうに言う。
「局長ともあろう人が、あの話、マジだったんですかあ?」
「言っとくけど、アリアは噂のような悪女じゃないからな」
「うわ、悪女に骨抜きにされてるって噂、本当だったんだ……」
フレディのことを尊敬しているスティングにとって、アリアとの結婚の噂は信じ難いものだった。
「魔法のことは天才的なのに、女を見る目がないですね……」
「何だと……」
フレディがスティングに言い返そうとした所で、ドアがノックされた。
「アリアか?!」
いそいそとドアを開けに行くフレディ。
「ちょ、局長……」
噂の悪女がどんなものか見てやろう、とスティングもドアに向かった。しかし。
「フレディ様。お庭に食事をご用意してローズ王女殿下がお待ちです。どうぞいらしてください」
ドアを開けると立っていたのは、王女であるローズのメイドだった。
「俺は結婚した身です……。こういうことはお断りすると告げたはずですが……」
事前に手紙を受け取っていたフレディは、丁重にお断りをしていた。しかしこうして、メイドが突撃してきてしまい、困惑を見せる。
「もう用意は済んでおります。王女のご厚意を無下にすると……?」
貫禄のあるそのメイドは、王女が小さい頃から付き従ってきた、古株のメイドだった。
「局長……」
どうしたものかと逡巡するフレディにスティングも何も出来ず、成り行きを見守る。
「あら、王女殿下は、他人の夫を呼び出して二人きりになってどうなさるおつもりかしら?」
古株のメイドの後ろから声が響き、一瞬、何事かと三人が固まる。しかしすぐにそちらに目線をやると、燃えるような真っ赤な髪の悪役令嬢が立っていた。
「アリア?!」
悪役令嬢姿で来るとは思っていなかったので、フレディは驚いて声を出す。
「我が主に呼ばれるのは光栄なことです。あなたこそ、何の権利があって……」
横槍を入れたアリアに、メイドはムッとしてアリアを問い正す。
「あら、王女付のメイド長ともあろう方が、フレディ様がご結婚された相手をご存知無いのかしら?」
「ま、まさか……」
「はい。フレディ様の妻の、アリア・ローレンですわ」
「あの悪女のアリア・クラヴェル?!」
優雅にドレスの裾を持ち上げたアリアに、メイドはおののいた。
王女から汚名を着せられ、追放されたメイドのことなど、王女を始め、メイドさえもすっかり忘れている。ましてや髪の色が違うので、同一人物だとさえ思わない。ただ、「アリア・クラヴェルは悪女だ」という噂だけは知っていた。
「あ、あなたのような悪女なんかより、王女殿下の方が……!」
アリアの圧に押されながらも、メイドが食い下がる。
「あら、私をお選びになったのはフレディ様ですよ? ねえ、フレディ様?」
するりとフレディの横に行き、腕に絡みつくアリア。
「あ、ああ……」
呆気に取られていたフレディは空返事をする。
「局長が女に触らせた?!」
傍観していたスティングは、その光景に目を丸くする。
「そういうことですので、お引取りください。それとも、他人の夫を誘い出すような王女だと、噂が巡っても?」
「――――っ!!」
メイドに見せつけるようにフレディの腕に頬を擦付け、アリアは勝ち誇るように笑って見せた。
メイドは悔しそうに顔を歪め、拳を握ると、「失礼……しました……」と言って、踵を返した。
メイドが去るのを見届け、未だ呆然とするフレディに、アリアは妖しく笑う。
「フレディ様? おモテになるのだから、私が毎日追い払いに来ましょうか?」
「――――っ!」
ギュッと腕に絡みつくアリアに、フレディは身を固くした。
嫌ではない。嫌では無いが、悪役令嬢・アリアになった途端、「リア」の時と違いすぎて、戸惑う。
「かっけー……」
それを見ていたスティングが思わず漏らす。
「あら、フレディ様の助手のスティング様ですね?」
「え……何で名前……」
アリアに名前を呼ばれ、驚くスティングに、アリアはフレディの腕から離れ、ゆっくりと近付く。
「フレディ様のことは何でも知っているのよ?」
唇に人差し指を当て、にっこりと妖艶に微笑むアリアに、スティングはドキリとしてしまう。
男を取っ替え引っ替えな悪女と言われているが、なるほど、こんなに美人ならば可能だ、とスティングは思った。
「今後とも、夫共々よろしくお願いいたしますわ」
顔を近すぎるくらい寄せ、微笑むアリアに、スティングは顔を赤らめる。
「アリア!」
そんなアリアを腰を寄せてスティングから離すフレディ。
「あら、フレディ様。嫉妬、ですか?」
「!! いいから、来るんだ!」
フレディはアリアの腕を引っ張ると、局長室を勢いよく出て行った。
「はー、あれが、噂の局長の奥さんかあ。局長を骨抜きにさせるはずだわ……」
残されたスティングは、一人、納得しながら、食べかけのサンドイッチに再び手を伸ばしたのだった。
1
お気に入りに追加
638
あなたにおすすめの小説
【完結】いくら溺愛されても、顔がいいから結婚したいと言う男は信用できません!
大森 樹
恋愛
天使の生まれ変わりと言われるほど可愛い子爵令嬢のアイラは、ある日突然騎士のオスカーに求婚される。
なぜアイラに求婚してくれたのか尋ねると「それはもちろん、君の顔がいいからだ!」と言われてしまった。
顔で女を選ぶ男が一番嫌いなアイラは、こっ酷くオスカーを振るがそれでもオスカーは諦める様子はなく毎日アイラに熱烈なラブコールを送るのだった。
それに加えて、美形で紳士な公爵令息ファビアンもアイラが好きなようで!?
しかし、アイラには結婚よりも叶えたい夢があった。
アイラはどちらと恋をする? もしくは恋は諦めて、夢を選ぶのか……最後までお楽しみください。
【完結】8年越しの初恋に破れたら、なぜか意地悪な幼馴染が急に優しくなりました。
大森 樹
恋愛
「君だけを愛している」
「サム、もちろん私も愛しているわ」
伯爵令嬢のリリー・スティアートは八年前からずっと恋焦がれていた騎士サムの甘い言葉を聞いていた。そう……『私でない女性』に対して言っているのを。
告白もしていないのに振られた私は、ショックで泣いていると喧嘩ばかりしている大嫌いな幼馴染の魔法使いアイザックに見つかってしまう。
泣いていることを揶揄われると思いきや、なんだか急に優しくなって気持ち悪い。
リリーとアイザックの関係はどう変わっていくのか?そしてなにやら、リリーは誰かに狙われているようで……一体それは誰なのか?なぜ狙われなければならないのか。
どんな形であれハッピーエンド+完結保証します。
【完】ええ!?わたし当て馬じゃ無いんですか!?
112
恋愛
ショーデ侯爵家の令嬢ルイーズは、王太子殿下の婚約者候補として、王宮に上がった。
目的は王太子の婚約者となること──でなく、父からの命で、リンドゲール侯爵家のシャルロット嬢を婚約者となるように手助けする。
助けが功を奏してか、最終候補にシャルロットが選ばれるが、特に何もしていないルイーズも何故か選ばれる。
王太子殿下が私を諦めない
風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。
今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。
きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。
どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。
※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~
tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。
ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
【本編完結】婚約者を守ろうとしたら寧ろ盾にされました。腹が立ったので記憶を失ったふりをして婚約解消を目指します。
しろねこ。
恋愛
「君との婚約を解消したい」
その言葉を聞いてエカテリーナはニコリと微笑む。
「了承しました」
ようやくこの日が来たと内心で神に感謝をする。
(わたくしを盾にし、更に記憶喪失となったのに手助けもせず、他の女性に擦り寄った婚約者なんていらないもの)
そんな者との婚約が破談となって本当に良かった。
(それに欲しいものは手に入れたわ)
壁際で沈痛な面持ちでこちらを見る人物を見て、頬が赤くなる。
(愛してくれない者よりも、自分を愛してくれる人の方がいいじゃない?)
エカテリーナはあっさりと自分を捨てた男に向けて頭を下げる。
「今までありがとうございました。殿下もお幸せに」
類まれなる美貌と十分な地位、そして魔法の珍しいこの世界で魔法を使えるエカテリーナ。
だからこそ、ここバークレイ国で第二王子の婚約者に選ばれたのだが……それも今日で終わりだ。
今後は自分の力で頑張ってもらおう。
ハピエン、自己満足、ご都合主義なお話です。
ちゃっかりとシリーズ化というか、他作品と繋がっています。
カクヨムさん、小説家になろうさん、ノベルアッププラスさんでも連載中(*´ω`*)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる