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雨はやまない
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「二葉ちゃん!おはよう!」
「今日もほんとにかわいい~!このアクセサリーも自分でつくったの?!」
「メイクもうまいし憧れるわ~!」
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
…
こんなうるさい声を聞いているくらいなら土砂降りの雨の音の方がましだ。
昨日から降り続く雨は東京をぬらす。
「おはよう!ありがとう。自分でつくったやつだよ。今度みんなにもあげるね!」
最近こんな会話しかしていない。努力をしないでかわいいかわいい、そんなことばかり言っている人ばかり。
チャイムが鳴って先生が入ってくると、もう一人、後から入ってきた女の子がいた。
多分この時目が合って私たちが思ったことは同じだと思う。
顔が似ている。
「原宮一葉です。福岡から来ました。よろしくお願いします。」
一葉と私は隣の席になった。
「私、城山二葉。名前…似てるね。双子みたい。顔も似てるし…。」
「私もそう思ったの…!仲良くしてね。」
一葉は休み時間は本を読み、部活には入らずおとなしく過ごしている子だった。みんなが短くしているスカートもだらしないネクタイも全く興味のない様子だった。昼休みには図書室に行き大量の本を借りてきた。次の日にはその本を全て返していてちょっとびっくりしたが。
いつも私の周りにいる人たちは一葉の事が気に入らないようだった。
「あの子、変だよね。ずっと本読んでて真面目すぎ。服装もさ。」
「二葉ちゃんとは全然違うよね。名前も顔も似てるのに。」
「そう?私はいい子だと思うなぁ。」
「二葉ちゃん優しい!でも友達になるのやめたほうがいいと思うよ。」
こいつらバカなのか?一葉の本質を見抜こうとしていない。一葉の事をわかろうとしていない。友達をやめろ、とは本気で言ってるのか?絶対お前らと友達をやめる方が有益に決まっている。
確かに私もスカートは短いしネクタイはだらしない。ピアスだってつけているし、髪も染めている。ただ、こいつらとは同類にしてほしくない。
まあ、有益な者とだけ付き合おうとしているところは同じだけれども。
今日は一葉に声をかけ、一緒にお昼を食べよう。
「一葉!一緒にお昼食べない?」
「ありがとう。今まで1人だったからすごく嬉しい。」
私たちは私たちの事をたくさん話した。
私の母親は女優で城山野菊だという事。あまり今までの友達と仲良くない事。二葉と言う名前は父がつけてくれたという事。父親はあまり家に帰ってこなくなってしまったという事。
一葉の母親は亡くなってしまったという事。おとなしく友達ができない事。一葉と言う名前は父がつけてくれたという事。父親は離婚していないという事。
私は今まで自分が不幸だと思っていた。いくら親が女優でも、同世代と同じ様なお母さんの手料理を食べて、仲良く会話して、なんてことはほぼないのだ。よっぽどバカみたいに私についてきている奴らの方が幸せだと思っていた。
それなのに、一葉には母親すらもういないのだ。彼女は一人で生きてきたのだ。家族がいないなんて考えられない。それに一葉は耐えてきたのだ。
私は一葉を助けたくなった。
いや一緒に生きたいと思った。
雨はまだやんでいなかった。
「今日もほんとにかわいい~!このアクセサリーも自分でつくったの?!」
「メイクもうまいし憧れるわ~!」
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
…
こんなうるさい声を聞いているくらいなら土砂降りの雨の音の方がましだ。
昨日から降り続く雨は東京をぬらす。
「おはよう!ありがとう。自分でつくったやつだよ。今度みんなにもあげるね!」
最近こんな会話しかしていない。努力をしないでかわいいかわいい、そんなことばかり言っている人ばかり。
チャイムが鳴って先生が入ってくると、もう一人、後から入ってきた女の子がいた。
多分この時目が合って私たちが思ったことは同じだと思う。
顔が似ている。
「原宮一葉です。福岡から来ました。よろしくお願いします。」
一葉と私は隣の席になった。
「私、城山二葉。名前…似てるね。双子みたい。顔も似てるし…。」
「私もそう思ったの…!仲良くしてね。」
一葉は休み時間は本を読み、部活には入らずおとなしく過ごしている子だった。みんなが短くしているスカートもだらしないネクタイも全く興味のない様子だった。昼休みには図書室に行き大量の本を借りてきた。次の日にはその本を全て返していてちょっとびっくりしたが。
いつも私の周りにいる人たちは一葉の事が気に入らないようだった。
「あの子、変だよね。ずっと本読んでて真面目すぎ。服装もさ。」
「二葉ちゃんとは全然違うよね。名前も顔も似てるのに。」
「そう?私はいい子だと思うなぁ。」
「二葉ちゃん優しい!でも友達になるのやめたほうがいいと思うよ。」
こいつらバカなのか?一葉の本質を見抜こうとしていない。一葉の事をわかろうとしていない。友達をやめろ、とは本気で言ってるのか?絶対お前らと友達をやめる方が有益に決まっている。
確かに私もスカートは短いしネクタイはだらしない。ピアスだってつけているし、髪も染めている。ただ、こいつらとは同類にしてほしくない。
まあ、有益な者とだけ付き合おうとしているところは同じだけれども。
今日は一葉に声をかけ、一緒にお昼を食べよう。
「一葉!一緒にお昼食べない?」
「ありがとう。今まで1人だったからすごく嬉しい。」
私たちは私たちの事をたくさん話した。
私の母親は女優で城山野菊だという事。あまり今までの友達と仲良くない事。二葉と言う名前は父がつけてくれたという事。父親はあまり家に帰ってこなくなってしまったという事。
一葉の母親は亡くなってしまったという事。おとなしく友達ができない事。一葉と言う名前は父がつけてくれたという事。父親は離婚していないという事。
私は今まで自分が不幸だと思っていた。いくら親が女優でも、同世代と同じ様なお母さんの手料理を食べて、仲良く会話して、なんてことはほぼないのだ。よっぽどバカみたいに私についてきている奴らの方が幸せだと思っていた。
それなのに、一葉には母親すらもういないのだ。彼女は一人で生きてきたのだ。家族がいないなんて考えられない。それに一葉は耐えてきたのだ。
私は一葉を助けたくなった。
いや一緒に生きたいと思った。
雨はまだやんでいなかった。
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