88 / 89
ロング帝国 ルーク
31話
しおりを挟む「んんー、なんか眠くなってきた……」
プリンを食べ終えたハルは、伸びをしてからまた机に突っ伏した。
〔ハル、寝るのは良いんだけど、明日シキ振る時に使うのにホルダー作っとく?〕
「あっ!忘れてた……。お願いしていい?」
〔もちろん。刀用のホルダーだけ貸して。やっとくから寝る準備してな。あとで確認してもらうから。〕
「はーい。」
ハルは、突っ伏していた体勢から起き出し、腰に付けているホルダーを外した。
「刀はー?」
〔シキと一緒にそこ置いといて。入れた時に当たらないかとか確認したいから。〕
「わかったー」
刀とシキもホルダーの近くに置いた。
寝る時用にと神域に居る時に作ってくれた服に着替えたハルは、脱いだ服を綺麗に畳んで服だけにクリーンを掛けた。
「よし」
寝る準備を終わらせたハルは、ベッドに座ってアキの作業を見ていた。
アキは、ホルダーを見ながら考えていた。
(うーん、刀を通す輪っかの下にもう1つ輪っかを付けると重くなりそうだよな……。輪っかの横に輪っかを付けるか?でも、ハルの重心がズレるか……?両側に輪っかを付けて……、いや、銃のホルダーも脇に付けてるんだから両側はやっぱり邪魔か…………、うーん……。やっぱり輪っかの横に輪っかを付けるか。)
アキは、インベントリからブラックベアーの皮とシルバースパイダーの糸を出して縫い付けていった。
〔うーん……〕
「アキちゃん?」
〔あ、ハル、とりあえず付けてみたから付けて少し動いてみて。動きずらそうだったら言って。調整するから。〕
「わかった」
ハルは、ベッドから降りてズボンだけ履き替えてホルダーを腰に巻いてみた。
「うーん、」
〔どうした?〕
「あ、いや」
〔言って。修正するから。〕
「うん。少し動きずらいかも。」
〔そっか〕
「あと、」
〔ん?〕
「右側にホルダー付けてたんだけど、左側に付けて右手で抜く方が抜きやすいかも……?」
〔あー、ハル右利きだもんね。ずっと使いずらかった?〕
「ううん、そんな事ないんだけど、」
〔そっか…………、背負うんだとリュックが邪魔になるもんね……。どうしようかな……〕
「ん?左側に付けるんじゃダメなの?」
〔あ、いや別に良いんだけど、左脇に銃入れてるでしょ。どっちも左側じゃ邪魔じゃない?〕
「あー、…………あ、じゃあ、銃を腰の後ろ側に持ってきて刀を左側に持ってくるのはどう?」
〔あー、それなら良いかも。銃のホルダーも貸して。直す。〕
「はい。お願いします。」
〔うん〕
方向性が決まったからなのかそれからアキは、無言で調整などをして直した。
〔ふぅ、ハルお待たせ。付けてみて。〕
「うん。」
ハルは結局森の中を歩いてた時に着ていた黒い服に着替えた。
〔なんでその服なの?〕
「え、冒険者として森に行く時はこの格好かなって思って。ならこれを着た状態で付けて動いた方が分かるかと思って。」
〔なるほど〕
ハルが机の近くに立った為、机に新しく作ったベルトと修正したホルダーを置いた。
「これ?」
〔うん。〕
「どう付けるの?」
〔そのズボンだと、腰の所に等間隔に輪っかが着いてるでしょ。〕
アキに言われて良く確認すると、腰を囲うように7ヶ所に輪っかが付いていた。
「ん?……あ、ほんとだ。知らなかった。」
〔そこにこのベルトって言うんだけど、この長い皮を入れて。〕
「えっと、どっちから?」
〔ハル、時計の文字盤思い浮かべて。〕
「うん?うん。」
〔ハルのおへそが12時だとすると、1時の所から金具が無い方から入れて。〕
「うん、入れたよ。」
〔そしたら、2時と4時の位置の輪っかにもそのまま通して。〕
「うん、背中の方見えないけど入ってる?」
〔うん。大丈夫。ちゃんと入ってるよ。
そこまで入れてから銃のホルダー、ベルトに通せるように輪っか付けたから取ってがハルの手の方に向くように入れて。〕
「う、うーん……、で、出来ないー」
〔大丈夫。ちゃんと入ったよ。〕
「え、ほんと?」
〔うん。触ってみな。落とさないようにね。〕
ハルは、通しているベルトの先を左手でしっかりと持ちながら右手で触ってみた。
「あ、ほんとだちゃんと入ってる。」
〔それなら取りやすいでしょ?〕
「うん。」
〔そしたら、6時の位置にベルトの先入れて。〕
「え、そうすると銃のホルダー取れなくなっちゃうよ。」
〔だから動いても大丈夫でしょ。外す時は、ベルトを抜けば一緒に取れるから〕
「んー…………、あ、なるほど、わかった。」
〔良かった。で、そのまま8時の位置を通してから、この刀用のホルダーを通して。〕
「うん。」
自分の視界に入ってきたからなのか、さっきよりスムーズに入れることが出来た。
〔で、10時と11時の位置の輪っかを通して最後に金具に輪っかと針みたいの付いてるでしょ。〕
「うん。」
〔まず、輪っかに通して〕
「うん。」
〔キツ過ぎず緩すぎないようにキュッてして。〕
「キュッ、こんな感じ?」
〔お腹苦しくない?〕
「うん。大丈夫。」
〔なら、皮に何個か穴を開けてあるからその穴に針みたいの通して〕
「ううーん、こう、かな……?」
〔うん。いい感じ。邪魔な部分は、輪っかに通しちゃっていいよ。〕
「うーん、しょっと。……出来た?」
〔うん。どお?刀とシキ挿して少し動いてみて〕
ワタワタしながらなんとかベルトを通した。
ホルダーに刀とシキを挿して軽く動いてみた。
「うん。結構動きやすい。明日、試してみて馴染むといい感じかも。」
〔ほっ、なら良かった……。じゃあ、二度手間になっちゃったけど、また寝る準備して。〕
「うん。アキちゃん、ワガママ聞いてくれてありがとう。」
〔いえいえ、こちらこそ何回も着替えさせちゃってごめんね。〕
「ううん。大丈夫。でも、明日一人で付けられなさそうだから手伝って?」
〔もちろん。〕
ハルはまた寝る準備をするとアキを抱っこしてベッドに入り、眠りについた。
「アキちゃん、おやすみ……」
〔おやすみ。〕
0
お気に入りに追加
259
あなたにおすすめの小説
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話
菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。
そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。
超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。
極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。
生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!?
これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
転移ですか!? どうせなら、便利に楽させて! ~役立ち少女の異世界ライフ~
ままるり
ファンタジー
女子高生、美咲瑠璃(みさきるり)は、気がつくと泉の前にたたずんでいた。
あれ? 朝学校に行こうって玄関を出たはずなのに……。
現れた女神は言う。
「あなたは、異世界に飛んできました」
……え? 帰してください。私、勇者とか聖女とか興味ないですから……。
帰還の方法がないことを知り、女神に願う。
……分かりました。私はこの世界で生きていきます。
でも、戦いたくないからチカラとかいらない。
『どうせなら便利に楽させて!』
実はチートな自称普通の少女が、周りを幸せに、いや、巻き込みながら成長していく冒険ストーリー。
便利に生きるためなら自重しない。
令嬢の想いも、王女のわがままも、剣と魔法と、現代知識で無自覚に解決!!
「あなたのお役に立てましたか?」
「そうですわね。……でも、あなたやり過ぎですわ……」
※R15は保険です。
※小説家になろう様、カクヨム様でも連載しております。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる