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道中

3話

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ハルとアキが眠りに着いた真夜中。

「おいおい、あんな所に美味そうな獲物が居るぞ。」
「あぁ、あのガキ、ヤバい性癖のヤロー共に売っちまえばそれなりの金額になりそうだな。」
「あぁ…、こんな所で寝てなければ、クズ親父共にヤられないで済んだのになー。」
「な、てか、なんでこんな所に寝てんだ?」
「さー?親にでも捨てられて町に向かってる最中だったりしてな。」
「あははっ、それ、有り得るわ!」
「だろ!じゃあ、おねんねしてる間に、いただきますか。」
「おう!」

ハル達が寝ている場所から、300m程離れた場所から舌なめずりをしながらハル達を見ている男が2人。

「ひひひ、」
「うへへへ、」

コンッ

「あ?なんだ?」
「どうしたっ!」
「いや、この先に進めねーんだよ。」
「は?」
「ほら、お前も来てみろよ!」

ザザッ

コンッ

「ホントだ。なんでだ!」
「知らねーよ!」

男達は、ハルが寝ている木から50m程離れた場所で急に前に進めなくなった。

ザザッ
ガッ
ドゴッ

「おい、そんな音出すなよ!」
「じゃあ、どうしろってんだ!」
「そんなの、俺に聞くな!」

進めなくなった場所で2人の男は喧嘩をし始めた。

「んんっ…、」
「しっ、」
「なんだよ!」
「バカッ!あのガキ起きそうだぞ!」
「っ、」


「………。」


「「ハァー……。」」
「少し離れて、作戦立てるぞ。」
「あぁ、」

2人はハルを見つけた300m手前まで戻ってきた。

「で、どうする?」
「多分だが、あの見えない壁みたいのは、結界だな。」
「は?あのガキがそんな事出来るのか!?」
「いや、ガキの側に結界石があった。それだろう。」
「マジか!?」
「あぁ、多分な。」
「じゃあ、どうするんだ。」
「多分だが、木の後ろ側は、結界が薄いはずだ。そこを狙う。」
「ホントだな?」
「結界石は、50m四方を囲めるが、綻びがある場所があるんだ。そこを探して狙う。木の後ろ側が怪しい。」
「なるほど。それで行こう。」
「あぁ、なるべく静かにな。さっき起きそうだったから、眠りが浅いのかも。」
「ちっ、めんどくせぇな。」
「金の為だ。」
「わーってるよ!」

それから2人は、50m手前の結界が張ってある所まで戻ってきた。

「よし、この結界を触りながら裏側に回るぞ。」
「あぁ。逆方向に向かって、綻びが他にあるか探すか?」
「そうだな、それが良いだろう。じゃあ、別れるぞ。慎重にな。」
「あぁ、こいつは金だ。」
「そうだ。行くぞ。」
「おう。」

2人は、別れて結界を触りながら裏側に回った。

「………」
「………」

無言で慎重に結界を触りながら裏側まで来た。

「ちっ、他には綻び無かったな。」
「あぁ。だが、ココが弱いな。」
「あぁ。ちょっと何かはめればひと1人分は開くよな。」
「あぁ、やっぱり、裏側が弱かったな。」
「よし、何か差し込めそうなもの持ってるか。」
「ナイフで良いか?」
「あぁ、貸してくれ。」
「ほらよ。」
「サンキュ。」

木の後ろ側にあった結界の綻びにナイフを差して隙間を作った。

「よし、入れ。」
「おう。」

1人が中に入り、そのあとナイフをそいつが持ち、外に居たもう1人が中に入って来た。

「ふぅ、行くぞ」
「あぁ。」

2人は、使ったナイフをそのまま手に持ち、もう1人が鞄から出した麻袋を手にし、ハルに近づいて行った。

「はぁ、はぁ、」
「ひひ、はは、」

あと一歩でハルに手が届く時、

「はぁ、はぁ、」

サッ

「あぎっ」
「おい、変な声出してんな!」

1人が変な声を出し、もう1人が小声で怒った。

「ガキ、起きてねぇよな?」
「起きてますけど。」
「「っ!」」

ガッ!
ザザッ!
サッ
ザシュッ

「ぎゃあああ!」
「ふぅ、」

ハルは、男の手が届く寸前で目を開け、刀で手を伸ばしてた男の腕を軽く切り付けた。
目を覚ましてると教えてあげ、勢い任せに麻袋を被せてこようとしたもう1人の男も刀で腕を切り付けた。

「て、てめぇ、いつから、気付いてっ……!」
「『美味そうな獲物が居るぞ。』からですかね。」
「っ、さ、最初から気付いてっ!」
「えぇ、こちらから行くのは面倒臭いので来るのを待っていたんです。」
「ま、まさか、」
「ちなみに、結界の綻び作ったのぼくですから。」
「はっ!?結界石じゃないのかよ!?」
「えぇ、この石は、ただの飾りです。」
「かざり…。」
「えぇ、まんまと結界石だと勘違いしていただけて光栄です。」

ハルは、満面の笑みを男達に向けてネタばらしをした。
笑顔で、鞄から出した縄を使い、2人を締め上げた。

「っ、」
「っ、おい!痛てぇからもうちっと優しくしろや!」
「分かりました。では、選択肢をあげます。」
「選択肢…?」
「えぇ。朝になってから町に行こうと思うんですが、一緒に町に行って、門番さんに捕まえてもらうか。」
「てめぇ、ふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞ!さっさとこの縄外せや!」
「もう1つは、貴方達が先程仰ってた、『ヤバい性癖のヤロー共』に売るのと、どちらが良いですか?」
「どっちも嫌に決まってんだろ!」
「そうですか。分かりました。」
「っ、逃がしてくれんのか!?」
「にゃー」
「ん?アキちゃん?どうしたの?」
「「「ギャギャギャ」」」
「っ、ゴブリンっ!」
「アキちゃん、そのゴブリン、どうしたの?」
「なーう」
「んー?」
「なうなうフシャー!」
「うーん…、あ、分かった、このゴブリン使って、この人達の事、お仕置きしよって事かな?」
「にゃー!」
「そっか、そっか、分かった。じゃあ、そうしようねー。」
「は?てめぇ、何言ってんだ、ああん!」
「あ、あの、お、俺は、門番に引き渡されてもいいから、や、やめて、くれっ…。」
「いえ、お2人は仲間みたいなので、同じお仕置きと罰を与えます。」

そう言い、ハルは縄で縛った2人をハル達が寝てたのとは違う木の近くに置いて、縄を外して、3m四方に結界を張った。
そのあと、アキが連れて来たゴブリン3体をその周りに連れて行き、その周りにも5m四方で結界を張った。

「おい、やめてくれ!」
「お、お願い、しますっ、」
「さて、アキちゃん。」
「にゃぅ?」
「今から好きな回数鳴いて?」
「?」

ハルは、アキに鳴いてと頼んだがアキはイマイチ意味が分からず首を傾げた。

「ふふっ、可愛い。にゃーって鳴いてごらん。」
「にゃー。にゃー。にゃー。」
「そうそう。もう少し鳴いても良いよ?」
「にゃー。にゃー。」
「もういいの?」
「にゃぅ。」
「そっか、じゃあ、今アキちゃんは、6回鳴いたから、」
「ちょ、待て!何をするか知らねーが、その猫が鳴いたのは5回だろ!」
「いえ、最後に『にゃぅ』と鳴いたので6回です。」
「それは、ただの返事だろ!」
「えぇ、ですが、決めるのはぼくなので、6回です。」

ハルは、そう言い、アキの方を見ていたが結界を張った男達の方に向き直り、結界に手をかざした。

「な、なにを、」
「今から、貴方達を守っている結界に穴を空けます。」
「「っ、」」
「でも、安心してください。ゴブリンの手が入る程の小さな穴にしますから。」
「や、やめてっ、」
「では、さっきアキちゃんが鳴いた数の6ヶ所に穴を空けさせていただきます。」

そう言ったハルは、男達とゴブリンの間にある結界にランダムで穴を空けた。

「ギャギャッ!」

穴が空いたことにより、ゴブリンの声が男達に聞こえるようになった。
そのため、ゴブリンにも男達の声と、ハルに切られて出来た傷から流れている血の臭いを感じるようになった。

「「「ギャギャギャッ!!」」」
「「ひぃぃーー!」」
「た、たすけてくれー!」
「さて、アキちゃん、寝よっか。」
「にゃー。」
「待ってくれ!」

ハルは、アキを抱っこして、先程寝ていた場所に戻り、しっかり結界を張り、防音も掛けた。

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