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序章.王都の学園に入学する事になった私は…
4.事情を理解するまで聞きました。
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「(タタタッ)あの、すみません!!」
「…ん?どうした?」
歩いて行く男に追いつき、話しかける。
「さっき、試験の貼り出しって10時って……」
「そうだ。採点やら諸々ある。終わるまで待ってろ。」
「いえ、あの……入学式も、朝の10時って……」
「……あぁ、なるほどな。」
男は、何かを納得した様子だ。
「いいか?よく聞け。入学式は確かに朝10時だ。だが、明日の朝10時だ。」
「えっ?明日!?」
「早とちったか?流石に入試の直後に入学式ってのは、気が早いぞ?」
「………」
なるほど、そういうことか。
これでやっと辻褄が合ったな。
つまり、到着が早すぎたんだ。
あの時の馬車は入学式の当日に着くように手配されてたから、本来なら明日の朝に到着してた筈だ。
だが、1日早くついてしまった為、偶然行われていた補欠枠の入試に間違えてエントリーしてしまったという訳か。
他の人達が見せてた書類も、『紹介状』ではなく『エントリーシート』みたいなものだったんだろう。内容もよく見てなかったしな。
入試………ってよりは、定員割れしたから追加募集したのかもしれないな。だから、難易度が低めにセットされてたんだろう。
「どうした?何か不服か?」
「あっ…いや……その…早とちってました。すみません。」
……………いや、違うな。薄々そんな気はしていた。認めたくなかっただけだ。
入学式の日を間違えるなんてベタベタなミスをしでかした挙句、入学試験を受け直すなんて………とんだポンコツだ。
笑われる。この事を知られたら、確実に入学して早々に笑いものにされる。
何だったら、領主様や公爵様の株も落としかねない。
どこの世界でも都会の連中は、常に揚げ足を狙ってるからな。
……ちょっと、偏見が強いかな?
「ボケッとした奴だな。くれぐれも明日の入学式には遅れて来るなよ?つってもまぁ、今日の試験を合格してたらの話だがな。」
「……はい、気を付けます。」
取り敢えず、ここは速やかに帰ろう。
そして、紹介状を持って何食わぬ顔で明日来れば良い。
「あぁそれと、もし合格したなら入学式は絶対見に来た方が良いと思うぞ?何しろ、明日は王都外からものすごい奴が来るらしいからな。」
「そうなんですか?」
「あぁ、その為に教師どもは出迎えの準備で大忙しだ。こうして俺まで駆り出されるくらいだからな。」
なるほど。今日の人員は間に合わせってことか。
道理でやる気が感じられないわけだ。
それにしたって、教師達がわざわざ出迎えとか、ちょっと大袈裟じゃないかな?
「手厚い歓迎ですね。」
「まー当然だよな。バンデンクラット公爵直々の推薦なんだから。」
ん?
「しかも、そいつは推薦入試で満点を取った所謂満点合格者なんだよ。」
「……満点?」
「まぁ、信じられんのも無理はない。ただでさえ推薦入試はべらぼうに難易度が高い。お前らがさっき受けた試験とは比較にならないくらいにな。だが、そいつで満点を取ったんだよ。」
「……そうなんですか。」
「実際、あのバンデンクラット公爵がその実力を認めてわざわざ紹介状を託して送り出したくらいだからな。」
「………」
間違いなく、私のことだな。
まさか、そんな話になっていたなんて……待てよ?さっき試験を受ける時…名前を……
まずい。身バレ待った無しだ。
「…ん?どうした?」
歩いて行く男に追いつき、話しかける。
「さっき、試験の貼り出しって10時って……」
「そうだ。採点やら諸々ある。終わるまで待ってろ。」
「いえ、あの……入学式も、朝の10時って……」
「……あぁ、なるほどな。」
男は、何かを納得した様子だ。
「いいか?よく聞け。入学式は確かに朝10時だ。だが、明日の朝10時だ。」
「えっ?明日!?」
「早とちったか?流石に入試の直後に入学式ってのは、気が早いぞ?」
「………」
なるほど、そういうことか。
これでやっと辻褄が合ったな。
つまり、到着が早すぎたんだ。
あの時の馬車は入学式の当日に着くように手配されてたから、本来なら明日の朝に到着してた筈だ。
だが、1日早くついてしまった為、偶然行われていた補欠枠の入試に間違えてエントリーしてしまったという訳か。
他の人達が見せてた書類も、『紹介状』ではなく『エントリーシート』みたいなものだったんだろう。内容もよく見てなかったしな。
入試………ってよりは、定員割れしたから追加募集したのかもしれないな。だから、難易度が低めにセットされてたんだろう。
「どうした?何か不服か?」
「あっ…いや……その…早とちってました。すみません。」
……………いや、違うな。薄々そんな気はしていた。認めたくなかっただけだ。
入学式の日を間違えるなんてベタベタなミスをしでかした挙句、入学試験を受け直すなんて………とんだポンコツだ。
笑われる。この事を知られたら、確実に入学して早々に笑いものにされる。
何だったら、領主様や公爵様の株も落としかねない。
どこの世界でも都会の連中は、常に揚げ足を狙ってるからな。
……ちょっと、偏見が強いかな?
「ボケッとした奴だな。くれぐれも明日の入学式には遅れて来るなよ?つってもまぁ、今日の試験を合格してたらの話だがな。」
「……はい、気を付けます。」
取り敢えず、ここは速やかに帰ろう。
そして、紹介状を持って何食わぬ顔で明日来れば良い。
「あぁそれと、もし合格したなら入学式は絶対見に来た方が良いと思うぞ?何しろ、明日は王都外からものすごい奴が来るらしいからな。」
「そうなんですか?」
「あぁ、その為に教師どもは出迎えの準備で大忙しだ。こうして俺まで駆り出されるくらいだからな。」
なるほど。今日の人員は間に合わせってことか。
道理でやる気が感じられないわけだ。
それにしたって、教師達がわざわざ出迎えとか、ちょっと大袈裟じゃないかな?
「手厚い歓迎ですね。」
「まー当然だよな。バンデンクラット公爵直々の推薦なんだから。」
ん?
「しかも、そいつは推薦入試で満点を取った所謂満点合格者なんだよ。」
「……満点?」
「まぁ、信じられんのも無理はない。ただでさえ推薦入試はべらぼうに難易度が高い。お前らがさっき受けた試験とは比較にならないくらいにな。だが、そいつで満点を取ったんだよ。」
「……そうなんですか。」
「実際、あのバンデンクラット公爵がその実力を認めてわざわざ紹介状を託して送り出したくらいだからな。」
「………」
間違いなく、私のことだな。
まさか、そんな話になっていたなんて……待てよ?さっき試験を受ける時…名前を……
まずい。身バレ待った無しだ。
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