5 / 31
第4章
しおりを挟む
早朝から剣吾は友達を呼びに行く。
その道中で大男と村の市場で遭遇する。彼も、こちらの存在には気付いている。剣吾は、副将軍の元に近づく事にしたのである。
「副将軍、ちょっと話があります」
「話とは、一体何でございましょう?」
「近頃、少年剣術大会が王宮で開かれます。そこに出場をして、何処かの軍に加入出来るようになれるんです。部下が居てる人は連れて来ても良いという事になってるので、忍者の首領が同行してくれます。副将軍も、一緒にどうですか?」
「首領は若様の部下になったのですか?」
「そうですけど、そんなに慌ててどうしました?」
「首領が部下になったのなら、俺も若様の部下にお願いします」
「うん!大歓迎ですよ」
こうして、大男も剣吾の部下になる。
頭脳派の賢太郎の家に着き、使用人に呼んで欲しいとお願いをした。召し使えは、朝早くからやって来た彼らを見て驚く。
「賢太郎様を呼んで参ります」
数分後に寝間着姿で、賢太郎がやって来る。見た目は、使用人に起こされて起きた。という感じに見える。
玄関までやって来た賢太郎は、剣吾の後ろに立っている大男を見て、腰が抜けてしまう。
「おっ、お前..........。誰だ、その大男は?」
「誰って、俺の部下だぜ!」
「マジか!お前は良いよな。大男や首領が部下で」
賢太郎は言いながら、起き上がる。
彼は稽古の準備をするため、一旦部屋に戻る。前日に支度を終わらせる賢太郎は、すぐに部屋から出てきたのである。
次々と友達を呼び、その度に大男の存在に驚く。羨ましがる賢太郎と韓栄、黄山の3人。
賢太郎は頭が賢く、韓栄は槍の名手を目指し、黄山は弓の名手を目指している。
首領のアジトに着いた彼らは、稽古場に入る。忍者達は、副将軍の到来に驚く。
「副将軍、お前も若様の部下になったのか?」
「あぁ!首領が部下になったと聞いてな!」
「そうか、共に若様を支えようではないか」
「もちろん、そのつもりだ!」
剣吾と賢太郎は木刀を持ち、韓栄は長い木槍を持ち、黄山は弓を持って各自それぞれ各場所に着く。
それぞれの武器を扱える者が子供達を指導する。しかし、最初から甘くなかった。約1時間で疲れて果てており、唯一剣吾だけが必死に稽古していた。
「本当に剣吾は凄いよな」
「本当だよな。俺達は1時間が限界だわ!」
「弓も放つだけだと思っていたけど疲れる」
賢太郎、黄山、韓栄の3人が話している。
指導する達人達は、それぞれ休憩してる子供3人に怒鳴り、稽古を始める。決められた時間に休憩する事は出来るが、剣吾だけ稽古を続けている。
「くそっ........もう一回だ」
「そろそろ休憩したらどうだ?」
「休憩はしない。俺は強くなって、父上の仇討ちを成して国王となり、この日の本を平和にする。そのためには休憩などしてる暇などない」
剣吾は力強く言うと、指導官に攻撃を仕掛ける。だが力の差は大きく、なかなか攻撃を当てる事は出来ない。それが剣吾は悔しくて、たまらなかった。せめて、1回だけでもと思っている。今回も指導官に負けてしまう。
「はぁ、はぁ、はぁ。何故1度も攻撃を当てる事が出来ないのだ」
剣吾は、ずっと悔しがっている。
そこへ、賢太郎達がやって来た。各自が使っている武器を持ちながら。少し休憩しよう。と声を掛けると、友達3人は怒られた。
「そこまで怒らなくても良いだろ?」
「お前達の実力で剣術大会で勝ち進めるのか?」
「強者がやって来ると聞いた。俺達は、まだ10歳だぞ?勝てる訳がないだろ」
「それを稽古して強くなるんだ」
「稽古って言っても辛いじゃないか。この歳は、まだ遊んでも良い年頃だ」
子供同士の喧嘩には、指導官は入らなかった。
殴り合いが始まれば止めに入る。しか思っていない。口喧嘩は次第にエスカレートしていき、殴り合いが始まっても、おかしくない状況であった。
その場の雰囲気は、辺りの空気が重みを持っていて、四方から圧し締まってくるような息苦しさがある。
そこへ、忍者が伝令としてやって来る。
「申し上げます。剣術大会を調べましたところ、出場できる年齢は12歳から16歳とのこと」
「って事は、若様は出れないという事か」
「左様にございます」
「俺は大会に出て優勝する。年齢は12歳になったばかりという事にしよう」
「ですが、若様。知られれば大事になります」
「知られなかったら良いんじゃないか」
剣吾の強い意思を、その後も強く感じられ止めるのを辞めた首領と大男の2人。しかし、賢太郎と黄山、韓栄の3人は話を聞いて、すぐに辞めると言う。
剣吾は、指導官が相手してくれるのを待っている。10分以上も休憩をしてしまった彼は、木刀を振り続ける。
「剣吾は父上の仇討ちの為とは言え、あそこまで必死に稽古をするのだ?」
「俺にも分からん。賢太郎は何か分かるか?」
「戦場に出れば、体力勝負になる。だから、今の内から体力を付けているんじゃないかな」
「その通りだ。戦場に出れば、体力がなくなれば敵に殺されてしまう」
それを聞いた賢太郎達は、稽古をやり始める。彼らも1人の武将となり、剣吾を支え戦場で勝ち続けたいと願っているからであった。指導官に最初よりも必死に打ち込み、大会も出ると言い出す。気持ちが一瞬にして変わったのである。こんなにも早く気持ちを切り替える事が出来たのかは、指導官や首領、大男は知らなかった。
その後も、大会当日まで夜遅くまで稽古をしたり、泊まり込みで稽古したりと、子供達は頑張っていた。
大会当日となり、強者ばかりの少年が数多く王宮に親と共に入って行く。剣吾も友達と一緒に王宮近くへと近づき、護衛として首領と大男を連れて入ろうする。
「ふっ、副将軍様」
「どうしたのだ。そんなに驚いて」
「いや、久しぶりにお見掛けしましたので」
「ハハハ、なるほどな!今日は亡くなった将軍様の子供が出場する故、若様の護衛として参った」
門番は驚き、剣吾に向かって一礼をする。
皇鳳国の副将軍や民、下級兵士から若の父上であられた将軍は皆から慕われていたのである。この国に住む人々で彼を知らない人は、誰も居ないほど有名である。
門を通り王宮へと入った剣吾達は、王宮の広さを見て驚愕していた。
「今回の大会で出場される方ですか?」
「この子供4人が出場される」
「では大会が開かれる場所までご案内させて戴きますので、俺の後に付いて来て下さい」
剣吾達は、案内してくれる兵士に付いて行く。
その道中で大男と村の市場で遭遇する。彼も、こちらの存在には気付いている。剣吾は、副将軍の元に近づく事にしたのである。
「副将軍、ちょっと話があります」
「話とは、一体何でございましょう?」
「近頃、少年剣術大会が王宮で開かれます。そこに出場をして、何処かの軍に加入出来るようになれるんです。部下が居てる人は連れて来ても良いという事になってるので、忍者の首領が同行してくれます。副将軍も、一緒にどうですか?」
「首領は若様の部下になったのですか?」
「そうですけど、そんなに慌ててどうしました?」
「首領が部下になったのなら、俺も若様の部下にお願いします」
「うん!大歓迎ですよ」
こうして、大男も剣吾の部下になる。
頭脳派の賢太郎の家に着き、使用人に呼んで欲しいとお願いをした。召し使えは、朝早くからやって来た彼らを見て驚く。
「賢太郎様を呼んで参ります」
数分後に寝間着姿で、賢太郎がやって来る。見た目は、使用人に起こされて起きた。という感じに見える。
玄関までやって来た賢太郎は、剣吾の後ろに立っている大男を見て、腰が抜けてしまう。
「おっ、お前..........。誰だ、その大男は?」
「誰って、俺の部下だぜ!」
「マジか!お前は良いよな。大男や首領が部下で」
賢太郎は言いながら、起き上がる。
彼は稽古の準備をするため、一旦部屋に戻る。前日に支度を終わらせる賢太郎は、すぐに部屋から出てきたのである。
次々と友達を呼び、その度に大男の存在に驚く。羨ましがる賢太郎と韓栄、黄山の3人。
賢太郎は頭が賢く、韓栄は槍の名手を目指し、黄山は弓の名手を目指している。
首領のアジトに着いた彼らは、稽古場に入る。忍者達は、副将軍の到来に驚く。
「副将軍、お前も若様の部下になったのか?」
「あぁ!首領が部下になったと聞いてな!」
「そうか、共に若様を支えようではないか」
「もちろん、そのつもりだ!」
剣吾と賢太郎は木刀を持ち、韓栄は長い木槍を持ち、黄山は弓を持って各自それぞれ各場所に着く。
それぞれの武器を扱える者が子供達を指導する。しかし、最初から甘くなかった。約1時間で疲れて果てており、唯一剣吾だけが必死に稽古していた。
「本当に剣吾は凄いよな」
「本当だよな。俺達は1時間が限界だわ!」
「弓も放つだけだと思っていたけど疲れる」
賢太郎、黄山、韓栄の3人が話している。
指導する達人達は、それぞれ休憩してる子供3人に怒鳴り、稽古を始める。決められた時間に休憩する事は出来るが、剣吾だけ稽古を続けている。
「くそっ........もう一回だ」
「そろそろ休憩したらどうだ?」
「休憩はしない。俺は強くなって、父上の仇討ちを成して国王となり、この日の本を平和にする。そのためには休憩などしてる暇などない」
剣吾は力強く言うと、指導官に攻撃を仕掛ける。だが力の差は大きく、なかなか攻撃を当てる事は出来ない。それが剣吾は悔しくて、たまらなかった。せめて、1回だけでもと思っている。今回も指導官に負けてしまう。
「はぁ、はぁ、はぁ。何故1度も攻撃を当てる事が出来ないのだ」
剣吾は、ずっと悔しがっている。
そこへ、賢太郎達がやって来た。各自が使っている武器を持ちながら。少し休憩しよう。と声を掛けると、友達3人は怒られた。
「そこまで怒らなくても良いだろ?」
「お前達の実力で剣術大会で勝ち進めるのか?」
「強者がやって来ると聞いた。俺達は、まだ10歳だぞ?勝てる訳がないだろ」
「それを稽古して強くなるんだ」
「稽古って言っても辛いじゃないか。この歳は、まだ遊んでも良い年頃だ」
子供同士の喧嘩には、指導官は入らなかった。
殴り合いが始まれば止めに入る。しか思っていない。口喧嘩は次第にエスカレートしていき、殴り合いが始まっても、おかしくない状況であった。
その場の雰囲気は、辺りの空気が重みを持っていて、四方から圧し締まってくるような息苦しさがある。
そこへ、忍者が伝令としてやって来る。
「申し上げます。剣術大会を調べましたところ、出場できる年齢は12歳から16歳とのこと」
「って事は、若様は出れないという事か」
「左様にございます」
「俺は大会に出て優勝する。年齢は12歳になったばかりという事にしよう」
「ですが、若様。知られれば大事になります」
「知られなかったら良いんじゃないか」
剣吾の強い意思を、その後も強く感じられ止めるのを辞めた首領と大男の2人。しかし、賢太郎と黄山、韓栄の3人は話を聞いて、すぐに辞めると言う。
剣吾は、指導官が相手してくれるのを待っている。10分以上も休憩をしてしまった彼は、木刀を振り続ける。
「剣吾は父上の仇討ちの為とは言え、あそこまで必死に稽古をするのだ?」
「俺にも分からん。賢太郎は何か分かるか?」
「戦場に出れば、体力勝負になる。だから、今の内から体力を付けているんじゃないかな」
「その通りだ。戦場に出れば、体力がなくなれば敵に殺されてしまう」
それを聞いた賢太郎達は、稽古をやり始める。彼らも1人の武将となり、剣吾を支え戦場で勝ち続けたいと願っているからであった。指導官に最初よりも必死に打ち込み、大会も出ると言い出す。気持ちが一瞬にして変わったのである。こんなにも早く気持ちを切り替える事が出来たのかは、指導官や首領、大男は知らなかった。
その後も、大会当日まで夜遅くまで稽古をしたり、泊まり込みで稽古したりと、子供達は頑張っていた。
大会当日となり、強者ばかりの少年が数多く王宮に親と共に入って行く。剣吾も友達と一緒に王宮近くへと近づき、護衛として首領と大男を連れて入ろうする。
「ふっ、副将軍様」
「どうしたのだ。そんなに驚いて」
「いや、久しぶりにお見掛けしましたので」
「ハハハ、なるほどな!今日は亡くなった将軍様の子供が出場する故、若様の護衛として参った」
門番は驚き、剣吾に向かって一礼をする。
皇鳳国の副将軍や民、下級兵士から若の父上であられた将軍は皆から慕われていたのである。この国に住む人々で彼を知らない人は、誰も居ないほど有名である。
門を通り王宮へと入った剣吾達は、王宮の広さを見て驚愕していた。
「今回の大会で出場される方ですか?」
「この子供4人が出場される」
「では大会が開かれる場所までご案内させて戴きますので、俺の後に付いて来て下さい」
剣吾達は、案内してくれる兵士に付いて行く。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
夕映え~武田勝頼の妻~
橘 ゆず
歴史・時代
天正十年(1582年)。
甲斐の国、天目山。
織田・徳川連合軍による甲州征伐によって新府を追われた武田勝頼は、起死回生をはかってわずかな家臣とともに岩殿城を目指していた。
そのかたわらには、五年前に相模の北条家から嫁いできた継室、十九歳の佐奈姫の姿があった。
武田勝頼公と、18歳年下の正室、北条夫人の最期の数日を描いたお話です。
コバルトの短編小説大賞「もう一歩」の作品です。
検非違使異聞 読星師
魔茶来
歴史・時代
京の「陰陽師の末裔」でありながら「検非違使」である主人公が、江戸時代を舞台にモフモフなネコ式神達と活躍する。
時代は江戸時代中期、六代将軍家宣の死後、後の将軍鍋松は朝廷から諱(イミナ)を与えられ七代将軍家継となり、さらに将軍家継の婚約者となったのは皇女である八十宮吉子内親王であった。
徳川幕府と朝廷が大きく接近した時期、今後の覇権を睨み朝廷から特殊任務を授けて裏検非違使佐官の読星師を江戸に差し向けた。
しかし、話は当初から思わぬ方向に進んで行く。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる