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第三章
掘り出し物
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「うーん、そろそろこれを店に出してもいいかな?」
サトは店の奥に置いてある鍵付きの鉄箱の中身を見ながら呟いた。
その中には三本の武器が入っていた。
《氷の大牙》
氷属性の戦闘斧。攻撃に氷雪による追加ダメージを加え、火属性のダメージ軽減効果をもつ。
相場400万ルーク。
《火炎狂蜂》
炎属性の刺突短剣。魔力を流すと剣先より高密度の炎を吹き出す。刺突した状態で使用すれば内部を炎が暴れ焼き尽くす。
相場 300万ルーク。
《暴風大蛇》
風属性の刺突短剣。魔力を流すと剣身に蜷局状に真空の刃を生み出す事ができ、刺突武器でありながら斬撃が可能となる。
相場 260万ルーク。
この三本はロンメル商店時代にサトが鑑定能力で仕入れた魔法武器で、独立の日にロンメルから押し切られる形で餞別にと渡された物である。
高額商品ばかりで商店の門出としては最高の品なのだが、サトとしては容易に出すわけにはいかなかった。
魔法武器はかなり希少な品であり、店頭に並べば即日完売するような物だ。
そんな貴重な魔法武器が3品も店頭にあれば、黙っていても店は目立ってしまう。
目立つこと自体避けたいところだが更に大きな問題があった。
今ある3本はどれもサトが大市で仕入れた物だが、どうやってそれらを見つける事が出来たのかと詮索されれば鑑定能力自体がバレかねない。
希少な鑑定能力がバレれば他店からの囲い込みはもちろん、王宮への召還命令まで出かねない。
独立したとはいえ、ロンメルに恩返しをしたいサトにとってはそれだけは避けねばならなかった。
そこでサトが考えたのが『たまに掘り出し物がある店』である。
ハンター達からの買取を中心とし、たまにはガラクタなんかも引き取る。
そして、その中からたまたま掘り出し物を見つけたという形を取る事にしたのだ。
ハンターからの仕入れであれば、どのハンターから仕入れたのかを特定するのは困難だからである。
なんせ『初めて来た人だからどこの誰かわからない』と言ってしまえばそれまでだからだ。
「最近は新規のハンターも来てくれるようになったし、そろそろいいだろう。とりあえず《氷の大牙》を並べてみるか」
サトは《掘出物》と書かれた板を掛けられた店の真ん中にある棚に《氷の大牙》を置いた。
「よし、とりあえずこれを出してみて後は客の反応を待とう。値段は……相場の400万より大目で500万だな。あんまり正確に価格を設定するのもマズいしね」
「あっ、ついにそれを置かれるんですね。サト様」
店の奥から絶世の美女が出てきて、サトに声をかけた。
サトは店の奥に置いてある鍵付きの鉄箱の中身を見ながら呟いた。
その中には三本の武器が入っていた。
《氷の大牙》
氷属性の戦闘斧。攻撃に氷雪による追加ダメージを加え、火属性のダメージ軽減効果をもつ。
相場400万ルーク。
《火炎狂蜂》
炎属性の刺突短剣。魔力を流すと剣先より高密度の炎を吹き出す。刺突した状態で使用すれば内部を炎が暴れ焼き尽くす。
相場 300万ルーク。
《暴風大蛇》
風属性の刺突短剣。魔力を流すと剣身に蜷局状に真空の刃を生み出す事ができ、刺突武器でありながら斬撃が可能となる。
相場 260万ルーク。
この三本はロンメル商店時代にサトが鑑定能力で仕入れた魔法武器で、独立の日にロンメルから押し切られる形で餞別にと渡された物である。
高額商品ばかりで商店の門出としては最高の品なのだが、サトとしては容易に出すわけにはいかなかった。
魔法武器はかなり希少な品であり、店頭に並べば即日完売するような物だ。
そんな貴重な魔法武器が3品も店頭にあれば、黙っていても店は目立ってしまう。
目立つこと自体避けたいところだが更に大きな問題があった。
今ある3本はどれもサトが大市で仕入れた物だが、どうやってそれらを見つける事が出来たのかと詮索されれば鑑定能力自体がバレかねない。
希少な鑑定能力がバレれば他店からの囲い込みはもちろん、王宮への召還命令まで出かねない。
独立したとはいえ、ロンメルに恩返しをしたいサトにとってはそれだけは避けねばならなかった。
そこでサトが考えたのが『たまに掘り出し物がある店』である。
ハンター達からの買取を中心とし、たまにはガラクタなんかも引き取る。
そして、その中からたまたま掘り出し物を見つけたという形を取る事にしたのだ。
ハンターからの仕入れであれば、どのハンターから仕入れたのかを特定するのは困難だからである。
なんせ『初めて来た人だからどこの誰かわからない』と言ってしまえばそれまでだからだ。
「最近は新規のハンターも来てくれるようになったし、そろそろいいだろう。とりあえず《氷の大牙》を並べてみるか」
サトは《掘出物》と書かれた板を掛けられた店の真ん中にある棚に《氷の大牙》を置いた。
「よし、とりあえずこれを出してみて後は客の反応を待とう。値段は……相場の400万より大目で500万だな。あんまり正確に価格を設定するのもマズいしね」
「あっ、ついにそれを置かれるんですね。サト様」
店の奥から絶世の美女が出てきて、サトに声をかけた。
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