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第二章
姦しいより姦しい
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「何? エレンの母親?」
夜の帳が下りた後、《歌う花嫁亭》には4人の女が卓を囲んでいた。
エレン、アメリア、クロエ、そしてミネルヴァのいつもの4人が酒と料理を楽しむ事もなく、話し合いをしていた。
「そうにゃ! めちゃくちゃヤバい女にゃ!」
「人の母親を危険人物みたいに言わないでくれる? まぁ、ある意味危険だけど……」
「しかし、エレンの母親であればいくら何でも障害にはなり得んだろ?」
「そうですね。仮にも母親が娘の想い人に色目を使うとは思えないんですけど……」
ミネルヴァとクロエは過剰に警戒するアメリアを宥めようとしていた。
アメリアはあの後、すぐに隣のクロエの店に行き、理由も話さずに閉店後に席を用意するように伝えた。
その足で屋敷に戻り、仕事をしていたミネルヴァを強引に連れ出したのだ。
アメリアの様子に何事かと緊張していた2人だったが、話を聞いて拍子抜けしたのである。
「確かにこれ以上障害なり、恋敵なりが現れれば困るが、だからと言って過敏過ぎだ」
「そうですよ。エレンさんもアメリアさんが安心するように言ってあげなかったんですか?」
クロエの言葉にエレンはビクッと肩を震わせた。
「い、いえ……母親なんですけど、その……ちょっと変わった母親でして……」
「ちょっとどころじゃないにゃ! めちゃくちゃ変わってるにゃ! っていうか異常にゃ! 異常事態にゃ!」
「落ち着け、アメリア。エレンも歯切れが悪いし、一体どういう母親なんだ?」
「こんな母親ですよぉ~」
自分の質問に答えた聞きなれない声が、背後から聞こえたミネルヴァは慌てて振り返った。
そこには見知らぬ美女が立っていた。
「こんばんわぁ~」
「お、お母さん!?」
「うにぁ!? 出たにゃあああああ!」
「ば、馬鹿な……ここまで接近されていたのに気づかなかっただと……」
「そんな……店は閉めて施錠もして、防犯の魔道具も設置してあるのに……」
ミネルヴァとクロエは信じられないものを見る目で目の前の美女を見る。
およそ女性の魅力といわれるものを全て兼ね備えたような美貌はミネルヴァとクロエの自尊心を軽く傷つけた。
「くっ……なんて女だ……こ、こんなの反則だろ……」
「正直、若さ以外で勝てるものが見当たりませんね……アメリアさんが警戒するのもわかります」
2人が唇を噛み締めるのを見たリサはニコッと笑うと、椅子を机に寄せてそこに座った。
そして机にあった酒を持ち、グイッと中身を煽ると……。
「うわぁああああああああん! 振られたぁあああああああ!」
突如として叫びながらながら大泣きしたのである。
4人はそれをポカンと口を開けて見守ることしか出来なかった。
夜の帳が下りた後、《歌う花嫁亭》には4人の女が卓を囲んでいた。
エレン、アメリア、クロエ、そしてミネルヴァのいつもの4人が酒と料理を楽しむ事もなく、話し合いをしていた。
「そうにゃ! めちゃくちゃヤバい女にゃ!」
「人の母親を危険人物みたいに言わないでくれる? まぁ、ある意味危険だけど……」
「しかし、エレンの母親であればいくら何でも障害にはなり得んだろ?」
「そうですね。仮にも母親が娘の想い人に色目を使うとは思えないんですけど……」
ミネルヴァとクロエは過剰に警戒するアメリアを宥めようとしていた。
アメリアはあの後、すぐに隣のクロエの店に行き、理由も話さずに閉店後に席を用意するように伝えた。
その足で屋敷に戻り、仕事をしていたミネルヴァを強引に連れ出したのだ。
アメリアの様子に何事かと緊張していた2人だったが、話を聞いて拍子抜けしたのである。
「確かにこれ以上障害なり、恋敵なりが現れれば困るが、だからと言って過敏過ぎだ」
「そうですよ。エレンさんもアメリアさんが安心するように言ってあげなかったんですか?」
クロエの言葉にエレンはビクッと肩を震わせた。
「い、いえ……母親なんですけど、その……ちょっと変わった母親でして……」
「ちょっとどころじゃないにゃ! めちゃくちゃ変わってるにゃ! っていうか異常にゃ! 異常事態にゃ!」
「落ち着け、アメリア。エレンも歯切れが悪いし、一体どういう母親なんだ?」
「こんな母親ですよぉ~」
自分の質問に答えた聞きなれない声が、背後から聞こえたミネルヴァは慌てて振り返った。
そこには見知らぬ美女が立っていた。
「こんばんわぁ~」
「お、お母さん!?」
「うにぁ!? 出たにゃあああああ!」
「ば、馬鹿な……ここまで接近されていたのに気づかなかっただと……」
「そんな……店は閉めて施錠もして、防犯の魔道具も設置してあるのに……」
ミネルヴァとクロエは信じられないものを見る目で目の前の美女を見る。
およそ女性の魅力といわれるものを全て兼ね備えたような美貌はミネルヴァとクロエの自尊心を軽く傷つけた。
「くっ……なんて女だ……こ、こんなの反則だろ……」
「正直、若さ以外で勝てるものが見当たりませんね……アメリアさんが警戒するのもわかります」
2人が唇を噛み締めるのを見たリサはニコッと笑うと、椅子を机に寄せてそこに座った。
そして机にあった酒を持ち、グイッと中身を煽ると……。
「うわぁああああああああん! 振られたぁあああああああ!」
突如として叫びながらながら大泣きしたのである。
4人はそれをポカンと口を開けて見守ることしか出来なかった。
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