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二章 ウィダー王国編
国境の砦
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翌朝、俺とリューネはドーナさんに別れを告げて、手配しておいた馬車で国境の砦へと向かった。砦までは約一時間、その間にウィダー王国に入ってからの予定を立てようと思ったんだけど、リューネの様子が明らかにおかしい。
「悪い。予定は全て私の用事を済ませてからだ」
と、素っ気なく言われてしまった。昨日までとまるで違う雰囲気で、心不在焉、心ここに在らずといった感じだ。怒ってるって訳でもなさそうだし、どうしたんだろ。結局、まともな会話もできないまま馬車は国境の砦に着いてしまった。
「止まれ! 中の者は速やかに降車せよ!」
砦の女兵士の声と共に馬車が止まる。どうやらこの世界にも入国審査はあるらしい。
「お前達は冒険者か? 冒険者プレートを見せろ」
馬車から降りた俺に、女兵士は横柄な態度でプレートの提示を求めてきた。なるほど、冒険者プレートが身分証の代わりってわけだ。でも、そんな眼で見ないでほしいな。明らかに俺の下腹部辺りを見ている。女性は男性が胸を見ているのがわかるって言うけど、何となくその気持ちがわかった気がする。
「鉄級冒険者セイゴ。お前は確認する事があるからここで待っていろ。次! お前は銀級冒険者の……リュ、リューネ!? も、もしやあの御方の……し、失礼しました! 入国を許可します! お連れの方もどうぞ!」
「え?……な、なんだ?」
急に態度が変わったぞ? しかも全員直立不動で右腕を胸に当てている。これがこの国の敬礼なのか? 何がどうなってるんだ?
「セイゴ。馬車はデロリンの物だから、此処からは徒歩になる。行くぞ」
「えっ? あ、ああ……」
馬車から荷物を下ろして足早に先を歩き始めるリューネ。俺も慌てて後を追う。怪しい。さっきの兵士達の様子といい、リューネの様子といい、何か隠している事があると見た。
陰謀詭計。
何かよからぬ事を企んでいるのか? いや、まだ付き合いは浅いけどリューネはそんな人間じゃない。これでも営業で色んな人を見てきたから、人を見る目にはそれなりに自信がある。その目が言っている。リューネは信用できると。だから今は黙ってついて行こう。その内、話してくれるさ。それから黙々と歩き続け、街が見えて来た頃になって、ようやくリューネが閉ざしていた重たい口を開いた。
「何故、何も聞かないんだ?」
「何が?」
「とぼけるな! さっきの事だ! 砦の兵士達の態度の変わりよう、気にならないはずが無いだろ!」
俺に言葉をぶつけてくるリューネの顔に不安が垣間見えた。聞かない方がいいかと思ったけど、逆に聞かない事で不安にさせてしまったみたいだ。うーん、俺も修行が足らん。
「いや、気にならないと言えば嘘になるけど、俺はリューネを信じているからね。だから聞かなかっただけだよ」
「なっ!? ……ったく! お前は器が大きいのか馬鹿なのか、わからないよ! 街に着いたら全部話すから、それまで待っててくれ。……あ、ありがと。信じてくれて……」
顔を真っ赤にしたリューネが足早に先を歩いて行く。やっぱりリューネは信用できる。だって、すぐ顔に出るんだもん。あれは隠し事ができないタイプだな。
「本当に可愛い子だ」
そう思いながら、リューネの後を追いかけ、ウィダー王国最初の街エナジーに着いた。街に入る時もさっきと同じようにジロリと睨まれたが、リューネの連れだとわかると問題なく通してもらえた。ただ、どうやら他国の男は相当珍しいみたいで、行き交う人々の俺への視線がけっこう痛い。これはさっさと拠点を確保して身を隠した方がいいな。
「リューネ。とりあえず宿をとろうと思うんだけど、何処かお薦めの……」
「いや、先に寄るところがある」
リューネは周囲の好奇の目も気にせずに大通りを真っ直ぐに歩いていった。どうやらアテがあるみたいだな。
「セイゴ。ここだ」
リューネが止まったのは奥に屋敷が見える大きな門の前だった。傍らには武装した門番もいるし、多分だけど貴族の屋敷だろう。まさか、リューネが貴族と繋がりがあるとは思わなかったな。
「何をしている。早く来い」
リューネの手招きと門番からの痛い視線に促されて中に入る。豪勢な石造りの門を抜けて手入れの行き届いた庭園の通りを歩くと、目の前に屋敷が見えてきた。大きな屋敷だ。普通に小学校くらいはあるぞ。
「お待ちしておりました。リューネ様……と、セイゴ様」
屋敷の正面玄関で執事服を着た妙齢の女性が丁寧なお辞儀をしてくれた。明らかに俺の事は歓迎してないみたいで、『主人が良いと言ったから仕方ないが、本当は入って欲しくない』ってのがヒシヒシと伝わってくる。初対面でそこまで毛嫌いされると悲しくなるね。でも、飛び込み営業の時の嫌われようよりは全然マシだな。
「どうぞ、こちらへ」
執事の女性について屋敷の中に入る。うわぁ……めっちゃ広いし、めちゃくちゃ綺麗だ! 美術館みたいに高そうな物がたくさん飾られてるし、床一面に引かれた絨毯もふかふかだ。こんな所を土足で歩いていいのか?
「おい、行くぞ」
「お、おぉ……」
見惚れてポカンと突っ立っていた俺は慌ててリューネの跡を追いかけ、案内された部屋に入った。テレビで見たことしかないような、中世ヨーロッパ調の部屋。否応なしにテンションが上がる! これが観光だったら大はしゃぎしているところだ。
「おい、キョロキョロするな! 頼むから、失礼だけはないようにしてくれよ」
「し、失礼って言われても、俺は礼儀作法なんか知らないぞ?」
「わかっている! とにかく大人しく座っててくれ! それと何があっても絶対に怒るなよ」
神妙な顔のリューネから緊張が伝わってくる。やっぱり貴族相手に無礼があるとヤバいんだろうな。ここは失礼がないように、とにかく落ち着こう。そうだ! こんな時に役立つ良い四字熟語があるじゃないか。今はリューネしかいないし、今の内に特殊能力を使っちゃおう。
「【神色自若】」
浮かれていた気持ちが一瞬で落ち着いた。っていうか、むしろさっきまでの行動が恥ずかしいくらいだ。反省して大人しくしていようっと。ん? 廊下の方から足音が聞こえてきたぞ? 誰か来たみたいだな。
「立て、セイゴ」
「お、おう!」
リューネに言われてスッと立ち上がった時、部屋の扉が開いて一人の麗人が入って来た。ここは女性だけの歌劇団か?
「悪い。予定は全て私の用事を済ませてからだ」
と、素っ気なく言われてしまった。昨日までとまるで違う雰囲気で、心不在焉、心ここに在らずといった感じだ。怒ってるって訳でもなさそうだし、どうしたんだろ。結局、まともな会話もできないまま馬車は国境の砦に着いてしまった。
「止まれ! 中の者は速やかに降車せよ!」
砦の女兵士の声と共に馬車が止まる。どうやらこの世界にも入国審査はあるらしい。
「お前達は冒険者か? 冒険者プレートを見せろ」
馬車から降りた俺に、女兵士は横柄な態度でプレートの提示を求めてきた。なるほど、冒険者プレートが身分証の代わりってわけだ。でも、そんな眼で見ないでほしいな。明らかに俺の下腹部辺りを見ている。女性は男性が胸を見ているのがわかるって言うけど、何となくその気持ちがわかった気がする。
「鉄級冒険者セイゴ。お前は確認する事があるからここで待っていろ。次! お前は銀級冒険者の……リュ、リューネ!? も、もしやあの御方の……し、失礼しました! 入国を許可します! お連れの方もどうぞ!」
「え?……な、なんだ?」
急に態度が変わったぞ? しかも全員直立不動で右腕を胸に当てている。これがこの国の敬礼なのか? 何がどうなってるんだ?
「セイゴ。馬車はデロリンの物だから、此処からは徒歩になる。行くぞ」
「えっ? あ、ああ……」
馬車から荷物を下ろして足早に先を歩き始めるリューネ。俺も慌てて後を追う。怪しい。さっきの兵士達の様子といい、リューネの様子といい、何か隠している事があると見た。
陰謀詭計。
何かよからぬ事を企んでいるのか? いや、まだ付き合いは浅いけどリューネはそんな人間じゃない。これでも営業で色んな人を見てきたから、人を見る目にはそれなりに自信がある。その目が言っている。リューネは信用できると。だから今は黙ってついて行こう。その内、話してくれるさ。それから黙々と歩き続け、街が見えて来た頃になって、ようやくリューネが閉ざしていた重たい口を開いた。
「何故、何も聞かないんだ?」
「何が?」
「とぼけるな! さっきの事だ! 砦の兵士達の態度の変わりよう、気にならないはずが無いだろ!」
俺に言葉をぶつけてくるリューネの顔に不安が垣間見えた。聞かない方がいいかと思ったけど、逆に聞かない事で不安にさせてしまったみたいだ。うーん、俺も修行が足らん。
「いや、気にならないと言えば嘘になるけど、俺はリューネを信じているからね。だから聞かなかっただけだよ」
「なっ!? ……ったく! お前は器が大きいのか馬鹿なのか、わからないよ! 街に着いたら全部話すから、それまで待っててくれ。……あ、ありがと。信じてくれて……」
顔を真っ赤にしたリューネが足早に先を歩いて行く。やっぱりリューネは信用できる。だって、すぐ顔に出るんだもん。あれは隠し事ができないタイプだな。
「本当に可愛い子だ」
そう思いながら、リューネの後を追いかけ、ウィダー王国最初の街エナジーに着いた。街に入る時もさっきと同じようにジロリと睨まれたが、リューネの連れだとわかると問題なく通してもらえた。ただ、どうやら他国の男は相当珍しいみたいで、行き交う人々の俺への視線がけっこう痛い。これはさっさと拠点を確保して身を隠した方がいいな。
「リューネ。とりあえず宿をとろうと思うんだけど、何処かお薦めの……」
「いや、先に寄るところがある」
リューネは周囲の好奇の目も気にせずに大通りを真っ直ぐに歩いていった。どうやらアテがあるみたいだな。
「セイゴ。ここだ」
リューネが止まったのは奥に屋敷が見える大きな門の前だった。傍らには武装した門番もいるし、多分だけど貴族の屋敷だろう。まさか、リューネが貴族と繋がりがあるとは思わなかったな。
「何をしている。早く来い」
リューネの手招きと門番からの痛い視線に促されて中に入る。豪勢な石造りの門を抜けて手入れの行き届いた庭園の通りを歩くと、目の前に屋敷が見えてきた。大きな屋敷だ。普通に小学校くらいはあるぞ。
「お待ちしておりました。リューネ様……と、セイゴ様」
屋敷の正面玄関で執事服を着た妙齢の女性が丁寧なお辞儀をしてくれた。明らかに俺の事は歓迎してないみたいで、『主人が良いと言ったから仕方ないが、本当は入って欲しくない』ってのがヒシヒシと伝わってくる。初対面でそこまで毛嫌いされると悲しくなるね。でも、飛び込み営業の時の嫌われようよりは全然マシだな。
「どうぞ、こちらへ」
執事の女性について屋敷の中に入る。うわぁ……めっちゃ広いし、めちゃくちゃ綺麗だ! 美術館みたいに高そうな物がたくさん飾られてるし、床一面に引かれた絨毯もふかふかだ。こんな所を土足で歩いていいのか?
「おい、行くぞ」
「お、おぉ……」
見惚れてポカンと突っ立っていた俺は慌ててリューネの跡を追いかけ、案内された部屋に入った。テレビで見たことしかないような、中世ヨーロッパ調の部屋。否応なしにテンションが上がる! これが観光だったら大はしゃぎしているところだ。
「おい、キョロキョロするな! 頼むから、失礼だけはないようにしてくれよ」
「し、失礼って言われても、俺は礼儀作法なんか知らないぞ?」
「わかっている! とにかく大人しく座っててくれ! それと何があっても絶対に怒るなよ」
神妙な顔のリューネから緊張が伝わってくる。やっぱり貴族相手に無礼があるとヤバいんだろうな。ここは失礼がないように、とにかく落ち着こう。そうだ! こんな時に役立つ良い四字熟語があるじゃないか。今はリューネしかいないし、今の内に特殊能力を使っちゃおう。
「【神色自若】」
浮かれていた気持ちが一瞬で落ち着いた。っていうか、むしろさっきまでの行動が恥ずかしいくらいだ。反省して大人しくしていようっと。ん? 廊下の方から足音が聞こえてきたぞ? 誰か来たみたいだな。
「立て、セイゴ」
「お、おう!」
リューネに言われてスッと立ち上がった時、部屋の扉が開いて一人の麗人が入って来た。ここは女性だけの歌劇団か?
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