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第五章
戦仕る
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俺だってそれぐらいの事はわかるわ!
しかし、困った話を聞いてしまったなぁ。
閣下の話が本当なら俺としては連邦との和睦も同盟も構わない。
むしろ四方を敵に囲まれた帝国としては一つでも敵が減るのはありがたい話だ。
だけど、さっき言った通り帝国の民がそれを受け入れるかとなれば話は別だからなぁ。
認識を改める事は難しいからね。
「儂とて昨日今日で出来る事ではないのは重々承知しておる。故に儂は同志を集め、慎重に事を進めてきたのだ」
「同志とはこの場にいる人達の事ですか?」
「左様。オリオール、テラーズは儂とは旧知の間柄でな。事情を話したら快く協力してくれたのだ」
へぇ~持つべきものは良き友って……
あれ? オリオール様もテラーズも険しい顔してるぞ?
「はぁ!? 快くだって!? 冗談じゃないよ! アンタが無理矢理巻き込んだんだろうが!」
「それについては同感です。共犯者にされたと言っても過言ではありません。このテラーズ、一生の不覚と後悔しております」
お、おぉ……何があったかは知らんが詳しくは聞かないでおこう。
余計に面倒な事になりそうだからな。
さて、ここまで聞いた以上俺はどうするか。
俺は昔から獣人や亜人達の悪い話を聞かされてきただけで特に恨みがあるわけじゃない。
連邦と和睦して無駄な戦争をしなくて住むなら喜んで協力しよう。
でも今の俺は陛下の臣下でウォーレイク閣下の部下だ。
勝手な行動をするわけにはいかないんだよなぁ。
そういえば、この話を2人はどう思っておられんだろう?
「この話は陛下や元帥閣下達は知っておられるのですか?」
「いや、この場にいる者だけだ。陛下は連邦に戦争を仕掛けた先々代の皇帝陛下の御令孫だ。あの戦争が無益だと認識はされていても連邦に対しての認識までは変わっておらん」
「2年ほど前に陛下が旦那様の家を訪ねられた際に旦那様をゆくゆくは南方の要としたいと言われていたのを覚えておられますか? あれも南方を敵だと認識しての事でございます」
「元帥達も同様だね。特に三元帥は先の大戦に従軍していたから連邦に対して良い感情を持っているわけないよ。ウォーレイクの小僧もどうでるかはわからないさ」
そうなると余計に俺としては動き辛いなぁ。
俺の今の目標は陛下やウォーレイク閣下と共に腐った帝国貴族や軍上層部を排除する事だ。
国内平定だけでも厄介なのに敵国である連邦の事まで構っていられないのがしょうじきなところだ。
ましてや陛下やウォーレイク閣下が知らないとなれば俺は勝手に動くわけにはいかないぞ。
「我々の当初の計画ではこの大会でロビンが上位入賞する事で獣人の有用性を主張するつもりだったのだ。ロビンが獣化すればそう簡単には負けんと思っておったからな。それがまさか一回戦で破れるとは」
「め、面目ありません……」
「アンタのせいじゃないよ、ロビン。それに私の見立てではコクトーやバランディン、テーニセンと互角の勝負が出来ると思ってたんだ。そこで大金星でも挙げれれば獣人の力の証明となり、陛下にも連邦とは敵対より同盟の方が良いと進言も出来たんだが……まぁ、仕方ないさね」
「相手が悪うございましたな。まさか旦那様が武器も持たずに倒してしまうとは我々にとっても予想外の事でしたよ」
俺のせいで計画が台無しになったと言いたげだな。
だいたいそんな事を言われても困る。
事情を知ってようが知るまいが勝負は真剣であるべきだ。
わざと負けるなんて出来るわけない。
「かくなる上はやむを得んな」
ローゼンハイム閣下が意を決したような顔になっている。
最早嫌な予感しかしない。
「こうなっては致し方なし! かくなる上はミュラー辺境伯を拘束し、リングダルに籠城して……陛下を相手に戦仕る!」
あほかぁあああああああああ!!
しかし、困った話を聞いてしまったなぁ。
閣下の話が本当なら俺としては連邦との和睦も同盟も構わない。
むしろ四方を敵に囲まれた帝国としては一つでも敵が減るのはありがたい話だ。
だけど、さっき言った通り帝国の民がそれを受け入れるかとなれば話は別だからなぁ。
認識を改める事は難しいからね。
「儂とて昨日今日で出来る事ではないのは重々承知しておる。故に儂は同志を集め、慎重に事を進めてきたのだ」
「同志とはこの場にいる人達の事ですか?」
「左様。オリオール、テラーズは儂とは旧知の間柄でな。事情を話したら快く協力してくれたのだ」
へぇ~持つべきものは良き友って……
あれ? オリオール様もテラーズも険しい顔してるぞ?
「はぁ!? 快くだって!? 冗談じゃないよ! アンタが無理矢理巻き込んだんだろうが!」
「それについては同感です。共犯者にされたと言っても過言ではありません。このテラーズ、一生の不覚と後悔しております」
お、おぉ……何があったかは知らんが詳しくは聞かないでおこう。
余計に面倒な事になりそうだからな。
さて、ここまで聞いた以上俺はどうするか。
俺は昔から獣人や亜人達の悪い話を聞かされてきただけで特に恨みがあるわけじゃない。
連邦と和睦して無駄な戦争をしなくて住むなら喜んで協力しよう。
でも今の俺は陛下の臣下でウォーレイク閣下の部下だ。
勝手な行動をするわけにはいかないんだよなぁ。
そういえば、この話を2人はどう思っておられんだろう?
「この話は陛下や元帥閣下達は知っておられるのですか?」
「いや、この場にいる者だけだ。陛下は連邦に戦争を仕掛けた先々代の皇帝陛下の御令孫だ。あの戦争が無益だと認識はされていても連邦に対しての認識までは変わっておらん」
「2年ほど前に陛下が旦那様の家を訪ねられた際に旦那様をゆくゆくは南方の要としたいと言われていたのを覚えておられますか? あれも南方を敵だと認識しての事でございます」
「元帥達も同様だね。特に三元帥は先の大戦に従軍していたから連邦に対して良い感情を持っているわけないよ。ウォーレイクの小僧もどうでるかはわからないさ」
そうなると余計に俺としては動き辛いなぁ。
俺の今の目標は陛下やウォーレイク閣下と共に腐った帝国貴族や軍上層部を排除する事だ。
国内平定だけでも厄介なのに敵国である連邦の事まで構っていられないのがしょうじきなところだ。
ましてや陛下やウォーレイク閣下が知らないとなれば俺は勝手に動くわけにはいかないぞ。
「我々の当初の計画ではこの大会でロビンが上位入賞する事で獣人の有用性を主張するつもりだったのだ。ロビンが獣化すればそう簡単には負けんと思っておったからな。それがまさか一回戦で破れるとは」
「め、面目ありません……」
「アンタのせいじゃないよ、ロビン。それに私の見立てではコクトーやバランディン、テーニセンと互角の勝負が出来ると思ってたんだ。そこで大金星でも挙げれれば獣人の力の証明となり、陛下にも連邦とは敵対より同盟の方が良いと進言も出来たんだが……まぁ、仕方ないさね」
「相手が悪うございましたな。まさか旦那様が武器も持たずに倒してしまうとは我々にとっても予想外の事でしたよ」
俺のせいで計画が台無しになったと言いたげだな。
だいたいそんな事を言われても困る。
事情を知ってようが知るまいが勝負は真剣であるべきだ。
わざと負けるなんて出来るわけない。
「かくなる上はやむを得んな」
ローゼンハイム閣下が意を決したような顔になっている。
最早嫌な予感しかしない。
「こうなっては致し方なし! かくなる上はミュラー辺境伯を拘束し、リングダルに籠城して……陛下を相手に戦仕る!」
あほかぁあああああああああ!!
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