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第五章
帝国の大英雄
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ただ名乗っただけなのになんて気迫だ!
こんだけ離れてるってのにすごい圧を感じたぞ!
これが帝国の大英雄ウィルバルト・フォン・ローゼンハイム上級大将。
名ばかりの英雄ではないという事か。
「とぅ!」
マ、マジか!?
あの高さから飛び降りたっ!?
ドォオオオオオオオン!
「ぬん!」
『ぬん!』じゃねぇよ!
20メートル以上の高さから飛び降りといて、なんで何事もなかったように立ってるんだよ!
化け物か!
「さて、あまり穏やかではない事になっとるみたいだが先ずは双方納めよ。ロビンもだ」
「はっ、かしこまりました。閣下」
素直っ!
こいつ! さっきまで人を馬鹿にしてたくせにローゼンハイム閣下に言われたら直ぐに貴族を放して頭を垂れるのかよ!
南方方面軍所属だからわからないでもないけど、露骨過ぎだろ!
「オルダーニ卿、大事ないか?」
「ゲホッ、ゲホゲホッ……ロ、ローゼンハイム殿……助かりました。おい! 警備兵、何をしておる!? 早くその獣人を捕えて首を……」
おっと、あのクソ貴族め。
まだ懲りてなかったのか。
ここでロビンが捕まるのは釈然としないな。
警備兵にイチャモンつけてその隙にロビンを逃すか?
「やめよ! オルダーニ卿! これ以上の無作法は看過できん!」
えっ? ローゼンハイム閣下?
「な、何を言われますか! この者は穢らわしき獣人なのですぞ!? いくら閣下の南方方面軍に属する者とはいえ、それが帝都の血を二足で踏むなど断じて……」
「許さぬと申すか? 神聖なる決闘に横やりを入れただけに留まらず、南方方面軍司令長官の推薦者を侮辱すると卿は言うのだな?」
「わ、私は帝国の権威を……」
「たわけが! 帝国の権威とは貴様の自尊心を満たすためにあるのではないわっ! そもそも万人が自ら認めてこそ権威と呼べるのだ! 貴様のやってる事は権力を振りかざしているに過ぎんわ!」
「うっ……し、しかし……」
「これ以上卿と論ずる事はない! 警備兵! 神聖な戦いを汚した狼藉者を捕らえて白石牢に入れておけ!」
「はっ!」
白石牢って確か貴族の牢獄だったよな。
内装は綺麗だし飯も酒も出るんだけど、鉄格子は無粋とかって理由で壁には扉以外には窓もないって話だ。
時間もわからない生活のせいで精神的に病んでしまう人も多いって聞くけど。
「お、おい! 離せ! 私を誰だと思って……は、伯爵! ローゼンハイム伯爵ぅうううう!」
クソ貴族が警備兵に両脇を抱えられ足をバタつかせながら連行されていく。
みっともない姿だ。
何が帝国の権威だよ。
あんなクソ貴族と一緒に思われているかと思うと泣きたくなるな。
「卿がシュナイデン卿だな?」
連れて行かれる貴族には目もくれず、閣下が俺の方に近寄ってくる。
圧倒的な存在感と圧力、どうやら試されているようだ。
「はっ! ローゼンハイム上級大将閣下にお目にかかれて光栄であります」
「世辞はよい。これより勝負再開とするが異論はないか?」
獣人と戦うことに不満はないかって意味かな?
別に俺としては問題などない。
俺自身には獣人に忌避感を抱く理由もないからね。
「ございません」
「よかろう! ここに集まった全員に告げる! これより勝負を妨げたるはウィルバルト・フォン・ローゼンハイムに弓引く事と心得よ!」
閣下が高らかに闘技場内にそう宣言すると、観客からは大きな歓声が上がった。
やっぱりさっきの貴族の横暴は歓迎されてなかったようだ。
仇敵である獣人より母国の貴族の方が嫌われているとは、なんとも情けない話だ。
こんだけ離れてるってのにすごい圧を感じたぞ!
これが帝国の大英雄ウィルバルト・フォン・ローゼンハイム上級大将。
名ばかりの英雄ではないという事か。
「とぅ!」
マ、マジか!?
あの高さから飛び降りたっ!?
ドォオオオオオオオン!
「ぬん!」
『ぬん!』じゃねぇよ!
20メートル以上の高さから飛び降りといて、なんで何事もなかったように立ってるんだよ!
化け物か!
「さて、あまり穏やかではない事になっとるみたいだが先ずは双方納めよ。ロビンもだ」
「はっ、かしこまりました。閣下」
素直っ!
こいつ! さっきまで人を馬鹿にしてたくせにローゼンハイム閣下に言われたら直ぐに貴族を放して頭を垂れるのかよ!
南方方面軍所属だからわからないでもないけど、露骨過ぎだろ!
「オルダーニ卿、大事ないか?」
「ゲホッ、ゲホゲホッ……ロ、ローゼンハイム殿……助かりました。おい! 警備兵、何をしておる!? 早くその獣人を捕えて首を……」
おっと、あのクソ貴族め。
まだ懲りてなかったのか。
ここでロビンが捕まるのは釈然としないな。
警備兵にイチャモンつけてその隙にロビンを逃すか?
「やめよ! オルダーニ卿! これ以上の無作法は看過できん!」
えっ? ローゼンハイム閣下?
「な、何を言われますか! この者は穢らわしき獣人なのですぞ!? いくら閣下の南方方面軍に属する者とはいえ、それが帝都の血を二足で踏むなど断じて……」
「許さぬと申すか? 神聖なる決闘に横やりを入れただけに留まらず、南方方面軍司令長官の推薦者を侮辱すると卿は言うのだな?」
「わ、私は帝国の権威を……」
「たわけが! 帝国の権威とは貴様の自尊心を満たすためにあるのではないわっ! そもそも万人が自ら認めてこそ権威と呼べるのだ! 貴様のやってる事は権力を振りかざしているに過ぎんわ!」
「うっ……し、しかし……」
「これ以上卿と論ずる事はない! 警備兵! 神聖な戦いを汚した狼藉者を捕らえて白石牢に入れておけ!」
「はっ!」
白石牢って確か貴族の牢獄だったよな。
内装は綺麗だし飯も酒も出るんだけど、鉄格子は無粋とかって理由で壁には扉以外には窓もないって話だ。
時間もわからない生活のせいで精神的に病んでしまう人も多いって聞くけど。
「お、おい! 離せ! 私を誰だと思って……は、伯爵! ローゼンハイム伯爵ぅうううう!」
クソ貴族が警備兵に両脇を抱えられ足をバタつかせながら連行されていく。
みっともない姿だ。
何が帝国の権威だよ。
あんなクソ貴族と一緒に思われているかと思うと泣きたくなるな。
「卿がシュナイデン卿だな?」
連れて行かれる貴族には目もくれず、閣下が俺の方に近寄ってくる。
圧倒的な存在感と圧力、どうやら試されているようだ。
「はっ! ローゼンハイム上級大将閣下にお目にかかれて光栄であります」
「世辞はよい。これより勝負再開とするが異論はないか?」
獣人と戦うことに不満はないかって意味かな?
別に俺としては問題などない。
俺自身には獣人に忌避感を抱く理由もないからね。
「ございません」
「よかろう! ここに集まった全員に告げる! これより勝負を妨げたるはウィルバルト・フォン・ローゼンハイムに弓引く事と心得よ!」
閣下が高らかに闘技場内にそう宣言すると、観客からは大きな歓声が上がった。
やっぱりさっきの貴族の横暴は歓迎されてなかったようだ。
仇敵である獣人より母国の貴族の方が嫌われているとは、なんとも情けない話だ。
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