食うために軍人になりました。

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第三章

全軍突撃

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「ジェ、ジェラール様が討たれたああああああ!」

「もう終わりだぁああああああ!」

 ぬおっ!? 
 急に周りにいた敵兵達が騒ぎ始めたぞ?
 おまけに浮き足立って、行動がバラバラになってる。
 まずったな、攻勢に出るチャンスなのに、うちの小隊は後退させちゃったよ。
 どうしよう、俺も後退した方がいいのか、それとも単騎でも攻勢に出るか……

「全軍突撃ぃいいいいいいい!」

 ありゃ? 
 考えてたら後ろからどっかの部隊が突っ込んでくるぞ。
 先頭の鎧の人は見たことがあるな。
 あっ、リーゼンフェルト少将の隣にいた中佐だ。
 それにしても作戦だとうちの部隊が突撃して、ある程度戦ったら、敵の部隊を引き連れつつ後退して、それを伏せていた少将と中佐の部隊で挟撃する作戦だったはずだ。
 その中佐の部隊が出てきていいのか?
 それによく見ればうちの小隊もいるじゃないか。

「小隊長!」

「フェルナン少尉、これはどういう……」

「リーゼンフェルト少将から作戦変更命令が出ました! 左翼軍は全軍をもって敵右翼を攻撃、その混乱に乗じて敵の本隊に食い込むとのことです!」

 随分と大胆な作戦変更だな。
 それに敵右翼だけじゃなくて敵の本隊まで狙うのは流石に無謀じゃないか?

「命令には従うけど、彼我の兵力差からして少々無謀ではないか?」

「いえ、司令官を討ったのです。敵右翼は混乱しておりますし、ここで一気に攻勢に出れば壊滅させる事もできると考えます」

 司令官を討った? 
 そいつは凄いな。
 でも、一体何処の部隊がやったんだろう?

「小隊長は如何なさいますか? 小隊長には少将から『一旦後退して休養するも良し』とお言葉を預かっておりますが」

「休みはいらないよ。何処の誰かは知らないけど、大金星を上げたんだ。俺も一層奮起しないとな!」

「えっ? は、はぁ……」

 なんか変なこと言ったかな?
 少尉が戸惑った顔をしている。
 いや、今はそんな事を気にしている場合じゃないな。

「第78小隊は俺に続け! 敵右翼の土手っ腹に風穴を開け、そのまま敵の本隊の喉笛を食いちぎるぞ!」

「ぉおおおおおおおおおおおお!」

 なんかうちの小隊じゃない人まで猛ってるけど、とにかく今は敵を倒すことだけに集中しよう。
 
「大尉! 敵の指示を砕く! 右翼の司令官を一騎討ちで破った事を敵の全軍に伝わるように言いふらせ!」

 なるほど、そういう手もあるか。

「了解です、中佐殿! みんな聞いたか!? 手と口を動かしながら突き進むぞ!」

「はっ! お前達の司令官は一騎討ちで破れたぞ!」

「ジェラール・フェルドは死んだ!」

「お前達の自慢の百勇士はもういないんだぞぉおお!」

 ん? ジェラール? 
 あいつ、右翼の司令官だったのか!?

 

 
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