穢れの螺旋

どーん

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可哀想な村娘

第21話 - 荒稼ぎ

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オークの集落殲滅を受理してもらい、太陽の剣の面々と馬車を借りて現地に向かった
馬車は4台、一人ずつ借りて街道を南に下る

「なぁ旦那。馬車4台も何に使うんだ?」

ポールが興味深そうに話しかけてくる

「4人もいれば今日で殲滅できるだろう。全部乗せて帰るためだ」

ポールを含めみんな青い顔をしながら聞き返してきた

「嘘だろ?一日3体から5体ずつ減らしていけばいいじゃないか」
「あたしお腹痛くなってきた…」
「一日で30体も倒したことがないな…」

やれやれ…足手まといにならないと言っていたのに…

「いつもどうやって戦ってるんだ?」

ポールが焦りながら答える

「ブライアンを中心に盾でオークの攻撃を防ぎながら一匹ずつ倒す、最大でも5匹くらいまでなら対応できる」

それはそれですごい、打ち合いながら5匹はさすがに相手にできないぞ
それでブライアンの盾は大きいのか、だがオークの攻撃は重い
5匹の攻撃を受ければ盾は壊れ腕は痺れ使い物にならなくなるのも頷ける

「なるほど、では君たちはいつも通り戦ってくれ。後は俺がやる」

ポールたちはどよめきながらどういう風に戦うのか想像もできないようだった
現場に着くと馬を降り、馬車を止めて馬防柵を作り始める
ポールたちにも手伝ってもらい5つほど用意したところで集落へ向かう

逃走ルートを決め馬防柵を配置すると逃走ルートの一番奥でポールたちに待つように伝える
オークの集落の入り口に忍び寄ると二匹の歩哨へ手斧を投げ、頭に命中させた
倒れ込む音が聞こえると中からオーク達が10体ほど飛び出してくる
さらに手斧を投げ1匹仕留めるとエーサーを見つけて走りこんで来る

逃走ルートへ逃げ込み、馬防柵を二つほど使って6匹を仕留めると残りの3体を素早く斧で仕留めた

投げた斧を回収しながら集落の中に入り、まだ気づいていないオーク達を3匹ほど暗殺するとまたこちらに気づいて走ってくる

それも逃走ルートへ入り10体ほど仕留めた
馬防柵が残りひとつというところで最後の集団を逃走ルートへ引き込む
馬防柵で2匹ほど仕留め、残り5匹をポールたちと連携して仕留めた

ポールたちは本当に一日で集落を壊滅させてしまった事に興奮を隠せないでいる

「狂戦士って言うから斬りこんで全員斬り伏せるのかと思ってたけど全然違うんだな」

オークスウォームの時は呪印の力に頼ったのでそうだったがあれは罠が使えない状況だったから仕方なくそうしたんだ

「ほんとよね、ほとんどのオークが一撃で首をやられてる。馬防柵のは胸に穴が開いちゃってるけどこれくらいなら丸ごと持ち帰れるわ」
「俺ら必要なかったんじゃないかなぁ…」

ポールが頭を抱えながら話す

「ほとんど旦那が倒しちまったから俺らは今回報酬いらねーよ。積み込みは手伝うぜ」

控えめな冒険者だな、それじゃ赤字だろう

「馬防柵は君らが作ったものもあるだろう。それと最後に受け持ったオークの分は持ってってくれ」
「いいのか?…じゃあ馬防柵で倒した分と最後に倒した分で5匹ほど貰っていいかな」
「それで足りるのか?準備資金もあるだろう。10匹持ってってくれ」
「ほんとかよ!気前いいな。じゃああとの積み込みは俺らに任せてくれ、おいお前らさっさとやるぞ!」

俺が一太刀で倒したオークを優先して俺に回し、残った傷の多いオークから順にポールたちの取り分として持って行ってしまった
遠慮しているのか、好感は持てるが損をしそうなパーティだ

ギルドに帰って殲滅した事を伝えるとベロニカもびっくりしていた
慌てて馬房に向かい、戻ってくるとカウンターについた

「はぁ…ほんとに殲滅したんですか。シャーマン含め32体のオークを確認しました」
「本当に旦那の手際は鮮やかだったぜ、一人でやれるって言うのは嘘じゃねーな」
「すごかったね、あたしなんて今日矢を一本しか撃ってない」
「俺もいつもは盾が壊れるのに全然平気だ」

ベロニカは眉間を指で押さえ悩む

「しかも全部持って帰ってきて状態もいいので金貨30枚はくだらないでしょうね…」
「俺たちは3人で8枚でいい。残りは全部旦那に回してくれ」

ベロニカは眉をひそめ軽蔑のまなざしで俺を見る

「脅したんですか…?」

そんなわけあるか…人聞きの悪い
ポールは慌てて弁明した

「いやいや、やめてくれベロニカちゃん。俺たちが倒したのは実質2匹なんだ、旦那の好意で10匹分のオークを分けてもらってんだよ」
「はぁ…前代未聞すぎて嘘か本当かもわかりませんね…」
「ほんとうだよベロニカちゃん。俺たちが情けなくなってくるからその辺にしてくれよ~」
「はい、わかりました…金額が大きすぎてすぐには用意できないので少しお時間をください。7日もあれば用意できると思います、手続きしてきますね」

ギルドを出た後はポールたちと酒場に向かい奢ってもらった

「いやー旦那噂以上の腕前だったな、旦那さえよければ俺らと今後も組まないか?」
「ちょっとポールもう酔ったのかい?うちらの取り分無しになっちまうよ」
「えぇ?あー…うん。そうだな酔いが冷めたわ」

ポールたちは気さくでいい冒険者たちだった
まるで兄弟のように仲が良く体にもそれほど傷はない、うまく連携して立ち回っているんだろう

昔の話を聞けば慎重に立ち回って着実に依頼をこなしてきたようだ
俺の過去については呪印と流民だった事を除いて掻い摘んで話すとフルーフのくだりでポールとブライアンは号泣し、オークの言葉を理解していることを知るとエールを吹き出した

「すげぇな旦那…そりゃあれだけ強いはずだ」

涙で目を腫らしたポールが眠たそうに話す
俺はエールをくるくると回しながらフルーフの事を思い出した

そろそろクベアにもフルーフの事を話そうか…

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