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第六部第一章 運命の時

七話

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 仄々と創造族の皆が魔界に入ってきた。
 皆は笑っていて、今を生きているという言葉を胸に持っているような笑みで、プランスを見た。
 
 まさかプランスの製造魔力は創造神だからこそ強力な武器となったのだろう。

 プランスは魔界に帰ってくる人々を遠目に眺め、涙を流す。まるで全てに感動したような顔だ。
 ルカのような憎悪なんてまるっきり感じられない。
 ただの平和を望んだ姿で、森林のような自然豊かとプランスは思いながら、プランスは彼等を見ていた。
 自然豊かというのは、皆が自然な心の持ち主、という意味でプランスは涙を流した。

 その時だ、綻ばせる一人の女性がいた。その女性は金のドレスを身につけていて、ゆっくりと天の階段を降りてくる。
 その姿をプランスは瞼に映し出して眼を閉じても思い浮かべれるように、する。
 そうその女性はミアだった。プランスは涙を拭き取り彼女のことを下から眺めた。性格は何だ変わっていないようだ。
 彼も彼女も皆も。

「ミア!」

 プランスは叫んだ。ちゃんとミアの耳に入るように、ゆっくり強く、ミアの名前を読んだ。ミアの笑顔は美しい音を奏でるように、プランスには見えた。

 名前を呼ばれたミアは升降する。その顔は満遍なく笑みで包まれていて、声を張り上げる「あぁああああああ!」ミアの眼からはようやく会えた、という涙を流していた。心配なんて甘ったるい言葉じゃあ表せないほどに、ミアは感動した。安堵の息も吐きながら、プランスの胸に飛び込む。プランスは両手を横に大きく広げて、ミアのことを抱きしめた。
 このハグには、何の意味もないけど、プランスとミアの身も心も満たされた。疲労なんてもう消えて無くなったように、笑みを浮かべる。
 状況を理解したのか、他の者は階段に座り込み、二人のことを泣きながら見ていた。この涙は遂にプランスとの再会を果たして、いつも通りの生活否、ようやく忠誠を誓った者に再会を果たしたという涙だ。

「プランスぅううう・・・・・・」

 ミアはプランスのことを強く抱きしめて、顔がぐちゃぐちゃになるまで感泣した。

 プランスは優しくミアのことを抱きしめて、涙を呑む。
 プランスは今を生き抜くために抱きしめており、この時だけは離さないと誓った。遂にプランスも啜り泣くように、両目から涙を流した。
 随喜の涙という涙を流した。

「この五、六年間、ミアお前のことをずっと考えていたよ。もっと早く君に会いたかった。本当にごめんね・・・・・・・」
 
 プランスは微笑みながら涙をがなしてミアに謝るが、ミアの顔はもう満足という顔をしている。このひとときは幸せな時間となっただろう。
 両者お互いのことしか、考えていないため、この時とは幸せな時間となっている。

「何で謝るの・・・・・・・。私達のためにやってくれたんじゃん?」
 
 ミアは涙を袖で吹きとり、再びプランスの肩に手をかけた。プランスは優しく、抱っこした。そして、空に持ち上げてくるくると回転させた。
 すると、ミアは微笑みを顔からこぼした。不思議とミアの顔からは勝手に微笑みが漏れ出してきていて、プランスとミアは夫婦円満な生活を向けようとしていた。

「まあそうだな・・・・・・」と、プランスは地面にミアを置き、肩を握って微笑みの顔をミアに向けた。特に意味はないという顔だけど、ミアの人生を変えるには十分すぎる、出来事だった。

 美景が広がる中、プランスは魔王城へと歩き出した。勿論創造族だけど、魔族と今まで言われたから、プランスは自分のことを魔族と言い続けるだろう。
 それほどにもこの名前が愛好している。同様に皆もこの種族の名を誇りに思っているため、これからも魔族と名乗り出るだろう。

「よし! みんな! 魔王城で乾杯でもしようじゃないか」

 プランスはやけに陽気だ。久々の再会ということもあるのだろうけど、疲労を一気に回復させるためにはこれが一番だったのかもしれない。
 これが、この空白の五年以上の月日を革めるチャンスなのだ。それに、皆の精神的なダメージも考えに取り入れた結果、精神を回復させるため・・・・・・今までの五年間分の打ち上げをしようとプランスは考えたのだ。

 プランスは魔王城に着くと、魔族みんなが一気に仕事を始めた。執事なんて、この時を待ってましたと厨房に入っていった。異性界袋に食材とかお酒もあるから、料理人はとても捗ると言わんばかりの顔をした。
 それにあの伝説的のパテシエ、魔王城にカフェを構える者もスイーツ遠作ってくれると言い出しのだ。

 
 ミアはテレパシーで女神族の人々を魔界に呼び今日の打ち上げを共に楽しみましょうと伝えた。この行為には、今ままで天界に住まわしてもらったという、返しても返しきれない、人徳を一パーセント返すつもりでミアは今回の打ち上げに呼んだ。

「お姉ちゃん! やっと帰れたね! 叔父さんも生きてたし、私とルドラも結婚できるかもしれないし!」

 ミアの視界の真正面にアンが達、アンの隣りにルドラがアンの手を握っていた。ミアは夫婦円満になりそうと、二人を見ていた。
 
 もしも、アンがルドラと結婚したらルドラはミアの弟となるだろう。
 
 それなのだが、ルドラとしてプランスの弟となることに、何だか不満というより不自然と思っていた。けれどそれでもいいと、思えるくらいにルドラはアンのことが好きだった。

 プランスはこのことをまだ知らないが、アンとルドラとミアでは決定事項だった。

「そうねー」

 プランスがこのことを知ったら賛成するのだろうか? 今まで自分の下で働いてくれていた奴が急に、自分の眷属ではないが弟となるのだ。
 不自然でしかない。でも心が広い、プランスなら受け入れるだろう。
 それに、プランスが決めることではない、アンとルドラの事情だと、プランスは片付けることだろうに。

 その時、執事が両手にエールを持ちながら、アンのところに来た。どうやらアンがエール好きということを百も承知しているらしい。

 アンはエールをルドラに渡して、先にお姉ちゃんが飲んで、と、ミアにエールを渡した。ミアはいいよいいよ、と、断っていたが、執事がまだまだありますので、すぐにお持ちします、と、言ったので、アンは渋々ミアのお言葉に甘えた。

 
 プランスはシルバーと雑談を交わしていた。シルバーは最近は影の薄いが、プランスとは師弟という以前に仲が良いため、こういう交流はよくする。

「シルバーよ~、俺がいない間どうしてたぁ?」

 プランスはエールを片手に問うと、シルバーはエールを口にしながら言った「建築とか、指導系やで」と、シルバーは答えた。

 プランスはそうかと、頷いた。シルバーが指導かとプランスは感心を抱いていたのだ。
 何故なら自分の弟子がもう孫弟子を作ってるなんて、プランスとしては考え難いだろう。
 だけどシルバーが弟子になってから結構の時が経ったから孫弟子ができてもおかしくはないだろう。

「そうかぁ。お前なんぞに務まる仕事とは思えんがな」

 プランスは小馬鹿にするように、言葉を放ったら、シルバーは「なめんじゃねえじゃ」と言い返した。別に喧嘩に発展するこはなかった。
 
 シルバーはプランスと肩を組むんだ。その馴れ馴れしさに、プランスは少々引き気味の顔をしたけれど、何も言わないのでどうも思っていないのだろう。

「わい、意外と指導とかにも向いているかもなのである!」シルバーは続けて、言い返すとプランスは苦笑しながら、エールを喉に流し込む。
 シルバーは建築のことを語りだす。その話は何を自分達は建てたのかという、自慢話だった。

 自分がどれだけすごいことをしたのか、プランスに教えたかったのだろう。
 プランスは黙って話を聞く。

「あのな、わいが作った建設物わな、敵を迎撃する建物やねん。なかなか大きくてな、人間が攻めてきても迎撃できてな、魔力がなくても槍とかで防衛できるねん! どうやーすごいやろ?」

 シルバーは自分が作った、建造物のことを大雑把に説明して、完成に至るまでの物語が綺麗さっぱり消えていた。だからプランスは怪訝な顔をシルバーに向けた。
 するとシルバーはそれだけやない、と話を継続させた。

「安全面にも気をつけてな、岩の積み方に気をつけてな魔力で硬化されとるねん! しかもその魔力はわいの魔力やねんどうや! すごいやろ!」プランスなら製造魔力で一瞬にして創れるが、プランスはシルバーの頑張りを讃えるように、話をちゃんと聞く。こういう行為をしてくれるから、プランスは国民に好これるのだろう「でもな皆がいなければ、建築できなかっただろうなそもそも建築図すらも作れなかっただろうな」シルバーはちゃんと自分だけが作ったとは言わずに、皆で協力した末にできたと人道ののような、ものをプランスに見せつけた。
 
 流石、プランスの弟子というべきなのだろうか、誰しもが信用するような言葉を陰で放つ。そういうところがシルバーの口が悪くても好かれる理由の一つなのだろう。
 プランスはそんな弟子を見た時、これでもし俺がいなくなっても優しい心を保ち続けてくれるだろうな、と、内心安堵していた。
 でもプランスは今を生きていると、強く持っているため、未来のことはあまり考えていない。自分が死ぬ未来もあまり考えないし、その時どうなるか、その時の判断に任せることだろう。別に無責任なんかじゃない、その状況がどうなってるかなんてわからないからこうやってプランスは笑ってこの思いを流している。
 
「そうかそうか、俺がいないのによくやったな・・・・・・・」

 プランスはシルバーの言葉に感心を抱きつつ、エールを飲み干した。シルバーは照れるように俯いた。

「まぁな! でもこれくらいできなきゃ、お前の修行にはついていけなねえよ・・・・・・・・」

 シルバーはプランスの修行のことを思い出して背筋が凍った。どんな修行をされていたのかは不明だけれどよほど辛かったことには変わりないだろう。

「そうかぁー。そんなに辛かったのか~お前なら難なく修業を完遂してると思ったのなぁー。やっぱり疲れてたのか?」
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