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第三部一章 人生というのは残酷非道

聖騎士?

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 私の中で、再び得体の知れない力が湧き上がるのを感じた。これまで幾度となくこの不思議な力が発現してきたが、今はそれを恐れている場合ではない。目の前に立ちはだかる異様な聖騎士は、ただの操り人形のようだが、その力は計り知れない。

「ミア、気をつけてください! あの聖騎士はただの屍ではありません。何者かによって強力な魔力が注ぎ込まれています」と、アンが緊迫した声で忠告する。

 私は深呼吸をし、目の前の聖騎士に集中する。彼の剣は光を反射し、静かにこちらを狙っている。周囲の空気が一瞬にして冷たく感じられ、私は身構えた。突然、聖騎士が突進してきた。彼の速さは尋常ではなく、私たちの目の前に瞬時に現れたかと思うと、その剣がシルバーに向かって振り下ろされる。

「シルバー!」私は叫び、無意識のうちに手をかざした。その瞬間、指先から再び強烈な光が放たれ、聖騎士の剣に触れる前に彼を吹き飛ばした。

 聖騎士は一瞬、後退したが、すぐに再び立ち上がり、私たちを睨みつける。その目は空虚で、生気を失っているように見える。しかし、その体から放たれる魔力は、私たちに一切の油断を許さない。

「ミア、その力……」アンが息を呑むように私を見ていた。「やはり、あなたの中には特別な何かがある。今の光……まるで神聖な力のようです」

「神聖な力……?」私は戸惑いながらも、再び手を見下ろした。確かに、この力は自分でも制御しきれないほど強力で、しかも自分の意思ではなく、危機的な状況で勝手に発現している。だが、これは本当に私自身の力なのだろうか。それとも、何者かによって与えられた力なのか。

 その時、シルバーが低く唸りながら聖騎士を睨みつけた。「あいつ、まだ動くつもりか……」

 聖騎士は再び立ち上がり、私たちを狙って剣を構え直していた。彼の体からは明らかに常人を超えた魔力が溢れているが、その顔には一切の感情がない。まるで彼自身の意思ではなく、何者かによって操られているかのようだ。

「ミア、もう一度お願いします。あの力で、彼を止めてください」とアンが緊張した声で言った。

 私は心を落ち着け、再び集中する。聖騎士が再度突進してくるのを感じたその瞬間、私の体全体が光に包まれた。聖騎士の動きが遅く見えるほど、私の感覚が鋭くなっていく。私は無意識のうちに、再びその力を解放した。

 光が再び聖騎士に向かって放たれた。彼はもがくようにその場で立ち止まったが、次の瞬間、まるで糸が切れたかのようにその場に崩れ落ちた。
 そして私は聖騎士に近づき、動かないことを確認した。すると、聖騎士は消滅して、灰になって風で灰が何処かへと飛んだ。まるでそれは花びらのように飛ぶ。
 それは、花畑のようになっていた。それで気づいたのは、これは女神にやられたということだった。
 どうして、魔界の生物は私に危害を与えないのに、魔界以外の生物が魔界で私たちに危害を及ぼすのだろう、いつも以上に腹が立って、金のドレスが魔力で揺れた。それほどに腹が立ってしまい、私から半径三十センチの植物が枯れてしまった。

「ミア、まさか女神様の仕業とは・・・・・私も信じられです」

 アンは信じられないという顔をして、同時に魔族が悪くないということに気付いたようであった。
 それはアン自身魔獣しか見たことがなかったからかもしれない。

「まあ生きてたからいいやないか、それよりこれは魔族と同等の女神がいる・・・・・」

 魔族というのはそんなに強いのか? 私も実は魔族と会ったことがないからわからない。いやシルバーが魔族だけど、異次元の強さを誇っているから、他の魔族とは比較できないと思う。

「魔族ってそんなに強いの?」私が訊く、シルバーは虚ろに応える。

「ああ、わいと同じ以上のやつもいるかもしらん。そんな輩は魔界に住み着いているし心も広い。だけど危害を及ぼすと判別した場合百パー殺されるぞ」

 事実をそんな平然な顔で語る姿を見ているとこっちまで怖くなってしまう。
 訊かない方がいいと同時に思いつつも、魔界も危険ということ理解できた。
 アンも同じだろう。アンは意外と臆病なところがある。

「でも私は危害を加えてないから殺されないよね・・・・・?」

「いや人間が魔界にきてしかもダンジョン目的なんて危害を及ぼしているでしょう?」

 なぜそんなことを平然とシルバーが言うから私は怖くて気が失いそうであった。

「ほら言ってるそばから、魔族がやってきたぞ。たぶん今倒した聖騎士の魔力を感知してきたんだろうな?」

 そうシルバーが言うと、私たち三人の真ん中に魔族が落ちてきた。その時に私の頬を石が掠った。ヒリヒリと痛むけど、それよりもこの魔族の魔力が凄すぎる。
 シルバーが全開にした魔力と同じ質量。流石に戦うべきじゃないそれに逃げるべきじゃないからただ捕まって話を聞いてもらうことが、いいだろう。
 だけどシルバーは腰の剣にを握って二センチくらい抜刀する。流石にシルバー自身も自分の身を守りたいのだろう。

「久しぶり」
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