9 / 24
9晩目 ホースケさん、棲家をゲットする
しおりを挟む
冒険者のランクは、AからFの基本ランクからなり、ある特殊任務をこなせると評価されたものからなる上位ランクSと別れている。
「もちろんのことだが ホースケ オメエのランクは、Fだ」
ホースケの胸にかけられたプレートがキラリと輝く。
「俺のプレート!」
「新人は、真新しいからピカピカっスよ」
真新しいプレートには、汚れも曇りも何一つない。
「俺、冒険者!カッコいい」
「最初は、お使い程度の依頼からはじめて少しずつ覚えて慣れていきゃあいい」
ぽふぽふと大きな手を頭に乗せられ、マンキーに頭を撫でられた。撫でてもらうという感触も新鮮で、ホースケは「でへへ」と頬を赤らめ表情を崩す。
「ホースケ ずっと一緒だよ」
「ミーシャ」
ヒシっとミーシャに抱きつき、頭をグリグリとすり寄せる。傍目から見れば、シマリスのぬいぐるみが幼い少女に抱きついている様にしか見えないため、みな微笑ましく眺めていた。
「ホースケって性別どっちなんだろう」
「ホースケって名前からして男だろう」
ポツリと呟いた誰かの一言が、マンキーの耳に届いてしまう。ピキリとマンキーのコメカミに青スジが浮かび上がる。丸太の様に太い腕もパンプアップしたかの様に、太い血管が浮き上がった。
「んがー ミーシャはまだ嫁にはやらん!」
今まで微笑ましく見守っていたが、ホースケが男であれば話は別。娘の貞操の危機を守るのは父親の役目。
「ホースケ 娘には指一本触れさせんぞ」
ホースケの首根っこを掴むとミーシャから引き離した。目を白黒させるホースケは、マンキーに掴まれ身体をブラブラさせる。
「パパ!ホースケに酷いことしちゃダメ!」
「知らん!」
「ママ!ママ!」
マキマは、「はぁっ」と深く溜め息を吐き、手に持ったフライパンでマンキーの後頭部に綺麗な一発を入れた。
「ハンガッ」
「落ち着きな マンキー」
「ホースケ大丈夫? どこも千切れてない?」
「な 中身がはみ出るかと思った」
どうやらマンキーは、娘の恋愛には過剰な反応をするタイプの父親だったらしい。
「だが、マキマ ミーシャに男は早すぎるだろう」
マンキーは、そう言ってホースケを指差すが、どこからどうみてもホースケは、ただの可愛いシマリスのぬいぐるみだ。額に手を当ててマキマは、大きな溜め息を吐く。そして、マンキーの頭を引き寄せ優しく抱きしめた。
「アンタが、私やミーシャのために冒険者やめてギルドマスターになったのも解ってる」
「ああ、マキマとミーシャの側で守りたくてSの証を俺は返した」
ガクリと首を垂れるマンキーの耳元で、マキマは優しく恐怖の言葉を囁いた。
「だけどね 娘は干渉し過ぎると嫌われるよ」
ガバッと勢いよくマンキーは、離れた。その表情は、顔色を無くし恐怖に慄く。ガクガクとマキマの両肩を掴み揺さぶり懇願する。
「そ それは嫌だ だが、ミーシャは ミーシャは……」
「今直ぐに嫁に行くわけじゃないでしょ」
ホースケは、ミーシャにそっと耳打ちする。ミーシャもコクコクと頷いた。両手を前に組んで、小首をコテン少し倒し、ちょっと片足をつま先でトントンしなかがら、小さなお尻ももじもじさせる。上目遣いでマンキーを見上げ、爆弾を投下だ。
「ミーシャ パパのお嫁さんになりたい」
小鳥のように可愛らしい声は、マンキーの脳髄に直撃、華麗なるクリティカルヒットを与えた。
大きな掌を胸の前でぐっと握りしめて膝からガタリと崩れ落ちる。その表情は、昇天したかと思うほど幸せそうだったと後に誰もが語り継いだと言う。
「パパのお嫁さんになりたい」
「パパのお嫁さんになりたい」
「パパのお嫁さんになりたい」
マンキーの頭の中で、同じセリフが何度も繰り返される。男親なら誰もが一度は言われたいセリフのナンバーワンだ。
「ホースケ アンタ ヤルね」
マキマが、親指を立てて「ナイス」だと褒めた。ミーシャとホースケは、顔を見合わせて「キシシ」と笑った。
「取り敢えず、住むところも無いんだろ? うちの屋根裏部屋で良ければ好きに使うと良いよ」
「えー ミーシャのお部屋でも良いのに」
「また、アレが面倒臭いことになるだろ」
「はーい」
少し不満そうだったが、「ホースケと一緒に住めるのなら」と最終的に納得した。
屋根裏部屋は、少し天井が低かったが、オバケでぬいぐるみ姿のホースケには、何の問題もなかった。小さな窓も付いていて、なかなかの広さだ。
マキマが、大き目のクッションを持ってきてくれた。
「必要ないかもしれないけど、ベッド代わりに使いな」
コレもマキマの手作りなのだろうか?水色の四角いふかふかクッションで周りに可愛らしいレースがあしらわれていた。
ホースケは、小窓を開けて、側にクッションを持ってきた。夜空には満天の星が煌めいている。クッションに腰掛けて夜空を見上げる。夜が明け、星が見えなくなるまでずっと星空を眺めていた。
「もちろんのことだが ホースケ オメエのランクは、Fだ」
ホースケの胸にかけられたプレートがキラリと輝く。
「俺のプレート!」
「新人は、真新しいからピカピカっスよ」
真新しいプレートには、汚れも曇りも何一つない。
「俺、冒険者!カッコいい」
「最初は、お使い程度の依頼からはじめて少しずつ覚えて慣れていきゃあいい」
ぽふぽふと大きな手を頭に乗せられ、マンキーに頭を撫でられた。撫でてもらうという感触も新鮮で、ホースケは「でへへ」と頬を赤らめ表情を崩す。
「ホースケ ずっと一緒だよ」
「ミーシャ」
ヒシっとミーシャに抱きつき、頭をグリグリとすり寄せる。傍目から見れば、シマリスのぬいぐるみが幼い少女に抱きついている様にしか見えないため、みな微笑ましく眺めていた。
「ホースケって性別どっちなんだろう」
「ホースケって名前からして男だろう」
ポツリと呟いた誰かの一言が、マンキーの耳に届いてしまう。ピキリとマンキーのコメカミに青スジが浮かび上がる。丸太の様に太い腕もパンプアップしたかの様に、太い血管が浮き上がった。
「んがー ミーシャはまだ嫁にはやらん!」
今まで微笑ましく見守っていたが、ホースケが男であれば話は別。娘の貞操の危機を守るのは父親の役目。
「ホースケ 娘には指一本触れさせんぞ」
ホースケの首根っこを掴むとミーシャから引き離した。目を白黒させるホースケは、マンキーに掴まれ身体をブラブラさせる。
「パパ!ホースケに酷いことしちゃダメ!」
「知らん!」
「ママ!ママ!」
マキマは、「はぁっ」と深く溜め息を吐き、手に持ったフライパンでマンキーの後頭部に綺麗な一発を入れた。
「ハンガッ」
「落ち着きな マンキー」
「ホースケ大丈夫? どこも千切れてない?」
「な 中身がはみ出るかと思った」
どうやらマンキーは、娘の恋愛には過剰な反応をするタイプの父親だったらしい。
「だが、マキマ ミーシャに男は早すぎるだろう」
マンキーは、そう言ってホースケを指差すが、どこからどうみてもホースケは、ただの可愛いシマリスのぬいぐるみだ。額に手を当ててマキマは、大きな溜め息を吐く。そして、マンキーの頭を引き寄せ優しく抱きしめた。
「アンタが、私やミーシャのために冒険者やめてギルドマスターになったのも解ってる」
「ああ、マキマとミーシャの側で守りたくてSの証を俺は返した」
ガクリと首を垂れるマンキーの耳元で、マキマは優しく恐怖の言葉を囁いた。
「だけどね 娘は干渉し過ぎると嫌われるよ」
ガバッと勢いよくマンキーは、離れた。その表情は、顔色を無くし恐怖に慄く。ガクガクとマキマの両肩を掴み揺さぶり懇願する。
「そ それは嫌だ だが、ミーシャは ミーシャは……」
「今直ぐに嫁に行くわけじゃないでしょ」
ホースケは、ミーシャにそっと耳打ちする。ミーシャもコクコクと頷いた。両手を前に組んで、小首をコテン少し倒し、ちょっと片足をつま先でトントンしなかがら、小さなお尻ももじもじさせる。上目遣いでマンキーを見上げ、爆弾を投下だ。
「ミーシャ パパのお嫁さんになりたい」
小鳥のように可愛らしい声は、マンキーの脳髄に直撃、華麗なるクリティカルヒットを与えた。
大きな掌を胸の前でぐっと握りしめて膝からガタリと崩れ落ちる。その表情は、昇天したかと思うほど幸せそうだったと後に誰もが語り継いだと言う。
「パパのお嫁さんになりたい」
「パパのお嫁さんになりたい」
「パパのお嫁さんになりたい」
マンキーの頭の中で、同じセリフが何度も繰り返される。男親なら誰もが一度は言われたいセリフのナンバーワンだ。
「ホースケ アンタ ヤルね」
マキマが、親指を立てて「ナイス」だと褒めた。ミーシャとホースケは、顔を見合わせて「キシシ」と笑った。
「取り敢えず、住むところも無いんだろ? うちの屋根裏部屋で良ければ好きに使うと良いよ」
「えー ミーシャのお部屋でも良いのに」
「また、アレが面倒臭いことになるだろ」
「はーい」
少し不満そうだったが、「ホースケと一緒に住めるのなら」と最終的に納得した。
屋根裏部屋は、少し天井が低かったが、オバケでぬいぐるみ姿のホースケには、何の問題もなかった。小さな窓も付いていて、なかなかの広さだ。
マキマが、大き目のクッションを持ってきてくれた。
「必要ないかもしれないけど、ベッド代わりに使いな」
コレもマキマの手作りなのだろうか?水色の四角いふかふかクッションで周りに可愛らしいレースがあしらわれていた。
ホースケは、小窓を開けて、側にクッションを持ってきた。夜空には満天の星が煌めいている。クッションに腰掛けて夜空を見上げる。夜が明け、星が見えなくなるまでずっと星空を眺めていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる