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第十二章 混迷なう

294話 愛なう

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「「「「「えっ?」」」」」

「あっ」

 パッと口を押えるけどもう遅い。十個の瞳が、俺をジッと見据える。俺はジリっと後退しそうになる足を無理やり押しとどめる。

(というか、皆なんで起きてるんだよ……)

 結構遅い時間で、部屋の灯りも消えていて――そして、寝息まで立ててたじゃないか。いや、俺が動かした時に起きちゃったのか。畜生、じゃあ俺が全部悪いな。
 活力煙を吸い終えて屋根から降りてきたら皆が何か喋ってるし、キアラが静かにするようにジェスチャーをするし。
 ……皆の会話を聞いちゃうし。

「…………………………………………」

「「「「「…………………………………………」」」」」 

 永劫とも思えるような沈黙。互いの吐息と心臓の音が聞こえる。今日一日で、いろんなことがありすぎた。その最後が――

『私たちが何故、ハーレム状態が良いのか』

 ――だって?
 心臓が止まる。そしてすぐにバクバクと夜の女王のアリアばりのスピードで鳴り響く。
 ハーレムがいい?
 そんなの、そんなの――

(……俺にとって、都合がよすぎる!)

 冬子たちが俺を騙す理由は無い。だが、あまりにも都合がよすぎる。だってそうだろう、俺が大好きな女の子が――俺のことが大好きというだけでなく、さらにハーレムでも良いなんて。
 そんなこと、現実にありうるのか? ありえたとして、それを俺がたまたま聞いてしまうなんてあり得るのか?

(都合が良い……まさかキアラか!?)

 お風呂に入る前、思考をどうこうと言っていた。まさかハーレムがOKになるように皆を洗脳したのか!? 
 ……キアラが今更そんなことする必要も理由も無さそうだ。

(……………………えっ、じゃあ、いいの?)

 いいの? じゃない。いや、でも幸せにするって誓ったばかりだし、それでお互いの意見が一致しているなら……それが一番なのでは?
 でもこんな大切なことを、棚からぼた餅で手に入れていいんだろうか。
 いや、でも彼女らは俺の気持ちを知らないはず。それはそうだ、俺すら自覚したのは今日なんだから。
 ということは、冬子たちは俺が皆をどう思ってるか知らない中でこの結論を出したことになって――

「ちなみにキョースケよ、お主がティアールにケータイで話したことはおろか、ヨハネス相手に喋っておったこともこ奴らは聞いておったぞ」

「ちょっ、キアラさん!? なんで言うんです!?」

 ……………………………………………………………………えっ、と?

「よは、ねすに……話した内容も、聞いて、た?」

 俺が恐る恐る問うと……全員がスッと目を逸らした。いたたまれないとでも言いたげに。
 瞬間――俺の脳内に溢れ出す、存在する記憶。ヨハネスに話した、脳みそフラワーガーデンな惚気話。その全て。
 誰かを名指しで愛してると言ったわけじゃない。しかし口調から何から、普段の俺からは考えもつかないもので。
 俺は、俺は――

「くっ……殺せ!」

「京助君が女騎士になった!?」

 ――その場に崩れ落ち、うずくまった。

「ちょっ、ちょっ……き、キアラさん! なんで言ったんですか!」

「お主らとキョースケを平等にしただけぢゃ」

「俺の羞恥心が大爆発するじゃん!」

「でもー……キョウ君、真ん丸になっちゃいましたよー……? あ、キョウくーん。何も怖くないので、お話しましょー?」

「俺は暫く布団にこもる!」

「マスターが球形に……」

「大丈夫デスよー、怖くないデスよー」

「ほーら、京助君の好きな活力煙だよー」

 皆が優しい。いっそ殺してくれ。 

「いいから話しを聞け!」

 冬子に持ち上げられ、布団の上に投げ出される。ダメだ、逃げ場がない。いや、今更逃げてもどうするんだって話だが。

(……いや、そうだ。逃げてどうする)

 ……彼女らと向き合うべきタイミングが来た。それだけだ。
 それだけ、だが……その、出来ればヨハネスに言ってた部分の記憶だけ消去させていただけないだろうか。ここから脳をシリアスに持っていける自信が無い。

「……京助、どこから話を聞いていた」

「……………………………………『私たちが何故、ハーレム状態が良いのか』って、冬子が言ってた、ところ」

「後半全部か……」

 前半があったのか。
 俺は布団の上であぐらをかき、皆を見上げる。彼女らも話し合いの雰囲気を感じ取ったからか、お布団を寄せて俺を囲うように正座した。
 ちなみにキアラは押し入れの中でお酒を飲んでいる。あいつは絶対に〆る。怪獣大決戦も辞さない。

「えっ………………と」

「待って! 京助君。……先に聞きたいことがあるんだけど、いい?」

 俺が口を開くと、それを遮るように美沙が手をあげた。いつになく真剣な目の彼女に、俺は少し気圧される。
 彼女は既に俺に気持ちを伝えてくれている。それなのに、俺はハーレムを選んだんだ。
 話を聞く限り、ハーレムに否は無い様子だったけど――でも、何か言いたいことがあっても然るべきだろう。
 そう、俺は告白を延期にした挙句、ハーレムが良いと言い出した男。どんな文句だって、罵倒だって受け止める所存だ。
 俺は背筋を伸ばし、美沙の方を向く。彼女は真剣なまなざしのまま、俺の方に身を乗り出して――

「……性知識が、保健体育とBLエロ同人しかないって、ほんと?」

「「今それを聞くか!?」」

 俺と冬子の声がハモる。しかし美沙も譲らない。ブンブンと首を振り、拳を握った。

「重要だよ……! これ以上ないくらい重要だよ! だって、もしもそうなら……一から手取り足取り……うへへ」

 正座した足を崩して、胸元をはだけさせながらワキワキと指を曲げる美沙。何故かちょっと危ない笑顔を浮かべて、キラーンと眼鏡を光らせている。ちょっと、その目のやり場に困るスイカがプルンと揺れた。 
 俺、なんでこの子のこと好きなんだろう。

(なんでって)

 ……一途で一生懸命。いつだってゴーイングマイウェイでブレない気持ち。そんなところに惹かれたんだよね。

「…………三次元は苦手だったからアレだけど、その……一般的な、行為の知識くらいはエロ漫画とかで、仕入れてるよ」

「……じゃあ、アブノーマルなプレイを仕込むなら最初が良いのか……」

 仕込まないでくれ。
 しかし俺への質問タイムとなったのか、今度はシュバッ! とマリルが手をあげた。

「キョウ君は本当に男の子が好きじゃないんですよね……? タローさんとの絡みとか、結構筆が進むんですけどー」

「生ものBLは勘弁してもらえませんかねえ!?」

「というか今聞くことじゃないだろう!」

「い、いやだって! 肝心なタイミングになって『やっぱり女の子じゃ勃たない……』とかなったら困るじゃないですかー! しかもなんか、BLエロ本読んでたって!」

 正座した膝の上に手を置いてそんなことを言うマリル。若干涙目になって唇を尖らせ、ふんとそっぽを向いてしまった。
 というかBLで通じるのか……。ほんと、俺は何でこんな子のことを好きになったんだ……。
 …………人のピンチも背負いこんじゃう責任感、細かいところに気づける勤勉さ。そんな彼女だから、俺たちは彼女の分の荷物を持ってあげたくなる。そんな彼女だから、安心して家を空けられる。そんなところに惹かれたんだったね。

「さっき、見たでしょ……お風呂で。俺は、女の子が性愛対象だよ」

「良かったですー」

 ホッと一息つくマリル。

「じゃ、じゃあキョースケさん……」

「なに?」

「……あ、後で……耳掃除させてくださいデス……!」

「ストレートに欲望をぶつけてきた!?」

 しかもぶつけ方がなんか特殊! お、俺はまだ弟と思われているのか……?
 ぺたっと女の子座りになり、ぐっと顔の前で拳を握るシュリー。ぴょこぴょこと揺れるケモミミが、妙に可愛い。

「い、いえそういうわけじゃないんデスけど……! な、なんかこう、キョースケさんって凄くお世話しがいがあるっていうかデス……! 出来れば、お世話を全部させて欲しいデス!」

「あ、わかりますー。なんか家事全部やってあげたくなりますよねー」

 分かるのか……。
 …………いつも笑顔でいてくれて、俺のことをただ受け入れてくれるシュリー。でも受け入れてくれた後、必ず『次』につながるように諭してくれる。そんな彼女だから、俺は惹かれたんだよね。

「これは今なら何を聞いても答えてもらえる流れ……! ではマスター! SですかMですか!」

 修学旅行の夜かな?
 と、は言うものの……Sとか、Mとか考えたことは無いな。冬子の足は好きだけど踏まれたいとは思わないし、かと言ってじゃあ踏みつけたいとは思わないし。
 ……あ、でも皆が恥ずかしがる姿は可愛くて好きかな。

「そ、ソフトS……! マスター! 私はちょっとMです! こ、言葉攻めとかお願いします!」

「だからなんのカミングアウト!?」

「プレイ内容のカミングアウトです!」

 隠す気がねえ!
 リャンは熱かったのか、少しだけ浴衣の裾をはだけさせる。手を前について、目をキラキラさせてそんなことを言ってくる。
 …………生真面目で、いつも俺のことをサポートしてくれて。人前では必ず俺を立ててくれて。俺は彼女のおかげで自信が持てるようになったところはあると思う。そんな彼女だから、俺は惹かれた。

「……おい、京助」

「……な、なに?」

 ふんすふんすと皆が何かに意気込んでいる中、苦笑とも呆れともつかない顔を冬子がこちらに向けてきた。
 その目は、楽しそうに笑ってて――

「ハーレムの主っていうのは、こんな彼女らを一生かけて満足させないといけないんだぞ? お前に務まるのか?」

「……どういう意味さ」

「言葉通りの意味だ。お前に無理というのなら――私が皆を貰う! そしてお前も抱く! そうやってハーレムを乗っ取る! そうすれば、皆ずっと一緒にいられるからな!」

「公然と寝取り宣言やめてもらえない!?」

 ドン! と書き文字が出そうなほど男らしく胸を張る冬子。正座したままちょっと反る物だから、若干バランスを崩して後ろに手をついた。 
 ……ああ、そうだ。彼女は俺に張り合ってくれた。ぶつかってくれた。最終的に彼女と意見が割れたとしても、妥協せずに向き合ってくれた。
 そんな彼女に、俺は惹かれた。
 だから、彼女たちに惹かれた。
 だから、俺は彼女らと一緒にいたいんだ。

「…………冬子」

「ああ」

「リャン」

「はい」

「シュリー」

「はいデス」

「マリル」

「はいー」

「美沙」

「なぁに? 京助君」

 皆の名前を呼び――俺は、ほほ笑む。

 ――最低だって分かってるけど。

 ――自分がされたら嫌なのにこんなこと言うなんてありえないと思うけど。

 ――不誠実だって、分かってるけど。

 頭の中に言葉が浮かんでは消えていく。それはきっと、言いわけだからだろう。
 ああ、うん。こんな大事なシーンで……うじうじとした台詞なんて似合わない。

『お前は自分の妻が自分を「最低」と言ったらどう思う?』

 ティアール、ありがとう。
 おかげで覚悟が決まったよ。
 俺の素直な気持ちを皆に伝えるんだ。
 それが、世間からみてどうとか、良し悪しとか、そんなの忘れて。
 俺は――

「皆のことが、大好きだ。恋人として、家族として、人間として……愛してる。俺の……俺に、俺に一生ついてきてくれ」

 ――言った。
 小賢しいこととか、誤魔化しとか、そういうのは一切口から出なかった。
 ひたすらシンプルに、誰が聞いても勘違いしないくらい。
 ハッキリと、言った。
 ……流石に、俺の女になってくれ、は言えなかったけど。人は物じゃない。
 でも、そう言っちゃいそうなくらい――俺は、皆に傍にいて欲しい。
 それくらい、愛してる。

「………………」

 皆、黙って俺の顔を見ている。
 冬子は、ちょっと涙目になっている。リャンは、キラッと目を輝かせている。シュリーは、優しく微笑んでいる。マリルは、少しだけ恥ずかしそうにしていて……美沙は、なぜかはぁはぁと息を荒くしている。なんでだ。

「……愛してる。好きだ」

 噛んで含めるように、もう一度言った。
 どこが好きとか、なんで惹かれたとか。小賢しい。
 好きってことが、一番大事なんだから。

「皆は――」

 ガバァッ!
 俺の言葉を遮って、皆に同時に抱き着かれる。地面に押し倒され、そのまま全員から体中の骨が軋むほど抱きしめられた。

「私も大好きだ!」「マスター、お慕いしています」「キョースケさん、愛してるデス!」「キョウ君、大好きです……」「京助君が、好き」

 五人が口々に俺に愛を囁いてくれる。囁くっていうか、怒鳴るくらいの勢いだけど。

「……皆、ついてきてくれる?」

「もちろんだ、京助」

「一生、おそばに」

「地獄の果てまでついて行くデスよ」

「絶対、離さないでくださいねー」

「逃げても追いかけるから」

 逃げないよ。
 皆の体温を感じながら――ぐっだぐだな告白になったことに苦笑してしまう。
 どこまでも決まらない……まぁ、俺らしいっちゃ俺らしいか。
 そんなことを思いながら……皆をギュッと抱きしめるのであった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 美沙は京助の腕に抱かれながら、ホッと息を吐いていた。

 ――良かった。

 ――皆、選ばれた。

 京助を信じていたとはいえ、それでもやっぱり言葉にされるのとそうでないのとでは安心感が違う。
 ギュッと抱きしめられ……そして何となく、京助が手を放す。彼の顔を見て、少し笑ってしまう。言葉は勇ましかったのに、自信満々ではなく安堵しきった表情だ。

(京助君……可愛い)

 フラれるなんてあり得ないと、分かっていただろうに。お互い勝ち戦、世界で一番平和な恋愛戦だった。
 京助が少し恥ずかしそうに、美沙たちから目を逸らした。……どうも、美沙の胸部にあるたわわな脂肪に反応してしまったらしい。気まずそうな彼の頬をぷにっとつついて、離れてあげる。

(思いっきり抱いて欲しいけど……流石にそんな空気じゃないもんね)

 美沙は空気が読める。いつもは読んだうえで無視しているだけで。
 よいしょと京助から離れ……少し、喉が渇いていることに気づく。せっかくだし、キアラさんからお酒でも貰って……そして京助に、自分たちのどこが好きなのか問い詰めよう。
 そうほくそ笑みつつ、美沙はキアラさんを目で追って――

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~んぅん!?」

 ――何故か、京助の声にならない悲鳴が聞こえる。
 反射的に京助の方を見ると、そこでは……何故か、彼に馬乗りになってその唇を貪り食らっている女の子が。
 女の子がっていうか、冬子だ。

「って冬子ちゃん!?」

「……なぁ、京助」

 京助に馬乗りになって、しゅるりと浴衣の胸元をはだけさせる冬子。女の美沙から見ても色っぽく艶っぽいその仕草に――京助の頬の赤みが強まる。

「……な、なに?」

 息の荒い冬子。目が完全に捕食者のそれになっている。

「私たち、両想いなんだよな。ここにいる皆と、お前は……もう今日から、恋人同士なんだよな」

「……その、つもりだよ?」

「ということは」

「うん」

「…………………………もう、我慢しなくていいんだよな?」

「冬子さ――むぐっ!?」

 ガシッ! と京助の腕を掴む冬子。京助は混乱しているのか、魔法も何も使わずただ為されるがままにキスされている。
 たっぷり三十秒ほど吸い付いていた冬子は唇を放すと、いつもよりもニトーンくらい低い声で京助に囁いた。

「愛してるぞ、京助」

「待って待って待って目がガチじゃん! いや、別にいいよ? いいけどさ、その、初めてはやっぱりこう、ムードというか、雰囲気というか! 例えば高級ホテルの最上階で薔薇の花が生けられた花瓶の置いてあるベッドの上とか!」

「旅行先で、お互いに想いを伝えあった旅館の布団の上だ。ムードたっぷりだろう?」

「と、冬子ちゃんが壊れた!」

 いやでも抱いて欲しいと言っていたし、アレが素なのかもしれない。

「待って、いや冬子、あの、心の準備が」

「安心しろ。私も初めてだ。思いっきりクレバーに抱いてやる」

「いやそうじゃなくて!」

 なんか向こうが盛り上がっていて、3P無いし6Pという空気でも無い。これはかわるがわる京助を犯す流れなのだろう。
 そう考えた美沙は、同じく乗り遅れたピア、マリル、リューの方へ。

「じゃあ、次は誰が行くかじゃんけんで決めますか?」

「そうですね。……まさかトーコが真っ先に行くとは」

「わー……結構エッグいキスするんですねー、トーコちゃん」

「ヨホホ……で、でもキョースケさんの身体がもつデスかね、この人数」

(安心せい……妾が絶倫になる魔法をかけたからのぅ……。それと……キョースケの爪も切っておいた……あと……あ奴がグダグダ言わんように……お主ら皆に、ちょっと気分が高揚する魔法をかけておいた……誰か暴走するかもしれんが……まぁ上手くやるがよい……妾はもう寝る故……明日にでも感想を聞かせよ……) 

 脳にキアラさんの声が直接響く。なんだ、それなら腹上死の心配も無い。

「というか都合よすぎませんかー?」

「まぁキアラさんですし」

 そんな便利な魔法、今度教えてもらえないだろうか。

「じゃんけん、ぽいっ」

 美沙がグー、他の皆がチョキ。京助を二番目に抱く権利を手に入れた。

「ふっふっふ、それじゃあお先に京助君を抱いてくるね」

「……まあ、仕方ありません。厳正なじゃんけんの結果ですからね」

「ヨホホ……で、でもすぐ次にすると言われても困ったかもしれないデス」

「まぁでも、あのキョウ君ですからねー。優しくイチャイチャする感じになるかもしれ――」

 どだん!
 また、大きな音が。
 美沙たちが冬子と京助の方を見ると……いつの間にか、マウントポジションが入れ替わっていた。京助が片手で冬子の両腕を纏めて拘束し、顎をクイッとつまんで、キスをしているところだった。

「………………冬子」

 目が真剣。美沙はそんな彼を見て、ちょっとドキッとしてしまう。

「な、なんだ?」

「愛してるよ」

 そう、呟いた京助は――文字通り冬子に襲い掛かった。
 それはまるで、まるで猛獣のようで――

「……前言撤回。これ、私たちが抱かれるんだね」

「いやそれで正しいはずなんですけどね」

「……ヨホホ、ちょっと強引なキョースケさんもイイデスね……」

「あわぁ……あ、あんなに激しくされたら私は朝まで持たないかもしれないですねー……」

 四人で京助と冬子を見ながら、若干悟る。
 京助って本当に男の子だったんだな、と――
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