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第十一章 先へ、なう
274話 位置なう
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「それで、ピア。今はどの辺にいるんだ?」
『せめて我々がいる階層が分かれば良いのですが……』
『あー、ねぇねぇ! 私一番乗りだよ! 上に行く階段見つけた!』
『ヨホホ、また飛ばされないように気を付けてくださいデスよ』
『えーと……皆さん、緊張感無さすぎませんかー? キョウ君とキアラさん、連絡がつかないんですよねー……?』
唐突に転移させられて、三十分ほど経過しただろうか。周囲の気配を探りながら、冬子はズンズン前へ進んでいく。
時折壁が前を塞ぐが、それは蹴りで粉砕して前へ進む。
『でも冬子ちゃん、気配だけを頼りにカウンターって怖く無いの?』
ケータイから聞こえる美沙の声が、普段の物になっている。戦闘モードじゃなくなっているらしい。
「特に不便は無いぞ。空気の流れや音でだいたい何がどこにいるか分かるからな」
ダンジョン内は視界が悪く、ダンジョンモンスターは透明なせいで視認することは難しい。
しかしそれならば視覚に頼らなければいいのだ。周囲の気配を探り、攻撃にカウンターを合わせるだけで敵は勝手に死んでいく。
『それにしても、マスターとキアラさんだけケータイが繋がらないのはなぜでしょうね』
『あー、やっとそれに言及してくれましたねー。気になってるの、私だけかと思ってましたー』
ちょっと苦笑した声を出すマリルさん。彼女は今、アンタレスのギルドに行ってもらってダンジョンの資料を漁ってもらっている。このダンジョンに入る前にキアラさんの転移で送り届けておいたのだ。
本来ならばベガのギルドが良かったのだが、流石に中に入る許可が下りなかったのでいったんアンタレスに戻ってもらったのだ。
「気にはなるのですが……でも京助ですからね。あいつがやられるような敵が出てくるなら、ハッキリ言って単体で当たれば我々は死にます」
言ってて、ギュッと唇をかみしめる。悔しい、という感情はやはり消えてはくれない。
しかしだからと言って現状の戦力分析を感情で覆すわけにもいかない。
「逆説的に言えば、我々が生きているということはあいつも生きています」
『はぁ……分かるような、分からないような』
『つまり京助君のことを心配するくらいなら、自分たちが生きてなきゃいけないって話です。じゃないと京助君の子どもを産めませんから』
ナチュラルにちょっと重たいことを言いだす美沙。本当にそういうところは尊敬する。
「だから私たちは出来ることをしましょう。で……えっと、美沙は見つけたんだったな。上の階に上がってから、下のボタンを押してくれ」
『よいしょ。はーい、ぽちっとな』
一拍おいて、冬子の持つ羅針盤が上を示す。正確には左斜め上か。美沙が冬子の上の層にいるということは間違い無いだろう。
「やはり美沙が上であることは変わらないようだな。念のため、上の層から順番に確認していこう。次はリューさん」
『ヨホホ』
右斜め上を指す羅針盤。
『やっぱり私は下を示してるね』
『私は上です』
「私も上だ。では次は私が」
冬子が下のボタンを押すと、一拍おいて皆からの反応が返ってくる。
『下だねー』
『下デスね』
『上です。やはり私が下ですか』
上から美沙、リューさん、冬子、ピアの順番でバラバラになっているらしい。お互いの上下だけでも分かっているのは僥倖だ。上の人に当たるまで下の人間は上がっていけばいいのだから。
そして美沙の位置が変わらなかったのもありがたい。少なくとも下層に転移したということも無さそうだから。
「転移丸薬が使えたらいいんだが……」
『ヨホホ……転移丸薬は使えないと思った方が良いデス。何故ならワタシたちより前に入ったAランカーたちは一人も帰還していないのデスから。アレは使うと魔力がゼロになるデス、ちゃんと使える確証が無いうちは下手に使わない方がいいデス』
『それもそうだね……あ、ちゃんと階段の下に私が置いておいたハンカチが落ちてる。これ、層を上がる分には転移してないっぽいね』
美沙の報告を受けて少しホッとする。これで層を変えるたびに転移してたら進むも戻るも出来なくなってしまう。
「じゃあどうやって合流するか……京助みたいに便利な魔法でも使えたらいいんだが」
『ヨホホ、流石に自分のいる階層を表示出来る魔法は無いデスよ』
それはそうだ。
『でもさっきの魔力爆発気になるなー。たぶん京助君だと思うんだけど』
「そんなこと言ってたな」
『ヨホホ、たぶんそう……くらいの曖昧な情報デスし、いったん忘れた方が良いと思うデス』
魔法師の二人しか分からない感覚なようだ。微かに何か『圧』というか『力』は感じた気はするが……冬子も確証は持てない。
『それはそうなんですけど……むむむ、はぁ、うん。やっぱ完全に忘れますね。じゃあ、私はここで留まっておいたほうがいいかな』
「ああ」
取りあえず最上層の美沙が階段を見つけたタイミングで、いったんストップ。そこに誰かが追い付くまでは野営の準備でもしておいてもらおう。
『野営って……テント立てる? たぶん、滅茶苦茶ダンジョンモンスター来るよ』
「階段のところなら三方向しか警戒しなくて済むだろ」
テキトーなことを言っていると、リューさんがちょっと喜んだ声を出した。
『ヨホホ、一層に比べると見つけやすくなっているんデスかね。ワタシも階段を見つけたデスよ。ミサさん、ボタン押して欲しいデス』
くるっと羅針盤の針が回る。
『やっぱりまだもう少し上デスね。このままミサさんのところ目指して進むデスよー』
『合流をお待ちしてますー』
『ヨホホ、ではもう壁をぶち抜きながらそちらに進むデス』
これで彼女らは合流出来るかもしれない。そう思いつつ、冬子が進むと……
「……なんか妙に壁に回り込まれるな」
冬子は松明の灯りを掲げて辺りを照らす。先ほどから真っ直ぐ進もうとすると、妙に壁が回り込んでくるのだ。
魂を足に纏い、蹴っ飛ばして壁を壊す。……こんなところ見られたら、京助から足癖が悪いと思われてしまうかもしれない。
『トーコさんもですか。私も先ほどから露骨に回り込まれていますね。せいっ!』
『ヨホホ、なんでデスかね。ワタシもデスよ』
二人のケータイから壁を壊す音が聞こえてくる。やっぱり冬子の気のせいではないらしい。
『それにしても冬子ちゃんって足癖悪いよね。京助君がいないと地面に落ちてる下着とか足の指で持ち上げたりしてるじゃん』
「し、ししし、してない! う、嘘を言うな美沙!」
何で知ってるんだ。
「やっ!」
拳で壁を破壊してみる……が、二発必要だった。やっぱり蹴りで壁は壊そう。
透明なダンジョンモンスターはさっきから波状攻撃のように襲い掛かってくるが、やはり一体一体がそんなに強くない。しかし、数がとにかく多い。
(これはさっさと合流出来ないとしんどいかもな)
幸い、罠らしい罠はまだ出て来ていない。せいぜい見えない矢と、落とし穴くらいだ。矢は叩き落せるし、落とし穴は落ちる前に壁に剣を刺せば落ちることは無い。
しかし精神は徐々に削られて行っている。特に合流する方法が無ければ、休憩すら出来ないのだ。
(……後、十五時間ってところだろうか)
自分の精神状態、体力の状態からそうリミットを設定する。それまでに合流出来なければお陀仏だ。
ぽたっ、と汗が落ちる。冬子は水を飲み、一息ついた。
「美沙、リューさん。合流出来そうですか?」
『んー、私の方は入口動いてないよー』
『ヨホホ、ワタシは真っ直ぐ進んでいますデスが、なかなか広いデスから……ヨホッ!?』
「どうしました!?」
『あ、足を滑らせただけデス……ビックリしたデス』
ホッとする。
『……あ、私今転移させられましたね。なるほど、このダンジョンのメイントラップは転移床のようですね』
ピアが何のことは無いようにそんなことを言う。
「転移床か……厄介だな」
『見極めるコツは羅針盤です。アレの針がいきなり変化したら転移させられていると思ってください』
言われて羅針盤に目を落とすと、いきなり針の向きが変わった。どうやら冬子も転移床を踏んだらしい。
これの連続でどう進んでいるか分からなくなって、合流出来ずにいずれ殺される……なるほど、前言を撤回しよう。これは相当悪辣なダンジョンだ。
『転移床……ってことは、床に罠があるんだよね』
「そうなんじゃないか?」
美沙の問いにそう返すと、ピアが補足してくれる。
『床にしか罠を置いていないから、視線を上に上げるための矢と、誤魔化すための落とし穴なんでしょうね。この転移罠で常に方向感覚を分からなくさせることが、ダンジョンの罠の肝なのでしょう』
『合流出来なければ休憩できませんデスからねぇ。一日、二日でも孤立させれば充分なんでしょうデスね』
ふぅ、と冬子は息を吐く。食料や水分はまだいい、アイテムボックスに大量に入っている。しかし休憩はいかんともしがたい。特に睡眠だ。
いくら異世界に来て身体能力が上がり頑丈になったと言っても、限度がある。寝なければキツいのは人類に共通する弱点だ。
一日、二日なら寝なくとも何とかなるが……三日、四日となればもうキツイ。それにただ起きているだけじゃなくて、ずっと警戒し続けてだ。
『ねぇ、冬子ちゃん。私たぶん一回も転移してないんだけどさ。地面をずっと凍らせながら歩いてたからだと思うんだよね』
「……ああ、床を踏まなければいいという理屈か」
『うん。だから冬子ちゃんも飛べば転移しなくて済むんじゃない?』
無茶を言う。冬子とピアは魔法も使えないというのにどうすればいいというのか。
『ヨホホ、そう言えばワタシも落とし穴が煩わしくて飛びつつ移動していますデスからね、それで結構真っ直ぐ進めているのかもしれないデス』
「飛べたんですか?」
『ふわふわゆっくり落ちることは出来るので、跳躍の滞空時間を伸ばしていると言った方が適切かもしれないデスね。以前、キョースケさんと一緒に開発した炎魔法でも飛べる方法のおかげデス』
なるほど、ス〇ブラのピ〇チ姫のようなものか。ぴょんと跳んで、ふわふわとローブ姿で滑空するリューさんを想像したら少し面白いが。
『地に足をつけないと戦えないわけじゃないデスからね』
魔法が使えるのは素直に羨ましいものだ。冬子は生活魔法くらいしか使えない。
そんな会話をしていると、ケータイの向こうでピアがちょっと楽しそうな声をあげだした。
『出来るかどうか、やってみるものですね!』
「ど、どうした急に」
『いえ、天井には転移罠は無さそうでしたので……『雷刺』から出した糸にナイフを括り付け、ワイヤー代わりに刺して移動しています』
……つまり、スパイダーマン方式で移動している、と。便利な武器を持ってるのはいいな、冬子は地道に歩くしかない。
ため息をついてから足を踏み出し――
「……天井、歩けるかな」
『頭に血が上るよ、冬子ちゃん』
――美沙に言われて断念する。それもそうだ。
とはいえ、地面を馬鹿正直に歩いていたらいつまでたっても前に進めないかもしれない。
「あ、そうか。壁をこうして」
壁を蹴りつけ、跳躍する。三角跳びの要領でぴょんぴょんと前に進んでいく。壁を蹴り壊さないようにそっと蹴らないといけないので、力加減が難しいが。少しだけめり込ませれば、安定して前に飛ぶことが出来る。
そして目の前に壁が出てきたら蹴り壊せばいい。
「我ながら結構、頭を使ったな」
トン、トンと飛んでる最中に透明なダンジョンモンスターが襲い掛かってくる。それを踏みつければさらに簡単に床を踏まずに前へ進めるな。
これなら――ッ!
『冬子ちゃんって京助君に負けず劣らず脳筋だよね』
『マスターがパワー型とおっしゃっていただけのことはありますね』
『ヨホホ、魔法抜きだと腕相撲でキョースケさんに勝てるデスものね』
『頭を使った? トーコさん、頭突きで敵を倒したんですかー?』
……誰が脳筋だ! とは言えないのでグッと堪える。そして何で頭を使ったと聞いて頭突きになるのか。
冬子はトントンとリズミカルに壁を蹴り、羅針盤の針に沿って進んでいく。
「おっと、なんか壁が来なくなったな。……ということは、別方向に進んでるのか?」
空中でターン、天井に足を刺していったん立ち止まる。右側に視線をやると、ささーっと壁が回り込んできて道を塞いだ。なるほど、そちらか。
「種さえわかればどうということは無いな」
『『ヨホホ! ワタシも下層へ行く階段を見つけたデス』』
リューさんの声が二重に聞こえる。おっ、とケータイを取り出すと、さらに美沙の声も二重に聞こえた。
『『あー、リューさんの声だ!』』
『どうも合流出来たようですね』
「ええ」
これであの二人は大丈夫だろう。ホッと一息ついて、冬子は壁に足をめり込ませる。
「さて、後は私たちが合流出来たらいいんだが……おっと、階段だ」
『ちょうどいいタイミングですね。私も見つけました』
冬子はそのまま上層へ登ろうとして……ふと、足を止める。
「この位置を覚えておいて、下へ向かった方がいいか? そっちの方が早くピアと合流出来るだろう」
そう問うと、数秒の沈黙の後……ピアは息を吐いた。
『そうしていただきたいところですが……体力の消費を抑えることも大事です。幸い、私が一番ダンジョン慣れしていますから、今はまだ私が上って追いつく方向でいかせてください』
ピアはそんなことを言うが……大丈夫なんだろうか。
『今、およそ一時間ほどで階段を見つけることが出来ました。この羅針盤の性能からして、十層も離れているとは考えづらいんですよね。よって、四時間経っても合流出来なそうであれば……トーコさんも動くことを検討してください』
腕時計を見る。前の世界から持ってきたもので、数少ない現役の道具だ。時刻はもうすぐ午後九時。入ってから約十一時間半か。
さらに四時間となると、午前一時になる。いくらピアが冬子たちの中で最もダンジョン慣れしていると言っても、無休憩でこれだけ動くというのは……。
『前回の休憩から、今は一時間と少し経ちましたから……あと四時間はノンストップで動けると思いますから』
「無理をしたら……いや、無理しないとダメか」
『ええ。無理してでも私はトーコさんと合流して休憩せねばマズいです。皆さん、今のうちに体力を温存しておいてください』
ピアのケータイから、シャキン、シャキンと金属音が聞こえる。
『このダンジョン内でも『雷刺し』は使えるようですので、これの転移を惜しみなく使って加速します。マリルさん、文献等で似たダンジョンを探すこと……引き続き、お願いできますでしょうか』
『もうギルドに泊まり込みする許可取ったんで大丈夫ですー』
『ふぇえええええ! もうマリル先輩、ギルド職員じゃないですか殆どぉ!』
『はいはい、シェヘラ。貴方の仕事手伝ってあげるんでー、言うこと聞いてくださいー』
『ふぇぇぇぇえええ……溜まってた仕事を全部消すっていう甘言に乗るんじゃなかったです……でもマリル先輩やっぱめっちゃ早いです……こうなったら、今度から困ったら先輩呼ぼう……』
向こうで何やら愉快な声が聞こえる。シェヘラはなかなか苦労しているようだ。冬子は階段に腰を下ろして水を含む。お腹は空いていないが、気力が結構限界だ。
ひたっ。
ひたっ。
ダンジョンモンスターの足音が聞こえる。遠距離技をそんなに持っていない冬子としては、近づいて倒すしかない。
…………。
「ソードスコルパイダーインパクト~」
ズバァッ!
無茶苦茶なエネルギーの斬撃が飛び出す。本来であればキアラさんか京助に補充を頼むところだが、今回は周囲の魔力も多いし冬子も魔力を使っていないので、そのうちまた補充されるだろう。
『何その気の抜けた技名。あ、リューさんは休憩に入ったよー。今、私の膝の上で寝てる』
「……なんでこんな緊張感のあるダンジョンで、そんなホンワカしているんだ」
『でもリューさんの髪ってさらさらだよねー。ってかヤバい、ケモミミ……凄い気持ちいい……京助君が隙あらば触ろうとするの分かるなぁ……』
『最近はマスターに耳を触られたら、触り返すようにしています。フッ!』
ピアのケータイから粉砕音が連続する。たぶん壁を二個、三個と連続で破壊しているのだろう。
彼女が合流するまでは、こちらも動けない。この層まで来たらどっちの方向に行けばいいのか言えるのだが……。
「黙ってると寝そうだ」
『しりとりでもする?』
「なんで初手から会話の墓場なんだ」
『じゃあ分かってる情報を纏めておきましょうかー。私がメモを取りますから―』
マリルさんの言う通り、今のうちにまとめておくべきか。
「まず、昇る階段に行けないように壁が先回りしてくる」
『罠はメインで三つ、落とし穴と矢、そして転移床です。この転移床が曲者ですね。床をよく見ると、ほんの少しだけ浮いているんですが、見分けるよりもこうして踏まない方が楽ですね』
アイテムボックスから、チョコレート……に、似たお菓子を取り出す。甘味が少ないこの世界において、貴重なエネルギー源だ。
もっとも、前の世界に比べるとだいぶビターだが。
「後はダンジョンモンスターが透明で、しかもかなりの数がやってきている」
そのおかげで冬子は床を踏まずに来れたわけだが。ガチャガチャと音を立てて透明なスケルトンがこちらへ襲い掛かってくる。もしかするとゴーレムも混じってるのかもしれないが、見えないから興味が無い。
冬子は剣の一振りでそいつらを片付け、ふうと天井を見上げる。
(まずは、生き残らないと)
副リーダーとして、皆を生き残らせる。
グッと唇を噛む。自分の不甲斐なさに。どこまでも不甲斐ない、何故なら『あの時ああしていれば――』という具体的な後悔が湧いてこないのだ。
どうしていれば良かったんだ、しか浮かばない。どれほど自分は無知で無力だというのか。
(京助なら、後悔する前に動けって言うだろうな)
自嘲気味に笑い、今度はジャーキーを齧る。
生き残る、生き残らせる。まずはそれからだ。
今日から、変わるんだ。背負うんだ。
自分は、このチームの副リーダーなのだから。
『せめて我々がいる階層が分かれば良いのですが……』
『あー、ねぇねぇ! 私一番乗りだよ! 上に行く階段見つけた!』
『ヨホホ、また飛ばされないように気を付けてくださいデスよ』
『えーと……皆さん、緊張感無さすぎませんかー? キョウ君とキアラさん、連絡がつかないんですよねー……?』
唐突に転移させられて、三十分ほど経過しただろうか。周囲の気配を探りながら、冬子はズンズン前へ進んでいく。
時折壁が前を塞ぐが、それは蹴りで粉砕して前へ進む。
『でも冬子ちゃん、気配だけを頼りにカウンターって怖く無いの?』
ケータイから聞こえる美沙の声が、普段の物になっている。戦闘モードじゃなくなっているらしい。
「特に不便は無いぞ。空気の流れや音でだいたい何がどこにいるか分かるからな」
ダンジョン内は視界が悪く、ダンジョンモンスターは透明なせいで視認することは難しい。
しかしそれならば視覚に頼らなければいいのだ。周囲の気配を探り、攻撃にカウンターを合わせるだけで敵は勝手に死んでいく。
『それにしても、マスターとキアラさんだけケータイが繋がらないのはなぜでしょうね』
『あー、やっとそれに言及してくれましたねー。気になってるの、私だけかと思ってましたー』
ちょっと苦笑した声を出すマリルさん。彼女は今、アンタレスのギルドに行ってもらってダンジョンの資料を漁ってもらっている。このダンジョンに入る前にキアラさんの転移で送り届けておいたのだ。
本来ならばベガのギルドが良かったのだが、流石に中に入る許可が下りなかったのでいったんアンタレスに戻ってもらったのだ。
「気にはなるのですが……でも京助ですからね。あいつがやられるような敵が出てくるなら、ハッキリ言って単体で当たれば我々は死にます」
言ってて、ギュッと唇をかみしめる。悔しい、という感情はやはり消えてはくれない。
しかしだからと言って現状の戦力分析を感情で覆すわけにもいかない。
「逆説的に言えば、我々が生きているということはあいつも生きています」
『はぁ……分かるような、分からないような』
『つまり京助君のことを心配するくらいなら、自分たちが生きてなきゃいけないって話です。じゃないと京助君の子どもを産めませんから』
ナチュラルにちょっと重たいことを言いだす美沙。本当にそういうところは尊敬する。
「だから私たちは出来ることをしましょう。で……えっと、美沙は見つけたんだったな。上の階に上がってから、下のボタンを押してくれ」
『よいしょ。はーい、ぽちっとな』
一拍おいて、冬子の持つ羅針盤が上を示す。正確には左斜め上か。美沙が冬子の上の層にいるということは間違い無いだろう。
「やはり美沙が上であることは変わらないようだな。念のため、上の層から順番に確認していこう。次はリューさん」
『ヨホホ』
右斜め上を指す羅針盤。
『やっぱり私は下を示してるね』
『私は上です』
「私も上だ。では次は私が」
冬子が下のボタンを押すと、一拍おいて皆からの反応が返ってくる。
『下だねー』
『下デスね』
『上です。やはり私が下ですか』
上から美沙、リューさん、冬子、ピアの順番でバラバラになっているらしい。お互いの上下だけでも分かっているのは僥倖だ。上の人に当たるまで下の人間は上がっていけばいいのだから。
そして美沙の位置が変わらなかったのもありがたい。少なくとも下層に転移したということも無さそうだから。
「転移丸薬が使えたらいいんだが……」
『ヨホホ……転移丸薬は使えないと思った方が良いデス。何故ならワタシたちより前に入ったAランカーたちは一人も帰還していないのデスから。アレは使うと魔力がゼロになるデス、ちゃんと使える確証が無いうちは下手に使わない方がいいデス』
『それもそうだね……あ、ちゃんと階段の下に私が置いておいたハンカチが落ちてる。これ、層を上がる分には転移してないっぽいね』
美沙の報告を受けて少しホッとする。これで層を変えるたびに転移してたら進むも戻るも出来なくなってしまう。
「じゃあどうやって合流するか……京助みたいに便利な魔法でも使えたらいいんだが」
『ヨホホ、流石に自分のいる階層を表示出来る魔法は無いデスよ』
それはそうだ。
『でもさっきの魔力爆発気になるなー。たぶん京助君だと思うんだけど』
「そんなこと言ってたな」
『ヨホホ、たぶんそう……くらいの曖昧な情報デスし、いったん忘れた方が良いと思うデス』
魔法師の二人しか分からない感覚なようだ。微かに何か『圧』というか『力』は感じた気はするが……冬子も確証は持てない。
『それはそうなんですけど……むむむ、はぁ、うん。やっぱ完全に忘れますね。じゃあ、私はここで留まっておいたほうがいいかな』
「ああ」
取りあえず最上層の美沙が階段を見つけたタイミングで、いったんストップ。そこに誰かが追い付くまでは野営の準備でもしておいてもらおう。
『野営って……テント立てる? たぶん、滅茶苦茶ダンジョンモンスター来るよ』
「階段のところなら三方向しか警戒しなくて済むだろ」
テキトーなことを言っていると、リューさんがちょっと喜んだ声を出した。
『ヨホホ、一層に比べると見つけやすくなっているんデスかね。ワタシも階段を見つけたデスよ。ミサさん、ボタン押して欲しいデス』
くるっと羅針盤の針が回る。
『やっぱりまだもう少し上デスね。このままミサさんのところ目指して進むデスよー』
『合流をお待ちしてますー』
『ヨホホ、ではもう壁をぶち抜きながらそちらに進むデス』
これで彼女らは合流出来るかもしれない。そう思いつつ、冬子が進むと……
「……なんか妙に壁に回り込まれるな」
冬子は松明の灯りを掲げて辺りを照らす。先ほどから真っ直ぐ進もうとすると、妙に壁が回り込んでくるのだ。
魂を足に纏い、蹴っ飛ばして壁を壊す。……こんなところ見られたら、京助から足癖が悪いと思われてしまうかもしれない。
『トーコさんもですか。私も先ほどから露骨に回り込まれていますね。せいっ!』
『ヨホホ、なんでデスかね。ワタシもデスよ』
二人のケータイから壁を壊す音が聞こえてくる。やっぱり冬子の気のせいではないらしい。
『それにしても冬子ちゃんって足癖悪いよね。京助君がいないと地面に落ちてる下着とか足の指で持ち上げたりしてるじゃん』
「し、ししし、してない! う、嘘を言うな美沙!」
何で知ってるんだ。
「やっ!」
拳で壁を破壊してみる……が、二発必要だった。やっぱり蹴りで壁は壊そう。
透明なダンジョンモンスターはさっきから波状攻撃のように襲い掛かってくるが、やはり一体一体がそんなに強くない。しかし、数がとにかく多い。
(これはさっさと合流出来ないとしんどいかもな)
幸い、罠らしい罠はまだ出て来ていない。せいぜい見えない矢と、落とし穴くらいだ。矢は叩き落せるし、落とし穴は落ちる前に壁に剣を刺せば落ちることは無い。
しかし精神は徐々に削られて行っている。特に合流する方法が無ければ、休憩すら出来ないのだ。
(……後、十五時間ってところだろうか)
自分の精神状態、体力の状態からそうリミットを設定する。それまでに合流出来なければお陀仏だ。
ぽたっ、と汗が落ちる。冬子は水を飲み、一息ついた。
「美沙、リューさん。合流出来そうですか?」
『んー、私の方は入口動いてないよー』
『ヨホホ、ワタシは真っ直ぐ進んでいますデスが、なかなか広いデスから……ヨホッ!?』
「どうしました!?」
『あ、足を滑らせただけデス……ビックリしたデス』
ホッとする。
『……あ、私今転移させられましたね。なるほど、このダンジョンのメイントラップは転移床のようですね』
ピアが何のことは無いようにそんなことを言う。
「転移床か……厄介だな」
『見極めるコツは羅針盤です。アレの針がいきなり変化したら転移させられていると思ってください』
言われて羅針盤に目を落とすと、いきなり針の向きが変わった。どうやら冬子も転移床を踏んだらしい。
これの連続でどう進んでいるか分からなくなって、合流出来ずにいずれ殺される……なるほど、前言を撤回しよう。これは相当悪辣なダンジョンだ。
『転移床……ってことは、床に罠があるんだよね』
「そうなんじゃないか?」
美沙の問いにそう返すと、ピアが補足してくれる。
『床にしか罠を置いていないから、視線を上に上げるための矢と、誤魔化すための落とし穴なんでしょうね。この転移罠で常に方向感覚を分からなくさせることが、ダンジョンの罠の肝なのでしょう』
『合流出来なければ休憩できませんデスからねぇ。一日、二日でも孤立させれば充分なんでしょうデスね』
ふぅ、と冬子は息を吐く。食料や水分はまだいい、アイテムボックスに大量に入っている。しかし休憩はいかんともしがたい。特に睡眠だ。
いくら異世界に来て身体能力が上がり頑丈になったと言っても、限度がある。寝なければキツいのは人類に共通する弱点だ。
一日、二日なら寝なくとも何とかなるが……三日、四日となればもうキツイ。それにただ起きているだけじゃなくて、ずっと警戒し続けてだ。
『ねぇ、冬子ちゃん。私たぶん一回も転移してないんだけどさ。地面をずっと凍らせながら歩いてたからだと思うんだよね』
「……ああ、床を踏まなければいいという理屈か」
『うん。だから冬子ちゃんも飛べば転移しなくて済むんじゃない?』
無茶を言う。冬子とピアは魔法も使えないというのにどうすればいいというのか。
『ヨホホ、そう言えばワタシも落とし穴が煩わしくて飛びつつ移動していますデスからね、それで結構真っ直ぐ進めているのかもしれないデス』
「飛べたんですか?」
『ふわふわゆっくり落ちることは出来るので、跳躍の滞空時間を伸ばしていると言った方が適切かもしれないデスね。以前、キョースケさんと一緒に開発した炎魔法でも飛べる方法のおかげデス』
なるほど、ス〇ブラのピ〇チ姫のようなものか。ぴょんと跳んで、ふわふわとローブ姿で滑空するリューさんを想像したら少し面白いが。
『地に足をつけないと戦えないわけじゃないデスからね』
魔法が使えるのは素直に羨ましいものだ。冬子は生活魔法くらいしか使えない。
そんな会話をしていると、ケータイの向こうでピアがちょっと楽しそうな声をあげだした。
『出来るかどうか、やってみるものですね!』
「ど、どうした急に」
『いえ、天井には転移罠は無さそうでしたので……『雷刺』から出した糸にナイフを括り付け、ワイヤー代わりに刺して移動しています』
……つまり、スパイダーマン方式で移動している、と。便利な武器を持ってるのはいいな、冬子は地道に歩くしかない。
ため息をついてから足を踏み出し――
「……天井、歩けるかな」
『頭に血が上るよ、冬子ちゃん』
――美沙に言われて断念する。それもそうだ。
とはいえ、地面を馬鹿正直に歩いていたらいつまでたっても前に進めないかもしれない。
「あ、そうか。壁をこうして」
壁を蹴りつけ、跳躍する。三角跳びの要領でぴょんぴょんと前に進んでいく。壁を蹴り壊さないようにそっと蹴らないといけないので、力加減が難しいが。少しだけめり込ませれば、安定して前に飛ぶことが出来る。
そして目の前に壁が出てきたら蹴り壊せばいい。
「我ながら結構、頭を使ったな」
トン、トンと飛んでる最中に透明なダンジョンモンスターが襲い掛かってくる。それを踏みつければさらに簡単に床を踏まずに前へ進めるな。
これなら――ッ!
『冬子ちゃんって京助君に負けず劣らず脳筋だよね』
『マスターがパワー型とおっしゃっていただけのことはありますね』
『ヨホホ、魔法抜きだと腕相撲でキョースケさんに勝てるデスものね』
『頭を使った? トーコさん、頭突きで敵を倒したんですかー?』
……誰が脳筋だ! とは言えないのでグッと堪える。そして何で頭を使ったと聞いて頭突きになるのか。
冬子はトントンとリズミカルに壁を蹴り、羅針盤の針に沿って進んでいく。
「おっと、なんか壁が来なくなったな。……ということは、別方向に進んでるのか?」
空中でターン、天井に足を刺していったん立ち止まる。右側に視線をやると、ささーっと壁が回り込んできて道を塞いだ。なるほど、そちらか。
「種さえわかればどうということは無いな」
『『ヨホホ! ワタシも下層へ行く階段を見つけたデス』』
リューさんの声が二重に聞こえる。おっ、とケータイを取り出すと、さらに美沙の声も二重に聞こえた。
『『あー、リューさんの声だ!』』
『どうも合流出来たようですね』
「ええ」
これであの二人は大丈夫だろう。ホッと一息ついて、冬子は壁に足をめり込ませる。
「さて、後は私たちが合流出来たらいいんだが……おっと、階段だ」
『ちょうどいいタイミングですね。私も見つけました』
冬子はそのまま上層へ登ろうとして……ふと、足を止める。
「この位置を覚えておいて、下へ向かった方がいいか? そっちの方が早くピアと合流出来るだろう」
そう問うと、数秒の沈黙の後……ピアは息を吐いた。
『そうしていただきたいところですが……体力の消費を抑えることも大事です。幸い、私が一番ダンジョン慣れしていますから、今はまだ私が上って追いつく方向でいかせてください』
ピアはそんなことを言うが……大丈夫なんだろうか。
『今、およそ一時間ほどで階段を見つけることが出来ました。この羅針盤の性能からして、十層も離れているとは考えづらいんですよね。よって、四時間経っても合流出来なそうであれば……トーコさんも動くことを検討してください』
腕時計を見る。前の世界から持ってきたもので、数少ない現役の道具だ。時刻はもうすぐ午後九時。入ってから約十一時間半か。
さらに四時間となると、午前一時になる。いくらピアが冬子たちの中で最もダンジョン慣れしていると言っても、無休憩でこれだけ動くというのは……。
『前回の休憩から、今は一時間と少し経ちましたから……あと四時間はノンストップで動けると思いますから』
「無理をしたら……いや、無理しないとダメか」
『ええ。無理してでも私はトーコさんと合流して休憩せねばマズいです。皆さん、今のうちに体力を温存しておいてください』
ピアのケータイから、シャキン、シャキンと金属音が聞こえる。
『このダンジョン内でも『雷刺し』は使えるようですので、これの転移を惜しみなく使って加速します。マリルさん、文献等で似たダンジョンを探すこと……引き続き、お願いできますでしょうか』
『もうギルドに泊まり込みする許可取ったんで大丈夫ですー』
『ふぇえええええ! もうマリル先輩、ギルド職員じゃないですか殆どぉ!』
『はいはい、シェヘラ。貴方の仕事手伝ってあげるんでー、言うこと聞いてくださいー』
『ふぇぇぇぇえええ……溜まってた仕事を全部消すっていう甘言に乗るんじゃなかったです……でもマリル先輩やっぱめっちゃ早いです……こうなったら、今度から困ったら先輩呼ぼう……』
向こうで何やら愉快な声が聞こえる。シェヘラはなかなか苦労しているようだ。冬子は階段に腰を下ろして水を含む。お腹は空いていないが、気力が結構限界だ。
ひたっ。
ひたっ。
ダンジョンモンスターの足音が聞こえる。遠距離技をそんなに持っていない冬子としては、近づいて倒すしかない。
…………。
「ソードスコルパイダーインパクト~」
ズバァッ!
無茶苦茶なエネルギーの斬撃が飛び出す。本来であればキアラさんか京助に補充を頼むところだが、今回は周囲の魔力も多いし冬子も魔力を使っていないので、そのうちまた補充されるだろう。
『何その気の抜けた技名。あ、リューさんは休憩に入ったよー。今、私の膝の上で寝てる』
「……なんでこんな緊張感のあるダンジョンで、そんなホンワカしているんだ」
『でもリューさんの髪ってさらさらだよねー。ってかヤバい、ケモミミ……凄い気持ちいい……京助君が隙あらば触ろうとするの分かるなぁ……』
『最近はマスターに耳を触られたら、触り返すようにしています。フッ!』
ピアのケータイから粉砕音が連続する。たぶん壁を二個、三個と連続で破壊しているのだろう。
彼女が合流するまでは、こちらも動けない。この層まで来たらどっちの方向に行けばいいのか言えるのだが……。
「黙ってると寝そうだ」
『しりとりでもする?』
「なんで初手から会話の墓場なんだ」
『じゃあ分かってる情報を纏めておきましょうかー。私がメモを取りますから―』
マリルさんの言う通り、今のうちにまとめておくべきか。
「まず、昇る階段に行けないように壁が先回りしてくる」
『罠はメインで三つ、落とし穴と矢、そして転移床です。この転移床が曲者ですね。床をよく見ると、ほんの少しだけ浮いているんですが、見分けるよりもこうして踏まない方が楽ですね』
アイテムボックスから、チョコレート……に、似たお菓子を取り出す。甘味が少ないこの世界において、貴重なエネルギー源だ。
もっとも、前の世界に比べるとだいぶビターだが。
「後はダンジョンモンスターが透明で、しかもかなりの数がやってきている」
そのおかげで冬子は床を踏まずに来れたわけだが。ガチャガチャと音を立てて透明なスケルトンがこちらへ襲い掛かってくる。もしかするとゴーレムも混じってるのかもしれないが、見えないから興味が無い。
冬子は剣の一振りでそいつらを片付け、ふうと天井を見上げる。
(まずは、生き残らないと)
副リーダーとして、皆を生き残らせる。
グッと唇を噛む。自分の不甲斐なさに。どこまでも不甲斐ない、何故なら『あの時ああしていれば――』という具体的な後悔が湧いてこないのだ。
どうしていれば良かったんだ、しか浮かばない。どれほど自分は無知で無力だというのか。
(京助なら、後悔する前に動けって言うだろうな)
自嘲気味に笑い、今度はジャーキーを齧る。
生き残る、生き残らせる。まずはそれからだ。
今日から、変わるんだ。背負うんだ。
自分は、このチームの副リーダーなのだから。
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