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第十一章 先へ、なう
253話 無理解なう
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サリルが顔をサーッと青くして、慌ててイーピンの方に駆け寄る。そりゃそうだ、アンタレスに常駐しているAGならまだしも別の街のAG。しかも恐らくBは固い実力者だ。
案の定、連中は殺気だった目でイーピンを睨みつける。しかしイーピンはどこ吹く風と言う感じだ。
「お、おい何やってんだ! す、すまねえ。こいつは頭がおかしいんだ!」
サリルが間に入って頭を下げる。まあうん、頭がおかしいとは思うけどそんなストレートに言うんだね。
しかしイーピンも凄い。かばってくれたサリルを押し退け、ビシッと彼らの机を指さした。
「もう食べ終えているじゃないですか! それならボクらに席を譲るべきです!」
「だぁああああ! 黙ってろイーピン! いや、ほんとにすまねえ。さっさと出てくから勘弁してくれ!」
まあ、イーピンの言い分が一切理解出来ないわけじゃない。混んでる時にそれをされたら店も困るからね。
しかし、今は席もそこそこ空いている。これから混んでくるかもしれないが、人が座れなくなったら流石に店員(というかギルド職員)が彼らに声をかけるはずだ。
「イーピン! 別に席くらいくっつけりゃいいだろ!」
「でもおかしいでしょう!」
「ああもう……! ホントすまねぇ、この通りだ!」
サリルが手を合わせて頭を下げる。前に出てくるのは、さっき俺が気配を探ろうとしたら剣をちらつかせたAG。無精ひげを生やして肩にかかるくらいの長髪をなびかせたイケオジって感じの雰囲気の男だ。
「おい、京助。止めなくていいのか?」
「力ずくで止めれなくも無いけど、サリルが上手く収めるよ。相手もサリルもベテランだしね」
俺がそう言いながら活力煙を咥えて見ていると、そのリーダーらしき男は俺の方をチラッと見た。
そしてフッと笑う。
「まあなんだ、あんたも苦労してるっぽいな」
サリルにそう声をかけ、イーピンに緩く殺気を当てるリーダー。
「次はねぇ。今回は許してやるよ」
そしてドンッ、と軽くイーピンを突き飛ばした。
取りあえず喧嘩にならなくてホッとするサリルとキルスティン。冬子も胸をなでおろしている。
しかしイーピンは収まらないようだ。さらにもう一歩前に出て、腰の剣に手をかけた。
「納得できません!」
相手のAGも流石に剣呑な空気を出して、腰の剣に手をかける。まさに一触即発という空気になってしまう。
さしものサリルも実力行使に出ることにしたのか、イーピンの腕を掴んだ。
「何我がまま言ってんだ! 相手が本当に理不尽ならキョースケがもう怒ってる! ほら堪えろ、行くぞ!」
その腕を振り払おうとするが、結構な力で掴まれているのかイーピンは振りほどけない。二度、三度腕を振るがサリルが手を離さないので……イーピンは諦めたか、剣から手を離した。どこか不満げだが、もう突っかかる気は無いらしい。
相手のAGもこんなところで斬り合いをしたくなかったのだろう、肩の力を抜いて息を緩く吐いた。ホッとした様子だ。
「あんたがリーダーならちゃんと躾けとけ。テメェも、いい年なら我慢を覚えろ」
「お、おう。悪いな」
流石にイーピンに舐められたと思ったか、やや強めの口調で言うそのリーダー。とはいえ殴ったりするつもりは無いのか、そのまま踵を返した。
「お、おいイーピン行くぞ……」
流石にもうイーピンを説教するような空気でも無いからか、何も言わずサリルはその肩に手を置いた。
しかしイーピンはパンとその手を弾くと、ズイッと前に出た。
「我慢……? ボクは、間違ってない。なのに我慢……!?」
そして――
「ボクは我慢する気は無い!」
――ギィィィン!
金属音がギルド内に響き渡る。サリルは目を見開き、キルスティンは顔に手を当て、冬子は手を口に当て……俺はちょっと笑ってしまう。
「……抜いたな?」
不意打ちだったにも関わらず、敵のリーダーは何と剣を抜くことなくイーピンの剣を受け止めた。鞘で上手いこと弾いたみたいだね。
しかしイーピンも負けてない。抜いた剣から手を離し、そのままのど輪を狙って突き刺す。
ガッ! 指絡みでその手を掴むリーダー。ダメだ、相当実力差があるね。
「火傷じゃ済まねえぞ」
「こっちのセリフだッ! 離せッ!」
そう叫んだ瞬間、イーピンの手が赤く光る。炎……じゃない、そこまで強くない。しかしこいつの|技量(レベル)からして加減して放つようなことが出来ると思えない。
熱魔法、かな。面白い魔法を使うね。
相手のリーダーも目を丸くしている。剣を抜くだけならまだしも(いやこれでも大分アウトだけど)、魔法を使うとなると殺し合いだ。
「ブルース!」
「リーダー!」
ガタッ、と彼のチームメイトたちが立ち上がる。それを敵リーダー、ブルースは手で制してから、剣に手をかけた。
「死にてぇらしいな。望み通りにしてやるよ」
「ちょっ、ちょちょちょっ! イーピン!」
そのタイミングでサリルが止めに入る。しかしもうお互い止まらない領域だ、サリルが下手に入った方が逆にマズい。
「……止めるからな、京助」
「うん」
冬子は即座に頭を戦闘モードに切り替えたらしい。俺も魔力を練る。武器が出てたらワンミスで死ぬからね。
そう思って二人の方に目を向けたところで――
「ッ!」
――ブルースが、こちらを見た。見てしまった。そりゃそうか、俺と冬子がこの空間では最強の存在。動けばこちらを警戒するのは当然だ。
(しまった)
と、俺が思っても遅い。イーピンはその隙を逃さず剣に魔法を纏わせて斬りかかった。ワンテンポ遅れてブルースが反応するけど『職スキル』を使っている感じはない。一拍遅れであの攻撃を素の筋力だけで受けるのはかなりキツイ。
しかもイーピンが使っている魔法剣は、熱魔法だけじゃ無さそうだ。水蒸気のようなものが出て剣速が上がっている。
(調子に乗るだけのことはあるなッ!)
アレは受けるのをミスれば致命傷になる可能性がある。それは余計な恨みを買う、イーピンは自業自得でもサリルやキルスが殺し合いに巻き込まれるのは避けたい。
というか――アレはマジで、人に向けてやるような威力じゃないぞ!
「ああもう……『エアロック』!」
ぴたっ! とその場にいた全員の動きが止まる。その場にいた――というか、ギルドの内部全員の動きが止まってしまっただろう。
「ふぇぇぇぇぇえええ! か、金縛りですかぁああああ! う、動けません~! ふぇぇぇぇぇええ! キョースケさん、助けてくださぁぁぁぁぁぁい!」
「なんであの女は京助に助けを求めてるんだ」
「知り合いの中で一番強いからじゃない?」
咄嗟だったのでこの空間全ての空気を止めてしまったけど、改めてイーピンとブルースだけに魔法をかけなおす。
「ふぇぇぇえええ! ……あ、大丈夫になった。キョースケさーん、やっぱいいです~」
あっちで五月蠅いシェヘラは動きだけじゃなくて息の根も止めた方がいいかな。
俺はため息をついて、改めて二人の方へ行く。
「ここまですると思ってなかったよ。……ごめんね、手を出して」
「……誰だ、テメェ」
ブルースがギラリと睨みつけてくる。俺はそんな彼とイーピンを風で引き離してから、魔法を解いた。
ここで、力技で押し切ったらイーピンに何を言っても響かない。どうしたものか。
というか……マルキムや、タローならどうするかな。彼らは強いけど……力だけでどうにかしているのはあまり見ないから。
「『流星』のキョースケ……って言ったら知ってるかな?」
俺が名乗ると、ブルースは目を見開く。
「……最近のSランクAGは、下っ端を使って冴えないロートルをしばくのが流行りなのか?」
「まさか。俺も想定外だよ」
言いながら、俺はブルースに活力煙を渡す。いつものあいさつ代わりのヤツじゃない、少しお高い特別なそれだ。
ブルースも一目でそれが分かったのか、何も言わず黙って懐にしまった。
「俺の家はアンタレスの外れだ。もし尋ねてきたら歓迎するよ」
「……そうか。俺はまだ宿も決めてなくてな。おすすめの宿屋と飯屋は?」
「宿のおススメなら『三毛猫のタンゴ』。そこのご飯も美味しいけど、んー……ガッツリ行きたいなら『メガ・ミートポロイモン』ってお店がおススメ。お酒は……ああ、『ファイブ』ってスポーツバーは闘技場観戦しながら飲めるよ」
俺がそう教えてあげると、ブルースは「そうか」とだけ言ってから踵を返した。
「おら、行こうぜ。チェックインしてギルドに報告しなくちゃなんねえんだからよ」
「あ、ああ」
皆釈然としない表情だが、リーダーの決定に何も言わず従う。何人かイーピンを睨んでいるけど、口を結んで出て行った。
「さ、キョースケさん。席が空きましたね!」
物凄い無神経なことを言いだすイーピン。これと付き合ってるサリルは大人だ……。
「っていうか、普段からあんな感じなんですか?」
「アンタレスでギルドによく出入りする奴らはねー、もうアレに慣れてて『はいはい』みたいな感じなのよ」
後ろで冬子とキルスティンの会話が聞こえる。そしてサリルはその二人を追い抜き――ブルースたちが出て行ったのを見て、思いっきりイーピンの胸倉を掴んだ。
「テメェ! イーピン! 何してやがる!」
ギルド内に響き渡るほどの大声を出すサリル。当然と言えば当然の反応に、イーピンはその手を振り払おうとした。
しかしサリルの筋力には勝てないのか、なかなか振り払えない。
「は、なして……ください!」
「馬鹿か、馬鹿が! お前は、あんなことをしでかして……! ギルド内で武器を抜くのも大概なのに、ましてお前魔法も使うなんて! 何でそう我慢がきかねえんだよ!」
そう言えば俺、デビューする前に武器で脅されたことあったっけね。
なんて思いながら、俺はサリルの説教を聞くイーピンの方を眺める。
「キョースケがいなかったらどうなってたと思ってるんだ! 今頃、俺達は全員殺されてても文句は言えねえんだぞ!」
ギルド内だし、殺すまでやるかどうかは分からないが……それでも、サリルの言う通り何をされても文句は言えない。
しかしイーピンはその話に――つまり自分がボコボコにされるということに納得がいかないのか、サリルに思いっきり頭突きをかました。
「腰抜けは黙っていてください! ボクは負けないんです! 力があるんです! もう誰の指図も受けない、ボクは自由なんだ! もう我慢なんかするものか!」
無茶苦茶なことを言っているが、先ほどの力の一端を見せられて――なるほど確かに、調子に乗るだけのことはあると思っている。
サリルは思いっきり拳を振り上げると、イーピンの頬をぶん殴った。
「馬鹿なことを言ってんじゃねえぞ! あんなの、どう足掻いても勝てるわけねえだろうが!」
「そんなわけないじゃないですか! それに、仮に負けたところであなたには関係ないでしょう!?」
「関係あるわボケ! 俺はテメェの所属しているチームのリーダーなんだよ! 責任者なんだよ!」
「だから関係無いでしょう!? ボクがあなたのチームに所属したくてしてるわけじゃないんですから!」
思いっきりサリルを殴り返すイーピン。しかしタフなサリルは微塵も効いておらずむしろその胸倉を掴んだまま、机に叩きつけた。
「だからそれが馬鹿だって言ってるんだ! 今のまま、一人でやっていけるわけがねえだろうが! お前がいると客からの評価は最低になるんだぞ!?」
「それがどうしたって言うんですか! 強ければそんなの問題無いでしょう!?」
「強かろうが依頼が来ねえ、達成出来ねえAGに意味何かねえんだよ!」
地面にたたきつけ、馬乗りになるサリル。そしてそのままイーピンの顔面をぶん殴ろうとしたので――俺は、そっと彼の手を取る。
「サリル。……君の言い分は間違っちゃいない。でも今のこいつは殴ったところで話を聞いたりしないよ」
「うっ……」
ぐっ、と歯を食いしばるサリル。馬乗りになられたイーピンは不快そうにサリルをどかした。
「いいです、そんなこと言うのならキョースケさんのチームに入れてもらいます!」
「あ、うち今チームの増員やってないから」
「ボクほどの力があればキョースケさんだって――って、え?」
イーピンが啖呵を切った瞬間、バッサリと切り捨てる。
「な、何でですか!?」
「サリルの言う通り、自分より強い人間に突っかかるような危なっかしい人間をチームに入れる余裕は無いよ。うちは若手ばっかの新興チームだからね」
平均年齢が二十歳以下のチームなんて、若手も若手。自分で言うのもどうかと思うけど、マリルやキアラがいてくれるからどうにかなってるけど、精神的な問題で綻びが出てもおかしくないような年齢層だ。
そこにこんな不安定な人間を入れる余裕はない。
「で、でも! ボクはBランクAGにだって負けないくらいの力はあります!」
「そもそも戦力は間に合ってる。実力者揃いだからね」
俺がそう言うと、キルスティンが後ろの方で「そう考えると、キョースケ以外の連中も大概狂ってるわね」とか言ってるけど取りあえずスルー。
「そもそも教えるならサリルの方が上手だ。やっぱり何も知らないうちは誰かに聞きながら学んだ方がいいよ」
何度も教導をやってる、ある意味プロの男がサリルだ。うちのチームに入るよりも何倍も得るものがあるだろう。
「チームじゃないと出来ないこともある。いずれ自分でチームを立ち上げたいとか思っているなら、なおさらチームに所属して学びながら成長していった方がいいよ」
俺だってたぶん、キアラから強制的にリャンをチーム入りさせられてなければ……シュリーのことも断ったかもしれないし、美沙のことを仲間に入れるなんて最初から考えなかったかもしれない。本当の意味で連携出来るようになったのもその後からだしね。
「で、でも! ……この人たちはボクに命令するばかりで!」
「そりゃ、誰でも最初は我慢だよ」
俺だってそうだった――そう、言おうとしたところでイーピンの顔が真っ赤になる。
「貴方なら……ッ!」
そして深い失望と、悲しみを得たような顔で……イーピンはプルプルと拳を震わせてから椅子をぶん殴って壊した。
「……貴方なら分かってくれると思ったのにッ!」
バン! と椅子をすっ飛ばしてギルドから出ていくイーピン。あまりの剣幕で、止める暇も無かった。
ポカーンと彼が出て行った方を眺めていると……サリルは肩を落として、ため息をついた。
「ああ、クソッ……悪かったたな、京助。せっかく来てくれたのによ」
力なく笑うサリル。まあ今日のアレは事故みたいなものだ。彼らがいなければここまで大事にはなっていないだろう。
「まあ……取りあえずお昼にしよう。ちょっとお腹減ったよ」
「お、おお。そうか? そうか、んじゃ食うか」
壊れた諸々をギルドに報告し、俺達は端っこの方の席に移動する。イーピンが減ったおかげで、ちょうど四人になったしね。
「お待たせしましたー、ふぇぇぇ……なんでキョースケさんまで一緒になって暴れてるんですかぁ……」
「暴れてないよ、止めただけ」
ギルドに併設されている食事スペース兼酒場は、昼間はギルドの受付嬢が交代で料理を作ったり給仕したりしてくれる。夜は専門のスタッフが入るのだが、お酒を出さない昼は彼女らだけで十分なんだそうだ。
そのため、ギルドの受付嬢は料理が必須スキル(ノット『職スキル』)なのだ。皆がお嫁さんに欲しがる理由の一つだね。
「先食べてていいぞ」
「いいの? ありがと。……あ、美味しい。シェヘラが作ったの? これ」
「はい~……ふぇぇぇぇ……何かフィアさんが胃袋さえ掴めばいずれとか言うので~、最近はよく~」
何か涙目になってオロオロするシェヘラ。まあ料理が上手で損することは無いからいいんじゃないかな。
俺はそんなことを思いながら、ムシャムシャ食べていると……フィアさんがサリルの分のご飯を持ってきた。
「はい、サリル。……あら? 今日は女の子多めじゃない?」
一瞬で目が据わるフィアさん。美人があんな表情するとガチで怖い。
「いや、フィア。違うって、全員彼氏持ちだぞ?」
「へぇ、若い子の方がいいんだ。ふーん?」
「待てって、おい待て、なんでトーマイトジュースなんだよふざけ、わ、悪かったよフィア。な、頼むからちゃんと注文通り持ってきてくれ……この通りだ」
サリルがフィアさんの眼光に負けてぺこぺこしている姿は結構面白い。面白いけど、こんな露骨にやってたのに俺は気づかなかったのか……。
「なぁ京助。……あの二人って」
「んー……まあ、大人な関係らしいよ」
「ふぇぇぇぇ……フィアさんがたまーにお泊りすると翌日物凄い機嫌が悪いので勘弁して欲しいんですよねー……」
ボソッと言うシェヘラ。
「当日は引くくらい上機嫌で、翌日にその反動が来るのでー……もう怖くて怖くて……ふぇぇぇぇ」
「へぇ、シェヘラ。今週は休日返上で働くって? 分かったわ、私が付きっ切りで仕事を教えてあげるわね」
「ふぇぇぇぇぇぇええええええ! きょ、キョースケさん助けてくださいふぇぇええ!」
「頑張れ」
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
連れ去られるシェヘラ。へぇ、たまにフィアさんはサリルとお泊りしてるのか……。
「……うぐ、フィアめ……これトーマイトの缶詰使ってやがる……ミートソースだけにしてくれよ……」
徹底的にトマト攻めにされるサリルは見てて正直面白い。
とはいえ……彼の顔色が優れないのはトマトのせいじゃないだろう。
「どうしたものかな」
俺がそう呟くと、サリルは力なく首を振った。
「いや、もう……ちょっとアレは俺じゃ無理そうだ。諦めるのもどうかと思っていたが……」
「うちのチーム、火力を出せる人がいないからさ。あんなんでも一応戦力として見てたんだけど……うん、今日のアレは付いていけなかった」
ぐたっとテーブルの上で溶けるキルスティン。まあ、見限るのも分かる気がするよ。
サリルは少し思いつめた顔になると……もう一度ため息をついて、無理矢理笑みを作った。
「ほんっと、悪かったなキョースケ。時間まで取らせたのに……」
「別に大丈夫だよ」
時間を取ったって言っても、昨日今日の数時間程度だ。怒るようなことではない。
「埋め合わせってわけじゃねえんだが、この後ちょっと付き合ってくれねえか? 酒をおごるよ」
「ん、いいよ。冬子も来る?」
「行きたいところだが、遠慮しておく」
「あ、じゃああたしが何か御馳走するよ。美味しいスイーツを出すお店知ってるからさ」
キルスティンの提案にキュピーンと目を光らせる冬子。相変わらず甘いものに目が無いね。
ご飯を食べ終え、俺達は立ち上がる。
「それじゃあサリル、また夜に」
案の定、連中は殺気だった目でイーピンを睨みつける。しかしイーピンはどこ吹く風と言う感じだ。
「お、おい何やってんだ! す、すまねえ。こいつは頭がおかしいんだ!」
サリルが間に入って頭を下げる。まあうん、頭がおかしいとは思うけどそんなストレートに言うんだね。
しかしイーピンも凄い。かばってくれたサリルを押し退け、ビシッと彼らの机を指さした。
「もう食べ終えているじゃないですか! それならボクらに席を譲るべきです!」
「だぁああああ! 黙ってろイーピン! いや、ほんとにすまねえ。さっさと出てくから勘弁してくれ!」
まあ、イーピンの言い分が一切理解出来ないわけじゃない。混んでる時にそれをされたら店も困るからね。
しかし、今は席もそこそこ空いている。これから混んでくるかもしれないが、人が座れなくなったら流石に店員(というかギルド職員)が彼らに声をかけるはずだ。
「イーピン! 別に席くらいくっつけりゃいいだろ!」
「でもおかしいでしょう!」
「ああもう……! ホントすまねぇ、この通りだ!」
サリルが手を合わせて頭を下げる。前に出てくるのは、さっき俺が気配を探ろうとしたら剣をちらつかせたAG。無精ひげを生やして肩にかかるくらいの長髪をなびかせたイケオジって感じの雰囲気の男だ。
「おい、京助。止めなくていいのか?」
「力ずくで止めれなくも無いけど、サリルが上手く収めるよ。相手もサリルもベテランだしね」
俺がそう言いながら活力煙を咥えて見ていると、そのリーダーらしき男は俺の方をチラッと見た。
そしてフッと笑う。
「まあなんだ、あんたも苦労してるっぽいな」
サリルにそう声をかけ、イーピンに緩く殺気を当てるリーダー。
「次はねぇ。今回は許してやるよ」
そしてドンッ、と軽くイーピンを突き飛ばした。
取りあえず喧嘩にならなくてホッとするサリルとキルスティン。冬子も胸をなでおろしている。
しかしイーピンは収まらないようだ。さらにもう一歩前に出て、腰の剣に手をかけた。
「納得できません!」
相手のAGも流石に剣呑な空気を出して、腰の剣に手をかける。まさに一触即発という空気になってしまう。
さしものサリルも実力行使に出ることにしたのか、イーピンの腕を掴んだ。
「何我がまま言ってんだ! 相手が本当に理不尽ならキョースケがもう怒ってる! ほら堪えろ、行くぞ!」
その腕を振り払おうとするが、結構な力で掴まれているのかイーピンは振りほどけない。二度、三度腕を振るがサリルが手を離さないので……イーピンは諦めたか、剣から手を離した。どこか不満げだが、もう突っかかる気は無いらしい。
相手のAGもこんなところで斬り合いをしたくなかったのだろう、肩の力を抜いて息を緩く吐いた。ホッとした様子だ。
「あんたがリーダーならちゃんと躾けとけ。テメェも、いい年なら我慢を覚えろ」
「お、おう。悪いな」
流石にイーピンに舐められたと思ったか、やや強めの口調で言うそのリーダー。とはいえ殴ったりするつもりは無いのか、そのまま踵を返した。
「お、おいイーピン行くぞ……」
流石にもうイーピンを説教するような空気でも無いからか、何も言わずサリルはその肩に手を置いた。
しかしイーピンはパンとその手を弾くと、ズイッと前に出た。
「我慢……? ボクは、間違ってない。なのに我慢……!?」
そして――
「ボクは我慢する気は無い!」
――ギィィィン!
金属音がギルド内に響き渡る。サリルは目を見開き、キルスティンは顔に手を当て、冬子は手を口に当て……俺はちょっと笑ってしまう。
「……抜いたな?」
不意打ちだったにも関わらず、敵のリーダーは何と剣を抜くことなくイーピンの剣を受け止めた。鞘で上手いこと弾いたみたいだね。
しかしイーピンも負けてない。抜いた剣から手を離し、そのままのど輪を狙って突き刺す。
ガッ! 指絡みでその手を掴むリーダー。ダメだ、相当実力差があるね。
「火傷じゃ済まねえぞ」
「こっちのセリフだッ! 離せッ!」
そう叫んだ瞬間、イーピンの手が赤く光る。炎……じゃない、そこまで強くない。しかしこいつの|技量(レベル)からして加減して放つようなことが出来ると思えない。
熱魔法、かな。面白い魔法を使うね。
相手のリーダーも目を丸くしている。剣を抜くだけならまだしも(いやこれでも大分アウトだけど)、魔法を使うとなると殺し合いだ。
「ブルース!」
「リーダー!」
ガタッ、と彼のチームメイトたちが立ち上がる。それを敵リーダー、ブルースは手で制してから、剣に手をかけた。
「死にてぇらしいな。望み通りにしてやるよ」
「ちょっ、ちょちょちょっ! イーピン!」
そのタイミングでサリルが止めに入る。しかしもうお互い止まらない領域だ、サリルが下手に入った方が逆にマズい。
「……止めるからな、京助」
「うん」
冬子は即座に頭を戦闘モードに切り替えたらしい。俺も魔力を練る。武器が出てたらワンミスで死ぬからね。
そう思って二人の方に目を向けたところで――
「ッ!」
――ブルースが、こちらを見た。見てしまった。そりゃそうか、俺と冬子がこの空間では最強の存在。動けばこちらを警戒するのは当然だ。
(しまった)
と、俺が思っても遅い。イーピンはその隙を逃さず剣に魔法を纏わせて斬りかかった。ワンテンポ遅れてブルースが反応するけど『職スキル』を使っている感じはない。一拍遅れであの攻撃を素の筋力だけで受けるのはかなりキツイ。
しかもイーピンが使っている魔法剣は、熱魔法だけじゃ無さそうだ。水蒸気のようなものが出て剣速が上がっている。
(調子に乗るだけのことはあるなッ!)
アレは受けるのをミスれば致命傷になる可能性がある。それは余計な恨みを買う、イーピンは自業自得でもサリルやキルスが殺し合いに巻き込まれるのは避けたい。
というか――アレはマジで、人に向けてやるような威力じゃないぞ!
「ああもう……『エアロック』!」
ぴたっ! とその場にいた全員の動きが止まる。その場にいた――というか、ギルドの内部全員の動きが止まってしまっただろう。
「ふぇぇぇぇぇえええ! か、金縛りですかぁああああ! う、動けません~! ふぇぇぇぇぇええ! キョースケさん、助けてくださぁぁぁぁぁぁい!」
「なんであの女は京助に助けを求めてるんだ」
「知り合いの中で一番強いからじゃない?」
咄嗟だったのでこの空間全ての空気を止めてしまったけど、改めてイーピンとブルースだけに魔法をかけなおす。
「ふぇぇぇえええ! ……あ、大丈夫になった。キョースケさーん、やっぱいいです~」
あっちで五月蠅いシェヘラは動きだけじゃなくて息の根も止めた方がいいかな。
俺はため息をついて、改めて二人の方へ行く。
「ここまですると思ってなかったよ。……ごめんね、手を出して」
「……誰だ、テメェ」
ブルースがギラリと睨みつけてくる。俺はそんな彼とイーピンを風で引き離してから、魔法を解いた。
ここで、力技で押し切ったらイーピンに何を言っても響かない。どうしたものか。
というか……マルキムや、タローならどうするかな。彼らは強いけど……力だけでどうにかしているのはあまり見ないから。
「『流星』のキョースケ……って言ったら知ってるかな?」
俺が名乗ると、ブルースは目を見開く。
「……最近のSランクAGは、下っ端を使って冴えないロートルをしばくのが流行りなのか?」
「まさか。俺も想定外だよ」
言いながら、俺はブルースに活力煙を渡す。いつものあいさつ代わりのヤツじゃない、少しお高い特別なそれだ。
ブルースも一目でそれが分かったのか、何も言わず黙って懐にしまった。
「俺の家はアンタレスの外れだ。もし尋ねてきたら歓迎するよ」
「……そうか。俺はまだ宿も決めてなくてな。おすすめの宿屋と飯屋は?」
「宿のおススメなら『三毛猫のタンゴ』。そこのご飯も美味しいけど、んー……ガッツリ行きたいなら『メガ・ミートポロイモン』ってお店がおススメ。お酒は……ああ、『ファイブ』ってスポーツバーは闘技場観戦しながら飲めるよ」
俺がそう教えてあげると、ブルースは「そうか」とだけ言ってから踵を返した。
「おら、行こうぜ。チェックインしてギルドに報告しなくちゃなんねえんだからよ」
「あ、ああ」
皆釈然としない表情だが、リーダーの決定に何も言わず従う。何人かイーピンを睨んでいるけど、口を結んで出て行った。
「さ、キョースケさん。席が空きましたね!」
物凄い無神経なことを言いだすイーピン。これと付き合ってるサリルは大人だ……。
「っていうか、普段からあんな感じなんですか?」
「アンタレスでギルドによく出入りする奴らはねー、もうアレに慣れてて『はいはい』みたいな感じなのよ」
後ろで冬子とキルスティンの会話が聞こえる。そしてサリルはその二人を追い抜き――ブルースたちが出て行ったのを見て、思いっきりイーピンの胸倉を掴んだ。
「テメェ! イーピン! 何してやがる!」
ギルド内に響き渡るほどの大声を出すサリル。当然と言えば当然の反応に、イーピンはその手を振り払おうとした。
しかしサリルの筋力には勝てないのか、なかなか振り払えない。
「は、なして……ください!」
「馬鹿か、馬鹿が! お前は、あんなことをしでかして……! ギルド内で武器を抜くのも大概なのに、ましてお前魔法も使うなんて! 何でそう我慢がきかねえんだよ!」
そう言えば俺、デビューする前に武器で脅されたことあったっけね。
なんて思いながら、俺はサリルの説教を聞くイーピンの方を眺める。
「キョースケがいなかったらどうなってたと思ってるんだ! 今頃、俺達は全員殺されてても文句は言えねえんだぞ!」
ギルド内だし、殺すまでやるかどうかは分からないが……それでも、サリルの言う通り何をされても文句は言えない。
しかしイーピンはその話に――つまり自分がボコボコにされるということに納得がいかないのか、サリルに思いっきり頭突きをかました。
「腰抜けは黙っていてください! ボクは負けないんです! 力があるんです! もう誰の指図も受けない、ボクは自由なんだ! もう我慢なんかするものか!」
無茶苦茶なことを言っているが、先ほどの力の一端を見せられて――なるほど確かに、調子に乗るだけのことはあると思っている。
サリルは思いっきり拳を振り上げると、イーピンの頬をぶん殴った。
「馬鹿なことを言ってんじゃねえぞ! あんなの、どう足掻いても勝てるわけねえだろうが!」
「そんなわけないじゃないですか! それに、仮に負けたところであなたには関係ないでしょう!?」
「関係あるわボケ! 俺はテメェの所属しているチームのリーダーなんだよ! 責任者なんだよ!」
「だから関係無いでしょう!? ボクがあなたのチームに所属したくてしてるわけじゃないんですから!」
思いっきりサリルを殴り返すイーピン。しかしタフなサリルは微塵も効いておらずむしろその胸倉を掴んだまま、机に叩きつけた。
「だからそれが馬鹿だって言ってるんだ! 今のまま、一人でやっていけるわけがねえだろうが! お前がいると客からの評価は最低になるんだぞ!?」
「それがどうしたって言うんですか! 強ければそんなの問題無いでしょう!?」
「強かろうが依頼が来ねえ、達成出来ねえAGに意味何かねえんだよ!」
地面にたたきつけ、馬乗りになるサリル。そしてそのままイーピンの顔面をぶん殴ろうとしたので――俺は、そっと彼の手を取る。
「サリル。……君の言い分は間違っちゃいない。でも今のこいつは殴ったところで話を聞いたりしないよ」
「うっ……」
ぐっ、と歯を食いしばるサリル。馬乗りになられたイーピンは不快そうにサリルをどかした。
「いいです、そんなこと言うのならキョースケさんのチームに入れてもらいます!」
「あ、うち今チームの増員やってないから」
「ボクほどの力があればキョースケさんだって――って、え?」
イーピンが啖呵を切った瞬間、バッサリと切り捨てる。
「な、何でですか!?」
「サリルの言う通り、自分より強い人間に突っかかるような危なっかしい人間をチームに入れる余裕は無いよ。うちは若手ばっかの新興チームだからね」
平均年齢が二十歳以下のチームなんて、若手も若手。自分で言うのもどうかと思うけど、マリルやキアラがいてくれるからどうにかなってるけど、精神的な問題で綻びが出てもおかしくないような年齢層だ。
そこにこんな不安定な人間を入れる余裕はない。
「で、でも! ボクはBランクAGにだって負けないくらいの力はあります!」
「そもそも戦力は間に合ってる。実力者揃いだからね」
俺がそう言うと、キルスティンが後ろの方で「そう考えると、キョースケ以外の連中も大概狂ってるわね」とか言ってるけど取りあえずスルー。
「そもそも教えるならサリルの方が上手だ。やっぱり何も知らないうちは誰かに聞きながら学んだ方がいいよ」
何度も教導をやってる、ある意味プロの男がサリルだ。うちのチームに入るよりも何倍も得るものがあるだろう。
「チームじゃないと出来ないこともある。いずれ自分でチームを立ち上げたいとか思っているなら、なおさらチームに所属して学びながら成長していった方がいいよ」
俺だってたぶん、キアラから強制的にリャンをチーム入りさせられてなければ……シュリーのことも断ったかもしれないし、美沙のことを仲間に入れるなんて最初から考えなかったかもしれない。本当の意味で連携出来るようになったのもその後からだしね。
「で、でも! ……この人たちはボクに命令するばかりで!」
「そりゃ、誰でも最初は我慢だよ」
俺だってそうだった――そう、言おうとしたところでイーピンの顔が真っ赤になる。
「貴方なら……ッ!」
そして深い失望と、悲しみを得たような顔で……イーピンはプルプルと拳を震わせてから椅子をぶん殴って壊した。
「……貴方なら分かってくれると思ったのにッ!」
バン! と椅子をすっ飛ばしてギルドから出ていくイーピン。あまりの剣幕で、止める暇も無かった。
ポカーンと彼が出て行った方を眺めていると……サリルは肩を落として、ため息をついた。
「ああ、クソッ……悪かったたな、京助。せっかく来てくれたのによ」
力なく笑うサリル。まあ今日のアレは事故みたいなものだ。彼らがいなければここまで大事にはなっていないだろう。
「まあ……取りあえずお昼にしよう。ちょっとお腹減ったよ」
「お、おお。そうか? そうか、んじゃ食うか」
壊れた諸々をギルドに報告し、俺達は端っこの方の席に移動する。イーピンが減ったおかげで、ちょうど四人になったしね。
「お待たせしましたー、ふぇぇぇ……なんでキョースケさんまで一緒になって暴れてるんですかぁ……」
「暴れてないよ、止めただけ」
ギルドに併設されている食事スペース兼酒場は、昼間はギルドの受付嬢が交代で料理を作ったり給仕したりしてくれる。夜は専門のスタッフが入るのだが、お酒を出さない昼は彼女らだけで十分なんだそうだ。
そのため、ギルドの受付嬢は料理が必須スキル(ノット『職スキル』)なのだ。皆がお嫁さんに欲しがる理由の一つだね。
「先食べてていいぞ」
「いいの? ありがと。……あ、美味しい。シェヘラが作ったの? これ」
「はい~……ふぇぇぇぇ……何かフィアさんが胃袋さえ掴めばいずれとか言うので~、最近はよく~」
何か涙目になってオロオロするシェヘラ。まあ料理が上手で損することは無いからいいんじゃないかな。
俺はそんなことを思いながら、ムシャムシャ食べていると……フィアさんがサリルの分のご飯を持ってきた。
「はい、サリル。……あら? 今日は女の子多めじゃない?」
一瞬で目が据わるフィアさん。美人があんな表情するとガチで怖い。
「いや、フィア。違うって、全員彼氏持ちだぞ?」
「へぇ、若い子の方がいいんだ。ふーん?」
「待てって、おい待て、なんでトーマイトジュースなんだよふざけ、わ、悪かったよフィア。な、頼むからちゃんと注文通り持ってきてくれ……この通りだ」
サリルがフィアさんの眼光に負けてぺこぺこしている姿は結構面白い。面白いけど、こんな露骨にやってたのに俺は気づかなかったのか……。
「なぁ京助。……あの二人って」
「んー……まあ、大人な関係らしいよ」
「ふぇぇぇぇ……フィアさんがたまーにお泊りすると翌日物凄い機嫌が悪いので勘弁して欲しいんですよねー……」
ボソッと言うシェヘラ。
「当日は引くくらい上機嫌で、翌日にその反動が来るのでー……もう怖くて怖くて……ふぇぇぇぇ」
「へぇ、シェヘラ。今週は休日返上で働くって? 分かったわ、私が付きっ切りで仕事を教えてあげるわね」
「ふぇぇぇぇぇぇええええええ! きょ、キョースケさん助けてくださいふぇぇええ!」
「頑張れ」
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
連れ去られるシェヘラ。へぇ、たまにフィアさんはサリルとお泊りしてるのか……。
「……うぐ、フィアめ……これトーマイトの缶詰使ってやがる……ミートソースだけにしてくれよ……」
徹底的にトマト攻めにされるサリルは見てて正直面白い。
とはいえ……彼の顔色が優れないのはトマトのせいじゃないだろう。
「どうしたものかな」
俺がそう呟くと、サリルは力なく首を振った。
「いや、もう……ちょっとアレは俺じゃ無理そうだ。諦めるのもどうかと思っていたが……」
「うちのチーム、火力を出せる人がいないからさ。あんなんでも一応戦力として見てたんだけど……うん、今日のアレは付いていけなかった」
ぐたっとテーブルの上で溶けるキルスティン。まあ、見限るのも分かる気がするよ。
サリルは少し思いつめた顔になると……もう一度ため息をついて、無理矢理笑みを作った。
「ほんっと、悪かったなキョースケ。時間まで取らせたのに……」
「別に大丈夫だよ」
時間を取ったって言っても、昨日今日の数時間程度だ。怒るようなことではない。
「埋め合わせってわけじゃねえんだが、この後ちょっと付き合ってくれねえか? 酒をおごるよ」
「ん、いいよ。冬子も来る?」
「行きたいところだが、遠慮しておく」
「あ、じゃああたしが何か御馳走するよ。美味しいスイーツを出すお店知ってるからさ」
キルスティンの提案にキュピーンと目を光らせる冬子。相変わらず甘いものに目が無いね。
ご飯を食べ終え、俺達は立ち上がる。
「それじゃあサリル、また夜に」
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