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第十章 それぞれの始まりなう

229話 お疲れ様です、なう

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「寝たい」

「ほう、ならば妾が疲労回復と眠気覚ましの魔法をかけてやろうかのう?」

「……徹夜にエナドリをキメるみたいな愚行はしたくない」

「なんぢゃそれは」

「短期的に元気になる代わりに、切れると余計疲れる飲み物」

「おお、まさにピッタリぢゃ。反動で暫く動けなくなるからのぅ」

「無意味過ぎる」

 俺は何となく視界がふわふわする中、皆を連れて天川たちのところへ向かっていた。
 言うまでもなく――俺たちは外様の人間。冬子と俺は元々異世界人、救世主として呼ばれているとはいえ今はSランクAGとAランクAG。城内で動き回るならある程度許可はとる必要がある。
 新井を会議室で目覚めさせる&そのまま秘密の会議……という流れは、事前に伝えていたからいいものの、その後はとくに何も言っていないのだ。
 だから帰るにせよ、寝るにせよ、報告と……場合によっては指示を仰ぐ必要があるのだ。

「だが京助」

「何?」

「ぶっちゃけ、私たちいてもやること無くないか?」

「いえ逆に……マスターの実力と能力を鑑みると、余計なお願いをされる可能性も……」

「あー……京助、便利過ぎるからな……魔物自動破壊ル〇バ製造機だし……」

 冬子もリャンも流石にぐったりしている。さっきの会議までは皆も割と元気だったけど、一段落……と思うってしまうと気が抜けるのは人間のサガだ。
 っていうか仮にもリーダーを魔物自動破壊〇ンバ製造機呼ばわりするのはどうかと。いや魔物自動破壊ルン〇製造機ってなんだよ。

「ヨホホ……キョースケさん。寝たいデス」

「俺も」

「じゃあ皆寝ている間に京助君! 二人っきりで朝ご飯に……」

 一人話を聞いてない人がいる。まあ新井はさっきまで寝てたしなぁ……。

「元気ぢゃのぅ。キョースケ、ご指名ぢゃ、行ってきたらどうぢゃ?」

「いや流石にきつい」

 かつてソードスコルパイダーとドンパチやりあった後に明け方まで飲んで暴れていた経験のある俺でも、今日はしんどい。
 そもそも昨日はシリウスまでの長旅&訳の分からない腕試しに巻き込まれたんだ。その後、夕方~明け方にかけて戦闘漬け。

「むしろ俺よく最後まで戦ってたと思う」

「それな」

 冬子が「それな」とか言うくらい眼が死んでる。気を抜いたらぶっ倒れそう。

「勝手に休むわけにもいかないのが辛いよなぁ……」

「王城の中、どこもかしこも怪我人とか非戦闘員とかで休める場所も無い……私たちは、一応……王都を救った英雄だぞ……」

 一応どころかガチ英雄でしょ。おおっぴらに発表されるかはおいておいてね。
 って、俺もガチ英雄とか……うん、普段言わないようなこと考えてるなぁ。

「今寝たら絶対三日は寝る」

「流石にそれは困る」

「――ッ!?」

 気配もなく後ろに立たれた。その上でかけられる圧倒的な威圧感を持った声。一気に身体と脳が覚醒し、全身が泡立つ。
 キアラの動きも早い、即座に疲労回復と眠気覚ましの魔法をかけ、皆を守るように結界を張った。

「シッ!」

風圧だけで木っ端な魔物を吹き飛ばせるくらいの勢いで槍を繰り出すが、相手は動じず片手でそれを掴む。
俺の槍を掴むなんて――と驚く間もなく、その槍を支点に壁に叩きつけられそうになった。
 ぶつかる寸前で体をひねり、エネルギーを全て地面の方に流す。結果、廊下の床に大きな穴があいたが気にするほどじゃないだろう。
 槍を掴まれたままでは分が悪いと判断して魔法を使おうとしたところで――やっと、俺に声をかけた人物が誰か理解する。

「……ジョエル、さん。なんでここに」

 スーツを着た筋骨隆々の老人(?)、AGギルド会長ジョエル・ティードがそこに立っていた。
 ジョエルは仏頂面のまま槍を手放し、パンパンと手を払った。

「本気で疲れてるんだな。闘気と殺気を間違えるとは。ああ、謝罪はいらん。私も少し迂闊だった」

 謝罪はいらん、とのことなので何も言わず槍をアイテムボックスにしまう。迂闊も何も、ジョエルが後ろに立ってたらそれだけでビビるんだけど。

「なんでここに、だったな。Aランク以上のAGがどれだけシリウスにいると思っている?転移の魔法を使える魔法師は掃いて捨てるほどいるさ」

 そりゃそうか。

「ということで私がご報告したのでー、朝一番でかけつけたって感じですかねー。もう少し遅かったらSランクもAランクも大量投入されるところでしたよー」

 ジョエルの後ろからひょっこり、眼鏡をかけたショートカットの女性が。

「マリル! 来てたんだ」

 たたたっ、と駆け寄ってきた彼女に笑いかけると、マリルはにっこりと太陽のような笑顔を浮かべた。

「はいそうですー。まさか新章になっても二話目まで出番が無いなんて思ってませんでした!」

「おっと、最初からメタネタがスゴい。でもマリル、今の俺たちに突っ込んでる余裕は――」

「体感的に一年くらい同じ展開でしたからね! いやー、まさかまさか、二章にわたって王都で皆闘うとか」

「OKマリル、ブレーキ」

「あははは! バトル展開が始まったら私が忘れ去られるのは当然分かってますよ? 分かってますけど、まさか十章始まってから一話丸々出ないとかどーなってんですかって話ですよー! 最後に本編に出てきたのすら半年前ですからね!?」

「一日だから! 一日しか経ってないから!」

 滅多なことを言うもんじゃない。
 そしてマリルはキラッと目を光らせ、新井の方へズンズン近づく。

「……彼女が、さっき電話で言っていたミサさんですか……」

「えっ……と……その?」

 新井が困ったような笑みを浮かべていると……ぐわしっ! とマリルが彼女の巨乳を掴み上げた。

「なんなんですかこの駄乳は!」

 そして廊下に響く怒声。三次元で駄乳なんて単語初めて聞いた。

「ひあぅっ! な、何をするんで――」

「おしとやかで巨乳で眼鏡で敬語キャラって私と丸かぶりじゃないですかぁー!!!」

「も、揉まないで! へ、変なところをさわらないで――はっ、はぅぅぅぅ!」

 そのまま新井はちょっと見てられないような表情になり、がくっと膝をついた。あの新井を倒すとは、なかなかやるねマリル。

「眼鏡巨乳は二人もいりません!」

「ああ、しかも美沙の方は戦闘力もあって実質上位互換みたいな感じだからここまで荒れてるのか」

 ぼそっ、と呟く冬子。マリルは膝から崩れ落ちている新井をその辺に放り投げ、今度は冬子の胸に手を置いた。

「戦闘力たったの5か……ゴミめ」

「なっ……! だ、誰の戦闘力が5で――」

「揉めない人は黙っててください! 脚がどうこう言ってますけど胸は女の戦闘力に直結するんですよ!」

「――うぐっ!」

 普段なら言い返す冬子も、疲れからか何も言わず座り込んだ。そして小声で「私はまだ成長期が来てないだけ……」とかブツブツ言っている。

「いやあの、マリルさん……そんなに荒れなくても……」

「ピアさん、スタイルよくて胸も脚も……みたいに言ってますけど、それって脚はトーコさんに勝てない、胸は私たちに勝てない……つまり中途半端ってことですからね?」

「はうっ……!」

 リャンが崩れ落ちた。珍しい。

「ヨホホ……そ、そろそろ落ち着いて……」

「身体に魅力ゼロはそもそもライバルにすら入って来ないんですよ!!」

「ヨホッ!?」

 目をまん丸に見開いて固まるシュリー。強く生きて。

「……マリルよ、そろそろ落ち着かぬか。確かにお主が妾たちに嫉妬するのは分かるが――」

「年増は黙っててください」

「――の、のぢゃぁ……」

 あのキアラまで。マリルが主人公の無双ゲーかな?
 女性陣を全滅させたマリルは、清々しい顔で俺の方を振り向いた。

「ふぅ、スッとしました」

 一通り女性陣を撃破したマリルは、にっこりと……それこそ、聖母のような笑みを浮かべて、俺の手を取った。

「確かに私には戦う力が無くて……だから、皆と一緒に戦えません。それは凄く寂しいですけど……でも、私だからこそ言える言葉もあるんですよー」

 手が温かい。
 微笑みが暖かい。
 ここは俺たちの家じゃない。でも、なるほど。

「お疲れ様でした。お帰りなさい、キョウ君」

「……ただいま」

 ふぅ、と少し気が抜ける。こう言うと……やっと、一件落着って感じだ。
 膝から力が抜けて、思わず倒れこみそうになる。今、倒れたら、寝る。
 マリルが慌てて肩を貸してくれたので何とか踏みとどまるが、寝たい。さっきキアラにかけて貰った疲労回復の魔法が切れてきてるのか?

「大丈夫か、京助」

「あー、うん」

 冬子にそう返事するが、彼女も実際ふらふらで新井に支えられていた。なんだかんだ言ってあの二人は割と仲がいいね。
 マリルは俺のことを支えつつ、冬子たちの方を向いてちょっと照れた笑いを向けた。

「トーコさんも、ピアさんも、リューさんも、キアラさんも。お疲れ様ですー、お帰りなさい」

「さっきの暴言がなければ素直にただいまと言えたのにな……」

「一度ふざけてからじゃないとシリアスに入れないのはこのチームの特徴みたいなところありますからね」

「そこ! うるさいですよー!」

「やれやれ、だな」

 呟く冬子。でもその口元は笑みの形を取っている。

「ん、じゃあリラックスも出来たし……軽く疲れも飛んだし。ジョエル会長、俺に何のご用件ですか?」

 すっかり忘れ去られていたAGギルドのトップの方を見ると、彼は葉巻を咥えて火をつけていた。

「どうもこうも。明日、認定式があるのに三日も寝られたら困るのは分かるだろう?」

「はい。……でも、ここにくる理由にはなってないと思います」

 ジョエルはジッと俺を見ると、やれやれというように首を振った。

「王都の危機と聞いたからな。最大戦力として即座に動いただけだ。ある程度……それこそ、部隊の編成をしていたから遅くなったがな。じきに大量のAG軍団が王都に集合する。再建はそいつらに手伝わせればいいだろう」

 最大戦力として……っていうのは自分のことか。指示を出す前に自分が万が一戦死するのは良くないから、指示を出して部隊を編成してから……やってきた、と。

「スーツ姿で戦うつもりだったんですか?」

「うむ。どんな服を着ていても最後は破れて無くなるのだ。関係あるまい」

 世紀末救世主かよ。

「だが、戦いが終わっては私のいる意味も無い。キョースケ、君の認定式をどうするか、もあるしな」

「延期になるんですか?」

「王都がこんなことになって、陛下がシリウスにいられるとでも?」

 確かに。

「おそらく、だが……認定のみ行い、式典自体は一月程延びるのではないかな」

 一月。案外すぐだ。

「そんなわけだ。後始末を終えたらシリウスのギルドに来るように」

 言うだけ言って、ジョエルはすたすた去っていく。彼も忙しいのだろう。
 俺はやれやれと首を振り、皆の方を振り向いた。

「取りあえず、天川のところ行こうか。明日の認定式が無いならもう寝よう」

「そう、だな……」

 少し浮かない顔の冬子。

「どうしたの?」

「いや、私たちが……寝てもいい部屋が思い浮かんだんだが」

 俺の顔をちらりと見て、ため息をつく冬子。

「いや、何でもない。ジャンケンで勝てばいいだけのことだ」

「唐突にジャンケン」

 とはいえ、冬子が思いつくということは……それ以上に王城のことを知っている天川ならすぐに思い浮かべるだろう。
 彼女が思い浮かべた部屋はどこなんだろう――そんなことを思いながら、天川の魔力を探知するのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「取りあえずこの部屋を使ってくれ」

 目がそろそろショボショボしてきた俺たちを案内してくれたのは天川だった。こいつも忙しいだろうに。

「ずいぶん眠そうだが……そうか、清田たちは誰も気絶してないからか」

 気絶を睡眠とカウントするのはいろいろマズいと思う。

「志村も気絶してないでしょ」

「ああ。だから今、死んだように眠ってる。……たぶん死んでない」

「志村のことだからゾンビのように動いていそうだったが」

 冬子がぼんやりとした顔でそういうと、天川は苦笑い半分、微笑ましさ半分みたいな笑みを浮かべた。

「どうもマール姫がな。無理矢理寝かせたらしい」

「へぇ」

 賢明な判断だ。流石王女様。

「あいつもいい奥さんを貰ったね」

「彼女を通り越して奥さん、ってなるといよいよ変態だと思うんだが……」

 苦笑いする冬子。あいつがロリコンなのは今に始まったことじゃないから大丈夫。

「悪いが昼頃には起こすぞ。いろいろ話と、相談がある」

「ん、了解。……それにしても、まだ残してたんだね」

 俺たちはとある部屋に通された。といっても、非常に生活感の無い……無いどころか、部屋の主は一度しか使ってない部屋だ。

「七人は、ちょっと入れないでしょこれ」

「私とマリルさんは外でお手伝いとかしておくから実質五人だよ?」

「あー……まあそうか」

 どさりとベッドに腰掛ける。シャワーも浴びないでこのまま寝てしまいたい。
 懐かしい、とはイマイチ思えない部屋――そう、俺が異世界の初日に泊まっていた部屋だ。本来ならば、ここを本拠地とすべきだった部屋。

「正直部屋が足りないんだ。佐野の部屋ももう少しで掃除が終わるから、そっちを使ってくれ」

「では誰がキョースケと同じ部屋になるか決めぬといかんのぅ」

「男女七歳にして席を同じゅうせずだよ、キアラ」

「「「「「さーいしょーは、ぐー!」」」」」

「新井と冬子は自分の部屋あるでしょ!」

 ジャンケンの結果、冬子とリャンが同じ部屋、シュリーとキアラが俺の部屋ということになった。
 ……というかいつの間にリャンたちはジャンケンを覚えたんだ。

「……京助君と同じベッド……っ!」

「はいはーい、邪魔しないようにー」

 血が吹き出そうな形相で新井がシュリーを睨んでいたけど、マリルが連れ去っていった。彼女はぐっすり寝ていたんだから働いてもらわないと。

「軍用ベッドでも無いの?」

「残念だが」

 なら仕方ない。

「じゃあ俺は寝袋で……」

「ヨホホ……キョースケさん、最大の功労者がそれでは疲れは取れないデスよ。ヨホ……でも、キョースケさんの性格からして、ワタシが寝袋に入るのも許さないんでしょうデスし」

 俺のことをよく知ってらっしゃる。

「だから、キョースケさんの隣で寝ますデス。馬乗りになったこともある仲デスから、別に構わないでしょうデス?」

「ん……もう、何でもいいや。シャワー、先どうぞ」

「ヨホホ……よほ、ヨホホ……ありがとうございますデス……」

「妾は魔法で済ませた」

 と言って、キアラはハンモックを取り出して部屋の壁に打ち付けた。壁に打ち付けるなよ――と思ったけど、この程度の穴なら彼女はすぐに塞げるから気にするだけ負けか。
 シュリーがシャワーを浴びている音をぼんやりと聞きながら、ベッドの上でうつらうつらと船をこぐ。

(……マリルが、あんなこと言ってたのも……)

 きっと、そう、なのだろう。女の戦闘力とかなんとか言っていたのもその戦力を誰に向けるかっていう話で……。
 冷静に考えれば確かに、何でもない男と手をつないだりなんかしないか。
 ああ、もう……

(自意識過剰……じゃ、ないんだろうなぁ……)

 俺はこれから、どうすればいいのだろうか。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「京助、京助」

「マスター」

「キョースケさん」

「キョースケ」

「キョウ君」

「京助君」

「ん……」

 目を開けると、見知った六つの顔が俺を覗き込んでいた。どうやらあのまま寝てしまっていたらしい。
 腕時計を見ると、昼の十二時。五、六時間は寝ちゃってたかな。

「シャワー浴びずに寝ちゃったから気持ち悪……く、無いな」

 割とさっぱりしている。寝汗もかかなかったようで、普通にスッキリしている。何故?

「ヨホホ、ワタシがシャワールームから出たらキョースケさんが寝てしまっていたデスから……」

「妾が服を脱がせてお主を水洗いした」

「なんでそれで起きないんだよ俺」

「妾が聞きたいわ」

 しかしまあなるほど。それでサッパリしているわけか。キアラの魔法洗浄は女性陣には不評だが、実は俺も面倒な時はやってしまうので何とも言えない。
 見ると、何故かリューが頬を赤く染めて目をそらしている。

「どうしたの、リュー」

「ヨホホ! いえ……その、やっぱり鍛えているんだなぁと思っただけデス」

 あー……。
 俺は考えないことにして、咳払いする。

「んっんー。取り合えず皆仮眠は取れた?」

「ああ。……何故か目覚めたらピアの顔が目の前にあってビックリしたがな」

「それは私のセリフです」

「なんか二人とも寝ぼけて一緒のベッドで寝ちゃったらしいよ」

 新井が補足説明してくれる。なるほど、それは確かにビックリするだろう。
 ほっぺたの引っ張り合いをしている二人を放置して、俺はテキトーなシャツを羽織る。ズボンはちゃんと履かされていたのはありがたい。

「ぶっちゃけ帰りたいけど……そういうわけにもいかないね」

「ああ。お前が起きる前に少し聞いたんだが……目下、住民の大多数を他の街に移す作業に入り始めるらしい」

 確かにボロボロになった王都では碌な生活は送れない。再興のための人員を最低限おいて、他の人たちはいったん避難してもらうのが吉だろう。

「それの手伝いとか任されるのかな」

「キアラさん一人いれば事足りるだろうにな」

「妾とてそれだけの人員を移動させるのは疲れるのぢゃ。故にやりたくない」

「やりたかろうがやりたくなかろうが……って感じだけど」

 でも俺らがさせられるのは別のことだろうな。

「さて行こうか」

「お前が起きるの一番遅かったんだけどな」

 うっさい。
 俺は皆を連れて、再び天川のところへ向かった。
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