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第九章 王都救援なう

219話 競争なう

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「……ん、ここ、は……」

 ぼんやりと目を開ける。知らない天井だ。ここはどこだろうか。
 天川はゆっくりと起き上がると……まず、自分の体に傷が一つもないことに気づく。続いてパンツ一丁になっていることも。
全て綺麗さっぱり、まるで何事も起きていなかったかのように。

「……呼心か」

「ピンポーン。おはよう、明綺羅君」

 戸を開けて飲み物を持ってくる呼心。天川はベッドの横にかかっていたシャツを羽織ると、彼女からグラスを受け取る。

「戦況は?」

「んー……今、なんかやばいよ」

 ヤバいよ、と言う割には慌てた雰囲気が無い。まさか自分が気絶している間に魔物が全滅したのだろうか。

「ううん、まだ魔物はいるよ。明綺羅君の力も必要だと思う。ただ、状況が単純なんだけど複雑なの」

「なんだその禅問答みたいな。……とにかくすぐに着替える、皆は?」

「ティアー王女はシローク長官と一緒に兵に指示を出してる。私もそこに行くから来てね、作戦室は第四会議室」

「分かった」

 彼女が出て行くと同時にアイテムボックスからズボンを取り出して履く。……というか、呼心の回復魔法だったら服を着たままでも回復できるはずなのだが……。

「ま、まあ汚れていたし。ベッドに寝かせるために必要だったんだろう」

 服を脱がされて何をされていたかは想像したくないのでそう結論付ける。呼心だけならまだしもラノールさんに見られてたら貞操がヤバい。

「……ラノールさんは無事だろうか」

 彼女がやすやすとやられるとは思わないが、指令室でジッとしているタイプの人でも無い。恐らく前線で辣腕をふるっていることだろう。
 天川の神器は傍に置かれていたのでそれを手に取り、シャツにズボンという軽装のまま剣を握る。
 第四会議室へ急ごうと医務室の扉を開けたところで……

「おはよう、寝坊助勇者レイト・ヒーロー

 眼鏡をかけた小男――志村が立っていた。

「おはよう。……マール姫を一人にしていいのか?」

 そう言って拳を彼に向ける。志村も同様のポーズをとり、こつっ、こつっ、こん! と三度打ち合わせてから同じ方向へ歩き出す。

「シャンと一緒にぐっすりだ。流石にあんなことがあったから付いていてやりたいんだが……事が事だからな」

 眼鏡の位置を直しながら苦笑いする志村。その手は少し震えていた。
 ……自分もそうだがそろそろ十二時間くらいぶっ続けで戦っている。怪我は治る、体力も回復魔法で補える。しかし気力だけは自力でどうにかするしかない。

「休まなくていいのか?」

「オレはお前らと違って前線に出るだけが能じゃないからな」

 ヒラヒラと手を振って嘲るように言うが、流石に彼も限界が近いということなのだろう。皆限界を超えて戦っている。その中で、自分という戦力をほんの少し休ませてくれたのはありがたい。
 ここから先は自分が全て切り伏せる。

「あまり気負うな。京助もいる、ラノールもいる。お前だけが戦力じゃない」

「それでも気負うさ。俺は勇者、だからな」

 笑顔を見せてそう言うと、志村は目を開いて穏やかな顔になった。

「そうやって笑えるなら拙者が励ましに来る必要はなかったようで御座るな」

 へらっ、といつもの雰囲気に戻る志村。このギャップにはいつまでも慣れないが、今だけはあのオサレな方でいて欲しい。じゃないと気が抜けそうだ。

「……取りあえず、空美に言われた通り会議室に行く前にある程度状況を共有しておくぞ」

「ああ、頼む」

 早歩きで進みながら、志村からペンケースのようなものを渡される。

「これは?」

「後で説明する。……まずは現在の状況だが人族側が優勢だ。王都の二割ほどを騎士団が今魔物の駆逐に向かっている」

「二割……? 残りの八割はどうしてるんだ。いや、戦力を集中させた方がいいのは理解しているが」

「一割は森が出来上がり、その中に入った魔物は即座に駆逐されている。恐らくはSランクAGのアトラ・タロー・ブラックフォレストが張った結界だろうな」

 ということは王都の七割くらいがまだ魔物の渦に巻き込まれているということか。

「ということは、俺たちは遊撃隊としてその七割の部分をカバーするということか?」

「それもそうなんだが、残りの七割には雨が降っていてな」

「雨? ……こんな時に面倒な」

 天川が顔を顰める。夜の雨は視界が圧倒的に悪くなり、正直まともに戦うのが難しい。だから騎士団は雨の降っていないところから重点的に倒しているのか。
 しかし天川の推測は違っていたようで、志村は少し困った顔で首を振った。

「それがな。この雨を降らしてるのは京助なんだ。かくかくしかじかで、魔物を殲滅するための雨だよ」

 それを聞いて、天川は絶句する。王都の殆どを雨で覆い、自動攻撃する魔物を大量に生み出すとは。
 Sランクとはそういうレベルなのか。

「ハッキリ言って、次元が違うな。オレも似たようなことを……ドローンでやろうと思っていたが、事前準備に必要な仕事量が半端じゃないし、王都全てを覆うなんて不可能だ。神器とはこれほどのことが出来るようになるのかと呆れたよ。お前なら出来るか?」

「……俺の神器をどう使ったとしてもそんなことは不可能だろうな。性質があまりに違う」

 仮に清田と同じ神器を持っていたとして。そんなことが出来るとは到底思えない。まさに次元の違う戦い方。
 一方で、きっと清田も『終焉』のような魔法は撃てない。適材適所だ。

「というか、それなら俺たちは何をやるんだ?」

「ああ。京助の能力で生み出した魔物は弱くはない。弱くは無いが強くもない。Bランク以上の魔物にはどう足掻いても戦えないらしい」

「つまり?」

「残りのBランク以上は手で刈り取る必要がある。今は京助たちが飛び回って狩っているが、流石に手が足りてないらしくてな」

 それの手伝いを天川たちもするということか。
 王都の八割に広がっている強力な魔物を殺すために走る。だいぶシンプルになったが、難易度は依然高いままだ。

(いや、弱気はダメだ)

 例え倒れても、一人でも多くの笑顔を守る。自分が倒れても、皆を笑顔にしてみせる。

「ここだ」

「おっと」

 いつの間にか第四会議室に着いていた。扉を開けると、複数人が忙しそうに動き回っている。

「シローク長官! 次はどこですの!」

「えっと……次は第二部隊に伝令をお願いします! それと第三部隊は第二部隊に合流するようにと!」

「シローク長官! 怪我人です!」

「ココロ・カラミさんにそれはお願いします!」

 何故か壁一面にはモニターで騎士団の動きが映されており、ティアー王女が伝令を聞いては何かを念ずるように目を瞑る。
 そして呼心はどうもここと救護室を行ったり来たりしているようだ。何故行ったり来たりなのかというと、どうもティアー王女を介護するのが彼女の役目らしい。
 何せティアー王女が腰に手を当てて体力回復薬や魔力回復薬を煽っているのだから、彼女も相当限界なのだろう。
 というか、何故念じたりしているんだろうか。

「ああ、あれはどうも彼女の魔法らしいぞ。テレパシーが出来るようだ」

「てれっ……?」

 そんなの聞いてないが。
 天川がキョトンとしていると、ティアー王女がくるっと振り向いて天川を見つけた。そして次の瞬間全力ダッシュで天川の腰に抱き着いてくる。

「げふっ!?」

「もう疲れたですわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「わー! ティアー王女が壊れた! 呼心ちゃん、ヤバいよ!」

「うえええ!? ちょっ、明綺羅君! 宥めといて!」

「いや、えっ? ちょっ、どういう状況だこれは」

「もう疲れたんですわ! なんで、もう何でずっと秘密にしてた魔法を使うことになってるんですの!? 切り札だったんですわよ!」

 わんわん泣きながら天川の腰にグリグリと顔をこすりつけるティアー王女。その仕草が志村に甘えるマール姫のそれによく似ていて、やはり姉妹なのだなと思わされる。
 と、そんな冷静に考察している場合ではないと気づいて彼女をグイっと引きはがす。

「ティアー王女! ひ、人前ですよ!」

 取りあえず桔梗が止めに入るが、「お黙りなさい!」とティアー王女のヘッドバットで吹っ飛ばされた。何だこのアグレッシブな王女様。

「アキラ様! もう疲れたんですわ! 正直やってられないんですわ!」

「ティアー王女……戦うと決めた時の気高さはどこへ……」

 よよよ……と泣いたフリをする呼心。そんなこと言ってないで彼女を宥めて欲しい。

「アキラ様! 取りあえずわたくしを撫でるのです! 抱きしめるのです!」

 人前でぶっ壊れてるティアー王女を見るのは初めてなので、おっかなびっくり彼女の言う通りにすると……はふーと気の抜けた声を出してのんびりとした顔になる。

「あー……その、ティアー王女。そろそろ一休みなさっても……」

「わたくしの力が無くとも兵をまとめ上げられるとでも?」

「微妙ですね。ラノール団長が現地で陣頭指揮を執ってくれていますが、あそこにいるのは第一騎士団ではないですからね。特性を把握しきれていない第二騎士団のメンバーに完璧な指示を出せるかと言われると、流石の彼女でも厳しいでしょう」

「だからわたくしが頑張るんですわ。我らが民を守るためですもの。 ――さぁ、充電も出来ましたし。もう少し頑張りますわ!」

 即座にキリッといつもの表情になるティアー王女。さっきまでと一瞬で雰囲気が変わり、理知的な行動に戻る。
 その変化に目を白黒させていると、桔梗と呼心がため息をついて補足してくれた。

「ティアー王女、自分が壊れたフリをして周囲の雰囲気や緊張を緩和させたりするんだよね。現に明綺羅君、気負いも減ったでしょ?」

「ちょっと怖い顔してましたから、明綺羅くん」

 言われてみれば、気負い過ぎていたかもしれない。しかし彼女のおかげでいい具合に肩の力が抜けた。
 そういえば、とブリーダとの戦闘中も彼女らのおかげでバランスの良い緊張感で戦えたことを思い出す。

「さて、やることは理解出来たな? じゃあそろそろ行くぞ」

「ああ。……と、その前に。俺の鎧は?」

 今の天川はシャツに剣だけというシンプルな格好だ。別にこれでも戦えなくはないが、流石に少しラフ過ぎる。

「それなら、オレが開発したこれを――」

 と志村が言いかけたところで、井川が空間転移してきた。そのことに驚く間もなく、井川は天川の顔を見る。

「なぁ、さっき避難所に行ったんだが……五人くらいの子供たち、いただろ。あの子、誰が助けたんだ?」

 あまりに唐突な質問。というか、そもそも助けた子どもなんて多すぎて誰のことを言っているのか分からない。
 天川が困惑していると、井川は一つ舌打ちをしてから志村の方を見る。

「……オレも手伝う。いいな?」

「もちろん。というかお前がいてくれないと話にならない」

 そう言って志村は懐から二つ、ベルトを取り出す。バックル部分が丸いハンドルのようになっており、メタリックな赤で塗装されている。井川の分は空色で杖のようなレバーがついている。

「そら」

「おっと」

「……なんだこれ」

 パシッ、と投げ渡されたそれを見て首をかしげる二人。とはいえ天川の方は何となく彼が渡してきたコレがどういう意味なのかは分かるが。

「俺たちもアレになれるのか?」

 少しわくわくして聞くと、志村は苦笑いをして首を振る。

「いや、それは単なる試作品。軽量で頑丈なアーマーが身体に展開されるだけの代物だ。身体能力強化もあるが、天川からすれば無いも同然だ」

 ……異世界人は皆アイテムボックスを持っているとはいえ、鎧をこのサイズで持ち運びできるのはかなりのメリットじゃなかろうか。
 井川は眉に皺を寄せて怪訝な顔をしているが……取りあえず着けてみることにしたらしい。ガチャっ、と腰に巻いた。

「俺も」

 背後でカチャンとベルトを止めて準備完了。志村はバックルを出して腰に当てると、ベルトがまかれる。腰に当てるだけで勝手に巻かれるのは便利でいいな。

「何となく使い方は分かるだろうが一応な。天川のはハンドルを回せ。井川のはワンドを展開しろ。ちなみに掛け声は『着装!』だ」

「「了解」」

「じゃあ行くぞ。イプシロン、起動!」

 志村がバックル部分のボタンを押すと、カシャンとベルトからレバーのようなものがL字になるように上がった。

『イプシロン起動。システムオールグリーン、エネルギー充填、オールセット』

 キュイィィィィィィン……という機械音と同時にベルトからそんな音声が。
 志村は両手を大きく広げると、円を描くように頭の上から一周させ……Jの字になるように右手を曲げて顔の前に、左手をベルトのバックル部分に添える。

「変身!」

 左手でレバーを倒した瞬間、ベルトから緑色のチューブのようなものが彼の身体を伝うように伸び、ピカッ! と眩い光に包まれる。

「着装!」

「着装」

 天川がハンドルを回すと、赤を基調としたシンプルな鎧……いや鎧というかアーマーが天川の身体を包むように出現し、全身に張り付いていく。
 カシュン、と空気が抜けるような音が鳴って鎧が完成する。メインカラーは赤で、白いラインの入った鎧だ。
 天川が普段使っている鎧より幾分かごついが、見た目以上に軽い。というか本当に着ているのか怪しくなるレベルだ。
 一方の井川は青を基調とした鎧で、空色がアクセントとしてちりばめられている。天川のそれよりだいぶアーマー部分が減っており、マントがついている。鎧というよりもプロテクターとマントといった雰囲気だろうか。

「志村、これは?」
 
 井川が腰に提げられた銃のようなものを二つとも持って志村に尋ねる。一つは天川の腕程もありそうな杭が銃身から飛び出しているごついもの。もう一つは……天川のなけなしのミリタリー知識から察するに、ショットガンだろうか。
 志村はニヤッと笑うと、井川から銃を受け取った。

「こっちは杭撃砲パイルキャノンだ。引き金を引くと物凄い勢いでこの杭が飛び出す。接近しないと使えないが、ちゃんと当たればBランク魔物だろうと一撃だ。反動が凄いから必ず両手で持てよ」

 そしてもう一本も受け取ると、ガシャンと銃身の下についている部分をスライドさせた。

「こっちは……一応、武器種はショットガンだ。ただ普通のそれと違って反動はほぼゼロで、単発の炸裂弾を発射する。名づけて炸裂散弾砲グレネード・バーストガン。さらにこのボタンを押すと――」

 じゃこっ、と銃身が短くなる。その銃口は……なんか、蜂の巣みたいになっている。

「ここから炸裂弾が散弾となって広範囲に散らばる、爆撃モードになる。敵の懐に転移してズドンと殺るもよし、飛んで面制圧するもよし。ま、好きに使え。今日に限って使用料は無料だ」

 井川はその両方を受け取ると……ムッツリとした顔で腰のホルダーに提げた。

「どこまで知ってる、志村」

「オレは魔弾の射手ナイトメアバレット。隠し事は全て知ってるぞ」

 井川は一歩詰め寄るって志村を睨みつけるが……スッと目を逸らした。諦めたらしい。 
 志村はそれを見て満足げに頷くと、ヘルメット部分で少し操作する。

『もしもし、志村? どうしたの』

「京助。天川と井川が復活した。オレたちも参戦する。――魔物の位置情報を頼む」

『OK。距離で言ってもいい?』

「もちろんだ。井川が分かる」

 どうもヘルメットに仕込まれている通話機構で清田と通信しているらしい。カッコいいな。

『それじゃ、王都の中心部から南東五キロ。そこからスタートで』

 清田が場所を指定すると同時に井川が転移する。空中に放り出されるが三人とも空を浮遊する手段は備えている。志村は脚のジェットで飛び、井川は風の魔法で浮遊し、そして天川は――

「あああああ神器を出してないと俺は飛べない!!」

「だったら速く出せ天川!」

 ――咄嗟に志村が抱えてくれたので、その隙に神器を解放。同時に宝石の足場を出して空中で着地する。まあこの高さなら落下しても怪我しないだろうが、玉がヒュンとするあの浮遊感には慣れない。

「この下方にBランク魔物三体、Aランク魔物二体! 天川、井川」

 そこまで言うと志村は高笑いと同時に急降下。それを見た天川と井川も慌てて地面へ向かう。

「倒す魔物は早い者勝ちだ! 優勝賞品は『ニスロク』のディナー。最下位の奴の奢りでな!」 

 着地と同時にAランク魔物の頭を撃ち抜く志村。流石の早業――と褒めている場合じゃない。『ニスロク』は無茶苦茶美味しい焼肉屋さんなのだが、その分高い。それはもう高い。酒も入ったら大金貨一枚や二枚じゃ足りなくなる。
 それを奢り――? 勇者といえどそんな高給取りじゃない。干上がってしまう。

「卑怯だぞ志村!」

 空中からAランク魔物を宝石の刃で切り伏せながらそう叫ぶ。

「卑怯? 戦略だこれは! ――二体目!」

 腕から出したブレードで勢いよくBランク魔物を真っ二つにする志村、あのギミックのカッコよさは凄いが、卑怯なことに変わりはない。
 天川は着地と同時に残りの魔物の方を見ると――

「なるほど、こいつは使い勝手がいい。……これがあればオレも前衛で戦えそうだな」

 ――既に、井川がマッハの速さで二体とも始末していた。一体は心臓部に風穴を空けており、もう一体は頭がはじけ飛んでいた。
 恐らくパイルキャノンとバーストショットキャノンのなせる技だろう。流石は志村製品、強力な一撃だ。

「コレで今のところ天川が最下位だな」

「なに、すぐに巻き返すさ」

「志村。次の座標は?」

 冷静な井川の声。ガコン、とショットガンに次弾を装填しながら昏い目になる。
 ……何があったのか、聞くのはこの戦いが終わった後か。

『次、そこからもう一キロ東』

「「「了解」」」

 言うが速いか井川が三人とも転移させる。
 夜、雨とコンディションは悪いが問題ない。
 バラバラで魔物から蹂躙されていた昨日とは違う。たった七人の援軍のおかげでここまで巻き返せたのだから。
 後は魔物を屠るだけ――

「志村、質はどうする?」

「どうせオレたちなら一撃だ。数が大事だ数が!」

「……オレはお前ら化け物と違ってAランクを一撃で屠れるわけじゃないんだが」

 何故かノリノリの志村(恐らく疲れてハイになってる)、苦笑いの天川、表情の固い井川。
 三人の元男子高校生は、魔物たちを蹂躙するために王都を駆ける。
 夜明けはもう目の前に迫っている。
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