233 / 352
第九章 王都救援なう
212話 模造剣なう
しおりを挟む
「あー、そういや温水先生印のポーション切れてたっけ……まずったなぁ、新井に貰っとけばよかった」
難波はひとまず天川と合流しようと全力で走っていた。異世界に来て体力は増えたと実感しているが、普段の基礎トレーニングを怠っていたせいか前衛職の連中の中では一番体力が無い。
井川の転移で一っ飛び、戦闘も軽く流す程度で敵を倒せるし強敵は全部天川任せ――そんな闘いをしていたら体力もつかないか。
自嘲気味に笑いつつ、それでも足を止めず走っていると――ふと見慣れた風景が目に入った。いつも難波が通っている花屋の近くだ。
花屋の看板娘にフられてからはその姉に会うため足繁く通っていた道だ、間違えるはずもない。
(……流石に、避難してる、よな)
特に最近は結婚式の準備とかであのBランクAGのディファンとかいうのも一緒にいたのだ。まかり間違ってもBランクAGが簡単にやられるはずもないだろう。
そう、やられるはずがないのだ。一般人の視点から見ればBランクというのは既に人間やめ人間の領域、自分が心配する必要などどこにもない。
まして今は新井のピンチだ。あの新井すら阿辺を抑えられないかもしれないのだ。
それならば、天川を呼びに行くことが優先のはずだ。そう、それが人族の利益となりひいては難波達がこの状況を打破するために必要なピースの一つのはずで――
「……悪い、新井」
――一目見るだけだ。そう自分に言い聞かせて方向転換。目指すはセシルさんとユラシルさんの住む花屋さんへ。
一目見て、無事ならそれでいい。いや別に彼女らに会えずともそこにいないことを確認出来ればすぐに。
走り、見つけた花屋は……魔物によって壊されてはいなかった。むしろこの区画は不自然に静かだ。
討伐部位が少し落ちていることから、魔物がいなかったわけじゃなかろうが今のところ周囲に気配は無い。
なんだ、大丈夫じゃないか。これなら心配する必要なんて微塵も無かった。
難波はそう結論づけ、ホッと一息をつき――
「……っ! ……っ、……っ」
――うめき声のようなものを、聞いてしまう。別に誰の声だと分かった訳でもない、それどころか空耳かもしれない。
でも、何故かそのうめき声が耳から離れない。嫌な予感が腹の中で膨れ上がる。
はたと、足跡が花屋に向かってついていることに気づいた。血でできた足跡なのか、それが一つや二つじゃない。八……いや、十人分はありそうだ。
何故一つの家屋にそれだけの足跡が?
いや……そもそも、なんで入った分の足跡しかないんだ?
「……いやいやいやいや、考えすぎだって俺。はは、そ、そうだ。それか魔物から身を隠すために中に入ったんだ。きっとそうだ」
そして怖くて出られていない。
浮かび上がった不安を振り払うようにそう結論づけ、難波は扉の方へ向かう。
逃げ遅れた人がいるのなら、避難所まで案内するのだ。避難所ならば騎士……それこそシローク長官がいるのだ。天川程じゃないにせよ彼も実力者、新井の助力はその人に頼めばいい。
「そう、だよな。そうだよな、だから生き残りがいるなら、そうしないと……」
声が震えていた。膝が、手が震えていた。決して長距離走った疲れによるものじゃないことは理解していた。
でも、それでも。
嫌な予感を振り払うように扉の前に立ち、勢いよく開けた。
「……! ……っ、……っ!」
「こいつまだ暴れる元気がありやがるのか」
「妹の方はもう壊れてんのによぉ」
「壊した奴が言うんじゃねえよ、ぎゃははは!」
「マジでやんのか? なぁ、確かにディファインはムカついてたしコイツラは具合よさそうだけどよ」
「おいおい、今さら怖気づいたのかよ。ま、やんねぇんならどっか行っとけよ」
「いや、やんねぇとは言ってねぇって。ただよ……十人で回すのはなぁ。もう二人くらい欲しいだろ、女が」
脇に倒れているのは爽やかで涼やかな笑みを浮かべていた青年。名前を確か、ディファイン。背にナイフが突き刺さり、驚愕の表情のまま……ピクリとも動かない。
そして奥ではセシルたちが丹誠込めて育てた花がある……のだが、それらは全て床に敷き詰められ、まるで布団のように。
その上に覆い被さるようにして――
「な、に、を……」
ズン!
無意識に足を踏みしめており、地面に穴が開く。
その音で難波が入ってきたことに気づいたのか、ユラシルさんに覆いかぶさっていた男が難波の方を振り向いた。
「あー? チッ、見られたか。テメーら見張りはどうしたんだよ」
「見張りも何もいきなり入ってきたんだから仕方ねぇだろ」
「まあいいや。混ざるか? それとも死ぬか?」
「混ざるなら順番は最後だけどなぁ。あ、でもこっちの反応ねー方なら先でもいいぜ?」
「マグロなんて抱いてもつまんねぇからなぁ。それか追加の女でも持ってきてくれてもいいんだぜ?」
ぎゃははは……。
彼らの笑い声が遠くの方で聞こえる。自分の今立っている場所が現実かどうか分からなくなる――と、言うようなこともなく。
ただひたすら脳内がふつふつと沸騰する。なるほど、これが怒りかと妙に冷静な自分がいる。そう、自分は冷静だ。
そう、冷静だから。
「黙ってんなら、見張りでもしてろよ。魔物が入ってくるかもし」
ゴッ! と、何かぐちゃぐちゃ言っていた男を殴り飛ばしていた。
ぐしゃり、という肉が潰れる感触が拳に返ってくるが今はどうでもいい。
「て、テメェ! 何しやがる!」
「ぶはっ……ま、マサト! に、逃げて、お願い逃げて! こいつらはまともじゃないわ!」
周囲の男どもが難波に殺気を放ち、今まで押さえつけられていたユラシルさんが殆ど悲鳴を上げるように叫ぶ。
しかし、退けない。ここでこいつらを放って逃げても何も状況は好転しないからだ。
それに難波は非常に今冷静である。怒ると却って冷静になる――と言っている人がいたが、今まさにそんな感じだ。
冷静だから――怒りに任せてコイツラを殺してはいけないということは分かる。
冷静だから――素手で戦うのも愚策だと分かる。何せ十対一だ、実力に天地程の差があってもそのまま倒せるとは限らないから。
冷静だから――しっかりと武器を取り出して構える。城で剣術を習っていた時に渡された、刃引きされた剣だ。
『刃引きされてる、いわゆる素振り用の剣、模造剣だ。ま、人に振るっても死にはしねぇとは思うが……大怪我はするから気をつけろよ』
この剣を渡してくれた人はそう言っていた。
そう、難波は冷静だからこの剣で相手を攻撃すれば死なないということが分かっている。フルスイングしても、死なないはずだ。何故なら模造剣なのだから。
そう、だから今から難波はこいつらを制圧するために剣を振るうのだ。決して殺すためのものではない。
ユラシルさんたちを救うため、振るうだけ。殺すつもりは、決して無い。
「な、にを……してんだ、テメェらぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
腹の底から声が出る。魔物が集まってくるかも、なんて考えは一切脳内に浮かばなかった。
ただ、目の前の奴らをぶちのめし、二人を助けることしか頭に浮かばない。
セシルさんの上に乗っかろうとしていた男の脳天に剣を振り下ろす。血は出るが、真っ二つにはなっていない。本気で振り下ろしたが、この剣は刃引きされているのだ。だから大丈夫。
その男を蹴飛ばし、振り向きざまに胴。脇腹にミシリと難波の剣がめり込み――その場に崩れ落ちるその男。
しかしこのままでは再び動き出すかもしれない。難波はすり足でもう一歩踏み込むと、下がった頭に面を叩きこんだ。
ぐじゃ、という生々しい音が部屋の中に響き渡ると同時に――残りの奴らが剣を抜く、ナイフを構える、杖を持つ。
あと七人、入ってきたドアの近くにいた杖を持った男――恐らく魔術師――に一歩で距離を詰めると、小手で杖を叩き落した。これで呪文は唱えられまい。
顧問に怒られそうだな――なんて場違いなことを思いつつ左手で相手の襟を掴み、引き寄せて足をかけて転ばせる。
そして頭の位置が下がったところにキッチリ面を入れてとどめを刺す。そういえば面は脳天に打つものでは無かったか。
どうでもいいが。
ずしゃりと杖を持った男が崩れ落ち、そこを狙うように短剣を持った男が踏み込んできた。難波は一歩下がり、短剣を透かしてからカウンター気味に膝を顎に決める。そしてがら空きになった喉に突き。嫌な感触が手に返ってくるが――刃引きされてるんだ、多分死んでない。仰け反り、血と共に口から飛んだ白い物は……歯、だろうか。
低く、低く――まるで地を這うかのように襲いかかってくる二人の剣士。きっと相当練習したのだろう、実力もあるのだろう。動きに無駄が無い。
一方、難波は結局三年の剣道と城の稽古しか積み上げたものがない。動きは無駄だらけで、きっと達人の域には到底届いていない。
でも。
「ハッ!」
高速で踏み込み、面を打つ。それだけで一人は地面とキスする羽目になり、その速度についてこられなかったもう片方は勢いあまって壁に激突してしまう。
壁に激突した男が振り向くより早く、逆胴。ああ、また顧問に怒られる――そんな気持ちを抱きながら別の壁に叩きつけられるその男をぼんやりと眺めた。
首が変な方向に曲がり、折れた骨が突き出ているが、気にしている暇は無い。
残り、三人。ここが花屋で――つまり商店で良かった。普通の家なら天井がもっと低くて剣なんて振るえなかったし、踏み込み出来るスペースも無かった。
「……ッ! て、テメェ! 動くなよ、こいつがどうなっても――」
「『飛斬撃』!!!」
ゴッ!
空気が震える音と共に、ユラシルさんを人質にしようとした男の右腕が吹き飛ぶ。片腕が無いくらいなら死にはしないだろう。
難波は踏み込み、面でそいつを打ち倒す。あと二人だ、もう少しだ。
もう少しで、ユラシルさんとセシルさんを救けられる。
再び人質に取られたらたまらないので、ユラシルさんとセシルさんを抱き上げて部屋の隅へ。そして再び向き合ったところで――その二人はいなくなっていた。
「……あ、れ? ……あっ、逃がし、いや、それよ、あっ、ゆ、ユラシルさん! セシルさん! だ、大丈夫ッスか!?」
状況が飲み込めず一瞬呆けたが――すぐさま二人の方を向く。一糸まとわぬユラシルさんは気が動転しいてるのかその辺に落ちていた向日葵(のような花)で大事なところを隠し、セシルさんは呆けた眼でずっとブツブツ言っている。
「……あっ、えっ……だ、大丈夫……ッス、か?」
彼女の身体に傷らしい傷はない。セシルさんの方も同様だ。だが傷が無かろうとあの状況で何もされなかったとは考えにくいが――
「……二人とも、服を剥かれただけよ。安心してちょうだい、外傷も無いし……まだ、何もされていなかったから。セシルは……その、ディファインがああなったショックでこうなっちゃったけど、ね」
言葉を濁してそう言うユラシルさん。そんな彼女を見て難波の心臓がドクンと跳ねる。ドクドクと鼓動が早鐘を打つ。
それは決して恋だからとか、目の前に女体があるからとかそう言うことではない。この胸にある感情は抑えきれない程の――罪悪感。
押し潰される、涙が出そうになる。そんな、無茶苦茶な感情に心を支配され……ただ立ち尽くすことしか出来ない。
目を伏せ、黙り込んだユラシルさんに……アイテムボックスからコートを取り出してかけてあげる。それに気づいた彼女は黄色いショートカットを揺らし、その綺麗な髪色と同じ色の瞳を難波に向ける。
体感で一時間くらい、実際には一分程だろう。見つめ合って……難波はぽつりと口を開いた。
「なん、で……なんも、言わないん、ッスか?」
「? ……あ、ああ。確かにお礼も言わなくてごめんなさい。気が、その、動転していて。……助けてくれて、ありがとう」
ペコリと頭を下げるユラシルさん。彼女はセシルさんを抱きしめ、頭を撫でながら……薄っすらと、笑みを浮かべる。
「強いのね、マサト。驚いたわ? まるで勇者みたいだった」
穏やかな、それでいて……はかなげな笑みを浮かべるユラシルさん。難波はその表情を見て余計に胸を締め付けられる。
「あ、天川は……こんなもんじゃねぇッスよ。って、いや、違う、くて……」
誤魔化すように変な笑顔を浮かべ……それをすぐに消し、たまらなくなって膝をつく。うなだれ、口をパクパクと開く。
なんで、彼女はこんなに穏やかなのか。
なんで、何も言わず笑っているのか。
なんで、難波に礼なんて言えるのか――
「なん、で……責めないん、すか」
「……何を? マサト」
ユラシルさんは弱り切った眼で難波を見つめる。責めるでも、泣くでも喚くでもなく、ただただ見つめてくる。
それが堪らなく心地悪かった。ひどくいたたまれなかった。
なんで責めないのか。
「もっと、俺が、早く……来てれば……」
「な、何を言ってるの……? 助けられて、感謝しこそすれ……責めるなんてありえないでしょう? 人として」
本気で不思議そうな顔をするユラシルさん。でもそれが逆に難波は意味が分からなかった。
全部、難波のせいでこうなったのに――
「だって、だって俺がもっと早かったら、お店はこんなにぐちゃぐちゃにされてないんスよ! ディファインは死んでないし、ユラシルさんだってこんな怖い目にあってないッス! そんで、そんで……! セシルさんだって! ぶっ壊れなかった!!!!」
なんだかもう一杯いっぱいになってしまいそう叫ぶと、ユラシルさんがゆっくりと手を伸ばし――難波の頬に触れた。
「マサト」
酷く優しい声音。もはや残酷な程。
ユラシルさんはただ難波の頬を撫でたまま、逆の手を難波の頭に回す。
そしてぼすっ、とその胸にダイブさせられた。何も着ていない、向日葵だけが乗っているユラシルさんの胸に。
「~~~~~~~~~~~っ!?」
混乱し、声なき声をあげてしまう。女性の裸体は、ふにふにして柔らかいのだと初めて知った。
「貴方は、優しいのね」
「なんっ、いやっ、ちがっ」
違う、優しくなんかない。今だってそう言ったのは、ただ自分が堪らなく許せなくて――誰かに叱って欲しかったから。
ユラシルさんはそんな難波の想いを知ってか知らずか、そのままただただ撫で続ける。
「私は、今……余裕が、無いの。だからごめんなさい、貴方のことを怒ってあげられないの。ただただ……悲しくって」
「ユラシルさん……」
「だけど……助けてくれて、ありがとう。貴方が来てくれなかったら、きっとこうして無事に話せてない」
無事じゃない。
そう言うのは簡単なのかもしれないが、難波も弱い。今はただ流されていたい。自分は悪くないのだと思いたい。
(情けねぇ……)
人肌の暖かさをじっくりと堪能したいのはやまやまだし、もっとここで悲嘆に暮れていたいのだが――いつまでもここにいるわけにはいかないだろう。避難所まで彼女らを連れていかねば。
難波は彼女の胸から顔を上げると、セシルさんを担いだ。彼女にもコートをかけてあげたかったが、手持ちに無いので仕方なくキャンプ用の毛布でくるむ。
「マサト?」
「あー……その、避難所まで案内するッス。……お、男の人が怖かったら俺がついてるんで。その、ここより安心ッスから。そんで、その。目のやり場に困るんで……」
「……その前に着替えて欲しい、と」
「ッス」
「そう。……そうね。こっちよ、私たちの部屋は」
ユラシルさんの言う通り二階に行くと、一つ結界の張ってある部屋があった。弱い結界だが、ゴブリン程度なら入ってこれないだろう。
「そこは私の工房よ。私が薬剤師なのは話したわよね? 危ない薬も中にはあるから、簡単に人が入れないように軽く結界を張ってあるの。副次的に魔物も弾けるわ」
「そうなんすね」
「と、ここよ。ちょっと待ってて」
セシルさんをユラシルさんに預け、五分程待つと……中から呼ばれたので部屋の戸を開けた。
「セシルさんは……俺が、おぶるッス」
「……助かるわ」
ユラシルさんはいつも通りの格好――七分丈のズボンに何かポンチョみたいなやつを着ている。そしてセシルさんはワンピースだ。
虚ろな目のまま……何事かブツブツと呟き、生気を失っている彼女はまるでクスリをやった人のよう。
難波はギリッと奥歯を噛みしめてから……彼女をおぶった。
「マサト。道中で魔物が出てきたら……その、どうするの?」
「あー、そん時は俺が全部ぶっ飛ばすんで安心してくださいッス」
「いえ、セシルをおぶったままでは困るでしょう? 私がおぶりましょうか」
「……そん時だけ、そのお願いしますッス」
「そう、か」
どうにも彼女の眼を見れなくてそっけなくなってしまう。
難波とユラシルさんはそのまま階段を降り、店の方を通ってから外に出ようとしたところで――
「ぐっ!?」
――ドンッ、という衝撃と共に脳まで痺れる痛みが走った。
難波はひとまず天川と合流しようと全力で走っていた。異世界に来て体力は増えたと実感しているが、普段の基礎トレーニングを怠っていたせいか前衛職の連中の中では一番体力が無い。
井川の転移で一っ飛び、戦闘も軽く流す程度で敵を倒せるし強敵は全部天川任せ――そんな闘いをしていたら体力もつかないか。
自嘲気味に笑いつつ、それでも足を止めず走っていると――ふと見慣れた風景が目に入った。いつも難波が通っている花屋の近くだ。
花屋の看板娘にフられてからはその姉に会うため足繁く通っていた道だ、間違えるはずもない。
(……流石に、避難してる、よな)
特に最近は結婚式の準備とかであのBランクAGのディファンとかいうのも一緒にいたのだ。まかり間違ってもBランクAGが簡単にやられるはずもないだろう。
そう、やられるはずがないのだ。一般人の視点から見ればBランクというのは既に人間やめ人間の領域、自分が心配する必要などどこにもない。
まして今は新井のピンチだ。あの新井すら阿辺を抑えられないかもしれないのだ。
それならば、天川を呼びに行くことが優先のはずだ。そう、それが人族の利益となりひいては難波達がこの状況を打破するために必要なピースの一つのはずで――
「……悪い、新井」
――一目見るだけだ。そう自分に言い聞かせて方向転換。目指すはセシルさんとユラシルさんの住む花屋さんへ。
一目見て、無事ならそれでいい。いや別に彼女らに会えずともそこにいないことを確認出来ればすぐに。
走り、見つけた花屋は……魔物によって壊されてはいなかった。むしろこの区画は不自然に静かだ。
討伐部位が少し落ちていることから、魔物がいなかったわけじゃなかろうが今のところ周囲に気配は無い。
なんだ、大丈夫じゃないか。これなら心配する必要なんて微塵も無かった。
難波はそう結論づけ、ホッと一息をつき――
「……っ! ……っ、……っ」
――うめき声のようなものを、聞いてしまう。別に誰の声だと分かった訳でもない、それどころか空耳かもしれない。
でも、何故かそのうめき声が耳から離れない。嫌な予感が腹の中で膨れ上がる。
はたと、足跡が花屋に向かってついていることに気づいた。血でできた足跡なのか、それが一つや二つじゃない。八……いや、十人分はありそうだ。
何故一つの家屋にそれだけの足跡が?
いや……そもそも、なんで入った分の足跡しかないんだ?
「……いやいやいやいや、考えすぎだって俺。はは、そ、そうだ。それか魔物から身を隠すために中に入ったんだ。きっとそうだ」
そして怖くて出られていない。
浮かび上がった不安を振り払うようにそう結論づけ、難波は扉の方へ向かう。
逃げ遅れた人がいるのなら、避難所まで案内するのだ。避難所ならば騎士……それこそシローク長官がいるのだ。天川程じゃないにせよ彼も実力者、新井の助力はその人に頼めばいい。
「そう、だよな。そうだよな、だから生き残りがいるなら、そうしないと……」
声が震えていた。膝が、手が震えていた。決して長距離走った疲れによるものじゃないことは理解していた。
でも、それでも。
嫌な予感を振り払うように扉の前に立ち、勢いよく開けた。
「……! ……っ、……っ!」
「こいつまだ暴れる元気がありやがるのか」
「妹の方はもう壊れてんのによぉ」
「壊した奴が言うんじゃねえよ、ぎゃははは!」
「マジでやんのか? なぁ、確かにディファインはムカついてたしコイツラは具合よさそうだけどよ」
「おいおい、今さら怖気づいたのかよ。ま、やんねぇんならどっか行っとけよ」
「いや、やんねぇとは言ってねぇって。ただよ……十人で回すのはなぁ。もう二人くらい欲しいだろ、女が」
脇に倒れているのは爽やかで涼やかな笑みを浮かべていた青年。名前を確か、ディファイン。背にナイフが突き刺さり、驚愕の表情のまま……ピクリとも動かない。
そして奥ではセシルたちが丹誠込めて育てた花がある……のだが、それらは全て床に敷き詰められ、まるで布団のように。
その上に覆い被さるようにして――
「な、に、を……」
ズン!
無意識に足を踏みしめており、地面に穴が開く。
その音で難波が入ってきたことに気づいたのか、ユラシルさんに覆いかぶさっていた男が難波の方を振り向いた。
「あー? チッ、見られたか。テメーら見張りはどうしたんだよ」
「見張りも何もいきなり入ってきたんだから仕方ねぇだろ」
「まあいいや。混ざるか? それとも死ぬか?」
「混ざるなら順番は最後だけどなぁ。あ、でもこっちの反応ねー方なら先でもいいぜ?」
「マグロなんて抱いてもつまんねぇからなぁ。それか追加の女でも持ってきてくれてもいいんだぜ?」
ぎゃははは……。
彼らの笑い声が遠くの方で聞こえる。自分の今立っている場所が現実かどうか分からなくなる――と、言うようなこともなく。
ただひたすら脳内がふつふつと沸騰する。なるほど、これが怒りかと妙に冷静な自分がいる。そう、自分は冷静だ。
そう、冷静だから。
「黙ってんなら、見張りでもしてろよ。魔物が入ってくるかもし」
ゴッ! と、何かぐちゃぐちゃ言っていた男を殴り飛ばしていた。
ぐしゃり、という肉が潰れる感触が拳に返ってくるが今はどうでもいい。
「て、テメェ! 何しやがる!」
「ぶはっ……ま、マサト! に、逃げて、お願い逃げて! こいつらはまともじゃないわ!」
周囲の男どもが難波に殺気を放ち、今まで押さえつけられていたユラシルさんが殆ど悲鳴を上げるように叫ぶ。
しかし、退けない。ここでこいつらを放って逃げても何も状況は好転しないからだ。
それに難波は非常に今冷静である。怒ると却って冷静になる――と言っている人がいたが、今まさにそんな感じだ。
冷静だから――怒りに任せてコイツラを殺してはいけないということは分かる。
冷静だから――素手で戦うのも愚策だと分かる。何せ十対一だ、実力に天地程の差があってもそのまま倒せるとは限らないから。
冷静だから――しっかりと武器を取り出して構える。城で剣術を習っていた時に渡された、刃引きされた剣だ。
『刃引きされてる、いわゆる素振り用の剣、模造剣だ。ま、人に振るっても死にはしねぇとは思うが……大怪我はするから気をつけろよ』
この剣を渡してくれた人はそう言っていた。
そう、難波は冷静だからこの剣で相手を攻撃すれば死なないということが分かっている。フルスイングしても、死なないはずだ。何故なら模造剣なのだから。
そう、だから今から難波はこいつらを制圧するために剣を振るうのだ。決して殺すためのものではない。
ユラシルさんたちを救うため、振るうだけ。殺すつもりは、決して無い。
「な、にを……してんだ、テメェらぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
腹の底から声が出る。魔物が集まってくるかも、なんて考えは一切脳内に浮かばなかった。
ただ、目の前の奴らをぶちのめし、二人を助けることしか頭に浮かばない。
セシルさんの上に乗っかろうとしていた男の脳天に剣を振り下ろす。血は出るが、真っ二つにはなっていない。本気で振り下ろしたが、この剣は刃引きされているのだ。だから大丈夫。
その男を蹴飛ばし、振り向きざまに胴。脇腹にミシリと難波の剣がめり込み――その場に崩れ落ちるその男。
しかしこのままでは再び動き出すかもしれない。難波はすり足でもう一歩踏み込むと、下がった頭に面を叩きこんだ。
ぐじゃ、という生々しい音が部屋の中に響き渡ると同時に――残りの奴らが剣を抜く、ナイフを構える、杖を持つ。
あと七人、入ってきたドアの近くにいた杖を持った男――恐らく魔術師――に一歩で距離を詰めると、小手で杖を叩き落した。これで呪文は唱えられまい。
顧問に怒られそうだな――なんて場違いなことを思いつつ左手で相手の襟を掴み、引き寄せて足をかけて転ばせる。
そして頭の位置が下がったところにキッチリ面を入れてとどめを刺す。そういえば面は脳天に打つものでは無かったか。
どうでもいいが。
ずしゃりと杖を持った男が崩れ落ち、そこを狙うように短剣を持った男が踏み込んできた。難波は一歩下がり、短剣を透かしてからカウンター気味に膝を顎に決める。そしてがら空きになった喉に突き。嫌な感触が手に返ってくるが――刃引きされてるんだ、多分死んでない。仰け反り、血と共に口から飛んだ白い物は……歯、だろうか。
低く、低く――まるで地を這うかのように襲いかかってくる二人の剣士。きっと相当練習したのだろう、実力もあるのだろう。動きに無駄が無い。
一方、難波は結局三年の剣道と城の稽古しか積み上げたものがない。動きは無駄だらけで、きっと達人の域には到底届いていない。
でも。
「ハッ!」
高速で踏み込み、面を打つ。それだけで一人は地面とキスする羽目になり、その速度についてこられなかったもう片方は勢いあまって壁に激突してしまう。
壁に激突した男が振り向くより早く、逆胴。ああ、また顧問に怒られる――そんな気持ちを抱きながら別の壁に叩きつけられるその男をぼんやりと眺めた。
首が変な方向に曲がり、折れた骨が突き出ているが、気にしている暇は無い。
残り、三人。ここが花屋で――つまり商店で良かった。普通の家なら天井がもっと低くて剣なんて振るえなかったし、踏み込み出来るスペースも無かった。
「……ッ! て、テメェ! 動くなよ、こいつがどうなっても――」
「『飛斬撃』!!!」
ゴッ!
空気が震える音と共に、ユラシルさんを人質にしようとした男の右腕が吹き飛ぶ。片腕が無いくらいなら死にはしないだろう。
難波は踏み込み、面でそいつを打ち倒す。あと二人だ、もう少しだ。
もう少しで、ユラシルさんとセシルさんを救けられる。
再び人質に取られたらたまらないので、ユラシルさんとセシルさんを抱き上げて部屋の隅へ。そして再び向き合ったところで――その二人はいなくなっていた。
「……あ、れ? ……あっ、逃がし、いや、それよ、あっ、ゆ、ユラシルさん! セシルさん! だ、大丈夫ッスか!?」
状況が飲み込めず一瞬呆けたが――すぐさま二人の方を向く。一糸まとわぬユラシルさんは気が動転しいてるのかその辺に落ちていた向日葵(のような花)で大事なところを隠し、セシルさんは呆けた眼でずっとブツブツ言っている。
「……あっ、えっ……だ、大丈夫……ッス、か?」
彼女の身体に傷らしい傷はない。セシルさんの方も同様だ。だが傷が無かろうとあの状況で何もされなかったとは考えにくいが――
「……二人とも、服を剥かれただけよ。安心してちょうだい、外傷も無いし……まだ、何もされていなかったから。セシルは……その、ディファインがああなったショックでこうなっちゃったけど、ね」
言葉を濁してそう言うユラシルさん。そんな彼女を見て難波の心臓がドクンと跳ねる。ドクドクと鼓動が早鐘を打つ。
それは決して恋だからとか、目の前に女体があるからとかそう言うことではない。この胸にある感情は抑えきれない程の――罪悪感。
押し潰される、涙が出そうになる。そんな、無茶苦茶な感情に心を支配され……ただ立ち尽くすことしか出来ない。
目を伏せ、黙り込んだユラシルさんに……アイテムボックスからコートを取り出してかけてあげる。それに気づいた彼女は黄色いショートカットを揺らし、その綺麗な髪色と同じ色の瞳を難波に向ける。
体感で一時間くらい、実際には一分程だろう。見つめ合って……難波はぽつりと口を開いた。
「なん、で……なんも、言わないん、ッスか?」
「? ……あ、ああ。確かにお礼も言わなくてごめんなさい。気が、その、動転していて。……助けてくれて、ありがとう」
ペコリと頭を下げるユラシルさん。彼女はセシルさんを抱きしめ、頭を撫でながら……薄っすらと、笑みを浮かべる。
「強いのね、マサト。驚いたわ? まるで勇者みたいだった」
穏やかな、それでいて……はかなげな笑みを浮かべるユラシルさん。難波はその表情を見て余計に胸を締め付けられる。
「あ、天川は……こんなもんじゃねぇッスよ。って、いや、違う、くて……」
誤魔化すように変な笑顔を浮かべ……それをすぐに消し、たまらなくなって膝をつく。うなだれ、口をパクパクと開く。
なんで、彼女はこんなに穏やかなのか。
なんで、何も言わず笑っているのか。
なんで、難波に礼なんて言えるのか――
「なん、で……責めないん、すか」
「……何を? マサト」
ユラシルさんは弱り切った眼で難波を見つめる。責めるでも、泣くでも喚くでもなく、ただただ見つめてくる。
それが堪らなく心地悪かった。ひどくいたたまれなかった。
なんで責めないのか。
「もっと、俺が、早く……来てれば……」
「な、何を言ってるの……? 助けられて、感謝しこそすれ……責めるなんてありえないでしょう? 人として」
本気で不思議そうな顔をするユラシルさん。でもそれが逆に難波は意味が分からなかった。
全部、難波のせいでこうなったのに――
「だって、だって俺がもっと早かったら、お店はこんなにぐちゃぐちゃにされてないんスよ! ディファインは死んでないし、ユラシルさんだってこんな怖い目にあってないッス! そんで、そんで……! セシルさんだって! ぶっ壊れなかった!!!!」
なんだかもう一杯いっぱいになってしまいそう叫ぶと、ユラシルさんがゆっくりと手を伸ばし――難波の頬に触れた。
「マサト」
酷く優しい声音。もはや残酷な程。
ユラシルさんはただ難波の頬を撫でたまま、逆の手を難波の頭に回す。
そしてぼすっ、とその胸にダイブさせられた。何も着ていない、向日葵だけが乗っているユラシルさんの胸に。
「~~~~~~~~~~~っ!?」
混乱し、声なき声をあげてしまう。女性の裸体は、ふにふにして柔らかいのだと初めて知った。
「貴方は、優しいのね」
「なんっ、いやっ、ちがっ」
違う、優しくなんかない。今だってそう言ったのは、ただ自分が堪らなく許せなくて――誰かに叱って欲しかったから。
ユラシルさんはそんな難波の想いを知ってか知らずか、そのままただただ撫で続ける。
「私は、今……余裕が、無いの。だからごめんなさい、貴方のことを怒ってあげられないの。ただただ……悲しくって」
「ユラシルさん……」
「だけど……助けてくれて、ありがとう。貴方が来てくれなかったら、きっとこうして無事に話せてない」
無事じゃない。
そう言うのは簡単なのかもしれないが、難波も弱い。今はただ流されていたい。自分は悪くないのだと思いたい。
(情けねぇ……)
人肌の暖かさをじっくりと堪能したいのはやまやまだし、もっとここで悲嘆に暮れていたいのだが――いつまでもここにいるわけにはいかないだろう。避難所まで彼女らを連れていかねば。
難波は彼女の胸から顔を上げると、セシルさんを担いだ。彼女にもコートをかけてあげたかったが、手持ちに無いので仕方なくキャンプ用の毛布でくるむ。
「マサト?」
「あー……その、避難所まで案内するッス。……お、男の人が怖かったら俺がついてるんで。その、ここより安心ッスから。そんで、その。目のやり場に困るんで……」
「……その前に着替えて欲しい、と」
「ッス」
「そう。……そうね。こっちよ、私たちの部屋は」
ユラシルさんの言う通り二階に行くと、一つ結界の張ってある部屋があった。弱い結界だが、ゴブリン程度なら入ってこれないだろう。
「そこは私の工房よ。私が薬剤師なのは話したわよね? 危ない薬も中にはあるから、簡単に人が入れないように軽く結界を張ってあるの。副次的に魔物も弾けるわ」
「そうなんすね」
「と、ここよ。ちょっと待ってて」
セシルさんをユラシルさんに預け、五分程待つと……中から呼ばれたので部屋の戸を開けた。
「セシルさんは……俺が、おぶるッス」
「……助かるわ」
ユラシルさんはいつも通りの格好――七分丈のズボンに何かポンチョみたいなやつを着ている。そしてセシルさんはワンピースだ。
虚ろな目のまま……何事かブツブツと呟き、生気を失っている彼女はまるでクスリをやった人のよう。
難波はギリッと奥歯を噛みしめてから……彼女をおぶった。
「マサト。道中で魔物が出てきたら……その、どうするの?」
「あー、そん時は俺が全部ぶっ飛ばすんで安心してくださいッス」
「いえ、セシルをおぶったままでは困るでしょう? 私がおぶりましょうか」
「……そん時だけ、そのお願いしますッス」
「そう、か」
どうにも彼女の眼を見れなくてそっけなくなってしまう。
難波とユラシルさんはそのまま階段を降り、店の方を通ってから外に出ようとしたところで――
「ぐっ!?」
――ドンッ、という衝撃と共に脳まで痺れる痛みが走った。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる