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第七章 大事件なう

154話 様子見なう

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「ふっ!」

 空を駆けあがり、ソードスコルパイダーの死角になるであろう背の部分に槍を振り下ろす。
 まずは様子見、そう思って振るった槍だが見えない『ナニカ』に阻まれて攻撃が通らなかった。固い壁のようなものではなく、弾力のある……ゴムのようなもので跳ね返される。
 押し込んでみるが、ゴムまりのような感触とともに弾かれてしまった。

「何か、バリアーでも出せる能力があるのかな。だったら……」

 流石に四方から撃てばどれか一発は当たるだろう。魔法的な結界かもしれないので魔力を『視』る眼に切り替えてから周囲に四つの火球を生み出した。
 俺を狙って右から振るわれる尻尾をその場で回転することで受け流し、ファイヤーバレットを前後左右からぶち込む。
 ――しかし。

「ふーん……」

 その全てが徐々に威力を失い……そして完璧に俺に向かって跳ね返されてきた。全体に結界でも張っているのかとも思ったけど、魔力の流れからしてその可能性は薄い。
 取りあえず俺に飛んできた火球を水で握りつぶし、風の刃を放つ。
 今度もまた跳ね返されるかと思いきや、そのまま普通にソードスコルパイダーに直撃した。

「キシャァァァッ!」

 ガギギギン! 鋼鉄と鋼鉄が激突したような異音が響く。なるほど……斬撃系の攻撃は通用しないってことか。

「凄まじい硬度だね……っと」

「キィィィィィィィィィ!」


(キョースケ、遮音結界ダァ!)

「オーライ」

 耳をつんざく甲高い咆哮。魔力効果は無いが一般人なら聞いただけで鼓膜が破れのたうち回る目にハメになるだろう。
 冬子、シュリー、リャンにも同様の遮音結界を張りその咆哮を防ぐ。ただの叫び声が制圧の技になる……Sランクは伊達じゃない、か。

「セブンも、エースも……タローも。こんなやつらを単独討伐したのか」

(カカカッ。単独とは限らネェケドナァ)

 揶揄うように笑うヨハネス。俺も口元に笑みを浮かべてから槍を回し、ソードスコルパイダーの尻尾を躱しながら空へ駆けあがる。

「……取り敢えず、ちょっと俺に意識を向けてもらおうかな。『エクスプロードファイヤ』!」

 ドドドドド!
 十発の爆炎が閃く。先程の火球とは違い、今度は『ナニカ』に当たった瞬間爆発させたわけだけど、爆風程度じゃやはり効かないか。

「ハァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

 ドッ! と、地面をめくりあげそうな勢いで冬子がソードスコルパイダーに突っ込んでいく。その足は淡く光っており、『職スキル』で強化されていることが見て取れる。
 彼女は衝撃波をステップでかわし、振り下ろされた剣を自らの剣で受け止めた。
 ガッッッッッッッッッッッ!! と、重機同士がぶつかり合ったような鈍く重い音が響き渡る。押しつぶされるようにして振り下ろされていたため、地面にド級のクレーターが出来上がり……その衝撃で俺の前髪が軽く揺れた。

「冬子!」

「心配するな! おおおおお!」

 轟! と蒼いエネルギーが渦巻き『力』が彼女からあふれ出す。Sランク魔物と『力』で打ち合うとは……彼女も十分、パワータイプだね。

「っらぁぁぁぁぁぁ!!!」

 淡い蒼色のエネルギーが腕を伝い、さらにそれに加えて黄色いエネルギー、『魂』を迸らせて押し返した。

「いまだピア!」

「言われるまでも無く」

 冬子がソードスコルパイダーの剣を受け止めている間に、リャンが懐に走りこんでいた。そしてその勢いのままソードスコルパイダーの右側の剣がついている腕にナイフを突き立てた。

「ハァッ!」

 パァン! という音と共に関節部分が破裂する。緑色の体液が噴出し、力なく垂れ下がる剣は薄皮一枚でしかつながっていない。
 よし――と思ったのも束の間、なんと剣が腕に再びくっつき、そして再生していった。

「なっ……!」

「ならば何度でも破裂させるのみ!」

「もう一度私が隙を作る!」

 冬子、リャンがいったん左右に飛び相手の攻撃を躱す。
 俺は今の光景を見ながら……さて、相手にどんな能力があるのか観察していた。

「生えた……んでもなく、傷口がふさがったんでもないね。時間が戻るように……っていうのも少し違うか」

(カカカッ! ――中々ヤルナァ! サテ、ドウスルカ)

「じゃあちょっと……突っ込んでみるか」

 さらに上空へ飛び――俺は落下速度を加えて『砲弾刺突』を発動させる。終扉開放ロックオープン状態以外で発動すると十分に威力の出ないこのスキルだが、落下しながらすべての勢いを乗せればそれに近い威力を出すことが出来る。
 轟! とさらに加速してまっすぐ突っ込んでいくと――やはり、『ナニカ』に阻まれた。しかしその『ナニカ』も万能ではないらしく、槍を振り下ろしただけの時よりは押し込めた。
 グググ……とその『ナニカ』と拮抗するが弾かれる。しかし弾かれると同時に置き土産の風の刃を撃ちだしておく。
 ――やはり、風の刃は通用しない。奴の外骨格に弾かれ、四散する。

「チッ」

 上空にいる俺に左側の尻尾から紫色の液体が飛んでくる。どう見ても毒なので、槍で受けず水の膜で防いだ。
 威力はそれほどではないが……喰らえばひとたまりもないだろう。連打されると鬱陶しいのでいったん退く。

「厄介だね」

 冬子、リャンも退き五人で集まった。ソードスコルパイダーは大空を仰ぎ雄叫びを上げ、こちらを睨みつけてくる。

「どうも切断系の魔法は跳ね返さないけど、それ以外は何か謎の力で跳ね返される。でも斬撃系はそもそもあの外骨格には効かないみたいだ」

 ギラリと黒光りするやつの外骨格は、相当な硬度があるのだろう。恐らく、鋼鉄なんか目じゃないほどに。

「しかも、私が爆ぜさせた部分が再生しました。再生とも少し違うかもしれませんが」

 見えないもんだから対策もたてづらい。力ずくでぶち破るには少々骨が折れそうだ。

「ふむ……ではやってみるかの」

 なんてキアラは笑うと……腕を右から左に振るい指を鳴らした。
 パチィン! と景気のいい音が鳴ると同時に、ソードスコルパイダーが真横へ吹っ飛んでいった。

「は?」

「キュキィィィィィィィ!」

 耳に突き刺さるような異音、再び。
 俺が風の結界でなんとか防ぐと、キアラはその隙に今度は腕を上から下へ振り下ろしパチンと指を鳴らした。
 瞬間、ソードスコルパイダーが地面に叩きつけられ、さらに上から魔法陣が下りてきてソードスコルパイダーの動きが鈍る。拘束結界だ。

「キシャアァアアアァァァァァァァァァァァァァァァ!?!」

 結界を壊そうと狂ったように暴れるので、俺も水の拘束結界を発動させる。水で地面に縫い付けるというシンプルな魔法だが、キアラの拘束結界と合わせれば十分動きを封じられる。

「ナイスアシストぢゃ、キョースケ」

 満足そうにうなずいたキアラはもう一度指を鳴らす。そして俺たちの背後に現れるのは空間すべてを埋め尽くすほど大量の魔法陣。
 光り輝くそれは、一つ一つが精緻な装飾を施された彫刻のよう。そしてその魔法陣から召喚されるのは……一見、戦闘用ではないような華美な宝剣や槍。

「……これ、まさか」

(カカカッ、ソウダナァ……テメェのエクスプロードファイヤを更に強化シタって感じカァ?)

 ――その宝剣などの武器はすべて魔力で編まれたもの。否、一つ一つが緻密に編み込まれ生み出された魔法。
 キアラ……一度に千くらいの魔法を……!?

「そのまさかぢゃ」

「キシャアァアアアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 暴れまわるソードスコルパイダーに向かって、魔法陣から一気にすべての武器が射出される。
 ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!! と、連続して爆音が響く。まるでミサイルのような勢いで放たれるそれは、すべてを飲み込み塵に変える――そんな迫力がある。
 一発一発が必殺の威力を持つ魔法。それを千発……普通の相手ならオーバーキルだが、さてSランク魔物ならばどうか。
 ちらりとキアラを見る。この暴力の雨を降らせている張本人は超然とした雰囲気で佇んでいる。
 枝神から弱体化して人間クラスになったのにこのレベルだ。それに魔力を使う端から回復しているし。以前のように『減らない』のではなく『減ってから回復』している。俺が神器を使っている時のように。

「……しかしまあ、凄まじいね」

 もうもうと立ち込める土煙の中、キアラの魔法がやんだタイミングを見計らってそれを風で吹き飛ばして視界を確保すると……

「なんだ……アレ」

「繭……か?」

 そこには先程ソードスコルパイダーが出てきた時のような繭が。しかし尋常じゃなく大きい。ソードスコルパイダーがすっぽり入る大きさだろう。

「ふむ、流石に火力が足らんのぅ……しかしこれであの防御の正体が少し割れたか」

「Sランク魔物ってのはアレでも倒せないのか」

 魔力があるからこれで倒せていないのは分かっていた。しかし、それでも少しガックリきてしまう。

「キッ、キシャキシャッ、キシャアァアアアァァァアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 ピリッ……と繭が破れると同時に無傷のソードスコルパイダーが現れる。街はおろか小国すら滅ぼせそうな魔法の嵐に平然と耐えられるというのは……まあ、魔物の頂点に立つというのは伊達じゃない。

「ヨホホ……面の制圧は得策じゃないようデスね」

「そうぢゃな。ではキョースケ、視界を切り替えてから火球を放て。敵の攻撃が跳ね返される際は奴の尻尾に注目するのぢゃ」

「ん。……俺も流石に分かってきたけど」

 俺は魔力を『視』る眼に切り替えてから、魔力を込めて火球を放つ。すると……尻尾の先からかなり注視しないとわからないほど細い『糸』を出し、それがさらに蜘蛛の巣のように広がり俺の撃ちだした火球を包み込んだ。
 そして――反射。

「蜘蛛っぽいんだから、その可能性を考慮すべきだったねぇ」

 俺は足に風を絡みつかせて飛び出し、水で火球を握りつぶす。
 魔力を『視』る眼で見れるということは、あれは魔法ないし魔力をエネルギー源とした技であるということだ。それならばやりようがある。

「じゃあ行こうか……」

 コーン……と、木と木が打ち合うような音が響く。空中にいる俺の魔力が荒ぶり、爆ぜる。轟! という爆音とともに魔力を放出し俺の周囲は赤紫の魔力に覆われた。

「魔昇華!」

 掛け声と同時に、俺は槍に炎を付与する。そしてその勢いのまま『飛槍撃・炎』を打ち出した。
 ソードスコルパイダーが尻尾から糸を出し、跳ね返そうとしたので――

「今だ冬子!」

「ああ! 『断魔斬』!」

 ――スパッ! と、剣を振りぬいた冬子がにやりと笑って着地する。
 糸を切られて跳ね返せなかったソードスコルパイダーに『飛槍撃・炎』が直撃した。ズガッ! という音と共に背で爆ぜる。
 しかし無傷。やはり外骨格の硬さが尋常じゃない。

「なら……これでどうだ」

 俺がソードスコルパイダーの背に乗り、予備の槍を取り出す。風魔法でダウンフォースを発生させてその場に俺の体を固定し、二槍の石突きに火焔を灯した。
 槍を振りあげ――こんを込めて叩きつる!

「――『火炎太鼓』。ハッ!」

 ドォォォン! ドォォォン! ドォォォン! ドォォォン!
 轟音が辺りに響く。一撃一撃腰を入れて、二条の槍をバチのように使って背を叩く。固い外骨格。一撃でぶっ壊せないなら連撃だ。

「キシャァァァ!」

 背に乗ってる俺を嫌がり、ソードスコルパイダーが暴れだす。しかしダウンフォースのおかげで投げ出されることは無い。
 ぐわんぐわんと揺れる背……正直、酔いそうだ。しかしそんなことも言っていられない。いきなり俺の腕が糸で絡めとられる。
 一瞬それに気を取られ、『火炎太鼓』が止む。そしてそこで先程の毒液が。

「効かないよ」

 糸を燃やし、水の結界で毒を弾いた。これで腕が自由になったので攻撃を再開する。リズムよく響く轟音、ズガンとひと際力を込めたところで外骨格に罅が入った。
 俺はニヤリと笑い罅に槍を突き立て――炎を流し込む。

「キィィィィィィシャァァァァァ!」

 ドッ! という爆音と共にダンプカーに激突したかのような衝撃が襲ってくる。注ぎ込んだ炎が跳ね返ってきた。
 だが注ぎ込むことは出来たようで、外骨格の一部が壊れて中身が露出する。よし――と思ったのも束の間、俺は横合いから振るわれた尻尾に吹き飛ばされる。

「ぐっ……!」

 両腕をクロスして受け止める。魂を纏った腕がしっかりとガードしてくれたが、空中に投げ出される。
 久しく感じていなかった『落下する』という感覚。ジェットコースターで落ちる時のような、内臓が浮く感覚。
 風を纏い、なんとか体勢を立て直そうとしたところで身動きがとれなくなる。しまった、縛られた。

「くっ……そっ……!」

 燃やし尽くそうと炎を身に纏うが振りほどけない。先程の『見えない』糸とは違って、今度は見えるほど太いからか、すぐさまは燃え尽きない。

「しまっ……ぐあっ!」

 ズンッッッッッッッッッ!!
 地面に叩きつけられる。振り回され、周囲の自然を破壊しながら空中へ投げ出された。そして追い打ちをかけるような数発の衝撃波。
 不気味なまでに動きの無かったソードスコルパイダーの様子が変わった。

「がぁあああああああああ!」

 一発は風の刃で相殺するものの、残りをモロに喰らってしまう。そのおかげで糸はほどけたが、全身をズタズタにされるような痛みに俺の意識が一瞬飛びかける。

「マスター!」

 リャンが俺を抱き留め、そのままキアラの元まで連れて行ってくれる。流石はSランク魔物。まともに喰らったらただじゃすまない。
 久々の痛みに顔を顰め、脂汗をかいていると……

「マスターは少し休んでてください!」

 俺をキアラの元に降ろしてリャンがソードスコルパイダーに向かって突っ込んでいく。彼女は相性が悪いだろうに……大丈夫だろうか。

「キョースケよ、無茶しすぎぢゃ」

 呆れた声を出すキアラが指を鳴らす。その途端ぽう……と俺の体が淡く光り、傷がふさがった。傷が塞がればダメージが抜けるというものではないが、何とか動けることには動ける。
 活力煙を咥え、火をつけた。肺に染み渡る甘い煙が俺の疲労を多少はとってくれる。ああ、美味い。

「お主はいったん援護に回れ。リューが代わりに前線に出ておるから手が足らん。少し休まんと体も満足に動かせまい」

「了解」

 俺はキアラの隣で数十という数の風の刃を生み出し、ソードスコルパイダーに向かって前後左右から乱れ撃ちする。
 そのどれらもソードスコルパイダーに傷をつけることは無いが、鬱陶しいらしい。俺とキアラに向かって衝撃波を撃ちだしてきた。
 水弾と風刃で相殺し、お返しに炎弾を撃ちだす。ソードスコルパイダーはそれを尻尾や糸で迎撃しているが――上ばかり見ていると、地面から走り寄る彼女を見逃すよ?

「ハァッ!」

 リャンが炎と魂が付与されたナイフを突き刺す。先程は一撃で剣を吹き飛ばしていたが、今度はダメージを与えただけのようだ。
 ソードスコルパイダーはそれを嫌がり、彼女に向かって糸を吐き出す。俺がやった時のように体中を絡めとるつもりなのかもしれないが――二度、同じ手は食わない。俺が先程より火力を高めた火焔で焼き尽くす。

「キェッ!?」

 予想が外れたからか、驚いたような声を出すソードスコルパイダー。態勢を立て直そうとしたのか大きさにそぐわない俊敏さで跳躍し、いったん俺たちと距離をとる。
 しかし――

「マスターの体を傷つけた罪――償え」

 ――一瞬にしてソードスコルパイダーに転移したリャンは、そのまま縦横無尽に奴の体の上を駆けまわる。
 以前……ダンジョンに行った際に手に入れたナイフの能力だ。俺が『雷刺』と名付けたそれは元から魔剣の類だった。
 能力は『転移』。雷刺でマーキングした場所に転移することが出来る、というシンプルで強力なもの。
 彼女は魔力を持っていないし、雷刺は能力が強力な代わりに内在魔力が少ないので一度に使える転移の回数、マーキング出来る回数は決まっているが、俺かキアラがチャージすればまた使える。
 一撃目でマーキングしていたから、アレが逃げても追えたんだろう。

「キシャァァァァァアアアア!」

 リャンが様々なところを刺し、魔力の流れを狂わせているからかソードスコルパイダーがあからさまに嫌がっている。
 左右の剣を連続で振り下ろし、その場で体を回転させて尻尾攻撃をするが、台風の目の中にいるかのように彼女には当たらない。
 そしてそっちに気を取られていたら俺とキアラの魔法を迎撃出来ず、とかなり翻弄されている。

「背中の傷……もう塞がってるね」

「そうぢゃな。しかし外骨格は割れたままぢゃ。再生能力があるのではなく、あの尻尾から出た糸が肉体を補填した感じかの」

「化け物の相手とかやってらんないよ、ホント」

 俺は一つ舌打ちをして、槍を構える。

「――次の冬子の攻撃が通ったら、俺も前に出る」

「ふむ。ではピアと交代した方がいいかのぅ」

「え?」

 キアラが言った瞬間、リャンが吹っ飛ばされた。魂の使い過ぎか、グッタリしている。

「リャン! ――くそっ!」

 一つ悪態をつき、焦りながら彼女を風で引き寄せる。その体を貫こうとしていた剣を槍で受け止め、爆発を起こしてはじき返した。
 彼女の胸は上下しており、呼吸は確認できる。致命傷こそ負っていないが出血は多い、早くキアラに任せないと。

「ま、す……」

 俺は二度、三度片手で打ち合い、冬子とスイッチする。彼女が完全にタゲをとったのを確認してキアラの方へ走る。

「喋らなくていい、今は回復を――」

「ます、たー……心臓マッサージをお願いします。出来れば強めに、揉みしだくように」

「元気ならこれでいいね!」

 リャンをぶん投げ、風でキアラの元に送る。彼女のそれがカラ元気なのは分かっているので、俺が直接運ぶより風で包んで運んだ方が安全だ。傷口にも触れないし。

「二人は引いて!」

 そう叫びながら、俺と冬子は二人で武器を構える。

「――さぁ、行こうか」

「キィィィィィィシャァァァァァ!!!!」

 第二ラウンドだ。
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