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第四章 王都なう
76話 買ったのか? なう
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あれから数日。俺は宿の部屋の中で活力煙を吹かしながらベッドに寝転がっていた。寝煙草はよくないと言われるけれど俺はいつでも水を用意できるからな。問題ないだろう。
「にしても……」
リューから貰った紙。そこには割と信じられないことが書いてあった。信じられないことではあるが、ここに書いてあることが真実ならば俺の疑問も氷解することになる。
やれやれ、まあこれは暫く俺の胸の中にしまっておくかな。
「京助、私たちは準備出来たぞ」
ノックの音とともに冬子の声が聞こえた。もう準備出来たのか。
「ああ、今行くよ」
俺は活力煙を灰皿に押し付けて火を消す。俺は女子じゃないので準備は着替えるだけだ。しばらくはアンタレスに帰ってこれないので部屋の掃除もなんとなくしておいたけどね。
「冬子、リャン、キアラ。揃ってるね」
部屋から出ると、俺の部屋の扉の前には美女三人が立っていた。……我ながら凄まじいパーティーメンバーだな。
リャンの首には奴隷の首輪がついているし、キアラは相変わらず目の毒な格好だし、まともな格好をしてくれているのは冬子しかいない。
「うーん……やっぱり目立つよなぁ。キアラ、もう少し露出は控えない?」
「なんぢゃ、キョースケ。お主はぴっちりとしたボディラインが出る恰好の方が好きなのかの? ……ほっほっほ、良いぞ、キョースケ。今着替えてくるから――」
「いや着替えなくていいから。……相変わらず話が通じないのだけはよくわかった」
「マスター、では私も着替えて参りましょうか」
「リャン、ちょっと黙ってて」
「きょ、京助、その、わ、私も――」
「冬子、落ち着いて。顔を真っ赤にまでしてするようなことじゃないから。そもそも外はそろそろ暑いだろうし」
最近、外が暑くなってきた。この世界にも四季があるのかキアラに尋ねてみたところ、年間を通じて温暖な気候ではあるが、それでも多少暑くなったり寒くなったりはあるらしい。
「そうなのか? キョースケ。お主、よく妾の足を見ておるぢゃろう? てっきり黒いストッキングでも履いたら喜ぶかと思ってのぅ」
ニヤニヤとした顔のキアラ。……い、いきなり何を言っているんだ。
「な、何言ってるのか分からないな。ほら、さっさと行くよ」
そう言って他の2人と一緒に階段で一階に下りる。もうみんなご飯は食べているからこのまま出発できる。
俺は活力煙を咥えて火をつけ――
「そ、そうだったのか!? 京助! ……そういえば、去年の冬はよく私の足を見ていたが……そ、それはそういうことだったのか?」
「マスター、女性の身体を見る時は視線に気を付けてください。それにしても私の胸を見ていないな……と思ったらそういうことだったんですね」
――まさかの二人まで乗ってきやがった。
「……二人とも、そんな眼で見ないでよ、みんなキアラの妄想なんだから――」
「そ、その……京助、私は嬉しいぞ? 嬉しいが……今度から見る時は一つ断りを入れてからだな」
「だから違うからね? なんで食いついてるの? 冬子」
だから顔を真っ赤にしてもじもじするなとあれほど。
「いいんですよ、マスター。恥ずかしがることはありません。男性ですからね。つい先日リューさんからキスされた時に動じてなかったのでもしかするとホモなのか……と思っていたところでしたから」
リャンの誤解がひどい。というかそんな慈愛に満ちた顔をするのは……やめよう? ね?
俺はため息をついてから肩をすくめる。
「誰がホモか。俺はノーマルだよ」
「ということは足を見ていたんぢゃな?」
「どうしてそうなる!?」
「ああ、確かにいやらしい目で見ませんもんね、キヨタさん。脚フェチだったんですね」
「だから違う――ってマリルさん!?」
「はい、マリルです~。最近キヨタさんがギルドにいらしてないので誠に勝手ながら様子を見に来させていただきました。具体的には指名依頼が来ましたので」
後ろから声が聞こえたと思ったらマリルが立っていた。その手には何やら書類のようなものを持って。
「あー……指名依頼?」
取りあえず話題が変わったことにホッとしつつ俺はマリルに向き直る。
「それで、どんな依頼? 俺らはこれからちょいと別の街に行く予定だったんだけど……」
「そうだったんですか。いや実は運搬の依頼でして。王都までとある武器を運んでほしいとヘルミナさんから」
「ヘルミナが?」
腕のいい武器屋のヘルミナだけど、王都にはさらに腕のいい彼女の師匠がいたはずだ。だからアンタレスのヘルミナに注文が届くとは思えないんだけど……。
「詳しい事情はギルドでお話しますから、一度ギルドまで来ていただけますか?」
王都へ届けに行くのならちょうどいいし、このクエストは受けようか。
「ん、わかった。ならギルドへ行こう。みんなもいい?」
三人とも頷いたので、俺たちはマリルさんを連れてギルドへ向かった。
活力煙に火をつけて咥えると、冬子が何故か横からそれをじっと見ている。
「どうしたの? 冬子」
「いや……キアラさんも葉巻を吸ってるし、私も何か吸った方がいいのかと思ってな」
「無理して吸うものじゃないよ。それに冬子は煙が苦手じゃん」
「それはそうなんだが……」
むぅ、と唇を尖らせて拗ねる冬子。なんでいきなりそんなことを言いだしたんだろうか。
けどまぁ、冬子の願いもかなえてあげられるなら叶えてあげたいところだね。
「ねぇリャン。煙が出ないたばことか無いの?」
「マスター、それはそもそもタバコではないと思うんですが」
正論だね。
「リャンは何か吸うの?」
「私は特には。強いて言うならお酒が好きです」
「おお、それは話があうかもしれんのぅ」
キアラが食いつく。この女は大酒のみだったね。
「まあ冬子、リャンも吸わないみたいだしいいんじゃない?」
「いや、そうじゃなくてだな……その……」
「あのー……キヨタさん、いちゃいちゃするのはいいんですけど着きましたよ?」
もじもじとしている冬子を見ていたら、いつの間にかギルドに着いていたらしい。
ギルドのドアを開けて中に入ると……ん? なんか凄く視線が集まってきている。
「おい……キヨタの野郎……」
「なんだあの美人……」
「つーか前よりも増えてるぞ」
「おい、どうなってやがんだ」
んー……正確に言うなら俺の後ろにいる三人に注目が集まってるみたいだね。まあ確かに三人とも美人だし。
(カカカッ! イイジャネェカ、男の甲斐性ダゼェ!)
(うるさいよ、ヨハネス)
俺は頭の中のヨハネスを黙らせてから、周囲の視線を黙殺する。
――と、そこで俺の目の前によく見るハゲ頭が立ちふさがった。
「……どうしたの? マルキム」
「キョースケ、そこのじゅ……亜人族のお嬢ちゃんはどうしたんだ? 買ったのか?」
物凄い視線だ。視線だけで人を殺せそうなほどに。
そしてその視線は――リャンの首に向けられている。
彼女の首輪に。
「買っては無い……かな。まあいろいろあってね。俺としても不本意なんだけど。うちのパーティーにシーフが出来る人がいなかったから雇ったんだよ」
マルキムの身体から……うーん、これは殆ど殺気だな。闘気というにはあまりに禍々しいオーラが出てきている。
「なんで亜人族の子なんだ? 随分と美人だが……お前に限って亜人族なら何してもいい、と思って雇ったんじゃねぇだろうな」
「マルキム、俺がそんなゴミ以下の理由で雇ったとでも? 俺はそんなくだらない理由で雇ったりなんかしないよ。彼女の実力を見込んでのことだ。いくらマルキムでも……そんなくだらない詮索をするんなら、怒るよ?」
俺も少しだけ殺気を放って対抗する。
マルキムは剣に手をかけていない。俺だって槍を構えていない。けど、お互いが相手を一瞬で殺せる――そういう間合いだ。
そんな一触即発の空気の中、なんと口を開いたのは――リャンだった。
「申し訳ありませんが、私たちは急いでいますので。どいていただけませんか?」
「ちょ、ピアさん!」
冬子がリャンの肩を掴んだけど、リャンはそれを気にせずマルキムの前に出た。
「私の名前はリャンニーピア。親からはピアと呼ばれております。しかし……マスター、キョースケ様にだけはリャンと呼んでいただいております」
マルキムはそれを聞いて驚いた眼をしてから……フッと殺気を納めた。
「キョースケ、お前はあれだな。強くなったな。この姉ちゃんは確かにいい力量があるぜ」
「何のことか分からないけど……そりゃね。これでも少しは魔物なり盗賊なりを倒してるから」
そういうマルキムの目は、さっきと違った目になっていた。殺気などない、穏やかな目に。
「じゃあね、マルキム。俺はこれで――」
そう言ってカウンターへ行こうとしたところで、マルキムに耳打ちされた。
「あのな? あの中の誰が本命かは分かんねぇけど……避妊だけはちゃんとしとけよ?」
「……マルキム、余計なお世話だよ。彼女たちとはそんな関係じゃないからね」
そんな下世話なジョークは笑えない。
「ま、大丈夫。俺はお天道様に顔向けできないような行動はしてないよ。それは誓える」
「……そうか。疑って悪かったな」
まったく、マルキムはいつも気を遣ってくれる。奴隷を買うことは別に咎められることではないしやってる奴は多いけど、それでもいい顔をしない奴も多い。
「じゃあな」
マルキムが去っていくので、俺はヒラヒラと手を振る。活力煙の煙を肺いっぱいに吸い込んでから、吐き出した。
他の連中の視線も柔らかくなった。柔らかくなったけども……結局羨みの視線は無くならないね、まあ仕方がないけど。
「京助、その……なんか凄く見られているんだが」
「仕方ないと割り切るか、それとも外で待ってる?」
「……いやまあ、この世界に来てからは割りと慣れっこだ」
そうだろうね……って言うのは失礼だろうから我慢する。
取りあえずカウンターに行くと、マリルが「少し待っていてくださいね」と言って中に引っ込んでいった。
言われた通り少し待っていると、何やら書類と……あれは、剣だろうか。布にくるまれている棒状の物を持って現れた。
「こちらがヘルミナさんからの依頼である、刀剣の運搬です。武器の運搬は余程信頼されていないと依頼は来ませんよ。凄いですねキヨタさん」
「ま、そうだろうね」
護衛依頼ならまだしも、運搬だったら平気で盗まれることもありえる。余程のことが無い限りは頼まれない。
どうもヘルミナは最初マルキムに依頼していたようだが、マルキムが忙しかったことと、急ぎの用事だったということが重なったため俺たちにお鉢が回ってきたんだそうな。
マルキムはさっきギルドにいたのに忙しいって……なんか明日にでも用事があるんだろうか。
俺は少し首をひねりながらも、まあいいかと考えてから後ろの三人に振り返る。
「そんなわけで、このクエストを受けたいと思うけど……いい?」
「ああ、どうせ行く予定だったしな」
「妾も異論は無いぞ」
「マスターの言う事ですので」
「ん、なら決定。ちなみに運ぶものは?」
俺が尋ねるとマリルは剣らしきものを俺に渡してきた。
「ヘルミナさんが言うには、魔剣の類らしいです。それなりの実力があるAGが持てばAランク魔物なんて瞬殺できるとかなんとか」
「物騒な代物だね」
けどまあ。最近のヘルミナの腕の上げ方から見てもありえなくはないか。
俺は一人で納得しながらその剣を受け取る。
「期日は三日後だよね」
「はい。ただ王都のギルドに行っていただければそこで運搬は完了ですので、そう面倒は無いかと」
「了解。じゃあヘルミナにはよろしく言っておいて。すぐ出発するから」
俺がそう言って立ち去ろうとすると、マリルが「あの……」と俺の袖を引っ張った。
そのまま耳元に口を近づけてくるので俺も耳をすますと……
「その、お妾さんが増えましたね。いくらお手当てがもらえるんですか? わ、私も立候補したいんですが……」
「この世界の女性にプライドは無いの? そしてあの子たちは妾でもなんでもないからね?」
まるで俺が女性蔑視をしているような発言はやめて欲しい。最近はネットのせいですぐ叩かれる世の中なんだから。
「というか唐突にどうしたのさ」
「……先日まで付き合ってた彼が」
「OK、話は聞かなくても大体わかる、今度はいくら?」
どうせまた借金を押し付けられたんだろう。そう思って俺が訊くとマリルはスッと指を四本立てた。
「今回は大金貨4枚か。思ってたほどじゃ――」
俺が言うと、マリルは首を振った。
「……え、大金貨40枚……?」
もう一度首を振るマリル。
………………。
「まさか、400……?」
恐る恐る尋ねてみると、今度は首を縦に振った。わー……。
「それは……ちょっと、その」
こっちの世界って自己破産無かったっけ。
俺とマリルがただならぬ雰囲気で話しているのを察したのか、冬子がこちらへ首を突っ込んできた。
「ど、どうしたんだ?」
「その……マリルさんの悪い癖が出て。悪い男に捕まって借金背負わされたんだって、また」
「その時はいい男に見えるんですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ワッと泣きだすマリル。いやそんな借金を押し付けられてさっきまで平然とした顔で働いていたのは凄いよ。俺には真似できないよ。
その話を聞いていたリャンとキアラも、流石に「Oh……」という顔をしている。
「ま、その……強く生きて」
「キヨタさん、割と真剣に結婚していただけませんか? 私、尽くす女ですよ!?」
「いや、借金の額を考えて。凄まじすぎるから。それを身請けできる人は相当だから」
「そろそろ住む家が無くなるんですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ヤバい、マリルがマジでヤバい。とはいえ……さすがに俺でも大金貨400枚はすぐには用意できないぞ。マリルってAGギルドの寮に住んでいたはずじゃ……そこを追い出されるって……。
俺が困っていると、冬子がこっそり耳打ちしてきた。
「……この人、可哀そうすぎないか?」
「いやそのね……今回はちょっと桁違いでねぇ。というかそもそも……マリルさん」
「う……はい……」
「前に、もう悪い男には引っかからないって言ってましたよね? なんでこんなことに?」
「その人は『職』が『治癒術師』だと言っていて。大きな治癒院を建てたいから金を貸してくれと……」
「そして大金貨400枚ですか」
どないせーと。というかよく用立てられたよねそれ。
「あー……京助。なんとか出来ないか?」
相変わらずお人好しなセリフを言う冬子。
それに苦笑しながら否定する。
「さすがにそこまでの面倒は見れないよ。……と、言いたいところだけど」
俺がちらりとマリルを見ると、彼女はぺろりと舌を出していけしゃあしゃあと言い放った。
「はい~。私はここを首になったらキヨタさんの秘密ばらしちゃいます♪」
「ギルドの信用が落ちるんじゃないの?」
「首になっちゃえば関係ないです」
冬子も「うわぁ」という顔をしている。だから人間は信用したくない。
「別にバラされても問題ない……と言いたいところだけど」
以前――それこそだいぶ前に退けさせた敵、ギギギ。あいつの言っていた「特筆戦力」っていうのが気になる。
俺が異世界人だから狙って来ていたのだとしたら、言いふらされまくると危険度が増す。出来たら俺が異世界人であることは一応隠しておきたい。
けどその口止め料が大金貨400枚ってのは俺にも無理だ。
「うーん……取りあえず、王都へのクエストを終えてからだね。戻ってきたら少し話し合いをしようか」
何とか……もしも出来るならしてあげたいところではあるけど。
「あうー……で、出来るだけ早くお願いします」
「そもそもお願いできる立場じゃないと思うけど。……まあいいか。じゃあ行こうか」
「お気をつけて、いってらっしゃいませ」
最後にとびっきりの営業スマイルを見せてくれたマリルに向けて手をひらひらと振る。
「マスター、あなたも大概お人好しだと思いますよ」
「キョースケ、友人には甘いのは相変わらずぢゃの」
「京助、私はお前のそういうところは……その……す! す……」
揶揄ってくる三人を無視して出口へ向かう。
さて……まずは王城だね。
「にしても……」
リューから貰った紙。そこには割と信じられないことが書いてあった。信じられないことではあるが、ここに書いてあることが真実ならば俺の疑問も氷解することになる。
やれやれ、まあこれは暫く俺の胸の中にしまっておくかな。
「京助、私たちは準備出来たぞ」
ノックの音とともに冬子の声が聞こえた。もう準備出来たのか。
「ああ、今行くよ」
俺は活力煙を灰皿に押し付けて火を消す。俺は女子じゃないので準備は着替えるだけだ。しばらくはアンタレスに帰ってこれないので部屋の掃除もなんとなくしておいたけどね。
「冬子、リャン、キアラ。揃ってるね」
部屋から出ると、俺の部屋の扉の前には美女三人が立っていた。……我ながら凄まじいパーティーメンバーだな。
リャンの首には奴隷の首輪がついているし、キアラは相変わらず目の毒な格好だし、まともな格好をしてくれているのは冬子しかいない。
「うーん……やっぱり目立つよなぁ。キアラ、もう少し露出は控えない?」
「なんぢゃ、キョースケ。お主はぴっちりとしたボディラインが出る恰好の方が好きなのかの? ……ほっほっほ、良いぞ、キョースケ。今着替えてくるから――」
「いや着替えなくていいから。……相変わらず話が通じないのだけはよくわかった」
「マスター、では私も着替えて参りましょうか」
「リャン、ちょっと黙ってて」
「きょ、京助、その、わ、私も――」
「冬子、落ち着いて。顔を真っ赤にまでしてするようなことじゃないから。そもそも外はそろそろ暑いだろうし」
最近、外が暑くなってきた。この世界にも四季があるのかキアラに尋ねてみたところ、年間を通じて温暖な気候ではあるが、それでも多少暑くなったり寒くなったりはあるらしい。
「そうなのか? キョースケ。お主、よく妾の足を見ておるぢゃろう? てっきり黒いストッキングでも履いたら喜ぶかと思ってのぅ」
ニヤニヤとした顔のキアラ。……い、いきなり何を言っているんだ。
「な、何言ってるのか分からないな。ほら、さっさと行くよ」
そう言って他の2人と一緒に階段で一階に下りる。もうみんなご飯は食べているからこのまま出発できる。
俺は活力煙を咥えて火をつけ――
「そ、そうだったのか!? 京助! ……そういえば、去年の冬はよく私の足を見ていたが……そ、それはそういうことだったのか?」
「マスター、女性の身体を見る時は視線に気を付けてください。それにしても私の胸を見ていないな……と思ったらそういうことだったんですね」
――まさかの二人まで乗ってきやがった。
「……二人とも、そんな眼で見ないでよ、みんなキアラの妄想なんだから――」
「そ、その……京助、私は嬉しいぞ? 嬉しいが……今度から見る時は一つ断りを入れてからだな」
「だから違うからね? なんで食いついてるの? 冬子」
だから顔を真っ赤にしてもじもじするなとあれほど。
「いいんですよ、マスター。恥ずかしがることはありません。男性ですからね。つい先日リューさんからキスされた時に動じてなかったのでもしかするとホモなのか……と思っていたところでしたから」
リャンの誤解がひどい。というかそんな慈愛に満ちた顔をするのは……やめよう? ね?
俺はため息をついてから肩をすくめる。
「誰がホモか。俺はノーマルだよ」
「ということは足を見ていたんぢゃな?」
「どうしてそうなる!?」
「ああ、確かにいやらしい目で見ませんもんね、キヨタさん。脚フェチだったんですね」
「だから違う――ってマリルさん!?」
「はい、マリルです~。最近キヨタさんがギルドにいらしてないので誠に勝手ながら様子を見に来させていただきました。具体的には指名依頼が来ましたので」
後ろから声が聞こえたと思ったらマリルが立っていた。その手には何やら書類のようなものを持って。
「あー……指名依頼?」
取りあえず話題が変わったことにホッとしつつ俺はマリルに向き直る。
「それで、どんな依頼? 俺らはこれからちょいと別の街に行く予定だったんだけど……」
「そうだったんですか。いや実は運搬の依頼でして。王都までとある武器を運んでほしいとヘルミナさんから」
「ヘルミナが?」
腕のいい武器屋のヘルミナだけど、王都にはさらに腕のいい彼女の師匠がいたはずだ。だからアンタレスのヘルミナに注文が届くとは思えないんだけど……。
「詳しい事情はギルドでお話しますから、一度ギルドまで来ていただけますか?」
王都へ届けに行くのならちょうどいいし、このクエストは受けようか。
「ん、わかった。ならギルドへ行こう。みんなもいい?」
三人とも頷いたので、俺たちはマリルさんを連れてギルドへ向かった。
活力煙に火をつけて咥えると、冬子が何故か横からそれをじっと見ている。
「どうしたの? 冬子」
「いや……キアラさんも葉巻を吸ってるし、私も何か吸った方がいいのかと思ってな」
「無理して吸うものじゃないよ。それに冬子は煙が苦手じゃん」
「それはそうなんだが……」
むぅ、と唇を尖らせて拗ねる冬子。なんでいきなりそんなことを言いだしたんだろうか。
けどまぁ、冬子の願いもかなえてあげられるなら叶えてあげたいところだね。
「ねぇリャン。煙が出ないたばことか無いの?」
「マスター、それはそもそもタバコではないと思うんですが」
正論だね。
「リャンは何か吸うの?」
「私は特には。強いて言うならお酒が好きです」
「おお、それは話があうかもしれんのぅ」
キアラが食いつく。この女は大酒のみだったね。
「まあ冬子、リャンも吸わないみたいだしいいんじゃない?」
「いや、そうじゃなくてだな……その……」
「あのー……キヨタさん、いちゃいちゃするのはいいんですけど着きましたよ?」
もじもじとしている冬子を見ていたら、いつの間にかギルドに着いていたらしい。
ギルドのドアを開けて中に入ると……ん? なんか凄く視線が集まってきている。
「おい……キヨタの野郎……」
「なんだあの美人……」
「つーか前よりも増えてるぞ」
「おい、どうなってやがんだ」
んー……正確に言うなら俺の後ろにいる三人に注目が集まってるみたいだね。まあ確かに三人とも美人だし。
(カカカッ! イイジャネェカ、男の甲斐性ダゼェ!)
(うるさいよ、ヨハネス)
俺は頭の中のヨハネスを黙らせてから、周囲の視線を黙殺する。
――と、そこで俺の目の前によく見るハゲ頭が立ちふさがった。
「……どうしたの? マルキム」
「キョースケ、そこのじゅ……亜人族のお嬢ちゃんはどうしたんだ? 買ったのか?」
物凄い視線だ。視線だけで人を殺せそうなほどに。
そしてその視線は――リャンの首に向けられている。
彼女の首輪に。
「買っては無い……かな。まあいろいろあってね。俺としても不本意なんだけど。うちのパーティーにシーフが出来る人がいなかったから雇ったんだよ」
マルキムの身体から……うーん、これは殆ど殺気だな。闘気というにはあまりに禍々しいオーラが出てきている。
「なんで亜人族の子なんだ? 随分と美人だが……お前に限って亜人族なら何してもいい、と思って雇ったんじゃねぇだろうな」
「マルキム、俺がそんなゴミ以下の理由で雇ったとでも? 俺はそんなくだらない理由で雇ったりなんかしないよ。彼女の実力を見込んでのことだ。いくらマルキムでも……そんなくだらない詮索をするんなら、怒るよ?」
俺も少しだけ殺気を放って対抗する。
マルキムは剣に手をかけていない。俺だって槍を構えていない。けど、お互いが相手を一瞬で殺せる――そういう間合いだ。
そんな一触即発の空気の中、なんと口を開いたのは――リャンだった。
「申し訳ありませんが、私たちは急いでいますので。どいていただけませんか?」
「ちょ、ピアさん!」
冬子がリャンの肩を掴んだけど、リャンはそれを気にせずマルキムの前に出た。
「私の名前はリャンニーピア。親からはピアと呼ばれております。しかし……マスター、キョースケ様にだけはリャンと呼んでいただいております」
マルキムはそれを聞いて驚いた眼をしてから……フッと殺気を納めた。
「キョースケ、お前はあれだな。強くなったな。この姉ちゃんは確かにいい力量があるぜ」
「何のことか分からないけど……そりゃね。これでも少しは魔物なり盗賊なりを倒してるから」
そういうマルキムの目は、さっきと違った目になっていた。殺気などない、穏やかな目に。
「じゃあね、マルキム。俺はこれで――」
そう言ってカウンターへ行こうとしたところで、マルキムに耳打ちされた。
「あのな? あの中の誰が本命かは分かんねぇけど……避妊だけはちゃんとしとけよ?」
「……マルキム、余計なお世話だよ。彼女たちとはそんな関係じゃないからね」
そんな下世話なジョークは笑えない。
「ま、大丈夫。俺はお天道様に顔向けできないような行動はしてないよ。それは誓える」
「……そうか。疑って悪かったな」
まったく、マルキムはいつも気を遣ってくれる。奴隷を買うことは別に咎められることではないしやってる奴は多いけど、それでもいい顔をしない奴も多い。
「じゃあな」
マルキムが去っていくので、俺はヒラヒラと手を振る。活力煙の煙を肺いっぱいに吸い込んでから、吐き出した。
他の連中の視線も柔らかくなった。柔らかくなったけども……結局羨みの視線は無くならないね、まあ仕方がないけど。
「京助、その……なんか凄く見られているんだが」
「仕方ないと割り切るか、それとも外で待ってる?」
「……いやまあ、この世界に来てからは割りと慣れっこだ」
そうだろうね……って言うのは失礼だろうから我慢する。
取りあえずカウンターに行くと、マリルが「少し待っていてくださいね」と言って中に引っ込んでいった。
言われた通り少し待っていると、何やら書類と……あれは、剣だろうか。布にくるまれている棒状の物を持って現れた。
「こちらがヘルミナさんからの依頼である、刀剣の運搬です。武器の運搬は余程信頼されていないと依頼は来ませんよ。凄いですねキヨタさん」
「ま、そうだろうね」
護衛依頼ならまだしも、運搬だったら平気で盗まれることもありえる。余程のことが無い限りは頼まれない。
どうもヘルミナは最初マルキムに依頼していたようだが、マルキムが忙しかったことと、急ぎの用事だったということが重なったため俺たちにお鉢が回ってきたんだそうな。
マルキムはさっきギルドにいたのに忙しいって……なんか明日にでも用事があるんだろうか。
俺は少し首をひねりながらも、まあいいかと考えてから後ろの三人に振り返る。
「そんなわけで、このクエストを受けたいと思うけど……いい?」
「ああ、どうせ行く予定だったしな」
「妾も異論は無いぞ」
「マスターの言う事ですので」
「ん、なら決定。ちなみに運ぶものは?」
俺が尋ねるとマリルは剣らしきものを俺に渡してきた。
「ヘルミナさんが言うには、魔剣の類らしいです。それなりの実力があるAGが持てばAランク魔物なんて瞬殺できるとかなんとか」
「物騒な代物だね」
けどまあ。最近のヘルミナの腕の上げ方から見てもありえなくはないか。
俺は一人で納得しながらその剣を受け取る。
「期日は三日後だよね」
「はい。ただ王都のギルドに行っていただければそこで運搬は完了ですので、そう面倒は無いかと」
「了解。じゃあヘルミナにはよろしく言っておいて。すぐ出発するから」
俺がそう言って立ち去ろうとすると、マリルが「あの……」と俺の袖を引っ張った。
そのまま耳元に口を近づけてくるので俺も耳をすますと……
「その、お妾さんが増えましたね。いくらお手当てがもらえるんですか? わ、私も立候補したいんですが……」
「この世界の女性にプライドは無いの? そしてあの子たちは妾でもなんでもないからね?」
まるで俺が女性蔑視をしているような発言はやめて欲しい。最近はネットのせいですぐ叩かれる世の中なんだから。
「というか唐突にどうしたのさ」
「……先日まで付き合ってた彼が」
「OK、話は聞かなくても大体わかる、今度はいくら?」
どうせまた借金を押し付けられたんだろう。そう思って俺が訊くとマリルはスッと指を四本立てた。
「今回は大金貨4枚か。思ってたほどじゃ――」
俺が言うと、マリルは首を振った。
「……え、大金貨40枚……?」
もう一度首を振るマリル。
………………。
「まさか、400……?」
恐る恐る尋ねてみると、今度は首を縦に振った。わー……。
「それは……ちょっと、その」
こっちの世界って自己破産無かったっけ。
俺とマリルがただならぬ雰囲気で話しているのを察したのか、冬子がこちらへ首を突っ込んできた。
「ど、どうしたんだ?」
「その……マリルさんの悪い癖が出て。悪い男に捕まって借金背負わされたんだって、また」
「その時はいい男に見えるんですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ワッと泣きだすマリル。いやそんな借金を押し付けられてさっきまで平然とした顔で働いていたのは凄いよ。俺には真似できないよ。
その話を聞いていたリャンとキアラも、流石に「Oh……」という顔をしている。
「ま、その……強く生きて」
「キヨタさん、割と真剣に結婚していただけませんか? 私、尽くす女ですよ!?」
「いや、借金の額を考えて。凄まじすぎるから。それを身請けできる人は相当だから」
「そろそろ住む家が無くなるんですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ヤバい、マリルがマジでヤバい。とはいえ……さすがに俺でも大金貨400枚はすぐには用意できないぞ。マリルってAGギルドの寮に住んでいたはずじゃ……そこを追い出されるって……。
俺が困っていると、冬子がこっそり耳打ちしてきた。
「……この人、可哀そうすぎないか?」
「いやそのね……今回はちょっと桁違いでねぇ。というかそもそも……マリルさん」
「う……はい……」
「前に、もう悪い男には引っかからないって言ってましたよね? なんでこんなことに?」
「その人は『職』が『治癒術師』だと言っていて。大きな治癒院を建てたいから金を貸してくれと……」
「そして大金貨400枚ですか」
どないせーと。というかよく用立てられたよねそれ。
「あー……京助。なんとか出来ないか?」
相変わらずお人好しなセリフを言う冬子。
それに苦笑しながら否定する。
「さすがにそこまでの面倒は見れないよ。……と、言いたいところだけど」
俺がちらりとマリルを見ると、彼女はぺろりと舌を出していけしゃあしゃあと言い放った。
「はい~。私はここを首になったらキヨタさんの秘密ばらしちゃいます♪」
「ギルドの信用が落ちるんじゃないの?」
「首になっちゃえば関係ないです」
冬子も「うわぁ」という顔をしている。だから人間は信用したくない。
「別にバラされても問題ない……と言いたいところだけど」
以前――それこそだいぶ前に退けさせた敵、ギギギ。あいつの言っていた「特筆戦力」っていうのが気になる。
俺が異世界人だから狙って来ていたのだとしたら、言いふらされまくると危険度が増す。出来たら俺が異世界人であることは一応隠しておきたい。
けどその口止め料が大金貨400枚ってのは俺にも無理だ。
「うーん……取りあえず、王都へのクエストを終えてからだね。戻ってきたら少し話し合いをしようか」
何とか……もしも出来るならしてあげたいところではあるけど。
「あうー……で、出来るだけ早くお願いします」
「そもそもお願いできる立場じゃないと思うけど。……まあいいか。じゃあ行こうか」
「お気をつけて、いってらっしゃいませ」
最後にとびっきりの営業スマイルを見せてくれたマリルに向けて手をひらひらと振る。
「マスター、あなたも大概お人好しだと思いますよ」
「キョースケ、友人には甘いのは相変わらずぢゃの」
「京助、私はお前のそういうところは……その……す! す……」
揶揄ってくる三人を無視して出口へ向かう。
さて……まずは王城だね。
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男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
食うために軍人になりました。
KBT
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ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
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王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
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そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
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現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
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侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
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いちまる
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