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第三話「静寂が覚める前に」2
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この日までに真美が計画した病院の職員に見つからないためのルートを通って病院内を歩いていく。
静まり返った病院内では足音さえ大きくフロアに響き渡って、気づかれまいと思えば思うほど忍び足になって時間がかかり、緊張感が溢れてくる。
時間は限られている、私はそのことを忘れないように胸に刻んで、ブロック床と白杖を頼りに一歩一歩確実に、焦らない様に歩いていく。
「非常階段を通っていくよ、郁恵、気を付けて」
「うん・・・」
重い扉を開いた先にある病院内の非常階段、エレベーターでの移動が当たり前の病院において、この階段を使う人ははほとんどいない。ここを通っていけばおそらく誰にも気づかれずに一階まで行けるだろう。
私は真美の肘を掴み、白杖を頼りに慎重に階段を一段一段下っていく。
一階までは時間がかかるが、焦る気持ちを抑えてなんとか歩いていく。
私自身体力がある方ではないが、長時間歩けないわけではない。それは真美も同じようで、息を切らす様子はなく足取りはまるで変わらない様子だった。
階段を降り、一階のフロアを誰にも気づかれることなく進み、裏口から私たちは外に出た。
見つかって非常ブザーでも鳴らされたらどうしようなんて考えていたけど、杞憂だった。
静まり返った病院内では足音さえ大きくフロアに響き渡って、気づかれまいと思えば思うほど忍び足になって時間がかかり、緊張感が溢れてくる。
時間は限られている、私はそのことを忘れないように胸に刻んで、ブロック床と白杖を頼りに一歩一歩確実に、焦らない様に歩いていく。
「非常階段を通っていくよ、郁恵、気を付けて」
「うん・・・」
重い扉を開いた先にある病院内の非常階段、エレベーターでの移動が当たり前の病院において、この階段を使う人ははほとんどいない。ここを通っていけばおそらく誰にも気づかれずに一階まで行けるだろう。
私は真美の肘を掴み、白杖を頼りに慎重に階段を一段一段下っていく。
一階までは時間がかかるが、焦る気持ちを抑えてなんとか歩いていく。
私自身体力がある方ではないが、長時間歩けないわけではない。それは真美も同じようで、息を切らす様子はなく足取りはまるで変わらない様子だった。
階段を降り、一階のフロアを誰にも気づかれることなく進み、裏口から私たちは外に出た。
見つかって非常ブザーでも鳴らされたらどうしようなんて考えていたけど、杞憂だった。
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