サンドアートナイトメア

(最初に)

 今を生きる人々に勇気を与えるような作品を作りたい。

 もっと視野を広げて社会を見つめ直してほしい。

 そんなことを思いながら、自分に書けるものを書こうと思って書いたのが、今回のサンドアートナイトメアです。

 物語を通して、何か心に響くものがあればと思っています。

(あらすじ)

 産まれて間もない頃からの全盲で、色のない世界で生きてきた少女、前田郁恵は病院生活の中で、年齢の近い少女、三由真美と出合う。
 ある日、郁恵の元に届けられた父からの手紙とプレゼント。
 看護師の佐々倉奈美と三由真美、二人に見守られながら開いたプレゼントの中身は額縁に入れられた砂絵だった。
 砂絵に初めて触れた郁恵はなぜ目の見えない自分に父は砂絵を送ったのか、その意図を考え始める。
 砂絵に描かれているという海と太陽と砂浜、その光景に思いを馳せる郁恵に真美は二人で病院を抜け出し、砂浜を目指すことを提案する。

 不可能に思えた願望に向かって突き進んでいく二人、そして訪れた運命の日、まだ日の昇らない明朝に二人は手をつなぎ病院を抜け出して、砂絵に描かれていたような砂浜を目指して旅に出る。
 
 諦めていた外の世界へと歩みだす郁恵、その傍に寄り添い支える真美。
 見えない視界の中を勇気を振り絞り、歩みだす道のりは、遥か先の未来へと続く一歩へと変わり始めていた。
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