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第四話「たった一つの願い」2

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 昼休みが終わり、私は浩二と人気のなくなった廊下を歩きながら、少しでも浩二に事情を説明することにした。

「急に呼び出してごめんなさい、ちょっと私一人では手に負えなくて」

 私はそう切り出して、横目で浩二の表情を伺い、返事を待った。

「いいよ、生徒会室に呼び出されるってことは、相当なことがあったんだろ?」
「うん、会長から先に情報はもらってるから、私の知ってることを説明しておくわね。
 先に知っておいた方が、対応しやすいはずだから」

 すれ違う生徒もいないので、私は事情を話しておくことにした。

「そうか、さすが副会長、後輩に引き継ぎさせても、影響力は健在か」
「あの頃よりは、後輩たちも生徒会運営の苦労は身に染みてるから、今回の件に関しては、私の手腕を頼ってる部分もあるかな」
 
 去年の文化祭の前、二学期が始まってすぐに会長が逃亡して(正確には県外への引っ越しが決まり転校せざるおえなかった)、当時副会長をしていた私に仕事を全部押し付けられることになった。

 それからの日々は、本当に苦難の連続だったけど、そういう事態になって困っていた私を一番に助けてくれたのは、何を隠そう浩二だった。

 当時の生徒会の面々はというと、会長に引き連れられて生徒会に入った会長派(私が勝手にそう呼称している)が大半で、会長の引っ越しに伴う無責任な人事変更で実質私が会長代理の立場となり、役職を引き継ぐことになった。
 会長派の生徒は会長がいなくなったことで会議の出席率も極端に落ち、生徒会の運営は困難なものになった。

 当時、学園祭の日程が迫り、忙しさも加速度的に増加していく中、私を支えてくれたのは現会長などの後輩組で、そういった面々の協力もあり、私と浩二は学園祭をなんとか乗り切ったのだった。

 その時の経験もあり、現会長を筆頭ひっとうに後輩組は成長し、今はもう、私抜きでもほとんどの業務を任せられるようになった。

 今の私はというと、時々困ったときに頼られる相談役のようなポジションでゆったりやらせてもらってる。
 私自身受験もあるから、そんなにかまってあげられないのもあるけど、今はこれでいいと思っている。

「簡単に説明するとね、演劇クラスを希望したクラスが3クラスあったのよ。

 だから、演劇クラスの座を懸けて争わないといけないかもしれない」

 その言葉の通り、ここからが波乱の幕開けとなった。
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