1人夜酒

ある

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1人夜酒

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結局私は飲んでしまった。
久しぶりに見た母の姿が今も脳裏に焼きついて忘れられない。よくふかな身体をしていた母は過労なのかストレスなのかげっそりと痩せていた。
それを早く忘れたくて忘れたくて父の酒造蔵から持ってきて飲んでいる。頭が割れるように痛いし身体も重い。
それでも飲み続けないと、その一つの事に集中しないと、自我が壊れてなくなってしまいそう。
貴方から産まれた私は貴方のように脆くやはり親子なのだ。
育児放棄や目に余る躾の数々だが、いくら憎くても、戸籍上他人でも、やはり貴方は私の母なのだから。
世界にたった1人の母なのだから。
アルコールに縋り忘れたくとも忘れられないあの背中。広かったあの背中の面影はもう今や何処にもあらず。
私達は何処かで狂い朽ちて壊れたのだ。
身体中に回ったアルコールではまだ足りない。
忘れたい。眠りたい。孤独でそして無感情。
静かで冷めきった部屋になり続け残響を生み出すは雫の音。酒滴る音などではなく1人、悲しみの涙。
1人夜酒。
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