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第5話 地下駐車場
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「さて、地下駐車場か。ここも階段で行ったほうがいいな」
マスターキーを確保出来たので地下駐車場へ。一つ一つの部屋を確保するよりも外への出入り口をふさぐ方が大事だ。
ゾンビを倒せても外から入ってくる環境が続いていたら一生続いちゃう。ゾンビの対処方法に慣れてきた僕でも流石にずっと戦うことは出来ない。早く出入り口を管理しないと。
「……やっぱり結構いるな」
地下駐車場に下りると上と比較にならないほどのゾンビがたむろしていた。まるで水が流れてくるみたいに下へ下へと来たかのようだ。日の光を避けるように来てる可能性もあるな。まあ、どちらにしても上手くやらないと僕もあのゾンビの仲間入りだな。
「車は後々役に立つからいっぱいあるのはありがたいな。ん? あの車に集まってる?」
車が8台あって、ありがたいと思っていると一台の車にゾンビが妙に集まっているのが目に移った。ミラーガラスで中が見えないけど、ゾンビの興味をそそるのは生存者のはず。あの車には生存者がいるのかもしれないな。
「注意を引いてくれるならありがたいけど、急ぐか」
ゾンビが僕に気が付く前に数を減らしていく。軽く見て20体はいるゾンビ。すでに恐怖はなくなった。やるだけだ。
「はっ! よし! あとはあの車の周りのゾンビだけど……。その前に地下駐車場の出口のシャッターを閉めないと」
バラバラで立っていたゾンビを始末。10体程倒して一息つく。警備員室にシャッターを閉めるボタンがあるはず。急ごう。
「誰かいるの?」
「!?」
ゾンビを集めている車から声が聞こえてきた。車に視線を向けるとフロントガラスに子供が顔を見せる。
「助けてください!」
ドンドンとフロントガラスを叩きながら声をあげる子供。そのおかげで僕に気が付かないゾンビ。
今ならあの残りのゾンビを簡単に片づけられるな。シャッターは後回しにするか。
「グルルル。……」
「ふぅ。片付いた」
車にへばりついていたゾンビを後ろから首筋を槍で突きさして倒す。この車だけで10体へばりついていた。生存者に強い関心を持ってるのがわかるな。
「もう大丈夫だ。開けてくれる?」
「は、はい……」
車の中にいる子供に声をかける。扉を開いて出てきたのは小学生の男の子。なんでこんな子供が車の中に?
「ありがとうございます」
「うん。よく無事だったね」
「はい。お父さんが守ってくれて……。お父さんはダメでしたけど」
車の後部座席を見ると少年のお父さんが首から血を流して眠っているのが見える。ゾンビにならなかったのは脊髄を損傷していたからか。運がいいというかなんと言うか。でも、これでゾンビの本当の弱点が分かったな。脊髄だ。
「僕の名前はエンドウ マナブ。君は?」
「ササキ カズキです」
自己紹介をして握手を交わす。数少ない生存者の仲間だ。これからカズキ君にも色々と働いてもらおう。
「さて、カズキ君。動ける?」
「あ、はい……お父さんをこのままには出来ないので」
「あ、そうか。ん~、少し待っていてくれるかな。シャッターを下ろすから」
「はい……」
早速働いてもらおうと思ったらお父さんを気にしているみたいだ。僕は彼をおいて警備員室に入って行く。ボタンはすぐに見つかった。マスターキーの中から鍵を見つけて透明のケースに覆われていたボタンを押す。
外からの光が遮られて行って電灯が勝手に点灯していく。
「埋葬か。玄関外の庭に埋めるくらいしかできないな」
警備員室から出てカズキ君に声をかける。少し危険だけど、一階の玄関から出てすぐにちょっとした庭がある。そこくらいしか埋葬は出来ないかな。
「……外ってことはこの人達みたいなのが」
「ん? ああ、ゾンビね。いるだろうな」
「そ、そうですよね……」
悲しそうな顔で俯くカズキ君。埋葬してあげたいけど、ゾンビは怖いってことか。ゾンビのことをまだ理解していない感じもするな。少し危険だ。
「とりあえず、玄関にお父さんを運ぼう。エレベーターは使えるから手伝ってくれる?」
「はい!」
「いい返事だ。あれ? エレベーターが動いてる?」
カズキ君のお父さんを抱え込んでエレベーターへと歩き出すとエレベーターが下ってくるのが見えた。チンと音を鳴らして地下に降りてくるエレベーター。中からはミサトちゃんとミカンちゃんがのっていた。
「ミサトちゃん! 君はまったく……」
思わず声を荒らげてしまう。少しタイミングが悪かったらゾンビの群れに音を鳴らして入ることになっていた。彼女は何がしたいんだ。
「え、エンドウさん。なんでここに!?」
「地下駐車場は外と繋がってるだろ。シャッターを閉めに来たんだよ。って僕のことはいいんだよ。それよりもなんでミサトちゃんはここに来たの? ここにもゾンビがいっぱいいたんだよ。ほら」
困惑するミサトちゃんにゾンビの死骸を見せる。驚くミサトちゃんは悲しそうに俯く。
「……あなたに見つかると怒られるから地下から出ようと思って」
ミサトちゃんの返答に頭を抱える。
「はぁ? 今の状況分かってる?」
「わ、分かってます! でも、お母さんが駅で待ってるかも!」
「……まあいいから上に行こう。カズキ君のお父さんのお墓を作るから見張ってて」
エレベーターに一緒に乗り込んで一階のボタンを押す。死んでいると思っていなかったみたいで顔を青ざめさせるミサトちゃん。それでも声をあげないのは少しは状況が分かってきたかな。
「カズキです。マナブお兄ちゃんに助けてもらいました」
「あっ、私はアズマ ミサト。この子はミカン。エンドウさんの隣の部屋に住んでて」
自己紹介をするカズキ君。明るいところに来て初めて分かったけど、カズキ君はずっと泣いていたんだろう。泣きはらした目がとても痛々しい。 それでもミサトちゃんにしっかりと自己紹介してる。健気な子だな。
エレベーターが一階にたどり着く。カズキ君のお父さんを玄関の自動ドア前に下ろして外へと視線を移す。
「壁に覆われているけど、玄関前は何もない。あそこにバリケードをはれればある程度自由が利くな」
土のある庭は絶対に確保しておきたいところだ。トマ子の効果をすべての木々に使えれば生存にかなり有利だからな。大家さんの自慢の一つである柿の木とリンゴの木は絶対に欲しい。
「ちょっと大家さんの部屋で使えそうなものを探してくる。その間カズキ君にはミサトちゃんの監視をお願いできるかな?」
「え? 監視って?」
「ちょ、ちょっとエンドウさん!」
わざわざ聞こえるようにカズキ君にお願いするとミサトちゃんは顔を赤くして怒ってきた。
「さっき見てただろ? 僕を避けて地下から出ていこうとしたんだ。それもミカンちゃんみたいな小さい子を連れて。馬鹿だろ?」
「は、はい。確かに」
僕の言葉に同意してくれてジト~とした視線を一緒に送ってくれるカズキ君。
「ちょ、カズキ君まで……分かりました! もう勝手なことはしません! だから監視とかやめてください」
たまらず声をあげるミサトちゃん。
「断る! カズキ君そう言うことだからお願いね」
「はい! マナブ兄ちゃんが正しいです」
「ちょ、ちょっと~……」
ビシッと断ってカズキ君に指示を飛ばす。大家さんの部屋に入るとキャッキャと笑い声が聞こえてきた。
「ちょっとミカンまでなんで笑うの~?」
「お姉ちゃんが叱られてる~」
どうやら、笑い声はミカンちゃんだったみたいだ。カズキ君と共に笑っていてミサトちゃんが困惑してる。
ミカンちゃんは全然喋らなかったからよくわからなかったけど、お姉ちゃんの前だと普通にしゃべるみたいだな。なんだかホッとした。
マスターキーを確保出来たので地下駐車場へ。一つ一つの部屋を確保するよりも外への出入り口をふさぐ方が大事だ。
ゾンビを倒せても外から入ってくる環境が続いていたら一生続いちゃう。ゾンビの対処方法に慣れてきた僕でも流石にずっと戦うことは出来ない。早く出入り口を管理しないと。
「……やっぱり結構いるな」
地下駐車場に下りると上と比較にならないほどのゾンビがたむろしていた。まるで水が流れてくるみたいに下へ下へと来たかのようだ。日の光を避けるように来てる可能性もあるな。まあ、どちらにしても上手くやらないと僕もあのゾンビの仲間入りだな。
「車は後々役に立つからいっぱいあるのはありがたいな。ん? あの車に集まってる?」
車が8台あって、ありがたいと思っていると一台の車にゾンビが妙に集まっているのが目に移った。ミラーガラスで中が見えないけど、ゾンビの興味をそそるのは生存者のはず。あの車には生存者がいるのかもしれないな。
「注意を引いてくれるならありがたいけど、急ぐか」
ゾンビが僕に気が付く前に数を減らしていく。軽く見て20体はいるゾンビ。すでに恐怖はなくなった。やるだけだ。
「はっ! よし! あとはあの車の周りのゾンビだけど……。その前に地下駐車場の出口のシャッターを閉めないと」
バラバラで立っていたゾンビを始末。10体程倒して一息つく。警備員室にシャッターを閉めるボタンがあるはず。急ごう。
「誰かいるの?」
「!?」
ゾンビを集めている車から声が聞こえてきた。車に視線を向けるとフロントガラスに子供が顔を見せる。
「助けてください!」
ドンドンとフロントガラスを叩きながら声をあげる子供。そのおかげで僕に気が付かないゾンビ。
今ならあの残りのゾンビを簡単に片づけられるな。シャッターは後回しにするか。
「グルルル。……」
「ふぅ。片付いた」
車にへばりついていたゾンビを後ろから首筋を槍で突きさして倒す。この車だけで10体へばりついていた。生存者に強い関心を持ってるのがわかるな。
「もう大丈夫だ。開けてくれる?」
「は、はい……」
車の中にいる子供に声をかける。扉を開いて出てきたのは小学生の男の子。なんでこんな子供が車の中に?
「ありがとうございます」
「うん。よく無事だったね」
「はい。お父さんが守ってくれて……。お父さんはダメでしたけど」
車の後部座席を見ると少年のお父さんが首から血を流して眠っているのが見える。ゾンビにならなかったのは脊髄を損傷していたからか。運がいいというかなんと言うか。でも、これでゾンビの本当の弱点が分かったな。脊髄だ。
「僕の名前はエンドウ マナブ。君は?」
「ササキ カズキです」
自己紹介をして握手を交わす。数少ない生存者の仲間だ。これからカズキ君にも色々と働いてもらおう。
「さて、カズキ君。動ける?」
「あ、はい……お父さんをこのままには出来ないので」
「あ、そうか。ん~、少し待っていてくれるかな。シャッターを下ろすから」
「はい……」
早速働いてもらおうと思ったらお父さんを気にしているみたいだ。僕は彼をおいて警備員室に入って行く。ボタンはすぐに見つかった。マスターキーの中から鍵を見つけて透明のケースに覆われていたボタンを押す。
外からの光が遮られて行って電灯が勝手に点灯していく。
「埋葬か。玄関外の庭に埋めるくらいしかできないな」
警備員室から出てカズキ君に声をかける。少し危険だけど、一階の玄関から出てすぐにちょっとした庭がある。そこくらいしか埋葬は出来ないかな。
「……外ってことはこの人達みたいなのが」
「ん? ああ、ゾンビね。いるだろうな」
「そ、そうですよね……」
悲しそうな顔で俯くカズキ君。埋葬してあげたいけど、ゾンビは怖いってことか。ゾンビのことをまだ理解していない感じもするな。少し危険だ。
「とりあえず、玄関にお父さんを運ぼう。エレベーターは使えるから手伝ってくれる?」
「はい!」
「いい返事だ。あれ? エレベーターが動いてる?」
カズキ君のお父さんを抱え込んでエレベーターへと歩き出すとエレベーターが下ってくるのが見えた。チンと音を鳴らして地下に降りてくるエレベーター。中からはミサトちゃんとミカンちゃんがのっていた。
「ミサトちゃん! 君はまったく……」
思わず声を荒らげてしまう。少しタイミングが悪かったらゾンビの群れに音を鳴らして入ることになっていた。彼女は何がしたいんだ。
「え、エンドウさん。なんでここに!?」
「地下駐車場は外と繋がってるだろ。シャッターを閉めに来たんだよ。って僕のことはいいんだよ。それよりもなんでミサトちゃんはここに来たの? ここにもゾンビがいっぱいいたんだよ。ほら」
困惑するミサトちゃんにゾンビの死骸を見せる。驚くミサトちゃんは悲しそうに俯く。
「……あなたに見つかると怒られるから地下から出ようと思って」
ミサトちゃんの返答に頭を抱える。
「はぁ? 今の状況分かってる?」
「わ、分かってます! でも、お母さんが駅で待ってるかも!」
「……まあいいから上に行こう。カズキ君のお父さんのお墓を作るから見張ってて」
エレベーターに一緒に乗り込んで一階のボタンを押す。死んでいると思っていなかったみたいで顔を青ざめさせるミサトちゃん。それでも声をあげないのは少しは状況が分かってきたかな。
「カズキです。マナブお兄ちゃんに助けてもらいました」
「あっ、私はアズマ ミサト。この子はミカン。エンドウさんの隣の部屋に住んでて」
自己紹介をするカズキ君。明るいところに来て初めて分かったけど、カズキ君はずっと泣いていたんだろう。泣きはらした目がとても痛々しい。 それでもミサトちゃんにしっかりと自己紹介してる。健気な子だな。
エレベーターが一階にたどり着く。カズキ君のお父さんを玄関の自動ドア前に下ろして外へと視線を移す。
「壁に覆われているけど、玄関前は何もない。あそこにバリケードをはれればある程度自由が利くな」
土のある庭は絶対に確保しておきたいところだ。トマ子の効果をすべての木々に使えれば生存にかなり有利だからな。大家さんの自慢の一つである柿の木とリンゴの木は絶対に欲しい。
「ちょっと大家さんの部屋で使えそうなものを探してくる。その間カズキ君にはミサトちゃんの監視をお願いできるかな?」
「え? 監視って?」
「ちょ、ちょっとエンドウさん!」
わざわざ聞こえるようにカズキ君にお願いするとミサトちゃんは顔を赤くして怒ってきた。
「さっき見てただろ? 僕を避けて地下から出ていこうとしたんだ。それもミカンちゃんみたいな小さい子を連れて。馬鹿だろ?」
「は、はい。確かに」
僕の言葉に同意してくれてジト~とした視線を一緒に送ってくれるカズキ君。
「ちょ、カズキ君まで……分かりました! もう勝手なことはしません! だから監視とかやめてください」
たまらず声をあげるミサトちゃん。
「断る! カズキ君そう言うことだからお願いね」
「はい! マナブ兄ちゃんが正しいです」
「ちょ、ちょっと~……」
ビシッと断ってカズキ君に指示を飛ばす。大家さんの部屋に入るとキャッキャと笑い声が聞こえてきた。
「ちょっとミカンまでなんで笑うの~?」
「お姉ちゃんが叱られてる~」
どうやら、笑い声はミカンちゃんだったみたいだ。カズキ君と共に笑っていてミサトちゃんが困惑してる。
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