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第三章 王都リナージュ

第三十四話 英雄になる

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「カテジナも悲しんでいるよ。まさかアキノさんが異世界人で帰ってしまったなんてねって。死んでしまったと思っていた相手がまだ生きている。喜びもあいまって涙がとまらないよ」

 ノーブルローズが高笑いのような声ではなしている。その声には何だかカテジナさんの本心も混ざっているようだった。

「じゃあ、本当のことも分かったことだし二人には退場してもらおうかね。この世界からいなくなってちょうだい」
「そんなわけにはいかないよ。君の勝手な考えで世界を作り替えようなんて許されるはずない」
「おっと、動くとアリス様は死んでしまうよ」

 ノーブルローズは短剣を手に取りアリス様の首に向けた。玉座のアリス様は短剣を見て震えている。

「そんな”誰もいない”玉座に剣をむけてどうしたんですかノーブルローズ」
「は~?ルーク何を言って、・・・何をした!」

 今さっきまでノーブルローズが短剣を向けた先に確かにアリス様は存在していた。ノーブルローズが一瞬だけ僕たちを見た時、アリス様は僕の腕の中に。ユアンもびっくりしている。

「な、何をしたっていうんだい」
「何だろうね。あとは冥樹を倒せばいいのかな?」
「私を無視するきかい」
「カテジナさんを返してくれるなら何もしないけど分離はできないの?」
「どれだけ私をなめるつもりだい!」

 ノーブルローズはそう言って玉座の間の奥の部屋へと入っていった。

「兄さんどうやったの?」
「う~ん、あとで教えてあげるよ。ユアンはアリス様を三階にいるアズに預けてみんなを援護してあげて。ルナさんが心配だけど、あの弓に勝てる人はいないと思うけどね」
「分ったよ。でも、無理はしないでね」
「ああ」

 ユアンはアリス様をお姫様抱っこで元来た道に帰っていった。
 僕はノーブルローズの入っていった奥の部屋へ進んでいく、あんなに簡単にアリス様を奪還できたのはお父さんから引き継いだステータスのおかげ。

ルーク 

 職業 何でも士

 レベル 1

 HP 30 +12000=12030
 MP 50 +10000=10050
 
 STR13  +5000=5013
 VIT11 +5000=5011
 DEX12 +5000=5012
 AGI11 +5000=5011
 INT10 +5000=5010
 MND10 +5000=5010


取得しているスキル 


武術系スキル

 剣術7

魔法系スキル

 火7 水7 風0 土7 木7 氷0 雷0 闇7 光7 無0 爆0 時7
 
製作系スキル

 家事7

 裁縫7

 武器製造7

 防具製造7

 魔道具製造7

 農業7

 採取7

 採掘7

 大工7

 エキストラスキル 

 [洗濯]

 [付喪神(ツクモガミ)]

  [掃除全般]

 割り振りスキルポイント 600

 
 一瞬でアリス様を確保した力は時魔法スキル、7にした事で僕は時を止めた世界を動くことができるようになっちゃった。
 絶対に手を出したくなかった能力だけど、ああいう幼稚な子供を諭すには圧倒的な力で教えてあげなくちゃいけない。
 ノルディック様の考えはとてもいいことなんだ、恵みを分け合って助け合う精神。それを悪いことにしてはいけない、ノルディック様の子供であるノーブルローズが力づくでこんなことをしてしまったらノルディック様が悪い人として語られちゃう。それは絶対にさせちゃいけない事だよね。

 僕は玉座の間の奥の扉に手をかけて開いていく。

 扉を開くとそこには城とは程遠いい世界が広がっていた。ツタがすべてを覆っていてまるでジャングルのような通路が現れた。そこら中に牙をもった花々や刃をもつツタが僕を見据えている。

「冥樹はあとで相手をしてあげるよ。今はカテジナさんを追う」

 僕は邪魔をしてきたツタや花を葬り去りながら駆け回る。僕のステータスは今、軽く500レベル程になっている。王都に来るときにすでにこのくらいのステータスになっていたんだ。ワインプールでの大工仕事がお父さんのいう熟練度に大きく影響を与えたんだと思う。
 熟練度はそれぞれのスキルの経験値だ。剣を振れば剣スキルの経験値が増える、僕のスキルはすべてが一つなんだ、一つあげればすべてに関係のあるポイントが得られるようになる、明らかにチートだね。これは絵本で読んだような異世界の勇者の物に似ている。僕のお父さんたちは異世界人だった。僕はお父さんのスキルを受け継いちゃったんだね。これじゃ本当に英雄じゃないか!

「あ~あ、お父さんみたいに普通の物をうって暮せばもっと楽して暮らせたのにな~」

 幾多の植物系の魔物を狩りながら僕は走っていく。玉座の間の奥の通路は長い一本道から始まり突き当たりに部屋と右への通路があった。僕は部屋に突撃して中を見るけど誰もいない。魔物が数匹いたけど、横なぎに月下の剣を振るって絶命させるとしおれて灰になった。
 部屋をでてすぐに僕は残りの通路を走っていく、この通路もすべて植物のツタが道を作っている。
    ツタから液体がまかれる、液体は僕には当たらずに地面のツタにあたりジューと音を立てて溶けているのを見て僕は顔をゆがめた。

「危ないな~」

 溶け方がえげつなかったので思わずつぶやいちゃった。大地の毛皮についたらどうするんだよ。とか思っていると大地の毛皮に液体が少しだけついてしまった。ジュクジュクと音を立てるものの形状が変わることはない。どうやら、大地の毛皮には勝てないようです。

「流石、僕の相棒だね。ペースをあげるよ!」

 大地の毛皮が無事なことに僕は安心して速度をあげる。
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