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第三章 王都リナージュ
第十八話 やっぱりいました、いじめっ子
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「いってらっしゃいませ、ユアン様のお兄様!」
「い、行ってきます・・・」
ユアンの宮殿で眠りについて次の日、内壁の門を出ると昨日追い返された衛兵さんに満面の笑みで見送られた。どうやら、僕らへの昨日の対応が良くないと自己判断したみたいで必要以上に僕らへと優しくするという判断になったみたいです。でも、そんな大きな声で叫ばないでね。周りに聞こえちゃうからさ。
「ユアンを知らない人はいないからお兄ちゃんも大変だね」
モナーナがうつむく僕の顔を覗いて他人事のように話している。そんな僕の横で仲良し気に話している時点で君も英雄ユアンの知り合いという称号を手に入れてしまっているのだよ。ふっふっふ。
「今日こそ冒険者ギルドで依頼を受けて、路地を掃除するぞ」
「本当に汚いもんね」
路地は薄暗くてごみが散乱している。見るに堪えない。
「ルークさん、ノーブルローズの件はいいんですか?」
「しばらくはユアンに任せるよ。下手に表立つと何するかわからないし、僕を殺そうとしてきたってことは人質とかしてきそうだからね。それに僕が王族の人を調べるようなことになったら不敬罪で咎められるけどユアンならそれはないはずだし、それに」
「それに?」
僕の言葉にルナさんは首をかしげている。
それに・・・僕が目立たないんだよ!それが一番だよね。僕は目立たずに端仕事をこなして街を綺麗にしていく。僕は好きなことをできて街は綺麗になる、そして、街は平和になっていくのだ。素晴らしい。
「じゃあ、行こう。端仕事を請けに!」
「ルークさんそれにの続きは?」
「ルナさん、無駄だよ。ルークはもう端仕事しか見えてないから」
困惑するルナさんにモナーナが肩に手をおいて失礼なことを話した。でも、良いのだ。本当の事なのだから。
そうこう話しながら、僕らは冒険者ギルドへやってきた。ギルドに入るとアズ君がいて、声をかけようと手をあげると、
「従魔使いの田舎者が、王都まで来てんじゃねえよ」
「てめえのトレントくせえんだよな」
「・・・」
あ~なんだか思い返す出来事です。まるでデジャブを見ているようだ。
「なんとか言えよクズ」
「トレントを燃やしてやろうか?」
「はいはい、オジサン達。武器の手入れはしているの?こんなに柔らかいものは見たことないよ」
見せびらかすように火の魔法を見せていたおじさん冒険者、僕はたまらずオジサンたちの剣を腰から引っ張り出して鍔から上を丸めて団子にしてあげた。するとオジサン達は、
「この野郎、何しやがった」
「なんで鋼鉄の剣が丸まってんだ!」
二人のおじさんは驚愕して僕の持っている二本の丸まった剣を見ていた。
「タダじゃ済まさねえぞ!!」
「[エアープッシュ]」
「「どわっ~」」
僕へと殴りかかろうとしてきた二人の冒険者はモナーナの風でギルドの外へ、扉はルナさんがあけておいてくれたので建物への被害はゼロです。ナイスコンビネーション。
「ルークありがとう」
「ううん。それよりもなんであんなことに?」
「わからないです。僕も三日前ほどから王都に来ているのですが初めての事で、すいません。怖くて震えが」
可哀そうにアズ君は震える手をさらに震える手で抑えようとしている。震えるので全然止まらない。
「大丈夫ですよ。もうあの人たちはいないんですから」
「あっ、はい」
ルナさんが彼の手を握ってあげると震えが収まっていく。
「でも、あの人たちくらいならば、ウッドを使えば追い払えるんじゃ?」
「僕はまだDランクの冒険者なんです。人を傷つけるなんて、出来ません」
ほうほう、全然ランクについては話してなかった。
トレントのランクは弱くてもDランクの魔物、さっきアズ君に絡んでいたのはどう見てもDランクよりも下といった様子だった。剣もボロボロだったし、冒険者だけど冒険をしない、そういう人たちだね。
「旅をするなら盗賊と戦う時もあるはずだよ」
「はい・・それはウッドにも言われます。いじめられていた時もウッドはやり返せっていってくれてたんだけど・・」
ウッドと話せるんだね。いいな~。僕もミスリーとかロドフと話せたらいいんだけど。
「僕の事はいいですよ。それよりも依頼を受けに来たんじゃ?」
「ああそうだった。端仕事を受けに来たんだ」
「端仕事ですか?」
田舎出身のアズ君ですら端仕事を進んでする人は珍しいようで首をかしげています。でも、街のための仕事だから大切なことなんだけどね。
「い、行ってきます・・・」
ユアンの宮殿で眠りについて次の日、内壁の門を出ると昨日追い返された衛兵さんに満面の笑みで見送られた。どうやら、僕らへの昨日の対応が良くないと自己判断したみたいで必要以上に僕らへと優しくするという判断になったみたいです。でも、そんな大きな声で叫ばないでね。周りに聞こえちゃうからさ。
「ユアンを知らない人はいないからお兄ちゃんも大変だね」
モナーナがうつむく僕の顔を覗いて他人事のように話している。そんな僕の横で仲良し気に話している時点で君も英雄ユアンの知り合いという称号を手に入れてしまっているのだよ。ふっふっふ。
「今日こそ冒険者ギルドで依頼を受けて、路地を掃除するぞ」
「本当に汚いもんね」
路地は薄暗くてごみが散乱している。見るに堪えない。
「ルークさん、ノーブルローズの件はいいんですか?」
「しばらくはユアンに任せるよ。下手に表立つと何するかわからないし、僕を殺そうとしてきたってことは人質とかしてきそうだからね。それに僕が王族の人を調べるようなことになったら不敬罪で咎められるけどユアンならそれはないはずだし、それに」
「それに?」
僕の言葉にルナさんは首をかしげている。
それに・・・僕が目立たないんだよ!それが一番だよね。僕は目立たずに端仕事をこなして街を綺麗にしていく。僕は好きなことをできて街は綺麗になる、そして、街は平和になっていくのだ。素晴らしい。
「じゃあ、行こう。端仕事を請けに!」
「ルークさんそれにの続きは?」
「ルナさん、無駄だよ。ルークはもう端仕事しか見えてないから」
困惑するルナさんにモナーナが肩に手をおいて失礼なことを話した。でも、良いのだ。本当の事なのだから。
そうこう話しながら、僕らは冒険者ギルドへやってきた。ギルドに入るとアズ君がいて、声をかけようと手をあげると、
「従魔使いの田舎者が、王都まで来てんじゃねえよ」
「てめえのトレントくせえんだよな」
「・・・」
あ~なんだか思い返す出来事です。まるでデジャブを見ているようだ。
「なんとか言えよクズ」
「トレントを燃やしてやろうか?」
「はいはい、オジサン達。武器の手入れはしているの?こんなに柔らかいものは見たことないよ」
見せびらかすように火の魔法を見せていたおじさん冒険者、僕はたまらずオジサンたちの剣を腰から引っ張り出して鍔から上を丸めて団子にしてあげた。するとオジサン達は、
「この野郎、何しやがった」
「なんで鋼鉄の剣が丸まってんだ!」
二人のおじさんは驚愕して僕の持っている二本の丸まった剣を見ていた。
「タダじゃ済まさねえぞ!!」
「[エアープッシュ]」
「「どわっ~」」
僕へと殴りかかろうとしてきた二人の冒険者はモナーナの風でギルドの外へ、扉はルナさんがあけておいてくれたので建物への被害はゼロです。ナイスコンビネーション。
「ルークありがとう」
「ううん。それよりもなんであんなことに?」
「わからないです。僕も三日前ほどから王都に来ているのですが初めての事で、すいません。怖くて震えが」
可哀そうにアズ君は震える手をさらに震える手で抑えようとしている。震えるので全然止まらない。
「大丈夫ですよ。もうあの人たちはいないんですから」
「あっ、はい」
ルナさんが彼の手を握ってあげると震えが収まっていく。
「でも、あの人たちくらいならば、ウッドを使えば追い払えるんじゃ?」
「僕はまだDランクの冒険者なんです。人を傷つけるなんて、出来ません」
ほうほう、全然ランクについては話してなかった。
トレントのランクは弱くてもDランクの魔物、さっきアズ君に絡んでいたのはどう見てもDランクよりも下といった様子だった。剣もボロボロだったし、冒険者だけど冒険をしない、そういう人たちだね。
「旅をするなら盗賊と戦う時もあるはずだよ」
「はい・・それはウッドにも言われます。いじめられていた時もウッドはやり返せっていってくれてたんだけど・・」
ウッドと話せるんだね。いいな~。僕もミスリーとかロドフと話せたらいいんだけど。
「僕の事はいいですよ。それよりも依頼を受けに来たんじゃ?」
「ああそうだった。端仕事を受けに来たんだ」
「端仕事ですか?」
田舎出身のアズ君ですら端仕事を進んでする人は珍しいようで首をかしげています。でも、街のための仕事だから大切なことなんだけどね。
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