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第三章 王都リナージュ
第八話 街を散策
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僕たちは宿屋を探しに城からでて街に入った。城の門は少し高い位置にあるので街が少し見渡せる。
街並みが少しうかがえるんだ。王都リナージュは正方形の街並みで城への大きな道路の中央に三つの噴水広場がある。広場にも出店が出ていて簡単に食べられる串焼きなどが売られている。僕たちは宿屋を探しながらそんな出店で食べ物を買い食いしてみて回ることにした。
「美味しいね。これは何の肉だっけ?」
「オーク肉の串焼きですね」
「オークって美味しいんだね」
ルナさんが買ってきた串肉を食べるととてもおいしくて何の肉だか聞くとオークの肉だとルナさんは答えた。モナーナも一緒に食べて頬を抑えている。すっごくおいしいよね。
「オークジェネラルの肉らしいですよ」
「ジェネラルって一般的に売られるものなのかな?」
「そんなわけないですよ。ジェネラルの肉が普通の店に卸されるなんてありえないですよ。倒すのもB~Sランクの冒険者が必要です。大抵ジェネラル級の魔物は部下を引き連れていますからSランク以下の冒険者ではパーティーでの討伐が推薦されます」
「ルナさんって結構、詳しいんですね」
「そりゃ、私は狩人ですから。敵の強さと適正レベルを判断するのは得意ですよ」
ルナさんは僕の疑問に答えると得意げに胸を張って話した。こういうことはやっぱり経験がものをいうよね。僕も見習わないとね。
「しかし、ジェネラルの肉を使っているのに普通の串焼きと同じ値段でした。ということは王都で群れが発生したのかもしれませんね。それで討伐に成功してジェネラル級を多く討伐したのかも」
ルナさんの憶測に僕とモナーナは顔を見合った。シャラが魔物を強くして群れを発生させていたと思っていたけどそれ以外でも群れが多く発生しているみたい。そういえばワーウルフ達も群れを形成させていたし、シャラは魔物の活性化の一端でしかないのかもしれない。
「ユアン様が帰還した時でよかったわね~」
「そうね~。何でもユアン様達の[金色の旗]が一万のオークたちを撃退したそうよ」
買い食いしながら歩いているとユアンの英雄譚が聞こえてきた。どうやら、ルナさんが言っていたように魔物の群れが来ていてユアンたちがそれを撃退していたようです。流石ユアン、王都に来てすぐにそういう英雄譚を作っちゃう辺り英雄の素質ありだよね。
「王城の門を出てすぐの噴水広場にあった宿屋にしようか?」
「あんな、豪華な宿屋に泊まるの?」
門を出たときに見ようとしなくても目に入ってしまう大きな宿屋。モナーナがびっくりして声を張り上げるほどの豪華な宿屋です。
貴族が泊まっていてもおかしくないようなその外観は今後の大工仕事に参考になりそうだった。
お金が正に捨てるほどあるので使いたいんだよね。目立つのはやだけどこれ以上僕が持っていても世の中的に悪いと思うんだ。だから奮発してあの宿屋に泊まります。
「いらっしゃいませ・・・」
「どうも~」
豪華な宿屋に入ると背筋がピンとしたダンディーなおじさんが僕らにお辞儀をして迎えてくれた。目つきが鋭くて僕たちを値踏みしているような感じ、僕はそのなんとも言えない空気に息をのんだ。
「お泊りですか?それともお食事ですか?」
「お泊りで・・・」
ダンディーなおじさんに聞かれたので泊まることを伝えるとおじさんは僕らに鍵を渡してきた。断られると思って心配したけど大丈夫みたい。
「あんまり緊張しているとおかしな人みたいに思わられるよ」
「そんなこと言ってもこんな豪華な宿屋初めてだし。っていってもエリントスとワインプールしか泊まったことないけどね」
モナーナに耳打ちされて僕はそう答えた。すると、ダンディーなおじさんがピクッと動いた。
「エリントスの宿屋と言いますと小鳥のさえずり亭ですかな?」
「えっ、はい、そうですけど」
「そうですか。ではあなた様はルーク様では?」
「・・そうです」
ダンディーなおじさんの質問に僕がうなずいて答えるとおじさんは納得したように微笑んでうなずいている。
「そうでしたか、あなた様がエリントスの英雄のルーク様でしたか、どおりで・・・」
「どおりでって?」
「あなた様が入ってきたとき私は身構えてしまったのです。まるで魔王でも入ってきたかのような強者の波動に、こう見えても私は騎士団で働いていたので」
「魔王・・・」
ダンディーなおじさんが凄いことを言ってきた。これって僕から発せられている物なのかな?モナーナの杖とか服のせいじゃないのかな、そうあってほしいところだけどおじさんの目線は確かに僕なので・・・ああ、目立ってる。
「申し遅れました。わたくしはグガインと申します。この度は私の兄弟のいる街を救ってくれてありがとうございます」
「兄弟さんが?」
「はい、私の兄弟がパン屋を営んでおりまして、白いパンを一般の方々にも広めたいとエリントスで開業したのです。今では結構、有名らしいのですが知っていますか?」
「ニャムがしょっちゅう行ってたパン屋さんだね」
グガインさんはにっこりとほほ笑んで話した。ニャムさんと噴水広場で食べたパンのことだと思っているとモナーナも気づいたみたい。あのパンはとっても柔らかくてパンを常備持ちにする決め手になったパンなんだよね。
まさか、こんなところで知り合いに会うとは思わなかった。っていってもパンを知っているだけでその人自身は知らないけど。
「兄弟から死にそうな目にあったと聞いて心配していたのですが、怪我は完治したと書いてあったのでどういうことか聞いたらルーク様の話が出ましてね。街を覆う光の川が街のみんなを癒したとか・・・素晴らしい力ですね」
「・・・」
まさか、王都にまで広まっていたとは。あまり言いふらさないで欲しいところなので、ちょっとくぎを刺しておこうかな。
「グガインさん、その話はあまり広めないでもらっていいですか?」
「ああ、私は・・広めていませんからね」
「ええ・・」
それってもう広まっていますよってこと?
「人の口に戸は立てられぬ、とはよく言ったものですからね」
「しょうがないよルーク、とりあえず顔はバレてないみたいだね」
ルナさんとモナーナが僕の肩に手を置いて慰めてくれました。あんまり宿屋から出たくないな。
「それではお部屋に案内いたします。改めまして私はグガイン。ようこそ金色の宿へ」
グガインさんは深くお辞儀をして僕らを二階の部屋へと案内してくれた。
街並みが少しうかがえるんだ。王都リナージュは正方形の街並みで城への大きな道路の中央に三つの噴水広場がある。広場にも出店が出ていて簡単に食べられる串焼きなどが売られている。僕たちは宿屋を探しながらそんな出店で食べ物を買い食いしてみて回ることにした。
「美味しいね。これは何の肉だっけ?」
「オーク肉の串焼きですね」
「オークって美味しいんだね」
ルナさんが買ってきた串肉を食べるととてもおいしくて何の肉だか聞くとオークの肉だとルナさんは答えた。モナーナも一緒に食べて頬を抑えている。すっごくおいしいよね。
「オークジェネラルの肉らしいですよ」
「ジェネラルって一般的に売られるものなのかな?」
「そんなわけないですよ。ジェネラルの肉が普通の店に卸されるなんてありえないですよ。倒すのもB~Sランクの冒険者が必要です。大抵ジェネラル級の魔物は部下を引き連れていますからSランク以下の冒険者ではパーティーでの討伐が推薦されます」
「ルナさんって結構、詳しいんですね」
「そりゃ、私は狩人ですから。敵の強さと適正レベルを判断するのは得意ですよ」
ルナさんは僕の疑問に答えると得意げに胸を張って話した。こういうことはやっぱり経験がものをいうよね。僕も見習わないとね。
「しかし、ジェネラルの肉を使っているのに普通の串焼きと同じ値段でした。ということは王都で群れが発生したのかもしれませんね。それで討伐に成功してジェネラル級を多く討伐したのかも」
ルナさんの憶測に僕とモナーナは顔を見合った。シャラが魔物を強くして群れを発生させていたと思っていたけどそれ以外でも群れが多く発生しているみたい。そういえばワーウルフ達も群れを形成させていたし、シャラは魔物の活性化の一端でしかないのかもしれない。
「ユアン様が帰還した時でよかったわね~」
「そうね~。何でもユアン様達の[金色の旗]が一万のオークたちを撃退したそうよ」
買い食いしながら歩いているとユアンの英雄譚が聞こえてきた。どうやら、ルナさんが言っていたように魔物の群れが来ていてユアンたちがそれを撃退していたようです。流石ユアン、王都に来てすぐにそういう英雄譚を作っちゃう辺り英雄の素質ありだよね。
「王城の門を出てすぐの噴水広場にあった宿屋にしようか?」
「あんな、豪華な宿屋に泊まるの?」
門を出たときに見ようとしなくても目に入ってしまう大きな宿屋。モナーナがびっくりして声を張り上げるほどの豪華な宿屋です。
貴族が泊まっていてもおかしくないようなその外観は今後の大工仕事に参考になりそうだった。
お金が正に捨てるほどあるので使いたいんだよね。目立つのはやだけどこれ以上僕が持っていても世の中的に悪いと思うんだ。だから奮発してあの宿屋に泊まります。
「いらっしゃいませ・・・」
「どうも~」
豪華な宿屋に入ると背筋がピンとしたダンディーなおじさんが僕らにお辞儀をして迎えてくれた。目つきが鋭くて僕たちを値踏みしているような感じ、僕はそのなんとも言えない空気に息をのんだ。
「お泊りですか?それともお食事ですか?」
「お泊りで・・・」
ダンディーなおじさんに聞かれたので泊まることを伝えるとおじさんは僕らに鍵を渡してきた。断られると思って心配したけど大丈夫みたい。
「あんまり緊張しているとおかしな人みたいに思わられるよ」
「そんなこと言ってもこんな豪華な宿屋初めてだし。っていってもエリントスとワインプールしか泊まったことないけどね」
モナーナに耳打ちされて僕はそう答えた。すると、ダンディーなおじさんがピクッと動いた。
「エリントスの宿屋と言いますと小鳥のさえずり亭ですかな?」
「えっ、はい、そうですけど」
「そうですか。ではあなた様はルーク様では?」
「・・そうです」
ダンディーなおじさんの質問に僕がうなずいて答えるとおじさんは納得したように微笑んでうなずいている。
「そうでしたか、あなた様がエリントスの英雄のルーク様でしたか、どおりで・・・」
「どおりでって?」
「あなた様が入ってきたとき私は身構えてしまったのです。まるで魔王でも入ってきたかのような強者の波動に、こう見えても私は騎士団で働いていたので」
「魔王・・・」
ダンディーなおじさんが凄いことを言ってきた。これって僕から発せられている物なのかな?モナーナの杖とか服のせいじゃないのかな、そうあってほしいところだけどおじさんの目線は確かに僕なので・・・ああ、目立ってる。
「申し遅れました。わたくしはグガインと申します。この度は私の兄弟のいる街を救ってくれてありがとうございます」
「兄弟さんが?」
「はい、私の兄弟がパン屋を営んでおりまして、白いパンを一般の方々にも広めたいとエリントスで開業したのです。今では結構、有名らしいのですが知っていますか?」
「ニャムがしょっちゅう行ってたパン屋さんだね」
グガインさんはにっこりとほほ笑んで話した。ニャムさんと噴水広場で食べたパンのことだと思っているとモナーナも気づいたみたい。あのパンはとっても柔らかくてパンを常備持ちにする決め手になったパンなんだよね。
まさか、こんなところで知り合いに会うとは思わなかった。っていってもパンを知っているだけでその人自身は知らないけど。
「兄弟から死にそうな目にあったと聞いて心配していたのですが、怪我は完治したと書いてあったのでどういうことか聞いたらルーク様の話が出ましてね。街を覆う光の川が街のみんなを癒したとか・・・素晴らしい力ですね」
「・・・」
まさか、王都にまで広まっていたとは。あまり言いふらさないで欲しいところなので、ちょっとくぎを刺しておこうかな。
「グガインさん、その話はあまり広めないでもらっていいですか?」
「ああ、私は・・広めていませんからね」
「ええ・・」
それってもう広まっていますよってこと?
「人の口に戸は立てられぬ、とはよく言ったものですからね」
「しょうがないよルーク、とりあえず顔はバレてないみたいだね」
ルナさんとモナーナが僕の肩に手を置いて慰めてくれました。あんまり宿屋から出たくないな。
「それではお部屋に案内いたします。改めまして私はグガイン。ようこそ金色の宿へ」
グガインさんは深くお辞儀をして僕らを二階の部屋へと案内してくれた。
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