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第二章 黒煙

第五十九話 誰かいい人いないかな?

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 ワインプールに戻ってきました、ユアンが既に王都リナージュへ旅立ったことを聞いた。アレイストさんは別の用事でユアンと一緒にはいけなかったようだ。代わりに武器を作ってあげると言っていたんだけど、どうしようかな。全てユアンにまかせっきりで何だか申し訳ない。

「ユアンさんが寂しそうにしていたよ。王都へ連絡するために一日を要したんだけど、それでも帰ってこないもんだから行っちゃったんですよ。あ~可哀そうだったな~」

 申し訳ない気持ちでいっぱいだった僕に追い打ちをかけるようにメイさんが揶揄ってきた。最近、僕の護衛をしないで子供達の相手をしてくれているので何も言えません。

「はあ、子供達も元気になってきましたし。そろそろ、人員が欲しい所です。あのチンピラ達では遊ぶことしかできていませんから、言葉や文字を教える人材が欲しい所です」

 メイさんは大きくため息をついて今必要な物を上げていく。そうだよね。ラザラさんは家事をしているし、メイさんはお掃除なんかを積極的にしている。たぶん、メイさんも文字なんかを教えられるだろうから家事の人を余計に雇えればメイさんで代用が効くはず。

「ルザーに雇われていた者も雇用しようか迷っているのです。金を積まれれば汚れ仕事も受ける人達ですからね」
「ちょっとそれはやだね」

 流石にああいった人達に雇われていた人を雇用するのはやだ。お金に眼がくらんでしまう人は信じられないからね。それに、石像を設置しているので悪意がある人はあそこに入れない。どうしようかな。

「新しい方ですか?本当にルークさんは見境がありませんね」
「そんなんじゃありませんよ。エルフの村のルナさんです。ある事情で一緒に来ることになってしまいました」
「よろしくお願いします。ルナと申します。ルークさんの妾としてやってきました」

 メイさんの揶揄いに困っているとルナさんが一緒になって揶揄い始めました。この二人息が合っているかもしれない。モナーナとニャムさんがすっごい顔で僕の顔を覗いてくるんだけど、そんなつもりはないので潔白です。

「そんな事よりも領主の屋敷を作らないと~」
「ちょっとルーク」
「逃げちゃったにゃ」

 僕はそそくさと領主の屋敷跡地に走った。あの空気の中いられるのはイケメンに限ります。ユアンだったらさらっと躱せたかもね。



 屋敷跡地に来て、僕はすぐに建設に勤しんでいく。

「ダリルさんの性格だからそんなに金を使わないようにしよう」

 悪趣味な金なんかはあんまり使わないようにして白を基調にした建物を作っていきます。敷地面積は孤児院と同じ100坪。一階だけでいいという要望だったけど地下の洞窟も活用しようと思います。
 まずは水回りから、お風呂を4坪で建設。お湯はもちろん、お湯の湧く桶を設置。排水ももちろん浄化の魔道具で洞窟に流していく。洞窟の奥も調べると街の外に繋がってた。外に出ると湖だったので丁度いいんだけど魔物が入ってきたらたまったものじゃないのでミスリーの石像を設置する事にしました。これでここら辺の魔物は近づけないでしょう。
 あとはキッチン、ここもそれほど大きくなくて大丈夫みたい。一応、30坪分でパーティールームみたいのを作るんだけどそれでも10坪のキッチンがあれば大丈夫でしょう。という事で10坪のキッチンをせっせこつくります。孤児院のキッチンもそうだけど、水は水がわく桶を改造して設置します。水をわざわざ井戸から汲まなくて済むから本当に便利、やっぱり作っておいてよかった。
 キッチンからの裏手にパーティールーム、キッチンすぐに作った方が料理が温かいまま出せる。パーティーを開くときは貴族が相手の方が多くなりそうだからそう言った気遣いも大切だよね。
 あとは書斎と応接室と寝室かな?でも、嗜む子牛亭で寝るはずだから要らないかなと思ったんだけど忙しい時は帰れないかもしれないから必要かな。20坪で庭を作る予定なのであと36坪分でこの三つの部屋を作っていく、均等に12坪ずつでもいいんだけど応接室は広い方がいいと思ったので応接室を少し大きめに作っていきます。
 応接室を16坪で作っていく。あとは10坪ずつで書斎と寝室。普通以下の家庭で育った僕としてはこれでも広すぎです。

「ルーク君やってくれているね」
「ダリルさんどうしたんですか?」

 屋敷を完成させるとダリルさんが労いに来てくれた。ミルクの入った瓶を持ってきてくれたみたいで僕に手渡す。

「屋敷を作ってくれてありがとう。これは屋敷の代金だよ」
「ええ、こんなに?でもいりませんよ。子供達の為に使ってください」

 ダリルさんはポケットから革袋を取り出して僕に渡してきた。その中には白金貨がどっさりと入っていた。これが初めての白金貨だったら僕は即倒していたね。子供達の為に使ってほしいと僕が言うとダリルさんは首を横に振った。

「こう言う事はちゃんとけじめをつけないとダメだ。子供達の教育上悪いよ。やってもらったのにその代償を払わないなんてあっちゃいけない事だろ?」
「う~」

 僕にとってお金ってそんなに必要じゃない物なんだよね。なので持っていてもしょうがないって気持ちが大きいんだけど。ダリルさんは頑なに受け取ってくれないので仕方なくアイテムバッグへしまっていく。しょうがないから子供達の服とか道具に使っていこうかな。

「ワティスさんに子供達の教育係を探しているって聞いたら心当たりがあるようなんだけど一緒に行ってくれるかな?私の一存で決めるのもおこがましいと思ってね」
「そうか、ワティスさんならそう言った情報をもっているかもしれませんね」

 という事でワティスさんの家へダリルさんと向かうことになりました。良い人が見つかるといいんだけど。
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