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第二章 黒煙

第五十一話 ユアン達が強すぎて

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 塔下から鉄と鉄のぶつかる音が聞こえてくる。僕とニャムさんとモナーナとエリシーナちゃんは塔の上から眺めながら攻撃出来る人はしていきます。
 ニャムさんも受付嬢なんて職業をしていたのに簡単な魔法を使えるようです。
    ニャムさんは水魔法を得意にしているようでウォーターボールをぶつけています。
 リザードマンなので全然ダメージにはなっていないけど鬱陶しがって足を止めているので少しは役に立っている感じ。

「ルーク!二匹塔に入っていったよ迎撃しな」

 アレイストさんのそんな声が聞こえてきた。だけど、一向にリザードマンは上に上がってこないので螺旋階段を下ってみたらリザードマンが泡を吹いて息絶えていました。何があったんだろう?
 螺旋階段の壁が少し傷ついている?その事から鑑みるとまさか、壁がリザードマンを挟んで倒したのかな?
    そうなれば泡を噴いているのも納得できる。圧死ってこんな感じだって聞いた事あるし。でも、そんな事この塔が出来るのかな?

「兄さん大丈夫?」
「ああ、ユアン。大丈夫だったよ。勝手に倒れてた。それよりもこっちに来て大丈夫なの?」
「アラト君とイラト君もアレイストさんとの経験が戦闘に生かされてて強いよ。ただスキルとかは持っていないみたいだから成人になった時が楽しみだよ」

 ほうほう、ユアンがそんなに言うんだったら相当なんだろうね。エリシーナちゃんも優秀だし、みんな僕の隠れ蓑に育っておくれ。

「じゃあ、僕はもどるね。また入っちゃったらお願いね」

 ユアンはそう言って塔の外へと駆けていった。塔の上から見てもざっと千匹はいたと思うけど大丈夫なのかな?

 僕は塔の上に戻って下を覗くとアレイストさん達が結構、湿地帯に近づいていた。リザードマン達はアレイストさん達の圧に押されている感じ。

「アレイストさんってこんなに強かったんだね」
「アレイストはワーウルフの時も300匹は倒した猛者にゃ。Sランクにも届くって言われているからにゃ、リザードマンなんて目じゃないにゃ」

 リザードマンのランクはD~Cっていった感じ、ロードになってもBほどだからそんなに強くないんだよね。魔法使いも少なからずいるんだけど唱えても初級魔法が関の山、モナーナの魔法と比べると雲泥の差だね。

「ソルジャーとウィザードが出てきたよ」

 湿地帯の森にアレイストさん達が近づいて行くとソルジャーなどの上位クラスが列を成して現れた。20匹ほどのソルジャーが列を作ってその後ろにウィザードが並んで魔法を唱え始めた。身体強化の魔法を使ったのか、前列のソルジャー達が歓喜の声をあげてる。

「小賢しいね~」
「それでも余裕ですけどアラト君達には唱えておきますか」

 アレイストさんは大剣を肩に担いでいるとユアンはアラト君達に魔法を唱えて強化を施してる。

 隊列を成したソルジャー達にもアレイストさん達は苦戦せずに倒していった。時折、聖属性魔法の光が見えるのはユアンの魔法なんだろうね。聖属性ってどうやったら覚えられるのかな~。
 そういえば、闇属性スキルが手に入ったから、属性が増えているんだよね。

 火7 水7 風0 土0 木0 氷0 雷0 闇7 光7 無0 爆0 時0

 時魔法なんて完全に賢者とかそういった英雄の魔法だよね。恐れ多くて触りたくもないです。他の魔法も極めている人は存在しないから、今の状態でもバレたら恐ろしいことになる。スキルレベルだけは、バレてはいけない。

「あれ?奥の森の木が倒れていくよ」

 そんな事を考えているとモナーナが声を上げて僕の肩をたたいた。森の木が倒れていって一本の道が出来てる。ユアンかアレイストさんが木を切って進んでいるんじゃないのかと思ったけどまだ森の前で戦ってる。

「あれは、ジャイアントにゃ。たまにその種族の巨人種が生まれる事があるにゃ、リザードマンの巨人種にゃ」

 ニャムさんが驚いて話している。巨人種って言うのは結構、稀な存在みたいです。低いとはいえ木から顔が出ているのを見ると5メートル位はあるだろうか。どんなに大きくてもユアンの攻撃で一撃でしょ?
 とか言っている間にソルジャー達を蹴散らしたユアンがジャイアントリザードマンに気付いて光の槍の魔法を使ってジャイアントリザードマンに投げつけていた。光の槍を腹にうけたリザードマンは片膝をついて痛がっている。思った通り余裕そうです。

「これでしまいか?」
「ですね」

 片膝をついたジャイアントリザードマンの首を跳ね飛ばしたアレイストさんがそう言うとユアンが頷いて答えた。

 難なくリザードマン達を片付けた僕たち、そう言えばこれが僕の昇格の試験になる予定だったんだよね。それに街の冒険者を待機させていたのにこんなに簡単に終わってよかったのかな?
 まあ、終わってしまったのだから仕方なし。

 ルークがそう言って塔のベランダから中に入ると嫌な圧が湿地帯の方から流れてきた。
 僕はベランダから飛び降りてみんなの所へと駆けつけた。

「久しぶりだな。人間共」

 重い声が周辺に響き僕らは白い雲に覆われた。
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