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第一章 始まり
第三十七話 戦乱の前に
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ルークはワーウルフの群れとの戦闘前の祭りのような騒ぎに参加できずにいた。彼はとても強い、しかし、中身は若干十五歳の少年なのだ。
「みんな怖くないのかな?」
Bランクの魔物といえば村で発見されたら避難するレベルの魔物達、ただ逃げる事を考えるしかできないほど恐ろしい魔物なのだ。ルークは怖くてしょうがない。それを誤魔化すように製作をしていく。
ポーションの湧く瓶を五つほど作り栓をする。それをある仕組みのしてある木箱に入れていく。木箱には硬貨が入る穴が開いていてそこに硬貨を入れるとその重さに比例してポーションが出てくる仕組みになっている。
木箱は液体が漏れないように密封されていて硬貨を入れることでその分の水がこぼれる仕組みになっている。
硬貨ほどのゴミを入れても作動するかと思いきやそんな事にはならない。硬貨以外の物が入ると亜空間、すなわちアイテムバッグに入っていく仕組みになっている。
また貯まり過ぎた硬貨もアイテムバッグに入っていくので売り切れなどは発生しない。ルークはまたこの世界に新しいアイテムを生み出してしまった。言うなれば、これは異世界自販機といえる物だろう。
ルークは自動でポーションを売り出す事で自分の名声を得ずにお金を得る方法を得た。同時にエリントスは安価で性能の高いポーションを買える街に変わっていく。
「これで何もせずにお金が得られる~、一つ楽して暮らすが達成できた~」
ルークは明日の恐怖を打ち消すように笑った。自動販売機は設置した矢先にお金が放り込まれて行く。ポーションが安価で手に入る事で初心者にも愛用されて行くのだ。次の日のワーウルフの群れとの戦闘の為にポーションを買いあさる冒険者達とそれを転売で売り込む商人たちは水の入る器すべてにポーションを入れていった。
「ルークはいるかにゃ?」
小鳥のさえずり亭にニャムが訪れた。ニャムはスリンに挨拶をしてすぐにルークの部屋に向かった。
「ルーク~」
ルークの部屋を開けたニャム、ルークは製作をしていて真剣な目を向けていた。
「ニャムさん、どうしたんですか?」
「にゃはは、この間はありがとにゃ」
ニャムさんは恥ずかしそうに顔を赤くしている。この前、酔いつぶれて家まで送って行った事のお礼を言いに来たみたい。
「いいんですよ。それよりも鍵を作ってしまったのでお返しします」
「作ったにゃ?」
「戸締りして帰った方がいいと思って」
「・・・」
僕の言葉にニャムさんは言葉を無くした。やっぱり作るのはまずかったかな?
「一本は持ってていいにゃ」
「え?」
「いつでも来てくれていいにゃ」
モジモジと顔を赤くしながらそんな事を言い始めるニャムさん、これはどう取ればいいんだろう?
「それはどういう意味ですか?」
「もってて欲しいって意味にゃ」
「ハア?」
僕に持っていてほしいって、女の人が男の僕に鍵を持っていてほしいって言うのはどういう事?
「・・・」
「ルークが好きって事にゃ!」
ニャムさんはそう言ってすぐに部屋から出ていった。僕はその言葉を聞いて唖然としている。ニャムさんは揶揄っているのかもしれない、そうじゃなきゃ1レベルの僕を好きになるなんてありえないでしょ。
「でも、本当だったらどうしよう。それだったら嬉しいな」
ポアンとそんな想像をするルークは呆けるのだった。
ニャムは勇気を出して思いを告げた。これは次の日のワーウルフの群れとの戦闘を考えての事だ。冒険者達がやぶれた時、街は蹂躙されるだろう、その時の為にも自分の想いを告げたかったのだ。それはモナーナも一緒だった。
「ルーク・・・」
「あれ?モナーナ。どうしたの」
ニャムが帰っていったあと、モナーナはモジモジと手遊びをして部屋に入ってきた。モナーナはルークの部屋のベッドに座って話し出した。
「ごめんねルーク」
「えっ何が?」
「ルークを無視して喜んじゃって」
モナーナは俯きながら謝る。何のことを言っているのかわからない僕は首を傾げた。
「僕を無視って何の話?」
「クルシュ様の時の話・・・本当は目立ちたくなかったんだよね」
モナーナは泣きそうになりながらそう言った。確かに僕は目立ちたくなかったけど人の為になるなら良かったと思ってる。だからモナーナにお礼を言わないといけない、
「モナーナ泣かないで、僕は感謝してるんだよ。確かに僕は目立ちたくなかったけど、こういった力を手に入れてしまってどうしたらいいのかわからなかったんだ。だけどモナーナのお店でアイテムを売ったおかげで何をしたらいいのか分かったんだ」
僕はモナーナの目をまっすぐに見つめて伝える。僕は今まで楽して暮らす事を考えていた。
でも、楽をするには人と関わらないといけない事もわかったんだ。人とかかわるという事は目立たないといけないって事で、隠れて暮らすなんてことはできないんだ。
モナーナのおかげでそれに気付く事が出来た。田舎者で何も知らない僕が知ることが出来たんだ。
「だからモナーナ、謝らないで。僕は君のおかげで温もりを知って、僕の力をどうしたらいいのかが分かったんだ」
僕はモナーナがジグとザグに攫われた時タガが外れた。僕は本気で怒ったんだ。
今までそんな事は一度もなかった。モナーナが傷つけられようとしていると分かった瞬間に僕は怒りにのまれた。
その時、僕はモナーナに恋をしていたのがわかった。モナーナに初めてあった時、僕は彼女の桃色の髪やラベンダーの香りに眼や鼻を奪われた。モナーナの目を見た僕は一瞬で恋に落ちていたんだ。真正面からそう言う気持ちに向き合うと恥かしい思いです。
「僕はこの街を守るよ。モナーナとお父さんの思い出の街を」
「ルーク」
モナーナの両手を包むように握るとモナーナの瞳から涙がこぼれた。
「みんな怖くないのかな?」
Bランクの魔物といえば村で発見されたら避難するレベルの魔物達、ただ逃げる事を考えるしかできないほど恐ろしい魔物なのだ。ルークは怖くてしょうがない。それを誤魔化すように製作をしていく。
ポーションの湧く瓶を五つほど作り栓をする。それをある仕組みのしてある木箱に入れていく。木箱には硬貨が入る穴が開いていてそこに硬貨を入れるとその重さに比例してポーションが出てくる仕組みになっている。
木箱は液体が漏れないように密封されていて硬貨を入れることでその分の水がこぼれる仕組みになっている。
硬貨ほどのゴミを入れても作動するかと思いきやそんな事にはならない。硬貨以外の物が入ると亜空間、すなわちアイテムバッグに入っていく仕組みになっている。
また貯まり過ぎた硬貨もアイテムバッグに入っていくので売り切れなどは発生しない。ルークはまたこの世界に新しいアイテムを生み出してしまった。言うなれば、これは異世界自販機といえる物だろう。
ルークは自動でポーションを売り出す事で自分の名声を得ずにお金を得る方法を得た。同時にエリントスは安価で性能の高いポーションを買える街に変わっていく。
「これで何もせずにお金が得られる~、一つ楽して暮らすが達成できた~」
ルークは明日の恐怖を打ち消すように笑った。自動販売機は設置した矢先にお金が放り込まれて行く。ポーションが安価で手に入る事で初心者にも愛用されて行くのだ。次の日のワーウルフの群れとの戦闘の為にポーションを買いあさる冒険者達とそれを転売で売り込む商人たちは水の入る器すべてにポーションを入れていった。
「ルークはいるかにゃ?」
小鳥のさえずり亭にニャムが訪れた。ニャムはスリンに挨拶をしてすぐにルークの部屋に向かった。
「ルーク~」
ルークの部屋を開けたニャム、ルークは製作をしていて真剣な目を向けていた。
「ニャムさん、どうしたんですか?」
「にゃはは、この間はありがとにゃ」
ニャムさんは恥ずかしそうに顔を赤くしている。この前、酔いつぶれて家まで送って行った事のお礼を言いに来たみたい。
「いいんですよ。それよりも鍵を作ってしまったのでお返しします」
「作ったにゃ?」
「戸締りして帰った方がいいと思って」
「・・・」
僕の言葉にニャムさんは言葉を無くした。やっぱり作るのはまずかったかな?
「一本は持ってていいにゃ」
「え?」
「いつでも来てくれていいにゃ」
モジモジと顔を赤くしながらそんな事を言い始めるニャムさん、これはどう取ればいいんだろう?
「それはどういう意味ですか?」
「もってて欲しいって意味にゃ」
「ハア?」
僕に持っていてほしいって、女の人が男の僕に鍵を持っていてほしいって言うのはどういう事?
「・・・」
「ルークが好きって事にゃ!」
ニャムさんはそう言ってすぐに部屋から出ていった。僕はその言葉を聞いて唖然としている。ニャムさんは揶揄っているのかもしれない、そうじゃなきゃ1レベルの僕を好きになるなんてありえないでしょ。
「でも、本当だったらどうしよう。それだったら嬉しいな」
ポアンとそんな想像をするルークは呆けるのだった。
ニャムは勇気を出して思いを告げた。これは次の日のワーウルフの群れとの戦闘を考えての事だ。冒険者達がやぶれた時、街は蹂躙されるだろう、その時の為にも自分の想いを告げたかったのだ。それはモナーナも一緒だった。
「ルーク・・・」
「あれ?モナーナ。どうしたの」
ニャムが帰っていったあと、モナーナはモジモジと手遊びをして部屋に入ってきた。モナーナはルークの部屋のベッドに座って話し出した。
「ごめんねルーク」
「えっ何が?」
「ルークを無視して喜んじゃって」
モナーナは俯きながら謝る。何のことを言っているのかわからない僕は首を傾げた。
「僕を無視って何の話?」
「クルシュ様の時の話・・・本当は目立ちたくなかったんだよね」
モナーナは泣きそうになりながらそう言った。確かに僕は目立ちたくなかったけど人の為になるなら良かったと思ってる。だからモナーナにお礼を言わないといけない、
「モナーナ泣かないで、僕は感謝してるんだよ。確かに僕は目立ちたくなかったけど、こういった力を手に入れてしまってどうしたらいいのかわからなかったんだ。だけどモナーナのお店でアイテムを売ったおかげで何をしたらいいのか分かったんだ」
僕はモナーナの目をまっすぐに見つめて伝える。僕は今まで楽して暮らす事を考えていた。
でも、楽をするには人と関わらないといけない事もわかったんだ。人とかかわるという事は目立たないといけないって事で、隠れて暮らすなんてことはできないんだ。
モナーナのおかげでそれに気付く事が出来た。田舎者で何も知らない僕が知ることが出来たんだ。
「だからモナーナ、謝らないで。僕は君のおかげで温もりを知って、僕の力をどうしたらいいのかが分かったんだ」
僕はモナーナがジグとザグに攫われた時タガが外れた。僕は本気で怒ったんだ。
今までそんな事は一度もなかった。モナーナが傷つけられようとしていると分かった瞬間に僕は怒りにのまれた。
その時、僕はモナーナに恋をしていたのがわかった。モナーナに初めてあった時、僕は彼女の桃色の髪やラベンダーの香りに眼や鼻を奪われた。モナーナの目を見た僕は一瞬で恋に落ちていたんだ。真正面からそう言う気持ちに向き合うと恥かしい思いです。
「僕はこの街を守るよ。モナーナとお父さんの思い出の街を」
「ルーク」
モナーナの両手を包むように握るとモナーナの瞳から涙がこぼれた。
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