20 / 165
第一章 始まり
第十九話 ルークとモナーナのいない間に
しおりを挟む
フォーハンドベアーを倒してモナーナさんの待つ洞窟に戻る。
モナーナさんは洞窟の前で心配そうに駆け寄ってきた。
「ルークさん!大丈夫だったんですか?」
「はい、もう終わりましたよ」
「狼の魔物とかだったんですか?」
「・・そうですよ。狼でしたよ」
僕はミスリーと分離して洞窟にはいって食事をし直しながら話した。
僕は嘘をついた。ここでCランクの魔物を倒した何て言ったらそれこそ怒られてしまう、ハッキリ言ってこれ以上モナーナさんに強いと思われたくない。
「・・・」
モナーナさんは僕の返答を聞いて無言で体育座りでうつむいた。
「嘘は言わないでください」
「え?」
「魔物はフォーハンドベアーですよね。私見たんです」
見られていたようで気まずい空気が流れる。しばらく沈黙が続いた。
「ルークさんは私の英雄なんです」
モナーナさんが沈黙を破り言葉をつないでいく。
「どんなお話しの英雄よりも強くてカッコよくて・・・でもルークさんが嫌がる事はしない事にしました。だから誰にも言いません。私とルークさんの秘密にします」
モナーナさんは体育座りのまま僕を見つめている。僕はドギマギしながら聞いていた。何だか告白みたいでドキドキです。
「でも私とパーティーを組んでもらいますよ」
「ええ」
「これは絶対です。これからはパーティーメンバーですからモナーナさんじゃなくてモナーナって呼んでください。私もルークって呼び捨てにしますから」
モナーナさんはそう言って寝袋に寝っ転がった。僕の反論は聞かないようです。
「にゃ~」
「何だよミスリー」
呆けているとミスリーが早く寝ろと言わんばかりに鳴きだした。僕も自分の寝袋にくるまって眠った。
夜が明けて僕らは目を覚ます。魔物もフォーハンドベアーしか来なかったので静かに過ごせた。
ミスリーは伸びをして先に外に出ていった。モナーナさんも起きて僕の出した食事を口に運んでいる。目が合うと凄い笑顔で昨日の俯いていた人と同一人物とは思えない。でも笑顔がとっても可愛いな~。
「どうしたんですか?私の顔に何かついてます?」
モナーナさんがそう言って首を傾げてる。
「えっと、薬草はもう少し行った所にあるんですよね?」
「あ・・・」
「え?」
薬草がどこにあるのか聞くとモナーナさんは何かを思い出すように声を上げて頬を赤く染めて俯いた。
「まさか・・・」
「えへへへ、ルークごめんね」
モナーナさんはお茶目に舌をだして謝る。
不覚にも僕はその表情にドキッとした。どうやら、モナーナさんは僕と話したいがために薬草を探しに行くという理由を作ったようです。つまり嘘をついていたようだ。
「モナーナさん・・」
「あ~ルーク!さんはダメだよ!」
「・・・」
モナーナはそう言って指さした。何ともお茶目だがここは許すべきか、僕に対しての周囲の反応が嫌だったからわざわざここまで一緒に来て話をしてくれたんだよね。でもそれなら僕の作った小屋でもよかったんじゃないのかな?なので少しだけ叱ろう。
「モナーナ!」
「ふふ」
僕が叱るために名前を呼ぶとモナーナは嬉しそうに笑った。叱るための言葉を失うほどの可愛い顔で笑うもんだから叱れなかった。
僕の意思とは別にモナーナが僕のパーティーメンバーに加わった。
「ニャ~ア」
ミスリーが欠伸をして洞窟の出口で待っている。
・・・帰ろう。
作った小屋は流石にアイテムバックに入りきらないだろうからそのままにしておこう、もしかしたら使う日が来るかもしれないしね。
それから一日かけて僕らはエリントスに帰った。
ルークとモナーナが街を離れていた時、モナーナ魔道具店にお客さんがやってきていた。
「ごめんくださ~い」
店の前でメイドが声を上げるが店には今だれもいないので応答はなかった。
「モナーナさんなら今日外へ素材を取りに行ったわよ」
「あ、そうですか。いつ帰ってくるとかわかりますか?」
「え~と確か三日ほどとか言っていたから明日には帰ってくるんじゃないかしら?」
「そうですか」
メイドはモナーナ魔道具店の隣の家のおばちゃんから言われて考え込んでいる。
このメイドの乗ってきた馬車から察するに貴族の使いだというのが分かる。馬車にはこのエリントスを統治している貴族、エリューザの旗がたてられていた。
「困ったわね。どうしましょ」
「あなた、クルシュ様の所のメイドさんよね?」
「そうです。今ちまたで人気の骨細工のお店って聞いて来たのですが。明後日までに装飾品が欲しかったのですがまた今度になりそうですね」
困ったように呟いたメイドは馬車に乗り帰ろうとしている。
おばちゃんは何か閃いたようにポンと手を叩くと家に入っていきあるものを持ってきた。
「必要なんでしょ、持っていって。モナーナさんの所の装飾品はとても良い物なんだから」
おばちゃんはモナーナの為を思ってメイドに首飾りと指輪を渡した。真珠のように輝くそれを見てメイドは生唾を飲み込む。
「凄い、こんなものクルシュ様もしていないわ」
「そうでしょそうでしょ。モナーナ魔道具店をクルシュ様に紹介してね」
馬車は動き出しおばちゃんはメイドを見送った。
これにより、エリントスの領主にもモナーナ魔道具店、ルークの装飾品が知られるようになった。
モナーナさんは洞窟の前で心配そうに駆け寄ってきた。
「ルークさん!大丈夫だったんですか?」
「はい、もう終わりましたよ」
「狼の魔物とかだったんですか?」
「・・そうですよ。狼でしたよ」
僕はミスリーと分離して洞窟にはいって食事をし直しながら話した。
僕は嘘をついた。ここでCランクの魔物を倒した何て言ったらそれこそ怒られてしまう、ハッキリ言ってこれ以上モナーナさんに強いと思われたくない。
「・・・」
モナーナさんは僕の返答を聞いて無言で体育座りでうつむいた。
「嘘は言わないでください」
「え?」
「魔物はフォーハンドベアーですよね。私見たんです」
見られていたようで気まずい空気が流れる。しばらく沈黙が続いた。
「ルークさんは私の英雄なんです」
モナーナさんが沈黙を破り言葉をつないでいく。
「どんなお話しの英雄よりも強くてカッコよくて・・・でもルークさんが嫌がる事はしない事にしました。だから誰にも言いません。私とルークさんの秘密にします」
モナーナさんは体育座りのまま僕を見つめている。僕はドギマギしながら聞いていた。何だか告白みたいでドキドキです。
「でも私とパーティーを組んでもらいますよ」
「ええ」
「これは絶対です。これからはパーティーメンバーですからモナーナさんじゃなくてモナーナって呼んでください。私もルークって呼び捨てにしますから」
モナーナさんはそう言って寝袋に寝っ転がった。僕の反論は聞かないようです。
「にゃ~」
「何だよミスリー」
呆けているとミスリーが早く寝ろと言わんばかりに鳴きだした。僕も自分の寝袋にくるまって眠った。
夜が明けて僕らは目を覚ます。魔物もフォーハンドベアーしか来なかったので静かに過ごせた。
ミスリーは伸びをして先に外に出ていった。モナーナさんも起きて僕の出した食事を口に運んでいる。目が合うと凄い笑顔で昨日の俯いていた人と同一人物とは思えない。でも笑顔がとっても可愛いな~。
「どうしたんですか?私の顔に何かついてます?」
モナーナさんがそう言って首を傾げてる。
「えっと、薬草はもう少し行った所にあるんですよね?」
「あ・・・」
「え?」
薬草がどこにあるのか聞くとモナーナさんは何かを思い出すように声を上げて頬を赤く染めて俯いた。
「まさか・・・」
「えへへへ、ルークごめんね」
モナーナさんはお茶目に舌をだして謝る。
不覚にも僕はその表情にドキッとした。どうやら、モナーナさんは僕と話したいがために薬草を探しに行くという理由を作ったようです。つまり嘘をついていたようだ。
「モナーナさん・・」
「あ~ルーク!さんはダメだよ!」
「・・・」
モナーナはそう言って指さした。何ともお茶目だがここは許すべきか、僕に対しての周囲の反応が嫌だったからわざわざここまで一緒に来て話をしてくれたんだよね。でもそれなら僕の作った小屋でもよかったんじゃないのかな?なので少しだけ叱ろう。
「モナーナ!」
「ふふ」
僕が叱るために名前を呼ぶとモナーナは嬉しそうに笑った。叱るための言葉を失うほどの可愛い顔で笑うもんだから叱れなかった。
僕の意思とは別にモナーナが僕のパーティーメンバーに加わった。
「ニャ~ア」
ミスリーが欠伸をして洞窟の出口で待っている。
・・・帰ろう。
作った小屋は流石にアイテムバックに入りきらないだろうからそのままにしておこう、もしかしたら使う日が来るかもしれないしね。
それから一日かけて僕らはエリントスに帰った。
ルークとモナーナが街を離れていた時、モナーナ魔道具店にお客さんがやってきていた。
「ごめんくださ~い」
店の前でメイドが声を上げるが店には今だれもいないので応答はなかった。
「モナーナさんなら今日外へ素材を取りに行ったわよ」
「あ、そうですか。いつ帰ってくるとかわかりますか?」
「え~と確か三日ほどとか言っていたから明日には帰ってくるんじゃないかしら?」
「そうですか」
メイドはモナーナ魔道具店の隣の家のおばちゃんから言われて考え込んでいる。
このメイドの乗ってきた馬車から察するに貴族の使いだというのが分かる。馬車にはこのエリントスを統治している貴族、エリューザの旗がたてられていた。
「困ったわね。どうしましょ」
「あなた、クルシュ様の所のメイドさんよね?」
「そうです。今ちまたで人気の骨細工のお店って聞いて来たのですが。明後日までに装飾品が欲しかったのですがまた今度になりそうですね」
困ったように呟いたメイドは馬車に乗り帰ろうとしている。
おばちゃんは何か閃いたようにポンと手を叩くと家に入っていきあるものを持ってきた。
「必要なんでしょ、持っていって。モナーナさんの所の装飾品はとても良い物なんだから」
おばちゃんはモナーナの為を思ってメイドに首飾りと指輪を渡した。真珠のように輝くそれを見てメイドは生唾を飲み込む。
「凄い、こんなものクルシュ様もしていないわ」
「そうでしょそうでしょ。モナーナ魔道具店をクルシュ様に紹介してね」
馬車は動き出しおばちゃんはメイドを見送った。
これにより、エリントスの領主にもモナーナ魔道具店、ルークの装飾品が知られるようになった。
68
お気に入りに追加
5,538
あなたにおすすめの小説
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。
今年で33歳の社畜でございます
俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました
しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう
汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。
すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。
そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草
ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)
10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。
親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。
同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……──
※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました!
※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる