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第二章 悪しき影
第七十七話 領主シュラフ
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「なんだ? クードはいないのか?」
ちょび髭をいじりながらお金持ちっぽいおじさんが僕らに話しかけてきた。
「あの? どちら様ですか?」
本当に誰かわからなかったから、聞いてみることにしました。
「なに? 私を知らないのか。仕方ない教えてやろう。私はシュラフ、この町や周辺を統治している領主だ」
「...」
なんだか、偉そうだな~って思ったら領主さまみたいです。そう言えばクードと初めて会った時に言っていたな~。
「それでクードは?」
「このお店はクードからトレドさんに移ったんですよ。クードが行方不明になったから」
「なに!? それでは獣人の奴隷は手に入らないのか!?」
「えっ」
クードがいなくなったと言うとシュラフは大きく戸惑って声を荒らげた。どうやらシュラフは、ビャナ達を買おうと思ってやってきたみたい。
「ん? よく見たら獣人がいるじゃないか。それを買おう」
「この子達は商品ではありませんので」
「なに!? 売っていないのか。それは困るぞ。獣人を痛めつけて遊んでやろうと思っていたのに」
「尚更、そんな理由ではお売りできません。トレドさんでもそう言うでしょう」
シュラフが何と言おうと絶対に売らないよ。碌でもない事に使おうとしているみたいだしね。
「領主にも、もの落ちしない話し方。トレドは中々いい人材を育てているようだな。しかし、領主に逆らっていいと思っているのか?」
「逆らっているわけではありませんよ。この子達は商品ではないのです。僕の奴隷になっていますからね」
シュラフが圧を強めて言ってきた。ファーナが怖がって僕にしがみついてきたのを撫でながらシュラフに言ってやりました。この子達はもう、商品じゃないんだ、僕の家族なんだよ。
「ほ~、では、なぜ奴隷紋がそのままなんだ?」
「それは俺達がお願いしたんだよ!」
「お前みたいなやつが力ずくで奪いに来るかもしれないから!」
ギナとビナンがシュラフに言い放つ。それもあるけど、けじめみたいな話だったよね。ビナンはそこまで考えていたのか、流石、王族の血を引く子だな。
「奴隷のくせに生意気だな。だが、確かにそうしていれば安心ではあるか。では、今日は諦めてやろう」
シュラフはそう言ってお店を出ていった。やけに聞き分けがいいね。絶対に可笑しいよ。
「おいおい、シュラフじゃねえかよ」
「大丈夫だったかアレク」
シュラフとすれ違う形でザクロとグゼーノがお店に入ってきた。怪訝な顔で僕らと同じような顔になっているよ。全く、クードと同類って感じだったね。
「うちのセッコにつけさせる安心してくれ」
「全く、領主のくせに力でこようってのか。俺も力になりますよアレクさん」
シュラフとのやり取りを話すとザクロとグゼーノが力を貸してくれるみたい。でも、奴隷紋があれば大丈夫だから、安心なんだけどな。
「じゃあ、早速俺達はシュラフの動向を探ってきます」
「ちょっと待て! 俺も行くぞ」
ザクロ達はすぐにお店を出ていった。
「良い舎弟ですね」
「はは...舎弟ね~」
ビナンが二人の事を舎弟と言っているよ。それじゃ、まるで僕が親分みたいじゃないか。何だかヤダな。
『僕の舎弟でも調べるにゃ。町の猫ネットワークで一網打尽にゃ』
「えっ? アレク様、何か言いましたか?」
「ん? 何も言ってないよ」
全く、カクルは...みんなにはまだ紹介していないんだから、話しちゃダメでしょ。少し開いている窓からカクルが声をかけてきたよ。
シュラフが少し気の毒に思える程、協力者の多い町だね。
ちょび髭をいじりながらお金持ちっぽいおじさんが僕らに話しかけてきた。
「あの? どちら様ですか?」
本当に誰かわからなかったから、聞いてみることにしました。
「なに? 私を知らないのか。仕方ない教えてやろう。私はシュラフ、この町や周辺を統治している領主だ」
「...」
なんだか、偉そうだな~って思ったら領主さまみたいです。そう言えばクードと初めて会った時に言っていたな~。
「それでクードは?」
「このお店はクードからトレドさんに移ったんですよ。クードが行方不明になったから」
「なに!? それでは獣人の奴隷は手に入らないのか!?」
「えっ」
クードがいなくなったと言うとシュラフは大きく戸惑って声を荒らげた。どうやらシュラフは、ビャナ達を買おうと思ってやってきたみたい。
「ん? よく見たら獣人がいるじゃないか。それを買おう」
「この子達は商品ではありませんので」
「なに!? 売っていないのか。それは困るぞ。獣人を痛めつけて遊んでやろうと思っていたのに」
「尚更、そんな理由ではお売りできません。トレドさんでもそう言うでしょう」
シュラフが何と言おうと絶対に売らないよ。碌でもない事に使おうとしているみたいだしね。
「領主にも、もの落ちしない話し方。トレドは中々いい人材を育てているようだな。しかし、領主に逆らっていいと思っているのか?」
「逆らっているわけではありませんよ。この子達は商品ではないのです。僕の奴隷になっていますからね」
シュラフが圧を強めて言ってきた。ファーナが怖がって僕にしがみついてきたのを撫でながらシュラフに言ってやりました。この子達はもう、商品じゃないんだ、僕の家族なんだよ。
「ほ~、では、なぜ奴隷紋がそのままなんだ?」
「それは俺達がお願いしたんだよ!」
「お前みたいなやつが力ずくで奪いに来るかもしれないから!」
ギナとビナンがシュラフに言い放つ。それもあるけど、けじめみたいな話だったよね。ビナンはそこまで考えていたのか、流石、王族の血を引く子だな。
「奴隷のくせに生意気だな。だが、確かにそうしていれば安心ではあるか。では、今日は諦めてやろう」
シュラフはそう言ってお店を出ていった。やけに聞き分けがいいね。絶対に可笑しいよ。
「おいおい、シュラフじゃねえかよ」
「大丈夫だったかアレク」
シュラフとすれ違う形でザクロとグゼーノがお店に入ってきた。怪訝な顔で僕らと同じような顔になっているよ。全く、クードと同類って感じだったね。
「うちのセッコにつけさせる安心してくれ」
「全く、領主のくせに力でこようってのか。俺も力になりますよアレクさん」
シュラフとのやり取りを話すとザクロとグゼーノが力を貸してくれるみたい。でも、奴隷紋があれば大丈夫だから、安心なんだけどな。
「じゃあ、早速俺達はシュラフの動向を探ってきます」
「ちょっと待て! 俺も行くぞ」
ザクロ達はすぐにお店を出ていった。
「良い舎弟ですね」
「はは...舎弟ね~」
ビナンが二人の事を舎弟と言っているよ。それじゃ、まるで僕が親分みたいじゃないか。何だかヤダな。
『僕の舎弟でも調べるにゃ。町の猫ネットワークで一網打尽にゃ』
「えっ? アレク様、何か言いましたか?」
「ん? 何も言ってないよ」
全く、カクルは...みんなにはまだ紹介していないんだから、話しちゃダメでしょ。少し開いている窓からカクルが声をかけてきたよ。
シュラフが少し気の毒に思える程、協力者の多い町だね。
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