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第二章 悪しき影

第七十五話 クッキーが人気です

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 トレドさんがクッキーの美味しさに感動してお店を出ていった。

 それからしばらくして何人かのお客さんが来店した。お客さんはクッキーを買って行ってくれました。

「やあやあ、開店したって聞いたから来てみたよ」

「あらあら~、綺麗なお店ね~」

 みんなで売れた商品を再度配置しているとソルトさんとベラさんがお店にやってきた。お店が綺麗だから二人共驚いてるね。

「お勧めの品はどれかな?」

 ソルトさんがお勧めを聞いてきた。
 う~ん、トレドさんの品はどれも凄いんだけどな。

「アレクの縫った服なんてどうかな? 丈夫で可愛いのとか、丈夫でカッコいいのがあるよ」

 僕が口ごもっているとシーナが僕の商品をお勧めし始めた。二人は興味深そうに僕の作ったヒラヒラの付いたスカートや丈夫な男物のズボンを見ている。

「ん~? これはただの布かな?」

「そうですよ」

「それにしては丈夫さが高いような?」

「あらあら、本当ね~」

 二人はスカートとズボンをまじまじと見ていってきた。

「おいらとベラは鑑定スキルを持っているからね。アイテムのステータスも見えるんだ」

「アレク君の作った装備やアイテムだけ、レベルが見えるの。それが丈夫さをあげているようね」

 フェイブルファイア様が装備にレベルがあるって言っていたけど、職業を付与したものだけじゃないようです。

「普通に30レベルのアイテムになってるね。人と同じと考えるとCランクのアイテムって事かな? でも、元々の素材のレベルが合わさるとワンランク上がると考えた方がいいのかな?」

 ソルトさんの言葉をそのまま聞くと、Bランクのアイテムになるって事だね。クッキーとかもそれで美味しくなってるって事かな?

「食べ物もレベルが入ってますか?」

「そうよ~。アレク君が作った物は全部入っているみたいよ~」

 僕の疑問にベラさんが答えた。フェイブルファイア様はそんな反則級のおまけもつけてしまっているみたいです。

「じゃあ、僕はこのズボンとクッキーを買おうかな」

「私はスカートとクッキーね~」

 それぞれ、買いたい物を僕らに見せる二人。お代をギナとファーナに渡すと僕らに手を振ってお店を後にした。

「いっぱいお客さんが来たね」

 ソルトさんとベラさんが来て、何人かのお客さんを見送ると夕日が落ちてきた。初めてのお店仕事は時間が経つのが早いな~。

「ありゃ? もう店じまいかい?」

「お母さんだから早く行こうって言ったのに」

 店じまいにしようと思ったらラナさんとクル君がお店にやってきた。

「来てくれたんですね。大丈夫ですよ、どうぞ~」

「すまないね」

 ラナさん達が折角来てくれたのでお店に入ってもらった。二人共嬉しそうにお店に入っていく。

「こりゃ~、場違いだったかね~」

「高級店ですね~」

 ラナさんとクル君が店内を見て呟いてる。確かにお店自体は高級なお店だけど、商品は手に取りやすいお値段の物もあるから大丈夫。

「クル君にはこのズボンがいいかも」

「これですか?」

「アレクの縫ったズボンだから、とっても丈夫だよ」

「じゃあ、それをもらおうかね。私はこのエプロンがいいかね~」

 ラナさんは僕の作ったエプロンを手に取ってクル君のズボンと一緒に会計台の上に置いた。

「銀貨二枚ですね」

「そんなに安いのかい?」

「はい、二人にはお世話になっているので安くしますよ」

「それはダメだよ。商売なんだからね。はい、銀貨十枚ね」

 おまけしようと安く言ったらラナさんは値札通りの硬貨を渡してきた。

「じゃあ、クッキーだけでももらっていってください」

「そうかい? じゃあ、今度みんなでうちにご飯だけでも食べにおいで、ご馳走するからね」

「「は~い」」

 ラナさんにクッキーをあげるとご馳走すると言ってくれた。シーナとファーナが元気に返事してるよ。

「可愛らしくて元気な子供達だね~」

「ビャナさん、また来ます」

「うん、またね。クル君」

 クッキーを食べながら紅茶を飲んで少し雑談。夕日が落ちて暗くなるまでお話するとラナさんがファーナちゃんとギナの頭を撫でてくれた。クル君はビャナにほの字のようでビャナちゃんしか見えていないみたい。二人は仲良く手を繋いでお店から出ていった。

「じゃあ、今度みんなで一緒にウサギノ宿屋に行こう」

『は~い』

 みんないい返事で応えてくれる。ラナさんの料理は美味しいからね。
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