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第一章 神様からの贈り物

第九話 ウサギノ宿屋

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「よかった~」

「依頼の場所の隣にあったね」

 僕らは依頼の場所にやってきた。煙突掃除の場所で看板から鑑みると鍛冶屋さんなのが伺える。

「とりあえず、宿の確保だね」

「うん」

 鍛冶屋の隣の宿屋に入っていく。地下に続く階段の横に宿屋の入り口がある、地下には倉庫があるのかな?

「いらっしゃい。二人かい?」

 恰幅のいいおばさんが僕らを迎えてくれた。

「こちらにメモをお願いいたします」

「あ、はい」

 おばさんの横からぴょこっと子供が出てきて礼儀正しく宿帳を差し出してきた。女の子みたいだけど、男の子の服を着ているから男の子かな?

「ははは、男の子だよ。私はラナ、その子はクルってんだ。よろしくね」

 首を傾げながら宿帳を見ていると顔に出ていたようでラナさんはそう言ってきた。やっぱり男の子なんだな~。路地で言われた事が頭をよぎって、何だか親近感が湧くよ。

「撫でないでください・・」

「ごめんね~」

 宿帳を書き終わって、僕の手はクル君の頭の上へ。クル君は撫でないでって言っているけど嬉しそうに頬を赤く染めています。柔らかな緑色の髪が気持ちいいな。

「ははは、そろそろ本題に入ってもらっていいかい? 泊まるんだよね?」

「あ~すいません」

 クル君の可愛さにやられてしまった。

「二人でいくらになりますか?」

「そうだね~。一晩で大銅貨一枚って所だね」

 通貨は銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白銀貨と上がっていく。一つの通貨で100枚あれば次の位の通貨に交換できる。大銅貨一枚で一晩は安いかもしれない。村の宿屋では大銅貨二枚が相場だったかな。

「一週間はここを拠点にしようと思ってるんですけど」

「そうかい? それなら二人で大銅貨14枚だね」

 一週間は7日、一晩一人で大銅貨一枚だから、二人で14枚だね。手持ちは大銅貨7枚しかないからとりあえず二日分払っておこうかな。

「魔物の素材を卸し忘れたのでとりあえず二日分お願いします」

「素材? お肉はあるかい?」

「ええ、ラビットとスネークの肉とかなら・・・」

「それはいいね! うちで卸しな。量によっては一週間と言わずに一か月でも泊ってくれて構わないよ」

 願ってもないお願いだ。

「お願いします」

「じゃあ、外から地下に行ってもらっていいかい?」

 僕らは入ってきた扉から外に出る。やっぱり地下に続く階段だったみたいで入り口の横の階段をラナさんは下っていった。

「氷蔵って知ってるかい?」

「氷蔵ですか?」

「そうさ」

 地下に下りながらラナさんは言ってきた。

「氷で冷やした部屋でしたっけ?」

「よく知ってるね、嬢ちゃん。そうさ、部屋の温度を下げて食べ物を腐りにくくするのさ」

「そういえば、僕らは名乗ってなかったですね。僕はアレクです」

「私はシーナです」

「はは、宿帳にも書いただろう大丈夫さ」

 僕らの自己紹介を笑って聞いてくれたラナさん。この町の人達はみんなあったかくていい人達だな~。

「少し寒くなるよ」

 二階分程下った先に扉があった。ラナさんの言葉に心の中でもうすでに寒いですと答えた。

「ここに肉を入れておくれ。荷物は馬車か何かにあるんだろ?」

 あ~そうか、アイテムバッグは珍しいものだから、勘違いしてるんだな。

「馬車はもってないです。荷物はここに」

「そうなのかい? じゃあ、そんなに期待できない・・・こりゃ驚いたね~・・」

 ラナさんが指さした蓋つきの大きな箱に僕らはラビットやスネークの肉を入れていく。人が8人は寝れる箱がいっぱいになっていく。
 ラナさんは驚いて声をあげた。手持ち出来るバッグからこんだけ出てくればそりゃ驚くね。

「まさか、アイテムバッグを持っているとはね」

「はい」

「安心おし、誰にも言わないさ。お客様の個人情報は絶対に外に出さないのが[ウサギノ宿屋]の礼儀だからね」

 ラナさんはそう言ってウインクをしてきた。看板を見ていなかったけどこの宿屋は[ウサギノ宿屋]って言うらしい。

「じゃあ、早速、料理を作るかね~」

「少し持って行くね」

「おっ、ありがとね」

 ラナさんの言葉にシーナが答えてお肉を少しだけアイテムバッグに戻した。今日のご飯は豪華になりそうだ。
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