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第一章 神様からの贈り物
第七話 冒険者ギルドへ
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カランコロン!
僕とシーナは冒険者ギルドに入った。扉につけられていた鐘が音を鳴らすとギルド内の人達から視線が集まる。
「なんだ、ガキか」
そんな声が聞こえて視線が外される。何だか怖い人達だな~。
「アレク、怖いね」
「ははは、大丈夫だよ。そんな悪い人はそうそういないでしょ」
シーナの抱きしめる力が強くなった。怖いのは分かるけどそんなに強く抱きしめられると歩きずらいよ。
「いらっしゃ~い」
冒険者ギルドには受付が三つあった。二つは空いていなかったので自然と僕らはもう一つの受付に向かった。受付に座る活発そうな赤毛の女性が元気に応対してくれた。
「冒険者登録をしたいんですけど」
「あら、そんなに若いのに冒険者になりたいの?」
「成人したので」
「そうだったのね。お嬢さんも?」
「はい」
赤毛の女性は僕らに微笑んで話してくれた。シーナの緊張も少し和らいだみたいで抱きしめが弱まる。
「熱々なのね~。私はウーナ、見ての通り受付嬢をしているの。何かわからない事があったら言ってね」
ウーナさんは自己紹介をして、僕らの頭を撫でてくれた。成人したって言ってるのに子供扱いされてしまった。まあ、悪い気はしないんだけどね、美人さんだし。
「じゃあ、登録するわね。字は書ける?」
「はい、大丈夫です」
「これに自分の名前をこのペンで書いてくれる?」
「これは?」
「これは信頼のペンって言ってね魔道具になっているの」
僕はウーナさんに手渡されたペンが普通のペンと違うと思って質問した。ペンは黒塗りの煌びやかなペンで綺麗だったんだ。
「信頼のおける人物かそうじゃないかを判断してくれるのよ。だから、冒険者って言うのはいい人ばかりなの。と言いたい所だけど、そうじゃないという事も覚えておいてね」
ウーナさんはそう言ってウインクしてきた。冒険者も人だもの、可笑しな人もいるに決まってるよね。
「登録の時は信頼のおける人物だったかもしれないけれど、しばらくするとおかしくなってしまう。人って怖いわよね。ここだけの話、Cランクの冒険者は特に危ないから気を付けてね」
「あっはい・・」
ウーナさんは小声で忠告してくれた。
冒険者はランク分けされているらしい。F、E、D、C、B、A、Sとランクがあるって説明してくれた。
F~Dまでは普通の人でも昇格できるんだけど、Cから上は危険な依頼が増えるから挫折する人が多いみたいなんだ。
「あなた達はそうならないでね」
ウーナさんは再度ウインクして言ってきた。別に昇格したいわけじゃないからそうはならないと思う。最終的には村に帰って村を守る仕事に就くだろうしね。僕の両親がしたように。
「ペンでこの紙に書けばいいんですか?」
「そうそう、その紙も魔道具なの。信頼のペンとセットのアイテムで書いたものを綺麗な字に直してくれてその人のステータスを表示してくれるのよ。もちろん、ギフトも見せてくれるわ」
「へ~、凄いですね」
「そうなのよ。って周りにも見せる時はステータスオープンって言って見れるの、見せない場合はステータスって言えば大丈夫よ」
みんなに見えるようになっちゃうのか~と思っていると顔に出ていたみたいでウーナさんが説明してくれた。僕とシーナのギフトは特別性だからね。あんまり人に見せていいものじゃない。世界に一つのギフトなんて厄介ごとしかなさそうだしね。
「書きました。名前だけでいいんですか?」
「ありがと、そうよ、名前だけでその人を認識してくれるの。はいっ、今日からこの紙はあなたの物よ。紙は汚れないし破れない。ステータスを見たいと思った時だけ手元に現れるから手荷物にもならないわ」
うわ~便利だな~。全部の荷物にその魔法を付けられないのかな?
「便利だな~って思ってるでしょ、でもダメなのよ。この紙自体が特別な物なの。魔法をかけた人が特別ってわけじゃないから色々な荷物には付けられないのよ」
またまた、顔に出ていたようでウーナさんに言われてしまった。そうだよね、そんなことが出来たら世界中で使われているだろうしね。
「お嬢さんもかけたね。じゃあ初依頼と行きましょうか。依頼はあの掲示板に張られている紙の中から選んでね」
ウーナさんが指さした方向に掲示板が見える。黒い掲示板で茶色の羊皮紙がたくさん張られていた。
「Fランクは」
「そうそう、一ランク上の依頼までなら受けられるからね。あとはその人を見て受けられるか受けられないか私達受付嬢が決めていい決まりだから~」
掲示板の前に着いて、依頼を見ていると大きな声が受付から聞こえてきた。ウーナさんが立ち上がってこちらに手を振って叫んでいました。僕とシーナはウーナさんに手を振り返して答える。
周りの人達の反応を見るとウーナさんの通常運転なのが伺える。とてもいい人だな~。
「って事はEランクまで受けられるのか~」
「そうみたいだね」
二人で掲示板を見ていく。
「Fランクは採取と町のお手伝いかな?」
「Eランクも同じ感じだね。ただ、量とか範囲が凄いって感じかな?」
ブツブツと話しながら僕らは依頼を吟味していく。
「とりあえず初めての依頼だから簡単なFにしようか」
「そうだね」
Fランクの依頼にする事にして、二枚の依頼書を手に取った。依頼は配達と掃除の二枚、アイテム屋の配達と煙突掃除だ。
「お願いします」
「は~い、承りました。期日を守って頑張ってね」
「「はい!」」
ウーナさんのおかげで僕らの緊張は完全になくなった。心なしか冒険者ギルドにいた強面な人達の顔も優しいもののように見えた。ただただ、僕らがそう言う目で見てしまっていたのかもしれない。
「誰か! 中級回復魔法を使える奴いねえか!」
ガランゴラン!
依頼を受諾して、ギルドから出ようとした時、力強く扉が開いて数人の冒険者が入ってきた。その中の一人は片手が無くなっていて顔が青ざめている。
「誰か!」
「安心しろ。ここには3人、中級魔法使いが常駐している。おい!」
「はっ!」
赤毛の頬に十字傷のおじさんが叫んでいた男の人に寄り添い話した。おじさんの指示で魔法使いの人が三人、ケガをしている人へ光をあてがい始めた。
「マスター、中級じゃ血が止まらない」
「ちっ、とりあえず。止血だ」
マスターと言われたおじさんが包帯を取り出して欠損部位を縛る。なるほど、締め付けて血を止めるんだね。
「上級魔法を使えるものはいないか?」
「マスター、とりあえず奥の部屋に。そのまま立たせておくと危ないわ」
「ああ、そうだな。奥に運んでくれ」
「あ、ああ・・・」
怪我人とその仲間達は涙をこぼして奥の部屋に案内されていった。僕は冒険者の本当の姿を見せられて、少し怖気づいちゃった。
「私、治せるかも・・」
ドキドキしていた僕を他所にシーナが呟いた。巫女の職業でもそんな高位の魔法はまだ使えないでしょ。
「お母さんから聞いたの。中級の魔法でも巫女の職業についていれば上級並の魔法になるって」
シーナの両親は二人とも回復魔法を使えた。シーナは輝く目でアイリさんから聞いた話を言ってきた。
「う~ん。あんまり目立ちたくないけど言ってみる?」
「うん! 私、困っている人、助けたい」
僕も極力そう言った事をしていきたいと思っているけど、最初から目立つのは良くないと思うんだよね。マスターに内密でお願いしますって言ってみようかな。
僕とシーナは冒険者ギルドに入った。扉につけられていた鐘が音を鳴らすとギルド内の人達から視線が集まる。
「なんだ、ガキか」
そんな声が聞こえて視線が外される。何だか怖い人達だな~。
「アレク、怖いね」
「ははは、大丈夫だよ。そんな悪い人はそうそういないでしょ」
シーナの抱きしめる力が強くなった。怖いのは分かるけどそんなに強く抱きしめられると歩きずらいよ。
「いらっしゃ~い」
冒険者ギルドには受付が三つあった。二つは空いていなかったので自然と僕らはもう一つの受付に向かった。受付に座る活発そうな赤毛の女性が元気に応対してくれた。
「冒険者登録をしたいんですけど」
「あら、そんなに若いのに冒険者になりたいの?」
「成人したので」
「そうだったのね。お嬢さんも?」
「はい」
赤毛の女性は僕らに微笑んで話してくれた。シーナの緊張も少し和らいだみたいで抱きしめが弱まる。
「熱々なのね~。私はウーナ、見ての通り受付嬢をしているの。何かわからない事があったら言ってね」
ウーナさんは自己紹介をして、僕らの頭を撫でてくれた。成人したって言ってるのに子供扱いされてしまった。まあ、悪い気はしないんだけどね、美人さんだし。
「じゃあ、登録するわね。字は書ける?」
「はい、大丈夫です」
「これに自分の名前をこのペンで書いてくれる?」
「これは?」
「これは信頼のペンって言ってね魔道具になっているの」
僕はウーナさんに手渡されたペンが普通のペンと違うと思って質問した。ペンは黒塗りの煌びやかなペンで綺麗だったんだ。
「信頼のおける人物かそうじゃないかを判断してくれるのよ。だから、冒険者って言うのはいい人ばかりなの。と言いたい所だけど、そうじゃないという事も覚えておいてね」
ウーナさんはそう言ってウインクしてきた。冒険者も人だもの、可笑しな人もいるに決まってるよね。
「登録の時は信頼のおける人物だったかもしれないけれど、しばらくするとおかしくなってしまう。人って怖いわよね。ここだけの話、Cランクの冒険者は特に危ないから気を付けてね」
「あっはい・・」
ウーナさんは小声で忠告してくれた。
冒険者はランク分けされているらしい。F、E、D、C、B、A、Sとランクがあるって説明してくれた。
F~Dまでは普通の人でも昇格できるんだけど、Cから上は危険な依頼が増えるから挫折する人が多いみたいなんだ。
「あなた達はそうならないでね」
ウーナさんは再度ウインクして言ってきた。別に昇格したいわけじゃないからそうはならないと思う。最終的には村に帰って村を守る仕事に就くだろうしね。僕の両親がしたように。
「ペンでこの紙に書けばいいんですか?」
「そうそう、その紙も魔道具なの。信頼のペンとセットのアイテムで書いたものを綺麗な字に直してくれてその人のステータスを表示してくれるのよ。もちろん、ギフトも見せてくれるわ」
「へ~、凄いですね」
「そうなのよ。って周りにも見せる時はステータスオープンって言って見れるの、見せない場合はステータスって言えば大丈夫よ」
みんなに見えるようになっちゃうのか~と思っていると顔に出ていたみたいでウーナさんが説明してくれた。僕とシーナのギフトは特別性だからね。あんまり人に見せていいものじゃない。世界に一つのギフトなんて厄介ごとしかなさそうだしね。
「書きました。名前だけでいいんですか?」
「ありがと、そうよ、名前だけでその人を認識してくれるの。はいっ、今日からこの紙はあなたの物よ。紙は汚れないし破れない。ステータスを見たいと思った時だけ手元に現れるから手荷物にもならないわ」
うわ~便利だな~。全部の荷物にその魔法を付けられないのかな?
「便利だな~って思ってるでしょ、でもダメなのよ。この紙自体が特別な物なの。魔法をかけた人が特別ってわけじゃないから色々な荷物には付けられないのよ」
またまた、顔に出ていたようでウーナさんに言われてしまった。そうだよね、そんなことが出来たら世界中で使われているだろうしね。
「お嬢さんもかけたね。じゃあ初依頼と行きましょうか。依頼はあの掲示板に張られている紙の中から選んでね」
ウーナさんが指さした方向に掲示板が見える。黒い掲示板で茶色の羊皮紙がたくさん張られていた。
「Fランクは」
「そうそう、一ランク上の依頼までなら受けられるからね。あとはその人を見て受けられるか受けられないか私達受付嬢が決めていい決まりだから~」
掲示板の前に着いて、依頼を見ていると大きな声が受付から聞こえてきた。ウーナさんが立ち上がってこちらに手を振って叫んでいました。僕とシーナはウーナさんに手を振り返して答える。
周りの人達の反応を見るとウーナさんの通常運転なのが伺える。とてもいい人だな~。
「って事はEランクまで受けられるのか~」
「そうみたいだね」
二人で掲示板を見ていく。
「Fランクは採取と町のお手伝いかな?」
「Eランクも同じ感じだね。ただ、量とか範囲が凄いって感じかな?」
ブツブツと話しながら僕らは依頼を吟味していく。
「とりあえず初めての依頼だから簡単なFにしようか」
「そうだね」
Fランクの依頼にする事にして、二枚の依頼書を手に取った。依頼は配達と掃除の二枚、アイテム屋の配達と煙突掃除だ。
「お願いします」
「は~い、承りました。期日を守って頑張ってね」
「「はい!」」
ウーナさんのおかげで僕らの緊張は完全になくなった。心なしか冒険者ギルドにいた強面な人達の顔も優しいもののように見えた。ただただ、僕らがそう言う目で見てしまっていたのかもしれない。
「誰か! 中級回復魔法を使える奴いねえか!」
ガランゴラン!
依頼を受諾して、ギルドから出ようとした時、力強く扉が開いて数人の冒険者が入ってきた。その中の一人は片手が無くなっていて顔が青ざめている。
「誰か!」
「安心しろ。ここには3人、中級魔法使いが常駐している。おい!」
「はっ!」
赤毛の頬に十字傷のおじさんが叫んでいた男の人に寄り添い話した。おじさんの指示で魔法使いの人が三人、ケガをしている人へ光をあてがい始めた。
「マスター、中級じゃ血が止まらない」
「ちっ、とりあえず。止血だ」
マスターと言われたおじさんが包帯を取り出して欠損部位を縛る。なるほど、締め付けて血を止めるんだね。
「上級魔法を使えるものはいないか?」
「マスター、とりあえず奥の部屋に。そのまま立たせておくと危ないわ」
「ああ、そうだな。奥に運んでくれ」
「あ、ああ・・・」
怪我人とその仲間達は涙をこぼして奥の部屋に案内されていった。僕は冒険者の本当の姿を見せられて、少し怖気づいちゃった。
「私、治せるかも・・」
ドキドキしていた僕を他所にシーナが呟いた。巫女の職業でもそんな高位の魔法はまだ使えないでしょ。
「お母さんから聞いたの。中級の魔法でも巫女の職業についていれば上級並の魔法になるって」
シーナの両親は二人とも回復魔法を使えた。シーナは輝く目でアイリさんから聞いた話を言ってきた。
「う~ん。あんまり目立ちたくないけど言ってみる?」
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