上 下
2 / 87
第一章 神様からの贈り物

第二話 裁縫ギフト

しおりを挟む
『儂の作ったスキル、裁縫の説明をするぞ』

「・・・」

 今まで制作系のスキルはそんなにないんだ、僕は驚愕しながらもフェイブル様の声に頷いた。

『裁縫スキルは速度、完成度、スキル。この三つが特徴じゃ』

「速度、完成度、スキル?」

 僕は首を傾げる。
 速度と完成度は分かるんだけどスキルってどういうことなのかな?

『フォフォフォ、分らないのも無理はないの~。速度と完成度はそのままじゃが熟練度でレベルが変わる。そうじゃこれを言わなくちゃいかんな。お主が作る服はどれもレベルが存在するのじゃ』

「レベル?」

『そう、レベルじゃ』

 僕らの世界にはレベルが存在してる。魔物達もレベルがあって、そのレベルで冒険者達は強さを判断して勝てるか勝てないかを判断する。でも、装備にはレベルは存在してない。そりゃそうだよね。生物じゃなかったらレベルなんて存在するはずないんだから。

『その装備をして、魔物を倒したり暮らしたり制作していればレベルが上がっていくのじゃ』

「それは私達と一緒なんだね」

 シーナがフェイブル様の言葉に頷いた。僕らも今まで生活していて三レベルになってる。普通の生活じゃ経験値はとても少ないんだ。

『そして、スキルじゃ。これは儂も大満足の完成度じゃぞ』

 フェイブル様の言葉に生唾を飲み込む。神様が凄いと言っているようなもの。どんなものなのか僕はドキドキしてしまった。

『アレク、お主が作る服には職業を付けられるのじゃ!』

「えっ? 職業?」

「うむ」

 職業を付けてどうするの? 僕は疑問で首を傾げる。

『凄さが理解できん様子じゃの、では説明するかの。スキルの部分として服に職業を付与できるのじゃ』

「服に職業を付与?」

 フェイブル様の言葉に更に首を傾げる。服に職業を付与しても仕方ないんじゃ?

『分かりにくいかの~、例えばそうじゃの~。5歳の子供が木を切るのに一日以上かかるとするじゃろ? じゃが職業[木こり]を付けた服を着て切ると半日とちょっとで切ることが出来る』

「え? それって?」

『服のレベルを上げればもっと早くなるんじゃが最初の頃はそんなもんじゃろう』

「もっと早くなるの?」

 僕は驚愕する。前提が子供って所もあるけど凄いスキルみたい。

「じゃあ、フェイブル様。私が職業[剣士]の服を着たら剣をうまく使えるの?」

『そうじゃよ。剣士どころか職業[魔法使い]を付けておれば魔法が使えるんじゃぞ』

「すご~い」

 シーナは嬉しそうに大喜びしてる。そんな凄いものもらっていいのかな?

『アレクには悲しい思いをさせてしまって居ったからな。これは儂の懺悔みたいな物じゃ。受け取ってくれるかの?』

「え?」

 フェイブル様は申し訳なさそうな声で話した。悲しい思いって何のことだろう? 

『両親を早くに無くして今まで悲しい思いをさせてしまった。それはこの世界を作った儂のせいじゃ。本当に済まなかった』

「そんな、フェイブル様が謝ることじゃ。父さん達はみんなを守る為に戦って死んじゃったけど、決してフェイブル様のせいじゃないですよ。それに、僕はシーナの両親に育てられて何不自由なく暮らせてきました。フェイブル様はいつも温かい言葉をかけてくれた。僕はフェイブル様に感謝しています」

 僕は今まで生きてこれたことを僕の両親とフェイブル様、それにシーナの両親には感謝している。父さん、母さんがいないのが悲しくないと言えば嘘になるけどみんなを恨んだことはない。

『ありがとうアレク。二人は今日から成人じゃ。幸せを祈っておるぞ』

「「はい!」」

『フォッフォ、何か困ったことがあったらすぐに教会に来なさい。いつでも話し相手になるぞ』

 フェイブル様は優しい神様です。悩みを何でも聞いてくれて助言をしてくれる。フェイブル様自ら動くことはできないけど、色んなことを知っていて僕らを助けてくれるんだ。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

番だからと攫っておいて、番だと認めないと言われても。

七辻ゆゆ
ファンタジー
特に同情できないので、ルナは手段を選ばず帰国をめざすことにした。

もう、終わった話ですし

志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。 その知らせを聞いても、私には関係の無い事。 だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥ ‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの 少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?

婚約をなかったことにしてみたら…

宵闇 月
恋愛
忘れ物を取りに音楽室に行くと婚約者とその義妹が睦み合ってました。 この婚約をなかったことにしてみましょう。 ※ 更新はかなりゆっくりです。

嘘はあなたから教わりました

菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

『絶対に許さないわ』 嵌められた公爵令嬢は自らの力を使って陰湿に復讐を遂げる

黒木  鳴
ファンタジー
タイトルそのまんまです。殿下の婚約者だった公爵令嬢がありがち展開で冤罪での断罪を受けたところからお話しスタート。将来王族の一員となる者として清く正しく生きてきたのに悪役令嬢呼ばわりされ、復讐を決意して行動した結果悲劇の令嬢扱いされるお話し。

処理中です...