93 / 113
第二章 海へ
第51話 新たな大地
しおりを挟む
『こちらでよろしいでしょうかウンディーネ様』
「いいでしょう」
シーサーペントの歯を治した。虫歯のように黒ずんでいた歯を抜いただけだけど、凄い感謝されたよ。
そのあと、船をシーサーペントに引かせて大陸にたどり着いたんだ。流石に港には入れないということで少し離れた所に接岸している。
『ではこれで私は』
「ちょっと待ちなさい」
『えっ!』
シーサーペントがお役御免で帰ろうとしているとウンディーネがそれを制した。
「この船のものになりなさい。嵐しか能がないのですからたまには人の役に立ちなさい」
『そ、そんな。私にもちゃんとそれ以外に役目が』
「ではその役目は別のものにやらせなさい。ポセイドン辺りにでもできるでしょう」
『はっ、はあ……』
ウンディーネの気迫にハイしか言えない空気になってしまうとシーサーペントは頷くことしかできなくなっていた。ウンディーネって強いんだな。
「ではマスター。ご武運を」
「あ、ありがとうな。ウンディーネ」
「いえいえ……」
ウンディーネは嬉しそうに微笑んで消えていった。眷属っぽいシーサーペントにはパワハラ上司だけど、俺達には優しいお姉さんなんだな。
『ウンディーネ様のマスター。私はどうしたら』
「えっと言われた通りにしないと。話からすると僕の視点を見れていると思いますので」
ウンディーネを召喚してすぐにシーサーペントへ話しかけていたんだ。それから察すると俺の視点を見ている可能性があるんだよな。なので従っておかないとシーサーペントの命が。
『わ、わかった。この船は任せろ』
シーサーペントは無事にダイロさんの船のエンジンになりましたとさ。
「タツミ、回復魔法を使ったときからいろいろ凄い奴だと思っていたが、精霊も使役しているのか。まったく、規格外すぎるぞ」
ダイロさんに呆れられてしまったがみんな笑顔で見てきてくれているので嫌われてはいないみたいだ。
「街はここから一山越した先にある。帰るときはここに来てくれればすぐに出発するからな」
「えっ。ダイロさんたちは来ないんですか?」
「……ああ、ちょっとルインズの港街には少しな」
ダイロさんが頬を掻きながら言葉を濁してきた。大海賊時代に何かあったのかな?
「親方は港町のポートミルトに女がいるんですよ。だから行きたくないんです」
「ばっ! いうんじゃねえよ」
ダイロさんの話を教えてくれた部下をダイロさんが思いっきりぶっ叩いた。なるほど、ダイロさんの良い人がいるってことね。
「まあ、なんだ。俺の女が酒場をやっているからよ。困ったら顔を出して見な。ダイロの知り合いっていったら匿ってくれるからよ」
「わかりました。……攻撃されませんよね」
「……大丈夫だ」
疑問を投げかけるとダイロさんは帽子を目深にかぶって言ってきた。その間とその様子では警戒したほうがよさそうだな。とりあえず、見知らぬ土地で味方が得られるのであれば願ったりかなったりだ。接触できるならしておこう。
「アスベルはどうする? 来るか? ここにいてもいいんだぞ」
傷ついた体は回復魔法で治った。だけど、心はまだ傷ついている。魔法では心までは治らないからな。
「……行きます! 僕はもうみんなの家族だから」
目を輝かせて言ってくるアスベル。この子もいい子だな。親父さんが生きているなら会わせてやりたいもんだ。
「じゃあ行くか!」
「は~い」
「キャン」「ガウ~」
アスベルを抱き上げて出発を告げるとルキア達が答えてくれた。
新しい土地へと進みだす。
「いいでしょう」
シーサーペントの歯を治した。虫歯のように黒ずんでいた歯を抜いただけだけど、凄い感謝されたよ。
そのあと、船をシーサーペントに引かせて大陸にたどり着いたんだ。流石に港には入れないということで少し離れた所に接岸している。
『ではこれで私は』
「ちょっと待ちなさい」
『えっ!』
シーサーペントがお役御免で帰ろうとしているとウンディーネがそれを制した。
「この船のものになりなさい。嵐しか能がないのですからたまには人の役に立ちなさい」
『そ、そんな。私にもちゃんとそれ以外に役目が』
「ではその役目は別のものにやらせなさい。ポセイドン辺りにでもできるでしょう」
『はっ、はあ……』
ウンディーネの気迫にハイしか言えない空気になってしまうとシーサーペントは頷くことしかできなくなっていた。ウンディーネって強いんだな。
「ではマスター。ご武運を」
「あ、ありがとうな。ウンディーネ」
「いえいえ……」
ウンディーネは嬉しそうに微笑んで消えていった。眷属っぽいシーサーペントにはパワハラ上司だけど、俺達には優しいお姉さんなんだな。
『ウンディーネ様のマスター。私はどうしたら』
「えっと言われた通りにしないと。話からすると僕の視点を見れていると思いますので」
ウンディーネを召喚してすぐにシーサーペントへ話しかけていたんだ。それから察すると俺の視点を見ている可能性があるんだよな。なので従っておかないとシーサーペントの命が。
『わ、わかった。この船は任せろ』
シーサーペントは無事にダイロさんの船のエンジンになりましたとさ。
「タツミ、回復魔法を使ったときからいろいろ凄い奴だと思っていたが、精霊も使役しているのか。まったく、規格外すぎるぞ」
ダイロさんに呆れられてしまったがみんな笑顔で見てきてくれているので嫌われてはいないみたいだ。
「街はここから一山越した先にある。帰るときはここに来てくれればすぐに出発するからな」
「えっ。ダイロさんたちは来ないんですか?」
「……ああ、ちょっとルインズの港街には少しな」
ダイロさんが頬を掻きながら言葉を濁してきた。大海賊時代に何かあったのかな?
「親方は港町のポートミルトに女がいるんですよ。だから行きたくないんです」
「ばっ! いうんじゃねえよ」
ダイロさんの話を教えてくれた部下をダイロさんが思いっきりぶっ叩いた。なるほど、ダイロさんの良い人がいるってことね。
「まあ、なんだ。俺の女が酒場をやっているからよ。困ったら顔を出して見な。ダイロの知り合いっていったら匿ってくれるからよ」
「わかりました。……攻撃されませんよね」
「……大丈夫だ」
疑問を投げかけるとダイロさんは帽子を目深にかぶって言ってきた。その間とその様子では警戒したほうがよさそうだな。とりあえず、見知らぬ土地で味方が得られるのであれば願ったりかなったりだ。接触できるならしておこう。
「アスベルはどうする? 来るか? ここにいてもいいんだぞ」
傷ついた体は回復魔法で治った。だけど、心はまだ傷ついている。魔法では心までは治らないからな。
「……行きます! 僕はもうみんなの家族だから」
目を輝かせて言ってくるアスベル。この子もいい子だな。親父さんが生きているなら会わせてやりたいもんだ。
「じゃあ行くか!」
「は~い」
「キャン」「ガウ~」
アスベルを抱き上げて出発を告げるとルキア達が答えてくれた。
新しい土地へと進みだす。
10
お気に入りに追加
865
あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです
ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。
女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。
前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る!
そんな変わった公爵令嬢の物語。
アルファポリスOnly
2019/4/21 完結しました。
沢山のお気に入り、本当に感謝します。
7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。
2021年9月。
ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。
10月、再び完結に戻します。
御声援御愛読ありがとうございました。

剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~
島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!!
神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!?
これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~
冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。
俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。
そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・
「俺、死んでるじゃん・・・」
目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。
新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。
元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる