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第二章 海へ

第二十九話 換金

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「タツミさんいらっしゃい、ルキアちゃん今日も可愛いね」

 ギルドに着くとフェレナさんが手を振って迎えてくれた。ルキアを見るとブンブンと大きく手を振って喜んでいる。ルキアは恥ずかしそうに顔を手で覆っている。

「今日も換金してほしいんだけど」

「はい、ミスリルですか?」

「はい、昨日と同じ量です」

「分りました」

 再度ギルドにミスリルと銀のインゴットを二本づつ受付に出した。フェレナさんは鑑定する為にルーペを出してインゴットを見ていく。

「今回も同じように見事なインゴットですね。タツミさんのインゴットはとても評判がいいので白金貨一枚と金貨8枚になります。また換金してくださいね」

 白金貨一枚と金貨八枚を机に出してニコッと笑顔を見せたフェレナさん。この世界の女性はみんな綺麗すぎるんだよな。

「また来ます」

「はい、ルキアちゃんもまたね~」

 お金を受け取るとすぐに俺はギルドを後にした。孤児院を建てないといけないからな時間は有効に使わんといかん。
 最近依頼をしていないが大丈夫なのだろうか。除名されないよな?


「キャン!」

「トラ、乗せてくれるのか?」

 孤児院までの道のりで少し歩いているとトラが鳴きだして首を傾げて自分の背中を指した。どうやら、背中に乗ってほしいみたいだな。

「ルキアもいい?」

「キャン!」

 俺が乗り込むとルキアも乗りたそうにトラに聞いている。ちゃんと乗っていいのか聞く辺り、気遣いのできるいい子で天使なのが伺えた。俺って親ばかの才能あったんだな。しかし、事実なのだから致し方ない。

 トラは俺達に乗ってもらって嬉しそうに歩いている。ルキアも俺の背中に顔をうずめて嬉しそうだ。俺の体臭は大丈夫かと思っていたのだが、俺の服って特殊なものだからな。着替えたらすべての汚れがなくなるんだよ。俺自身も新品同様になるのでそう言った事に気を使わなくて大丈夫なのだ。本当にチートだよな~。

「来てる来てる」

 孤児院の前に着くと原木が幾重にも重なっておかれていた。子供達も気になって前まで出てきている。ルナさんは心配そうに見ているので説明してあげよう。

「タツミさん、これって?」

「ちゃんとした建物を建てるので木材をね。俺が持っているものは全部鉄関係だから、子供達が転んだりすると怪我しちゃうので木にしたんです」

「あの土台はそう言うことだったんですね」

 ルナさんは納得したようにうなずいた。ルナさんと話していると木材屋のおっさんが近づいてきた。残りのお金をもらおうと来たんだと思って金貨を取り出す。

「残りの金貨一枚と配送のお金の銀貨ね」

「確かに、また贔屓にしてくれよ」

 おっさんはそう言って孤児院を後にしていった。この原木で足りなかったら、また買いに行かないとな。家具とかもこれから作れればいいんだけど。

「よ~し、材料も揃ったし。やりますかね」

「お~」

 俺の言葉にルキアが大きく手を上げて掛け声を上げた。みんなにも手伝ってもらう予定だ。

「まず一日で終わるとも思えないから、木材を置く屋根だけの建物を建てないとな」

 テントを広げてもいいのだけどそれじゃぬれてしまうかもしれないからな。

「そんなの馬車を作るよりも早くできるだろう」

 大工の服に着替えてそう言っている間に原木から十枚の板を作り出した。明らかに原木の質量を超えているように思えるがチートなので致し方ない。木材屋に行かなくて済みそうだな。そして、ものの10分で木材置き場が完成する。

「みんなで木材を運んでくれるか?」

「は~い」

 ルキアとサンとトラに木材を運んでもらう。三眼熊の着ぐるみをルキアに着せて運んでもらう。俺の持っている着ぐるみで一番力があるみたいなのでそうしたんだけど、軽々と原木を運んでいるルキアを見ると何だか不思議な感じだ。サンとトラも器用に原木を木材置き場に原木を運び入れる。全部はしまいきれないので他は全部加工してアイテムバッグにしまっていく、着替えないとアイテムバッグを使えないのは不便だが、仕方ない。
 原木は600本程あるのでそれが一本10枚の板ができる。という事は6000枚の板になるわけだけど、余裕過ぎるな。柱は鉄柱にしてあるからそれを覆う板があれば大丈夫だし、目算でも4000枚余る計算だ。思い切って二階建てにするか。そうすれば単純に二倍の板が必要になる。あとの残りは家具にするので大丈夫だろう。

「よ~し、作っていきましょうか~」

「お~~・・・・」

 作っていこうと思ったのだが、ルキアのお腹からグ~という声が聞こえてきた。サンとトラもそれを見て俯いている。

「その前に飯だな。忙しすぎて忘れていたよ」

「やった~お父さんのご飯~」

「キャンキャン」「ガウ~~」

 ルキア達はご飯だと言うと凄く喜んでいる。胃袋を掴んでしまったようだな。最高の笑顔は最高の料理で作られるのだ。
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