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第二章 海へ
第七話 蜘蛛退治
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俺達は洞窟に入って一つ目の鉱脈で戦闘になった。蜘蛛の魔物だから、罠を張っていると思っていたのだがそんなことはなかった。蜘蛛の巣がいっぱいあるものだと思ったんだけど、ここまで普通に下ってこれた。ただ、一円硬貨くらいの蜘蛛がいっぱい出てきてその後に俺と同じくらいの大きさの蜘蛛が襲ってきた。ゾワゾワしながらも剣を突き刺して絶命させたよ。生命力もそれほど強くないみたいだな。小さな蜘蛛たちの方が厄介だった。ルキア達の魔法で倒したけどあれを武器だけで倒すのはめんどくさ過ぎる。魔法って本当に便利だ。最初の戦闘はそんな感じだった。
鉱脈のあるフロアは木などで手が加えられていて崩落しないようにされている。ここまでの通路もされていたが大きなフロアは入念にするようだ。
「ここはかつての鉱山じゃからな。魔物が多くなって手放したんじゃろ。まさか、ずっと冒険者を雇うわけにもいかんからな」
収入よりも支出の方がかかってしまうって事だな。ワッツが出してきた鉱石を見ると支出よりも稼げそうだけどな。
「このフロアは鉄と錫じゃな。あまり実りにならん。次に行くぞ」
ワッツは壁の鉱脈をたいまつで照らして話した。鉄じゃ稼ぎにならないな。
「稼ぎにならないといっても取らないとは言っていない」
先に進むワッツを尻目に俺は運び屋の服に着替えてそこら辺に落ちている鉄鉱石をしまった。ワッツにもらった物でも事足りると思うけど持っておいて損はないだろう。
「何をしている。もっと下ならミスリルやらアダマンタイトなんかもあるかもしれんぞ。鉄なぞ捨て置け」
「ああ、そうだな」
すぐに剣士の服に着替えてワッツについていく。拾ったものは10キロほどの鉱石で全部鉄だったんだが、少し気になる形をしていたんだよな。鉱石が削られていて、なんか食べられているような感じだったんだ。この洞窟には蜘蛛しかいないはず。
「なあ、ワッツ。鉄の鉱石を見ていたら削られているようなものもあったんだけどさ」
「なに・・・鉱石を食べる魔物という事か?」
「あ、いや、断定はできないけど」
「いや、それは当たっているかもしれん」
ワッツは俺の疑問を聞いて考え込んだ。片手斧をトントンとテンポよく、肩で鳴らしているワッツ。ドワーフに斧って似合いすぎだな。
「さっき倒した蜘蛛の一本の腕が高質化しておった。メタルスパイダーになりかけておったんじゃ」
「メタルスパイダー?」
ワッツの疑問に俺は首を傾げる。ワッツが言うには鉱石なんかを体に蓄えて、それを強さに変える魔物がいるそうだ。そう言った魔物は亜種として特殊依頼なんかで討伐隊が組まれたりするらしい。
「という事はこの奥の蜘蛛たちはもっと高質化が進んでいるかもしれないな。鉄に飽きてミスリルなども食っておるかも」
亜種がもっといるかもとワッツが呟いた。心構えは必要だな、強い個体がいるとわかっているだけでも大分違う。そして、ワッツの憶測は当たった。
「あれは・・・ミスリルスパイダーとシルバースパイダーか・・・」
真っ暗な鉱脈のある広いフロアに青白く輝く蜘蛛と白く輝く蜘蛛が数体見える。暗いのに光を発しているものだから目立つ目立つ。
「という事はこのフロアにはミスリルの鉱脈が?」
「あるじゃろうな。しかし、こいつらを倒すのは骨が折れるぞ」
俺の疑問にワッツが答えてため息をついている。鉄よりも硬い体で出来ている蜘蛛なんか考えたくもないよな。ってか勝てるのかな?
「どこに行くんじゃ?怖じ気ついたか?」
「いや、ちょっと準備してくるだけだよ。ワッツは見ていてくれ」
俺は着替える姿を見せない為にワッツから距離を取る。ワッツから見えない所で俺はオラストロ騎士隊長の服に着替えた。俺の持っている服で一番強い服だからな。
「何じゃ、着替えておったのか。そんな荷物どこに持っていたんじゃ?」
「ははは、それは秘密だよ。それよりもどうだ?」
「ああ、今、二匹のミスリルスパイダーが奥の通路に入っていった。これを逃すとさらに数が増えそうだぞ」
「そうか」
蜘蛛たちと総力戦になるわけだな。
「ルキア達もいいか?」
「大丈夫だよ」
ルキアがそう答えるとサンとトラは頷いて答えた。俺達は蜘蛛との戦闘に備える。
鉱脈のあるフロアは木などで手が加えられていて崩落しないようにされている。ここまでの通路もされていたが大きなフロアは入念にするようだ。
「ここはかつての鉱山じゃからな。魔物が多くなって手放したんじゃろ。まさか、ずっと冒険者を雇うわけにもいかんからな」
収入よりも支出の方がかかってしまうって事だな。ワッツが出してきた鉱石を見ると支出よりも稼げそうだけどな。
「このフロアは鉄と錫じゃな。あまり実りにならん。次に行くぞ」
ワッツは壁の鉱脈をたいまつで照らして話した。鉄じゃ稼ぎにならないな。
「稼ぎにならないといっても取らないとは言っていない」
先に進むワッツを尻目に俺は運び屋の服に着替えてそこら辺に落ちている鉄鉱石をしまった。ワッツにもらった物でも事足りると思うけど持っておいて損はないだろう。
「何をしている。もっと下ならミスリルやらアダマンタイトなんかもあるかもしれんぞ。鉄なぞ捨て置け」
「ああ、そうだな」
すぐに剣士の服に着替えてワッツについていく。拾ったものは10キロほどの鉱石で全部鉄だったんだが、少し気になる形をしていたんだよな。鉱石が削られていて、なんか食べられているような感じだったんだ。この洞窟には蜘蛛しかいないはず。
「なあ、ワッツ。鉄の鉱石を見ていたら削られているようなものもあったんだけどさ」
「なに・・・鉱石を食べる魔物という事か?」
「あ、いや、断定はできないけど」
「いや、それは当たっているかもしれん」
ワッツは俺の疑問を聞いて考え込んだ。片手斧をトントンとテンポよく、肩で鳴らしているワッツ。ドワーフに斧って似合いすぎだな。
「さっき倒した蜘蛛の一本の腕が高質化しておった。メタルスパイダーになりかけておったんじゃ」
「メタルスパイダー?」
ワッツの疑問に俺は首を傾げる。ワッツが言うには鉱石なんかを体に蓄えて、それを強さに変える魔物がいるそうだ。そう言った魔物は亜種として特殊依頼なんかで討伐隊が組まれたりするらしい。
「という事はこの奥の蜘蛛たちはもっと高質化が進んでいるかもしれないな。鉄に飽きてミスリルなども食っておるかも」
亜種がもっといるかもとワッツが呟いた。心構えは必要だな、強い個体がいるとわかっているだけでも大分違う。そして、ワッツの憶測は当たった。
「あれは・・・ミスリルスパイダーとシルバースパイダーか・・・」
真っ暗な鉱脈のある広いフロアに青白く輝く蜘蛛と白く輝く蜘蛛が数体見える。暗いのに光を発しているものだから目立つ目立つ。
「という事はこのフロアにはミスリルの鉱脈が?」
「あるじゃろうな。しかし、こいつらを倒すのは骨が折れるぞ」
俺の疑問にワッツが答えてため息をついている。鉄よりも硬い体で出来ている蜘蛛なんか考えたくもないよな。ってか勝てるのかな?
「どこに行くんじゃ?怖じ気ついたか?」
「いや、ちょっと準備してくるだけだよ。ワッツは見ていてくれ」
俺は着替える姿を見せない為にワッツから距離を取る。ワッツから見えない所で俺はオラストロ騎士隊長の服に着替えた。俺の持っている服で一番強い服だからな。
「何じゃ、着替えておったのか。そんな荷物どこに持っていたんじゃ?」
「ははは、それは秘密だよ。それよりもどうだ?」
「ああ、今、二匹のミスリルスパイダーが奥の通路に入っていった。これを逃すとさらに数が増えそうだぞ」
「そうか」
蜘蛛たちと総力戦になるわけだな。
「ルキア達もいいか?」
「大丈夫だよ」
ルキアがそう答えるとサンとトラは頷いて答えた。俺達は蜘蛛との戦闘に備える。
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